表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「バトロワ」無視してサバイバルライフ ~デスゲームに巻き込まれた俺は「攻略」しなかったら最強になってた件  作者: 藤明
1章 デスゲームというかサバイバルに巻き込まれた!?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/72

第25話 命懸けのかくれんぼ

 

 ナオエさんが建物の陰に隠れながら状況を伝えてくる。


「この廃墟には槍投げ君以外に気配は感じ取れないかな」

「わかるのか?」


「うん……隠してたけど……目の前で死んだ人、落下死した人がいて。それで『気配察知』系のスキルを拾ったの。スキルオーブから……」

「……なるほど……だから色々と分かったんだ……俺が鈍感なのかと思ってた……」


 それでボロボロになりながらもこの最果ての地ともいえる場所までたどり着いたってわけか。


 妖魔も魔獣も少し探索するだけでもウヨウヨしてるから、『気配察知』が無ければ死んじゃったんだろうな。


 腕を『伸ばす』だけでもかなりの機動力になるけど、『気配察知』を組み合わせて上手い事逃げてんだなぁ……


 と、今はそんなことを考えている場合じゃないか。


「それで、どこにいるとか、わかる?」

「えっ? あ、そうね……あの大きな家の……二階かな……」


「……気が付かないふりして様子を探るか……」

「……大砲とかあれば直ぐに倒せそうなんだけど……」

「うーん。俺たちのスキルでそれは無理だねぇ……」


『固定』『伸びる』のコンボで岩を飛ばしても……練習不足過ぎて正確な場所には当たらないだろうしなぁ……


「罠に注意しながらいこう、あと、見られたら何かが飛んでくるかもしれないから気を付けよう」

「うん」


 移動しようとすると、目の前に釣り糸を使った何かがあった。

 なんか木の枝みたいのがくくられてるな……ああ、鳴子的な……獣とか、妖魔の接近を知らせる奴か。これは良いアイディアだな。真似しよう……


「これはなに? 釣り糸?」

「ああ、これ触るとほら、音が鳴るやつ」


「……時代劇でみたことあるやつね、カラカラするやつね」

「あとで回収したいけど……」

「釣り糸は支給品よね……」

「消えちゃうな……」


 俺たちは槍投げ君の視線に入らない様に近い建物の中に入りながら近づいていく。

「どう? 槍投げ君は?」

「動きは無しね」


「……あ、ちょっと待って」


 俺は次の家に続く道の真ん中に、地面が不自然に盛られているのに気が付く。

 なにかあるな? 

 ん? 

 ベアトラップ? 

 踏むとガシャンとなるやつか? 

 鎖がつながってるけど……鎖を引っ張るタイプ? なんだろ? 

 ……まぁいいや。

 四次元収納ポーチから大き目の石を投げてみる。


 ガチャン!!


 ああ、やっぱりそういうタイプの罠が……さび具合を見るとこの廃村にあったのかな? 

 なんかそんな感じだな。


「……怖いね、あれに足を挟まれたら……」

「そうだね。たしかベアトラップとかいうやつ……文明が違うのに同じようなモノあるんだね」


 目測で二個ほど発見したので、石を投げて起動させておく。危ないもんな。


「ねぇ、あれなに? 木の枝でなんか組んであるような……」

「ああ、あれも罠かな?」


 今度は木の枝をポイっと投げてみる。木の枝が紐に絡まって上につるされる。小動物用の何かなんだろうか?


「あー映画で見るやつね……本当にあるのね」

「サバイバル本の片隅に作り方のってたからなぁ……紐が無くてできなかったけど、ここには麻の紐があるみたいだね」

「確かに、釣り糸じゃないね、アスティナさんも簡単に結ってたから作ったのかな?」


 俺たちは槍投げ君がこもっている家の隣に入る。どうも隠れてやり過ごそう……的な意図を感じる。まぁ、二人がかりで来られたらそうなるか……


「動きは?」

「無いみたい……」


「多分、相手は『気配察知』なんて持ってないって思ってるだろうからねぇ……」

「……そうよね、普通はそう考えるね……」

「だったら隠れてやり過ごせばってなるね……ねぇ、ここの食器棚の方が良いんじゃない? さっき盾に使ったやつより」


「……話が飛ぶね……って、確かに、良いな。貰っておこう」


 俺はナオエさんが指差しした食器棚を持ち上げて四次元収納ポーチに入れる。

 ふと、ナオエさんが木のテーブルに近づいて考え事をしていた。


「私も試してみるか……よいしょ……っと、ほんと、こんな木のテーブル……あっちじゃ持てないくらいなのに……」


 軽々と天然木のテーブルを持ち上げ、四次元収納ポーチに入れていた。

 はたから見てもすごい不思議な光景だ。形状が変化して吸い込まれる感じなんだね。


 木の重そうな椅子も入れている……なんかもう家具全部もっていっちゃえ的な雰囲気だな。木のベッドにも挑戦……入った……

 これで夜も安眠だ。布団は無いけど。


 しっかし……なんで鍋とか包丁は無いんだろ? やっぱり逃げるときに持っていきやすいからか? お? ちょっと大きめの木製の桶が……これも入れておくか。洗濯の時に役立ちそうだ。洗濯板は無いか……空の麻袋は何枚かあるな……貰っておこう。


