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「バトロワ」無視してサバイバルライフ ~デスゲームに巻き込まれた俺は「攻略」しなかったら最強になってた件  作者: 藤明
6章 王都と決心

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第120話 王都潜入

 42日目


 §  §  §  §


 俺たちは王都への移動をしていた。

 道中、瘴気をまとった魔物がいたら狩りながら移動をしていた。とんでもない高速移動をしながら……でだ。ステータスアップのおかげで相当に無茶ができ、人外の動きが出来ていた。大分リョウコやアスティの動きに追いついた感がある。

 あとは……体の出力の大きさにはまだ慣れ切っていないな……全力を出した時どうなるんだろう……


「いるわ。右400メートル。数2」

「思念共有する!」

「了解、いくわよ!」

「おう!」

「はいっ!!」

『はい!』

『わかったわ!』


 短距離だったら『思念共有』でサチさんのイメージを全員に伝えられる。おかげで情報の漏れが無い。って、黒い巨人を補足したら……あっという間に移動をしてコアを凄い勢いで砕いて無力化してるし……すごいな……俺の出る幕が無いな。

 気が付いたらリンカさんも前線に出るようになってるし。恐ろしい成長速度……というよりスキルとエテールのおかげか? とんでもない能力だ。


「なんかすみません……私だけ……何もしてないのにエーテルも……なんかいただいてしまって……」

「気にしない。ヨウカさんはこれから見せ場だしね」

「はい。そう言えって頂けると……がんばります」


 ヨウカさんは俺の背中の運搬用背負子に座って状況を見ていた。

 俺のステータスが上がりすぎて余裕が出来たので、彼女の運搬役は俺になっていた……まぁ、遠距離攻撃主体だし、ナオエさんは突っ込みたがる性格だし、ちょうどいいよな……


「リンカさん、SPはどうかしら?」

「全然大丈夫ですよ! 今の戦いでまた最大容量増えましたし!」

「ほんとスキルオーブ次第だよなぁ、この世界」

「あら、リンカさんはもともと運動神経が良いタイプだわ。だからうまく行っていると思うの」

「ま、そうだな。動きにセンスあるからな」

「そんな……褒め上手ですね!」

「……お、おう」


 ほほえましいやり取りを見守りながら、UIを開く。

 アスティがためらう事なく俺の手を握ってくる。見せろって事だろうな、昨日から遠慮なく触ってきて『思念共有』をせがんでくるんだよな、まぁ、いろいろと便利だからか?

 ……『思念共有』っと……

 アスティが見えないはずのUIの地図を指さす。 そこが目的地か? 木の陰に建物の一部らしきものが見えたので少し移動してみる。

 そこにはすごい大きさの建築物……城塞都市が広がっていた。


「あれが王都か……」

(ええ、王都アルト・ナーゼよ)


 すごいな……バカでかい城壁……それに囲まれた城の上半分が遠くに見える……迎撃できるように矢が撃ちやすいように隙間が開いてたりして……城塞都市って感じだな。

(そうね。魔獣対策……だとおもっていたけど、この街の城壁は千年前に建てられたって話だから……『地底人』の巨人化対策だったのかもね……)

 なるほど……そういう歴史があるのね。って、石造りなのにあんなにキレイな状態で千年持つのか……特殊な石、魔法とかかけてるんだろうな……

(そう、よね……外にある遺跡は朽ちてきているものね……あれよ。目的地)


