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「バトロワ」無視してサバイバルライフ ~デスゲームに巻き込まれた俺は「攻略」しなかったら最強になってた件  作者: 藤明
6章 王都と決心

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第124話 中央大神殿前の戦い 1

 44日目


 俺たちはすぐさま中央大神殿とやらに駆け付ける……訳ではなく、牛馬と言って差し支えのないハイブリットな騎馬に揺られて移動していた。

 乗りたかった乗り物に乗れて満足……かと思いきや、結構揺れてそこまで気持ちのいいモノじゃないんだね……お尻が痛いのはナオエさんが治してくれたけど、これは慣れないと厳しいね。


 俺たちがゆっくりと日をまたげたのは、なんでも『黒い巨人』は壁を壊せてないということと、被害はまだ出そうにない……ので、援軍を待ちつつ、十分に準備と休息をとってから……と言う事になり、疲れない様に進軍をしていた。

 まさか王都観光ができるとは……思ってなかったので嬉しかったが、散策中に街の人に黒い髪を見ると本気で警戒されたのにはちょっと心に来るものがあった。あれが差別と言うものだろうか……街の人はみんな明るめの髪の色だったものな。それは目立つか。


 俺たちの前後左右には、鬼人族の騎兵が取り囲むように展開していた。その数は大体五百。巨人に打ち勝てるくらい強そうな人だけを連れてきた……らしい。実際みんな強そうなみかけだったり、女性もいるが、とても強いエーテルを感じたり……と非常に頼もしいな。


『そろそろですぞ。カタシ殿』

「ん……?」

(そうでしたな。そろそろです。カタシ殿)


 お、ありがとう。

 今回の戦に駆けつけてくれた雷将軍が近づいてきて何やら話しかけてくれるが、やはり言葉はわからないな……軽く触れると『思念共有』で簡単に言葉が通じるので、鬼人族の人は容赦なく俺を触ってくる。本当に容赦なく……

 なんか俺に触るとご利益があるとか、変わった面白い現代日本の世界が見える……とか、何やらそっちで有名になってたようだ。『思念共有』するとポジティブな意見がそのまま伝わってくる事があるので色々とバレてるんだけど……まぁ、いいか。


 丘の上を超えると、平原の向こうにある岩山の一角に巨大な建物が見えてくる。

 城塞……だけどなんかきれいな形状をしているな。

 その奥は巨大な山がそびえたっているのが見える。あれ? 中央神殿っていうからてっきり山の上にあるのかと思ってた。

【各種族ごとに中央神殿を持っている感じですかね】

 ……なるほど。あれは鬼人族の神殿なんだね。ってことは、違う種族のものもあるとして、あとは3つとか4つとかあるの?

【……そうなりますね】

 ……なんか全部回らないと駄目とか……それはやめてね……

【何とも言えません……】

 最悪全部まわることになりそうだな……


「でけぇな……」

「この距離であの大きさ……壁の高さが三十メートルはあるのかしら?」

「すごいわね……奥の山に行くにつれて壁が高くなっているわね」

「モンサンミッシェルみたいですねぇ」

「……壁が異常に高いから監獄に見えるけど……」

「どちらかと言うとカルカッソンヌだな」

「なにそれ?」

「フランスの世界遺産。城塞都市?」

「知らなかった……」


『中央大神殿』は、神殿と言うよりも『城塞』だった。壁の中にある、頭だけ見えるのが神殿……なんだろうか。

【カタシのイメージと比べると、この世界の建物はどれも壁が大きいようですね……巨人や魔獣のいない世界が羨ましくなりますね】

 ……まぁ、そうだよね。迫りくる危機がすぐそばにあるからの形状なんだもんな。


『黒い巨人』が20体ほど壁の前に群がっているが、よじ登れるわけでもなく、壁を壊せるわけでもなく……ただ群がってデモでもしてる感じだな。協力すれば登れそうだけど……個々がバラバラ……頭がそんなにいいわけじゃないのか。仲間を攻撃していないのを見るとそこまでアホでもない相手……。