 ナオエさんが部屋を物色しながらこれ以上は良さそうなモノがないので諦めて戻ってくる。

「何となくわかった事だけど、生活必需品で持ち運べるものは持って行っちゃうみたいね」


「……やっぱりそうかぁ……重たくて、持っていけ無さそうなものばっかりだものね」


 そりゃ、鍋とかフライパンが無いわけだよ。あれは持ってくよなぁ、確実に。

 あ、しまった。いつも通りの廃村の物色コーナーになっていた。

 あまりにもナオエさんが「完全に無警戒」にしているのを見て心配になってくる。


「……んで、槍投げ君は?」

「動いてない。隠れてるのかも」


 俺はゆっくりと槍投げ君が隠れている家屋の方を見る。見られている感覚は無い……

 彼の居座っている建物はこの村では珍しい二階建てなんだよね……

 良く見るとバルコニーがあるから……

 ああ、なるほど、もしもの時はそっちの出口から逃げて……って考えてそうだな。


「どうする? 追い詰めると槍を振り回したりして危ないかもしれないけど……」

「投降を呼びかける? 交渉せずに殺しに来る相手だよ? ゲームと同じくらいに考えてると思うよ」


「……やるしかないのね……はぁ」

「まぁ、ちょっと待ってて……」


 俺はバルコニーの扉の前まで『固定』で登り、音を立てない様に妖魔の槍を、バルコニーの扉の前に大量に並べて『固定』する。インスタント槍衾ってやつだね。

 恐らく扉を急いで出たら……

 みごとに突き刺さるだろう。うまく行くと良いけど……


 俺が『固定』した妖魔の槍を設置して戻ると、ナオエさんが「うわぁ……」といった表情をしていた。

【アイディアが凄いですね……良く思いつくものです……】

 褒めてくれてありがとう?


「……さて、行きましょうか……ちょっと可哀想だけど……」

「……まぁ、直接やるよりは……あ、しっかりと警戒しながらね」


 俺は身を隠しながら扉を開ける。……特に槍などによる攻撃はないな……トラップも無しか。

 盾と槍を構えながら二階部分に注意を払う。ナオエさんが「槍投げ君」がいる場所を指で指し示す。やっぱりドア周辺にいるか? ちょっとずれてるような? 

 ……二階に上った瞬間に逃げる……って感じだろうか?


「この部屋は随分と……ものが残ってるね」

「ほんとに……」


 薄汚れてはいたが、木製の食器、かまどの上には鍋などが置いてあった。「槍投げ君」はしばらくここで生活をしていたのか? 

 あとでしっかりと生活用品を頂戴しないとね。


 槍投げ君はさっさと逃げ出すかと思ってたけど、まだいるな……

 もしかして家具に隠れて槍の一刺しを狙ってるのかもな……ナオエさんもいる方向を見ながら不思議そうにしていた。


 ここはカマかけるか……


「……どうやら足跡はこっちみたいだな」

「……え? わかるの??」


 ナオエさんは素で驚いてる。なんで? 

 一応嘘だよって事を分からせるためにウィンクをする。


「ほら、この足跡の埃のかかり方見て……つい今しがた着いたものだ」

「……あ、ああ! なるほど。なるほど、それじゃぁ、この家にいるってこと?」

「おそらく。他の家に続く新しい足跡は無かった。階段に続いているようだね」

「ってことは二階??」


 もちろん足跡の新しい古いはあまりわからない……だがそれっぽくは話せたと……


 ガタン! ドダドタドタ! バン!!

「グブッ!!! なんだっ……ぐっ!!」


 俺の意図通りに『固定』していた妖魔の槍のどれかにあたってくれたらしい。

 俺は盾を構えながら階段を駆け上がる。


 バギッ!! ドタドタ……ドサッ!


 何か重いものが落ちた音がするな……俺はバルコニーに出ると、すでに槍投げ君の姿は無かったが、そこら中に血の跡が広がっていた。血の量を見るに、どうやらかなりの深手を負わせたようだ。回復薬を使っていないのを見ると、慌てていたのか、もう使い切ってるのかのどちらかだな。


『固定』を解除して妖魔の槍を回収する。あとは『気配察知』のスキルで追っていけば仕留められるだろう。ナオエさんが建物の陰に隠れながら手を振ってくる。


「どっちいった!?」

「あっち! どうする?」


 指さした方向を見ると、腹を抱えながら廃村の外へと逃げて行っているようだった。俺たちの会話が聞こえていたのか、無理して早く進んでいる感じだった。


 あの感じだと……もう助からないだろうな……槍投げ君の様子と、足元に広がる血の量を見るとそう思わざるを得なかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