 アスティが王都のはずれ、城壁の外の一部を指さす。

 あれが話に聞いていた教会……墳墓か。

 城壁外にある下町の中って感じだな。


 §  §  §  §


 城壁外の街を飛び超えるように屋根や路地を進んで墳墓へと向かう。

 どうやら王都の外にも街がある……と言うより寂れた感じがするから勝手に住み着いたパターンなんだろうな。

 この世界にも貧富の差……みたいのはあるんだなぁ……港町とか砦では見かけなかったような人が沢山いるし。全員が美形とかじゃない感じだな。

 浮浪者っぽい人もやっぱりいるんだな……目が死んでるし……


 正規のルート(地面)を無視して囲まれた塀を飛び越えて墳墓にたどりつく。

 重い木の扉を開け、下に続く石畳の重厚そうな階段を下へと降りていく。

 面倒なので槍に『照明』のスキルをつけて移動をする。LEDライトみたいだな……


「すごいわね……壁画? 彫刻……?」

「……歴代の王がまつられてるとか言ってたから……それに関連する何かかしらね」

「すげぇな、エジプトの遺跡とかそんな感じに見えるな」

「絵も独特ですねぇ……」


『照明』に照らされた空間には、石棺の後ろにレリーフの様なものが掘られ、その時代に何が起きたか……がざっくりと表現されている様に見えた。


 一番奥の方に行くと、今にも朽ちそうな壁画が全面にあり、この島の住民を模した古代風なデザインのキャラクターが地底人らしきキャラクターが戦っている……なんかすごく長い棒? 槍? を持って串刺し? ……巨人と戦い勝利……繁栄?? なんだ? 光の巨人になったのか?? 誇張しているとか? 巨大な黒い龍なんかも地面から出てて……ちょっとスケール感がおかしいな……デフォルメしてるのか? ってか、敵にならないよな??


「ウィンディ、あれなに?」

「コトバムズカシイ……シネンキョウユウ……する」


(それじゃお願いね)

(変なのは読まないでね……)

(……大丈夫、大分調整できるようになったから……)

(あれは千年前の鬼人族のご先祖のアルト・ナーゼ・トキサカ様がこの島をお守りになられた後、神人になったという伝説を描いたものになるの。本当かどうかは知らないけど)

(なるほど?? この世界の人は偉くなると神になるのか?)

(そう言い伝えられているわ。大陸でも偉業を成し遂げた人間が神になった……なんて話も言い伝えられたりしているし……ずいぶん昔の事になるみたいだけど)

(ありがとう)

(離すわね)


 俺に背負われたたままのヨウカさんが興味深そうに質問してくる。

「カタシさん、なんて言っていたのです?」

「どうやら鬼人族のアルト・ナーゼ・トキサカ様が千年前に神様になった……って話みたいだな」

「! すごい世界だったんですね。神様になれる世界なんて!」


「まぁ、魔法もスキルもある不思議世界だからな……」

「私たちがこの世界に来るときに会った「カミサマ」も随分と人間らしい仕草だったものね」

「……娯楽を突き詰めた人間が「神人」になった感じですねぇ……話を聞いているとオタク度が高いカミみたいですし」

「基本が「生物」だったら……全知全能ってわけにはいかないんだろうなぁ……」

「それって、ひいきが発生しないのかしらね……」

「派閥みたいのあるっていってたかなぁ……そういえば」

「最初の案内人も個性的だったものね」


 ゴゴゴゴ……


 石が動く重い音が部屋中に鳴り響く。

 音の先を見ると、一番豪華な感じの石棺の蓋が開き……下へと続く階段が現れる。ほんとゲームみたいだなこれ……石って、何で動いてんだこれ?? 相当な重さだよな?

 アスティがこっち来てって感じで手招きしてる。


「動力がみあたらないな……」

「……あり得ないわね……」

「さすが魔法の世界……」


『すぐに入って、閉じてしまうの!』

「みなさーん、入ってくださいね。制限時間付き自動扉みたいですよ」


 リョウコの声でみんなが慌てて階段の下へと入っていく。

 本格的なダンジョンに潜入した感があるな……凄いわくわくしてしまう。

 ……あれ? けっこう鬼人族の言葉が分かるようになってるな……

 無意識に『思念共有』してるのか?


 §  §  §  §


 ……つまらなかった


 ……本当に抜け道だった。


 装飾も無いただの石造りの……てっきり仕掛けや何やら満載のダンジョンかと思ってた。ゲームの墳墓のダンジョンってやっぱり空想なんだな……

 かなり歩いたので恐らく王都のど真ん中くらいにいるんだろうか?

 サチさんが目を閉じてエーテルを発動させる。『探知』してくれてるんだろうな。

「七つね……」

 サチさんが自分のUIに何かを書きながら、少し移動してまた『探知』をかける。三点測量みたいなことが出来るとか言ってたっけ……


「……カタシさん……情報共有を……変なの読まないでね」

「……わかった……」


 なんかみんなすごい『思念共有』を警戒してくるんだけど??