【生まれたばかりなので赤子の様なものでしょうね……】

 ……あれが赤子か……慣れてきたら走ったりジャンプしたり……そうなると怖い敵になるな。


「……やっぱりこの感じは囮か?」

「そうね。『中央大神殿』に鬼人族をおびき寄せる……それか私たちの存在を知った何かが……私たちを標的にしているか、かしらね」

「私の『感知』にはなにもひかっからないわね」

「『探知』にも今はかかってない……カードで飛んでくる可能性もあるわよね……」


 そうなんだよね……スキルだけじゃなくて、「支給カード」を絡めた高速移動戦になると……ほんとどこから攻撃が飛んでくるかわからないんだよね。

 そういえば支給カードは次いつ貰えるの?

【それは……おそらく、もうやらないかと。支給していた担当者がいなくなりましたので……引継ぎ先が誰になるかはまだ……】

 ……ああ、やっぱり相手側だったのね。俺たちに有利になるとは思えなかったし。

【そうなりますね。ただ公平にランキングによって報酬を渡したのだけは褒められることかと】

 そのへんはひいきをしなかったのね……


 鬼人族が牛馬から降り、隊列を組んでいく。二十人ひと固まりになり……二十人で各巨人を撃破していく感じか。

 まぁ、あれだよね、昨日この五百人に対して頑張って『思念共有』して戦い方のイメージを伝えたから……多分大丈夫だよね。


 それにしても……スゴイごつくて長い槍を全員持ってるけど……いつの間に作ったのコレ?

【先祖代々、長槍を家に持つのが習慣になっていたようですね】

 ……なるほど、防災のために……千年前から続くなんて凄いものだね。

【……ええ本当に……】

 ……あれ? なんか……なにこの懐かしい感じ……

【……すみません】

 アーゼさんの感情か……仲間が……大切な人が考えた戦術……だったのね……


 鬼人族の四百人の部隊が3メートル以上はある長槍を持ってじりじりと近づいていく。さすに途中で気が付いた黒い巨人が走って突撃してくる。

 一人の足音につられ、他の巨人も追従して走りだす。すごい地響きだな……巨人、二十人の重量感が……この世の終わりの様だ……


 先頭を突き進んでくる黒い巨人に、鬼人族が一斉に長槍を突き立てる。黒い巨人は振り払おうとするが至る所に槍が突き刺さり、動きを止めていく。生きてはいるが、動きにくい。そんな感じに見えるな。


 あ、ナオエさんがいつの間にか巨人のコア近くに……背負われたヨウカさんが『浄化』を放って、巨人は黒い霧へと帰っていく。

 すごいな……

【本当に……ここまで簡単に……】

 アーゼさんが驚くのは無理も無かった。他の鬼人族の部隊は、黒い巨人を串刺しにして動きを封じ込めるもそれで精一杯な感じだった。

 首の根っこ辺りを攻撃するけど、封じられていない手で守られたり、そもそも黒い巨人の異常な再生能力で傷をつけても治ってたりしていた。

 突き刺さった槍はそのままなので動きを封じる……なるほど……


 リキさんが跳躍してお化けのような大剣を振るって首を落とそうとしているが、かなり苦戦している様だ。再生力が強すぎるのか……コアの位置はわかるんだから……貫けばいいような?

 リョウコも頭を両断したりしてるけど、コアをうまく貫けてないな……何度か試してるみたいだけど……切った頭黒い煙と変わって……生えてきてる……気持ち悪いな……


 しょうがないな……一番近くのやつは……射程内だよな?


【え? カタシ?】


 俺はダンジョン産の槍を取り出し、一番手前、射程内にいる黒い巨人のコアを目掛けて、スキルを重ねがけした投槍をする。

『固定』『弾力』からの……『自動追尾』『射出』『加速』を上乗せしたマシマシのパワー……投擲っ!!!


 ゴォオン!!! ブォオオオオオ!!!


 ……なんかすごい音と共に槍が巨人の胸の上を貫き、貫通していく。コアを貫かれた黒い巨人は黒い霧へと変わっていく……


 あれ? なんかみんなこっち見てる??

