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「バトロワ」無視してサバイバルライフ ~デスゲームに巻き込まれた俺は「攻略」しなかったら最強になってた件  作者: 藤明
6章 王都と決心

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第117話 つながる前回のストーリー

 俺たちは通称「麦畑ダンジョン」の内部に入ってすぐの場所に集まっていた。

 狙撃手を撃退……したと思うが、「黒瘴石」を使った襲撃手段があると非常に困るので、遠距離から狙えないダンジョンの中にいた。

 俺たちと鬼人族だけでなく、リョウコとテストプレイヤーの一団もその場にいて、割と狭い部屋の中にひしめき合っていた。

 丁度良いので『照明』のスキルを使って天井を明るくし、部屋はかなりの照度を保っていた。物質を光らせるってだけのスキルだけど……凄い使い勝手いいな。これ。SP全然消費しないし。


 アスティナさんがその場にいた人の話を聞き終え情報を整理していく。

『話をまとめると……『地底人』達が姿を変えて「てすとぷれいやー」に紛れ込み、黒い巨人を増やしている……と言う事かしら?』

「……そうなるな……」

「そうね」


 テストプレイヤーのリーダ的人間が慌てて質問をする。

「ちょっとまってくれ、それじゃ俺たち「テストプレイヤー」は「黒い巨人」になる素ってかエサ的なものなのか?」

『エサ……言いえて妙ね……』


 アスティナさんの代わりにリョウコが答える。

「エサではないですね……王国人も「黒い巨人」になるので。どちらかというとタネですね」

「……まじかよ……」

「王国人って、例の取引できる人間の見た目をした相手だよな?」

「なんか……色々と情報が違い過ぎないか? 聞いてた話がごちゃごちゃな……」

「リーダー、やっぱり裏がある感じじゃないか?」

「そうだよ。ゲームマスターの話だと、賞金が凄いけど、ほら、使命とか、利用されてるんだよ。俺たち。保証されてないんだし」

「そんな説明は最初になかったっしょ。新規プレイヤーだって説明なかったし」

「「黒瘴石」を食らわない様に回避しながらレベル上げてくゲームだったのかこの世界は?」

「ダンジョンに引きこもってた方が生存率上がりそうだな」

「でも『地底人』とやらは……ダンジョンの先にいるんだろ? どちらにしろ危険になるんじゃ?」

「仲間の中に何人『地底人』が潜り込んでいるんだよ……」

「多すぎなんだよね、テストプレイヤー……」


 ……なんか複雑になって来たな。そもそも『地底人』って悪魔みたいなものなのか?

「アスティナさん、鬼人族にとっての『地底人』ってのは……神とか悪魔みたいなものなのか?」

『……違うわね。私が教わった歴史が正しければ、千年前にご先祖様に負けてダンジョンの先、『地底』に追いやられた「魔法族」のことね。この島……大陸に住んでいた一種族のはずよ。森人族、猫人族……鬼人族のようにね』

『姫……そのようなハッちゃけた歴史を……』

『事実だと思うのだけれども。「魔法族」が悪逆非道な事を働いてご先祖様達が協力して追い払った……と言う事になっているの』

「なるほど……戦争……国譲りの神話とかそんな感じか……」

「古代の日本みたいですね」


 テストプレイヤーのリーダーが困った表情をしている。

「神話の事はいいとして、俺たちはどうすればいいんだ?」

『そうね、あなた達は、仲間の中に『地底人』が紛れ込んでいる可能性があることを……信頼できる仲間に通達する事、黒い粒子の様なものが漂っていたりするらしいからそれが目印ね。あなた達には見えるらしいわ。疑わしい人間はリョウコに連絡して……『浄化』してみる感じかしら……』

