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「バトロワ」無視してサバイバルライフ ~デスゲームに巻き込まれた俺は「攻略」しなかったら最強になってた件  作者: 藤明
6章 王都と決心

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第114話 言葉の壁の無い作戦会議

 39日目


 §  §  §  §


「カタシ君……大丈夫??」

「あー、大丈夫、SPは全快してる」

「そうじゃなくって……いつもは快眠のあなたが……寝れなかったのね。ちょっと待って……どう?」

「楽になった。ありがと」


 ナオエさんの『治す』で睡眠不足も『治せる』んだな……どこかの戦う男が飲むドリンク以上の効果の様だ。


 昨晩は結局寝ることが出来ず、リョウコとの過去の……色々な事を思い返していた。

 結果が分かると……たまに理解できなかった……色々と彼女の行動の原理がわかってしまい……本当に申し訳ない気分と……彼女にフラれた一因でもあったのを理解した。

 女友達……として紹介、認知してもらったと思ってたけど、全然そんなことは無く……ああっ! もうっ!!

 って感じでひたすら悶々としていたら朝だった。まぁ、今は外は真っ暗だけど……そのまま、深夜担当の兵士に起こされ……集合場所に向かっていた。


 俺とは違い元気いっぱいのリョウコがいつも通りに近づいてくる。


「あ……すいません。先輩。私はぐっすり寝れたんですけど……」

「……全然悪びれた感じがしないね……」

「そりゃもう。すっきりですよ。数年分の思いをぶつけると気持ちが楽になるんですね。はやくやってればよかったです、あ、これどうぞ。スタミナ回復薬です。結構効きますよ」


「………そ、そうですか……ありがとね……」


 俺はリョウコからスタミナ回復薬……瓶詰の香水みたいだな……をもらって一飲みする。

 どこだかの栄養ドリンクみたいで美味しいな。薬なのに不味くないのか……


「私は色々と頑張れる感じがしますので、先輩達もしっかりとクリア目指してくださいね。なるべくいい方向に持っていきますんで。この世界ごと」

「え? ありがとう」

「………頑張るよ……世界ごと? 大きく出るな」

「まぁ、色々分かったのでなんとかしますよ」


 集合場所には既にメンバーが集まっていた。アスティナさん達だけでなく、この砦のプレイヤーも数人集まってるし、鬼人族の戦士や狩人達もかなりいる。

 サチさんがリヨウコを見るなり笑顔になる。


「あら、リョウコさん、オーラの色が良い色になっているわね」

「お? 悩みが吹っ切れた感じだな。良かったな」

「はい、おかげさまで」


 ……なんか色々知っている感じだな。ん? オーラの色なんて見えるのか? 俺は見えないんだけど……情報筋……そこか……

 ……いつものアーゼさんの解説とツッコミがないと寂しいな。まだ帰ってこないのか……


 しかし……なんか人が多いような?

 まるで戦争が始まるかのようなピリッとした空気がはりつめている。

 模型の地図を前にしてリョウコを中心に作戦の説明がされる。

 敵側の「狙撃手」達も三か所に別れて5,6人ずつ分かれているので、部隊を三つに分けて一気に殲滅……って、あれ? 

 相手とは話し合わないのか?

 俺の疑問の砦のプレイヤー達も盛った様で、手を上げて質問をする。


「あの、問答無用でやっちゃう感じですか?」

「高レベルのプレイヤー同士の戦いの場合に「問答」していたらやられるわ」

「基本的に相手がスキルをどう使うか迷っている間にやらないと、相手のスキルが分からないからな。対応できないんだ」

「序盤だったら話し合ってもよかったのだけれども……私も今の自分相手に「問答」していたら簡単に負けるわね……」

「そうだな。スキルのインフレに比べて守りのスキル、耐久力が伸びないからな」

「考える時間を与えない事、それにスキルパワーが残っていると、相手が死にそうでも余裕でこちらを殺せるわ。必ず止めを刺して」

「……は、はい」


 砦のプレイヤーの質問にサチさんとリキさんが毅然とした態度で答える。

 中央で揉まれただけあって言う事に説得力があるな。

 確かに……スキルパワーが残ってれば……致命的なスキルを持ってれば死に体でもなんとかなるからな……困ったら相手の周りを『固定』すれば逃げられるからな。かなり確実に。


