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「バトロワ」無視してサバイバルライフ ~デスゲームに巻き込まれた俺は「攻略」しなかったら最強になってた件  作者: 藤明
6章 王都と決心

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第116話 インフレバトル突入?

 §  §  §  §


 俺たちはアスティナさん達に呼ばれ、別動隊の戦闘していた場所に移動する。

 大量のスキルオーブの取得でステータスが異常に上がったせいか、身体が軽すぎておかしい感じだ。ほかの二人も若干よろけたりつんのめったりしているから……彼女達も相当上がったんだな。初めて原付のバイクに乗った時の体の持ってかれ方って感じだ。イメージよりも出力が強すぎるんだな。

 体のコントロールに悩みながら呼ばれた場所に行くと、狙撃対策に大きな盾などが地面に突き刺さった中央に……地面に転がった人……手足に錠が付けられてる黒髪の人間を囲っているようだった。

 アスティナさん達も俺たちの姿を確認して安心している様だ。


「そっちは大丈夫だった?」

『傷を負ったものはいるけど死者はなし。一人逃げられたわ。例の飛ぶ何かを使って』

「「支給カード」か……プレイヤーってことだな」

『ウィンディも無事で……良かった……』

『とても楽勝に思えたのですが……』

『リンカのおかげね』


 魔術師のミズハさんが拘束した人間を囲う様に何かの術式を地面に書いている。魔法を使って何かしているんだろうけど……理解できないな。エーテルの流れは見えるけど。

「それで、その人は?」

『雷将軍の電撃で痺れて気絶してたみたい。生きていたから拘束したんだけれども……』

「例のエーテル活動阻害の手錠してるんですね」

『ええ、そこはぬかりなくやっているわ』

『あとは念のため、拘束魔法陣だけでなく魔術使用防止薬も飲ませています』

「すごい厳重ですね」

『情報源はあった方が良いですからね……』

『意識があったら殺しに来るのだろう、これくらいでちょうどよいわい』


 ん? アスティナさん達、鬼人族の言葉が分かるからオトナシさんのスキルを使ってくれてるのか?

 会議室の事があって、誰も疑問に思ってない感じだな。

 黒髪だからプレイヤーなんだろうけど、装備が変わるとテストプレイヤーか新規プレイヤーかわからないのが難点だな。


「先輩、黒い瘴気がまとわりついてます。その人に」

「そうなのか? 見覚えは?」

「無いですね……」

「黒瘴石は?」

『調べたが所持していないないな』

『……どういうことだ? 黒い瘴気は黒瘴石があるから出るって話ではなかったのか?』

『発生源が他にもあるのか?』


 この中で弱い黒い瘴気をみえるのはリョウコだけだし……他の人は気がついていない感じだ。この世界で優秀な魔術師のミズハさんでも感知できないのか。困ったな。


『あっちはどうなったんだろ? 連絡は?』


 アスティナさんの問いにリンカさんが答える。

「悲しみの感情を感じられないので多分大丈夫です」

「……そんな事も出来るんですね」

「はい、先ほど『感情感知』をゲットしたので。周囲の感情を何となく理解できるんですよ」

「……生物探知機って言ってもいいですね、それ」

「生物探知機よりも便利そうだけど」

「現実世界に持っていったら大変そうなスキルだな……」

『ほんと……『スキル』……神の恩恵はすごいわね……』


 そんな事を言っていると、風を切る音とともに着地音がする。気配も無く来るのは……ナオエさんしかいないね。

「大丈夫だったみたいね。よかった」

「そっちはどうだった?」

「3人倒して一人逃げられたわね」

『こっちも4人倒して一人逃げられた、それで一人確保したわ』

「こっちは6人倒して、一人逃走……だな地面に……」


「17人……数が合わないわね、15人て話じゃなかったのか?」

「全員日本人プレイヤーに見えたけど」

「黒髪の王国人……とかもいるんじゃないのか?」

「考えられなくはないか……」

『王国人って、割と毛の色が明るいいはずなのだけれども』

『黒色だと、魔法王国や東之国のまで関りがある事になるかもしれませんぞ?』

『……それだと前回よりひどい展開だわ……』


 リョウコが何かに気が付き祠の方を見る。

「あ、私、祠の前の人たちに連絡してきます。もう大丈夫……ですよね?」

「敵意みたいのは感じられないわね」

「狙撃スキルっぽいやつはゲットしたからおそらく安全。だと思うけど気を付けて」

「大丈夫ですよ。来るのが分かってればキャッチできますよ!」

「……それは頼もしいね……」

「いってきます!」


 ナオエさんが槍先をぼろ布で拭っていた。ひと段落着いたって判断したっぽいな。槍の穂先に血痕がついてるから。肉弾戦になった感じか……

「あ、これは……逃げられたけど手傷は負わせたの。よかった、回収できたのね、狙撃系スキル」

「おそらく「射出」……400メートルくらいまで直線で飛ぶみたい」

「なるほど……そのあとも慣性でしばらく飛ぶわよね……スキルを強化すれば……」

「そうです。私の『協力作用』で一キロ近く離れた場所からでも撃てると思う」

「港町で襲撃した狙撃手はいなくなった……で万事解決……か?」

「狙撃手に関しては……かしらね」


 ナオエさんが空中で手を動かし何やら動作を始める。自分のUIのログを見ているようだった。そういえば彼女達もスキルオーブを回収したんだろうけど……そこまでエーテル量のアップは感じられないな。