「あとは『黒瘴石』に気を付ける……くらいか」

『出来るならば、拠点から移動しないでほしいけど……あなた達の利益にならないのよね?』

「俺たちはゲームをクリアしたいからな……」

「そうね。ここまで頑張って来たんだから……クリアしたいわ」

「残念ながら、この世界で報酬をもらっても俺たちには意味が無いからな」

「……黒い巨人になったらゲームオーバー……くらいな感覚だよなぁ……」

「現実……日本じゃ死なないからな」

「あんたたちが「生きて」いるのは十分わかったけどな」


 雷将軍が立派な髭を指でこねくり回しながら呟く。

『やりにくい相手ですな……この世界に生きる人ならば……交渉の余地はあったのでしょうが……いっそのこと捕えますか?』

『無理ね。とらえたところで逃げられるだろうし、テストプレイヤー全体を敵に回すことになるわ』


 雷将軍がリョウコの事をちらりと見る。

『なるほど……困りましたな』


 まぁ、リョウコクラスも他にいるみたいだから……敵に回したらヤバいだろうな……


「俺たちも敵対したくないから仲間には連絡をするよ。鬼人族には手を出すなってな」

「どうしよう、リーダー。説明のために戻る?」

「そうだな。戻っておいた方が良いな。あ、そうだ。あとは……攻撃してはいけない……種族、場所なんかあったら教えてくれるか? なるべく手を出さない様に連絡する」

『ありがとう……。ミズハ、説明おねがい』

『承知しました』


 アスティナさんが合図をするとミズハさんがテストプレイヤーを伴ってダンジョンの部屋から出ていく。鬼人族の兵士達も何かを察したのか部屋から退出をし始める。テストプレイヤーや、一般の鬼人族には聞かせたくない話があるんだろうか?


『リョウコ……歴史のすり合わせをしたいわ』

「はい……そうなりますよね」


 何となく長話になりそうだったので、四次元収納ポーチから椅子やらテーブル、アヤノさんが入れてくれたお菓子やお茶などを出していく。


『あ、ありがとう……』

『すさまじいですな……魔法王国の鞄とやらは……』

『カタシは気が利くのよ。とっても』


「……会議の準備してるみたいですね……」

「確かに」


 雷将軍が椅子に座らずにソワソワとしている。

『某は、終盤は……逃げ回っておりましたので役に立たないかと……』

『あなたもいて、最後の時まで生き残った人が少ないから……』

『……やはり、この忌々しい記憶は……生き残ったのが条件ということですな?』

『そうね。ねぇ、リョウコ、前回、あなた達「てすとぷれいやー」達は、古代の中央神殿での戦いの前に……沢山生き残れていたのかしら?』

『殆どいませんでしたね。黒い巨人……だけでなく、妖魔、黒いオーラを纏った妖魔……黒いオーラを纏った魔獣が出現してドンドン脱落していった感じで……私の知っている限りで残ったのは五人です。恐らくターゲットにされていたんでしょうね……』

『……最後にいたのはあなたを含めて4人だったような気がするのだけれども……』

『一人がこっそりと逃げてたみたいで……巻き戻り前の話をした時に表情を変えていたので確かでしょうね。この前、港町を爆発させようとしていた女性です』


 ……ああ、あの、ヒステリックな感じの……何だっけ名前?

 ……アーゼさんのツッコミが無いようだ。まだ戻って来てないのか……色々聞きたいのに。


『その話だと……テストプレイヤーに黒瘴石が撃ち込まれて「黒い巨人」が大量生産されていた感じね……あの時は「王国人」もかなり島の奥地まで来てたわけだし……』

「今回は王国人は戻ってくれましたし、テストプレイヤーもほとんど減っていないので……大丈夫……ですよね?」

『王国人は……船に乗っていた人は戻れたけど、結構、潜入しているらしいのよね、この島に。調査に行ったっきり戻ってこないとも言ってたけど』

「……黒い巨人だらけですか……今後は」


 リキさんが腕を組みながら険しい表情で質問をする。

「なぁ、「魔法族」、地底人とやらは……強いのか? その、種族的に……」

『魔法を使うと十人力だった……みたいなことを言われている感じね。擬態……出来る魔法がある時点で強い相手なんだけど』

「なるほど……魔法使いが相手か……」


 リキさんがこの部屋にいるプレイヤーをゆっくりと見渡す。

「なぁ、だれか『鑑定』とか『看破』みたいな見破るスキル持っている人はいないのか?」

「残念ながら……敵意ならわかるけど」

「感情はわかりますが……」

「生命の位置なら」

「音がする場所なら……」

「熱は見えますが……」


「……センサーみたいだな……」


 うん、確かに色々なセンサーがそろってはいるみたいだな……戦ううえでは便利だけど……相手の魔法を見破れる何かが無いと厳しいのか。


「私が片っ端から『浄化』をかけるしかなさそうですね」

『そうね。あ、ヨウカさん、念のため部屋にいる人間に『浄化』をおねがいできるかしら?』

「……は、はい。ってええ??」

『大丈夫よ。おかしな事があれば斬るから』

「ですね。先輩はいつでも、『檻』を出す準備を」

「わ、わかった……」


 アスティナさんとリョウコが剣のグリップを握り、いつでも抜刀できる姿勢に変わる。

 一気に部屋の空気が重くなる。

 ヨウカさんが緊張感に包まれながら一人ずつ丁寧に浄化をかけていく。なんか嘘発見器に順にかけられて行く気分だ。しかもバレたら即死の……

 ドキドキしながら待っていると俺の番になる。ん? なんか「浄化」をかけてもらうと気持ちすっきりする感じだな。なんかいろいろと汚れてたのか?