(警戒するわよ……それは……平静、平静、余計なことは考えない……対話をしようとしなければ大丈夫……どう?)

(おっけ、出力するからちょっとそのままに……)

 なんか場所はわかるな。とりあえず思念共有で位置情報を送る。リモートで送るとそこまで思念は共有されないのでちょっとした共有には便利なんだよね。

 早速、新規プレイヤー達は自分UIにメモる動作をしている。

 アステイ達、鬼人族が俺の手を触れて、見えないはずの俺のUIを覗き込む。思念共有様様だな。

(手前からやっていきましょうか。それにしても重鎮ばっかりかもね……)

(……左将軍様の屋敷ですよね? ここ)

(おそらく……今日は休息日だから分散してるわね……)

(休息日でよかったですね……まとめてだと……大変な事に)


 各個撃破できるから……まぁ、楽と言えば楽か? 

 ちょっと面倒だけど。


 §  §  §  §


 抜け道をたどり、王都の小さな神殿らしき場所に出る。参拝らしきことをしている人が大勢いたが、リンカさんが新たに獲得した『隠蔽』スキルを全員に対して発動させてゆっくりと移動して外へと出る。城壁の外からはわからなかった都市の内部が見える。


「すごいな……塀の中は中世ヨーロッパ的な……」

「ローマ帝国の方が近いかもね」

「大分近代的な施工ですね……コンクリート?」

「観光は後、今は目的を果たしましょう」


 俺たちは街中の道に詳しい鬼人族の護衛の案内で「左将軍」の屋敷の近くに移動をする。

 割と街中も人が多く、集団で移動しても誰も気にしない感じだった。変わったものもたくさんあるし、栄えてる町なんだなぁ……観光気分になる。

 観光したいなぁ……


(あそこね)

(分かったわ。それじゃみんな掴まって)


 制圧組の6人でナオエさんに捕まるとすごい勢いで、槍の『伸びる』で三階のバルコニーにたどりつく。

『静寂』のスキルを使って音がしないように……って、本当にしないな。無音の中行動するって……不思議な感じだ。『思念共有・言葉』のみっと……まるでどこかの映画とかで見るSWATの潜入シーンみたいだ。


(部屋には三人いるわ)

(作戦開始!)

(『固定・檻』)

(『浄化!』)

(『電撃!』)

(『安眠!』)


 扉の解放と共に、中にいた鬼人族三人にスキルが乱れ飛ぶ。完全に不意をつかれた三人は呆然としてこちらを見たあとはなすすべなく制圧されていく。

 中の一人が『浄化』で容姿が崩れ、『地底人』になるが、一瞬にして『電撃』で気絶する。

 スタンガンみたいだな。

『XXXX!!!』

『!!!!!』

 姿が暴かれると、部屋にいた鬼人族が驚愕の表情で固まる。

 まぁ、仲間とか上司が突然、違う姿に変わったら……そうなるか。


(拘束を!)

(了解!!)


 四次元収納ポーチから、エーテル活動拘束具を取り出し、三人にはめる。

 ついでに、エーテル活動防止薬を『地底人』に無理やり飲ませる。

 リキさんが縄を取り出し、器用に転がった鬼人族と『地底人』をグルグルと……かなり強めに結んでいく。なんか……ちょっと可哀想だな。ってか、万力で絞めたような……生物だったら離脱不能な結び方だな……何でそんな結び方を知ってるんだろ? その上から金属の棒を捻じ曲げて結んで……って、厳重すぎだな……

 それから『地底人』の持ち物も確認し、例の飲めそうな「何か」を没収する。明らかに変な力を感じる。これで無力化……できたはずだ。

『静寂』解除……っと。


『地底人』のエーテル量が凄いな……試しにもらったばかりのスキル試すか……『吸収』エーテル……っと。お、やっぱり吸収できた……ん? SPに変換されるのか?

 目減り分は補充できそうだな。これは便利だ……

「カタシ君、なにやってるの?」

「エーテル『吸収』ってやつだね。SPを補充できるみたい」

「……そんな事も出来るのね……私のスキルで似た事できないかしら……」


 ナオエさんがUIを見て自分のスキルを見ているようだった。

 ってか把握できない……迷うくらい持っているのか……どんだけ集めたんだろ?