「スキルオーブはいくつあったの?」

「20個よりあったな……俺も10個回収したし」

「わたしは9個でしたね」

「わたしも2個貰ってしまって……ありがとうございます」


 ナオエさんが驚いた後、心底ほっとした表情をする。

「6人で21個??? ……よく生きてたわね……ケガもしてないみたいだし」

「……え?」

「複数持ちからインフレ的に強くなるのよ」

「……そう……なんですか?? 複数持つと倍になるとかですか?」


 オトナシさんが本気で驚いて質問をする。ぶっちゃげ俺もしたかった。なんでだ?

「……カタシくんまで? えっとね。スキルーオーブって、この島に来てからその人がゲットしたエーテルの塊だから……」

「あ、そうか、一人分丸々っと強くなってしまうんですか??」

「そういうことね。好戦的な人間のスキルオーブは強い場合が多いから飛躍的に強くなるわ」

「……それで体のコントロールが……」

「練習しないとと駄目っぽいですね」


 ってことは……リョウコの考えた「転移&牢獄」作戦じゃなかったら……

「不意打ちしないとやばかったのか……」

「みたいですね……それで前はやられちゃったんですね……取り漏らししてましたし」

「ああ、『固定の釜戸』の形状も大きめにしたからな……』


 あ、やっぱりそうだったんだな……作戦がはまらなくて取り漏らした少人数の強者にやられたって感じか。それでウィンディが……ウィンディの怪我が一切ないから実感わかないけど……ってかぴんぴんしてるし何やらうれしそうだし。


「リンカちゃん……私たちはあなたのおかげで最初から全力で行けたわ。ありがとう」

「……いえ。みんな無事でよかったです」


 丘の向こうからリキさん達が遅れてやってくる。被害はゼロ……じゃないな。傷がついた後……服に血が……凄い事になってる。

 後方に待機していた別動隊もこちらの様子をみて安心したのかゆっくりと歩いてこちらに向かってくる。

 戦闘に参加した人の見た目があれだったので、ヨウカさんが浄化をして返り血をきれいにしてくれる。よく見ると傷も無いから……ナオエさんが治してくれたんだろうな。


 リキさんが使い勝手の良さそうな槍を取り出し俺に渡す。

「これ、カタシが使え。恐らくいいやつだ。カタシのところの戦利品は……ってか灰の山と満タンの黒瘴石が数個しか無かったんだが? 焼却炉の中みたいな……」

「敵を焼却した感じだな……俺が『炉』でリョウコが『火』だな」

「エグイ攻撃だな……転移した瞬間……いきなり脱出不能の釜戸に放り込まれるようなもんか……」

「……発案者はリョウコなんだよな」

「……敵に回したくないな」


 全く汚れた感じがしないサチさんが俺の事をまじまじと見る。

「それで、なにかいいスキルは獲得できたのかしら? エーテル量が跳ね上がっている様に見えるのだけれども?」

「えっと……『射出』『加速』『静寂』『記憶照合』『思念共有』『収束』『放射』『吸収』『照明』『重複』……」

「……え? そんなに?」

「……良く生きてたな……」

「やっぱりそんな反応?」

「スキル3つ以上の場合は……強い場合が多いのよね」

「捜索してるときにカタシがいないときもやり合う時があってさ。1つの場合は弱いんだが……」

「複数の場合は「人の動き」はしないわね」

「まぁ、こっちも人の動きしている気はしないな……本当に映画とかゲームの世界の人間の動きだからな」


 なるほどね……攻略組では当たり前の知識か……ってか、俺とリンカさん10個ずつ増えてるんですけど……

 サチさんの視線がリンカさんに向く。

「あ、私の方も色々ゲットしましたけど、「時間操作」系のはなかったです」

「……残念ね……あ、時間だけでなく、『戻す』なんてのもなかった感じかしら?」


「無い……ですね。新しくゲットしたのは……どれだっけ?」

「……」

「まぁ、そうだよな。スキル増えるとそうなるな」


「え、あ、ああ、えっと……無いです。はい。なんか殴るの強くなりそうなのばっかりです! 時関係は……無いです……」

「わかったわ……そういう事にしておくわ」


 なんか俺以外の攻略組とリンカさんが納得しているな……なんだ? 言葉足らず過ぎじゃない? 解説のアーゼさんもいないし。聞くしかないか。

「どうこうこと?」

「スキルが増えすぎると、使うやつと使わない奴に別れるんだよな。俺もかなりゲットしたけど……使うのは5つくらいだ」

「そうね、習熟度みたいのがあるせいで……使うのが偏るのよね」

「スキル数が増えると、どれがどれだかわからなくなっちゃうのよね……」

「ソート機能も無いし、リンカは相当スキルを持っているってことね」


「……はは……わたしは序盤にゲットしたので……よわよわですけど……」

「なるほど……そういうことね」

「……インフレバトルはこれからなのか……」


 そういえば……合流した時にあまり警戒されてなかったのは……何かのスキルを……あ、リンカさんの場合は、なにかあったら巻き戻せばいいんだから警戒してなかったのか?