 不穏な空気に包まれながらも全員の「浄化」を済ませる。

 殆どの人間が『浄化』に何かを感じたらしく、かけられると不思議そうにしていた。


『よかった……大丈夫みたいね』

「この中にいるとしたら大変でしたね……」

『あ、私も念のためかけておいて』

「……その流れだと私もですね。証明になりませんからね」


 ヨウカさんが浄化をかけるために移動しようとすると、部屋にミズハさんが戻ってくる。

『アスティナ様、てすとぷれいやー達は「ほーむ」とやらに帰還しました』

『ありがとう。あ、ヨウカ、彼にもお願い』

「はい、わかりました」

『? なんです?』


 ヨウカさんが『浄化』をミズハさんに向けてかける。

 ミズハさんが驚きの表情のまま固まり、ミズハさんの皮膚が溶け始め……って!???

『固定! 檻!!』


 ガキィン!!!!!


『なっ!!!』

「え?」


 その部屋にいたリョウコ以外が呆然とし、リョウコだけが固定の檻に目掛けて剣を振るっていた。もちろん『固定』は破られることも無く彼女の剣を完全に受け止めていた。

 リョウコの顔がマジだ。完全に首を跳ね飛ばしに行っていた……


『……ミズハ殿……まさか……『地底人』だったとは……』

『そんな……ちょっと待って……ミズハさん……いつから??』

『……落ちこぼれのミズハ……魔法が上手になった……あの時期……相当前のことじゃないのか!?』


 鬼人族達が困惑する中、ミズハさんは自分の手を見て、擬態が解かれた事を認識する。

 何やら喋っているが……『固定』に阻まれて何も聞こえない。

 空気穴……言葉が通じるようにした方が良いのか? どうしよう? 完全密封の方が安全だよな?


 迷っている間にも、あきらめた感じのミズハさんがポーチから何やらを取り出し口に含む。

 そのまま体が膨れ上がり……『固定』の檻に阻まれて潰れて……驚いた表情のままミズハさんは自分の体の膨らみに押しつぶされていく。


「うわ……エグイな」

「ごめんなさい……ちょっと気持ち悪いわね……見てられないわ」

「……巨人化する前に『固定』で囲めば勝てるのね……簡単に」

「……それよりも『地底人』って巨人になるんですか??」

「みたいね……巨人化と言うより魔獣化かもしれないけれど」

『先ほどの飲んだ薬が必要なのもしれませんな……』


 しばらくすると目の前のミズハさんからは生命の反応を感じられなくなる。意味不明な討伐ログも出てきて、結構な量のエーテルが俺たちに加算される。これで確定……か。

 恐らく圧死……自分の体の体積に押しつぶされたんだろうな……これ、解除はみんな部屋から出てからの方が良いな……中はすごい圧力になってるだろうし。


『なんてことなの……『地底人』が巨人に……』

『神話の壁画では……『巨人』と戦っている描写があったから……それかもしれません』

『誇張ではなかったのか。神話の世界の話が……今、起きているのか……何てことだ』


 周囲の狼狽え方とは真逆に落ち着いた感じのリョウコがアスティナさん達に向かって、いつも通りに話しかける。

「あの、それよりも、『地底人』が「てすとぷれいやー」に紛れているだけではなくて、鬼人族にも、もしかしたら違う種族にも紛れているんじゃないですかね? 大丈夫ですか?」


『……あ』

『なんと?』

『……先回りされる……私がどう動いても……つぶされる……情報が共有……スパイだらけ……ってことだったの?』

 アスティナさんが色々と理解し、歯がゆそうな表情をする。

 少しだけ前回の「すーぱー鬼人族」化して血管や筋肉が少し盛り上がり、怒りを周囲にまき散らしていた。


 ウィンディが場の雰囲気が落ち着いてくると心配そうに、絶望した感じでアスティナの方を見る。

『姫……仲間にもっと敵がいる……可能性があるということですか?』

『どこに『地底人』がいるか分からないとなると……連絡はしない方が良さそうですな』

『そうなるわね……みんな、聞いて、仲間内に『地底人』が潜んでいることは連絡があるまで、仲間に話さない事。心にとどめておいて』

『承知しましたぞ。皆、わかっておるな?』

『『承知しました。我らが姫!』』


「急ぎましょう……手遅れにならない前に」


 その場にいた人は、足早に部屋を出てダンジョンの出口に向かう。

 部屋から全員が出た後、頃合いを見て『固定』を解除すると、まるで洪水のように血液やら何やらが部屋から飛び出してくる。血の匂いが酷いな……思わずむせてしまう。

 俺達の持つスキルは体積依存だから……巨人化する前になんとかしないと……

 これは……厄介なことになりそうだ。


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