 遅れてリョウコと鬼人族達もバルコニーから悠々と入ってくる。

「凄まじいですね……こんな簡単に完全に無力化……」

『ウィンディ……私……この人たちを敵に回したくないわ……』

『不意を打たれたら簡単にやられちゃいますね……』

『一応、彼らは……かなり優秀な騎士のはずなんですが……』

『護衛なのに役立たずですね……』

『我々もこうなってしまうのでは?』


 何やら鬼人族同士で話をしているが……後は任せる感じだったな。

 騒ぎを察知したこの屋敷の鬼人族の護衛騎士らしき人間が入ってくる。

 部屋の惨状と、縄で厳重に結ばれて気絶したまま転ばされた仲間と、俺たち、アスティの顔を見て……呆然とした後、キョロキョロとして……


『将軍様……はどちらに?? 姫がなぜこんなところに??』

『将軍はこれね。見事になりすまされていたってことね』


『なんですか……この皮膚の色は……別人ではないですか……』

『彼らは伝説の『魔法族』です。エーテル活動を阻害させる何かがあればそちらに。確か魔獣用のエーテル活動阻害の檻がありましたよね?』

『は、はい……』

『ただいまお持ちします……』


 場の空気に支配された館の鬼人族があわただしく動き始める。

 何やお偉いさんのような人も来てアスティナさんが簡単な説明をしてくれた。が、思った以上に伝わってないようだな。困った表情をして俺の腕をつかんで連れていかれる……

(カタシ……面倒なので、情報共有をしてもいい??)

(わかった……それじゃ手を……)

 本当に映像付きの説明は……早い。この館の鬼人族の困惑した表情から愕然とした表情に変わっていく。そりゃ……主人が入れ替わっていたら……そうなるよな。ってかなりすましスキルが強すぎなような……ご子息も違和感を感じてたみたいだったけど、姿や記憶も上手く擬態していたみたいだ。

 何をすればよいか分かった館の鬼人族はてきぱきと行動に移していく。


 その間に俺たちはUIを広げて次のターゲットを絞る。

(つぎはここかしらね……)

(そこでしたら私が良い抜け道を知っています)

(ここはもう大丈夫よね)

(次に行こう)


 鬼人族の護衛……と言うより動きに気配が無いから……暗部とかそんな感じなんだろうな……とりあえずSP温存のためにも彼の後をついていった。



 §  §  §  §



「これであとは残り1つですね」

「この連携にも慣れてきましたね」

「ステルス戦……にもなってないな。チートな戦いだ……」

「あら? 無傷で終えられるのならば良いのではないの?」


 俺たちはあれから5つほどの屋敷を占領……じゃなかった。『地底人』の正体を暴いていた。森人族、獣人族、猿人族の有力者……というか、全部がこの島の各種族から出向しているお偉いさんだったり、有能な補佐だったらしく、かなり影響力のある人物……だったようだ。鬼人族に焦りや困惑が広がっている。

 どれだけ『地底人』に侵略されてたんだろうこの島?


 順調に『確保』が進むにつれてアスティナさんが苦悶の表情をうかべる。

 そりゃ、中枢にこれだけ敵対勢力が食い込んでいれば……そうなるよね。


(あとはどう見ても……神殿なのよね……しかも場所的に、地位の高い人がいる場所ね)

(神官……大神官様だったらかなり酷い状態かもしれませんね)

(? なんでだ?)

(影響力が強すぎるんです。この島全体の情報が抑えられている様なものです……要するに、これまで良いように『地底人』側にやられていた……ってことになります)

(なるほど……)

(まぁ、相手も気が付いてる様子なかったし、一掃できるからいいんじゃないの?)

(そうですよ。情報源をこれだけ叩けてるんですから。これからはかなり動きやすくなりますよ)

(……そうね……ごめんなさい、ネガティブに考えていたわ。ありがとう)

(では、姫、まいりましょう)

(ええ、急ぎましょう)


 アスティからは絶望から解放されるような、不思議な高揚感が伝わって来ていた。

 鬼人族からも懸念の色がかなり払しょくされ、前向きになっているようだった。


 §  §  §  §


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