【カタシ……やる前に通達をしないと駄目ですよ……必ず当たるのはわかるのですが……】

『カタシ! 今のはなんだ!!』

『すごい! 前見た時よりも威力が上がってる!』


 ふと、冷たい視線を感じる。

 サチさんが俺の頭を両手で抱えるようにして無理やり顔の方向をあわせさせる。

 サチさんの目が……怖い……美人だけど怖い……


「カタシさん、あなたは温存……温存よ? 意味が分かるのかしら? 思念共有しないとだめなのかしら??? そんな事だから博打みたいな投資しちゃうのかしら???」


「……す、すいません……つ、つい……やれると……」


「あ、でも、でも、ほら、サチさん、手の空いた人達が隣の援護に回れて、鬼人族だけでも倒せ始めてますよ!!」


 リンカさんのフォローが嬉しいな……

 サチさんが冷めた目で状況を見たあと、四次元収納ポーチから俺の口にSP回復薬を突き刺す。有難くいただきます……


 前線の戦況は大きく変わり、黒い巨人の殲滅はもう時間の問題になっていた。リキさんも珍しく槍に持ち替えて突き刺してるし、ナオエさん達も空中を舞いながらヨウカさんを連れて『浄化』してるし。

 後ろで守られている神子のツクヨミ君もなんか呆然としてるし。今までの戦いでさんざん見てきただろうけど……なんでだ?

【今回はあなた達が参加しているからではないでしょうか?】

 ああ、援軍が無かったのね。

【……そうですね。ここまで一方的なのは……私の記憶にもありませんね】

 俺の中には一瞬、神話時代の戦いの様子の映像が流れる。アーゼさんの記憶か……

 長槍で戦うのは一緒だけど……決め手に欠ける状態だったのか……

 いくら鬼人族が強くても、エーテル吸収されたり、相手のコアが首辺りにあるから届きにくいし、暴れるし……で大変なんだな。


『来ないな……』

『予測ではそろそろ……』


 隣でいつでも臨戦態勢の王様とアスティが周囲を見回しソワソワとしだす。

 予測だと、黒い巨人の戦闘中に不意打ちが来る……って話だったけど……

「探知の範囲にはいないわね……」


「エーテル反応! 来るわ!!」

「了解!!」


 サチさんの合図で俺は、打ち合わせ通りに地面の中に薄く『固定』の床を広げておく。これで地面から来る心配はない。

 俺たちを取り囲むように4つの地点に「支給カード」での転移を確認する。

 俺は迷わずツクヨミ君とリンカさんを中心に『固定』で壁を作り防御に徹する。『固定』の壁の中は、ツクヨミ君の『還元』が働いているからスキルも届かないハズ……


 到着地点には各ポイントに光の柱と共に数人ずつ到着する。が、それと同時に鬼人族の魔法やスキルが乱れ飛ぶ。凄まじい攻撃音だ。攻撃しすぎて煙で見えない!

 ウィンディが風の魔法を操り巻き上がった煙を吹き飛ばす……


 目の片隅に表示さるプレイヤーUIには、プレイヤー数人の死亡ログが流れる。

 位置座標もこの辺だから……倒した……のか?


 吹き飛ばされた煙の中からは……

 多数の「黒い巨人」が生まれていた。


 え? なにこれ?


 巨大化をしたのが今……って感じか。

 お互いの質量が押し合って転んだりしてる。相手も何が起きているか理解していない様にみえる。

 俺たちが小さすぎて、こちらに気が付いてない……のか?

【どうやら、転移してきた人間が……「黒い巨人」の素を持ってきたようですね……恐ろしい戦術です……】


 なるほど……「素」ってプレイヤーとか王国人か??

 って、ちょっと待って……いきなり「黒い巨人」に囲まれるなんて……

 ちょっと多すぎない?? 20体はいるんじゃないか??


 攻撃していいものなのか?

 今はこっちに気が付いてないけど……攻撃したら襲われないこれ??

【時間の問題でしょう】


 ……やるしかないか……

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