 それとも警戒系のスキルを持っているのか?

 アーゼさん! ヘルプ!! ……まだ帰ってこないのかぁ……ちょっと放置しすぎじゃない?



『ヨウカ!! この人の浄化お願いできる!?』

「はーい! 行きます!!」


 合流したヨウカさんがアスティナさんに呼ばれて倒れている黒髪の日本人に近づく。

 眉間にしわを寄せて、とても苦しそう……

 ……んでもな……なんか……起きてるっぽいんだけどな。ちょっと警戒するか。

 俺も槍を取り出し警戒しながらヨウカさんの元へと行く。

『そんなに警戒しなくても大丈夫よ。拘束具と薬で魔術は使えないし、スキルも阻害できるのでしょ?』

「あー、なんか嫌な予感するんですよね……起きてるような?」

『……』

「……」


 その場にいた全員が抜刀、槍を構え、倒れている日本人らしき人間から距離を取る。

「やっぱり、日本人っぽくないなぁ……」

「……日本人離れした顔してますね。アラブ人をさらにくっきりさせたような……」

「苦しそうなのは確かですね」


 ヨウカさんが恐る恐る前に踏み出し手をかざす。

「カタシさん、もしもの時はお願いします! では、いきますね『浄化』!」


 ヨウカさんが浄化を発動させると、日本人らしき人間の姿が溶けて……え? なんだ??

 姿が……形が? 溶けてる??

 呆気の取られていると、手錠やら皮膚が光の粒子、エーテルとなって消えて……消えてる??


 その場にいたほとんどの人間が……固まって動けない。


 浄化を受けた人間……のはずだが肌は薄い青色で目も金色の瞳。この世界の、異世界の人間……だったのか? ゆっくりと体を起こし……なんか呆然としてるし……

 なんか目がばっちりと合ってしまう。相手がなんか微笑む。肌の色が違うが綺麗な顔をしている。コスプレイヤーを見ているみたいだ。

 ふとエーテルの高まりを感じる。殺気のようなものを感じる?!

 ちょ、やばいか??『固定』でみんなを守らないと!

『固定! 盾!』


「『帰還』『発動』!」


「え?」

「あ」

「な?」


 青い肌をした人は光に包まれると、どこかへと飛んでいってしまう。

 ……攻撃じゃなくて……離脱だったのか……くそっ! 予測できなかった!!


 鬼人族が驚いた感じでヨウカさんをまじまじと見る。

『……『浄化』で拘束具が消えたわね……』

『……薬ごと『浄化』してしまったのでは?』

『スキルが強すぎたのね……』

『エーテル活動阻害薬は瘴気を利用したものだからな……消えてしまうのは道理かもな』

『拘束具もか……黒瘴石をまぶしたもの……なるほど……』

『拘束魔法陣まで消えているんだが……』


 ヨウカさんが凄く申し訳なさそうな表情になっておどおどと周囲を見回す。

「あの、わたし……やっちゃいましたか?」

「今のは仕方が無いわ……鬼人族にもわからなかったのだから……」

「……浄化って完全無効化に近いスキルだったんだな……」

「余りの事についていけなかった……」

「相手は拘束解けたらカード使う気満々だったんだな」


 そっか……そうだよな。

 相手は逃げる事だけを考えてたわけだし、ここにいる全員を相手にするなんて考えない……よなぁ……考え及ばずって感じだな……

 ナオエさんがこちらをじっと見てくる。ちょっと眉間にしわが寄ってるな……不可解な感じ……?

「カタシ君……なんで相手の周りを『固定』しなかったの?」

「……あ!!」

「たしかに……」

「攻撃する相手を『固定』で覆ったら確かに完全な盾になりますね」

「それに逃げられないもんな……」

『私とリョウコにはやってきたのに……』


 なんか非難され始めてる?? あれ?  ウィンディがナオエさんとの間に入ってくる。

『ナオエ、カタシは優しいからみんなを守る方を優先したのよ。責めないで』

「……そういう意味で言った訳じゃないわ」

「……ありがとうウィンディ。だけどナオエさんの言う事が正解だな……情報源に逃げられた……」


 プレイヤー達が反省会な雰囲気のところだったが、鬼人族が何やら熱い討論をはじめ、ちょっとした騒ぎになり始めていた。砦の兵士が興奮したような、マジかよと言った感じの雰囲気に包まれていた。


「どうしたんだ一体?」

『カタシ、さっきの青い肌の人……私たちの「おとぎ話」に出てくる『地底人』、『魔法族』と呼ばれる伝説の種族みたいなの』


「……なんだそれ?」


 なんですか? それ? アーゼさん!?

 アーゼさ~ん。助けてくれー!

 情報が多くて頭が追いつかないよ! カムバック!!!


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