「マジか……」

「なるほど……」

「さすが攻略組……」

「PVPって感じだな……やんなきゃだめなのか?」

「でも、やらないと仲間も鬼人族も、この街に住んでるみんなもやられちゃう……」

「瘴気の巨人を量産……って時点でヤバいやつらだもんな」

「この砦、もう襲われてるもんな」

「俺も森で襲われたしな」

「害獣駆除って感じだな」

「やられっぱなしも嫌だからな」


 砦のプレイヤー達にも決意の光が見えた。

 港町を守ろうとした俺たちもこんな感じだったんだろうか。


 プレイヤーを見るアスティナさんの目が驚きと安心……複雑な喜びを感じている気がした。

『ありがとう、助かるわ。それでリョウコ、私たちはどうすればいい? 私たちの魔術が相手に効くのかしら?』

「今のところ障壁魔法、守備系のスキルを持っていなければ相手に効きますね。弱めのものを複数同時に撃っていただければ牽制になりますので、各チームにばらけて入る感じで」

『なるほど……強力なものは必要が無いのね』

「恐らくですが、相手もエーテルを感知できますので、よけられちゃうかと。出の早い魔法を使うのがいいですね、雷撃とか、風の槍とか」


 ウィンディ達、鬼人族の戦士達の目が輝く。

『やっと私が活躍できるみたいね。腕が鳴るわ』

『雷なら私に任せてください。必ずや成果を出して見せますぞ!』

『氷撃は遅めだから……弓と、鉄砲の方が良さそうね……』


 あ、あれ?

 なんか……さっきからアスティナさんとウィンディの……鬼人族の言葉がわかるんだけど?

 よく考えたら……普通にみんな話せてるな……どうなってんだ?

 ってか、言葉が分かると、大分印象が色々と違うな。

 可愛らしい片言外国人と言うより……勝気で活発なお姉さんって感じだ。

 それにしても……隊の分け方が偏りあるような……


「なぁ、リョウコ、この分け方だと、最大戦力っぽいところが一番少数なんだけど、これでいいのか?」

「大丈夫ですよ。私と先輩で一気に終わらせる予定ですので。良いスキルを持っている人がいたのでほぼ3人で片付きます」

「……まじか?」

「ええ、せっかくのチートスキルを使わない手はありませんからね」


 リョウコの視線が一人の女性プレイヤーの方に向く。彼女がチートスキルをもってるのか?

 なんか私じゃないって手を振ってるけど?


 それからは三部隊の攻略班に分かれて作戦を話し合う。

 俺、リョウコ、ウィンディ、鬼人族の戦士が二人、ものすごく強そうな狩人だ。

 それと先ほど注目を浴びていた女性オトナシさん。

 別に彼女はチートスキル持ち……じゃなくて「気配遮断」と言うエーテル反応を隠せるスキルと言う事だ。これで遠距離から魔法で攻撃……と思ったらどうも違うみたいだ。


「まとめると、先輩のチートスキルと私のアホみたいな火力を有効活用して一気に片付ける感じですね」

『私の活躍の場はどうなったの? せっかく風の魔法が使えるのに!』

「それは戦闘力の低い彼女を守るのと、私たちが撃ち漏らしたのを何とかしてほしいからですね。やり方をイメージできないと一緒に行動できないので」

『それは……あなたたちの事は良く知っているけど……せっかくカタシにいいところ見せられると思ったのに』

「あ~先輩、えっと……ですね……ウィンディがですね……」

『ちょっと! 訳さないで良いわよ!』


 やっぱり言葉分かるな……どうなってんだ?

「あ~ウィンディが彼女を守ってくれると嬉しいかな」

『……え?』

「ん?」

『言葉が分かるの!??』

「……わかるな……なぜか。さっきから」

「え? どうなってるんですか先輩? いつの間に翻訳系のスキルを……話してるのは日本語っぽいんですけど?」


 オトナシさんが手を上げて申し訳なさそうにつぶやく。

「あ、私です……この部屋に『自動翻訳』的なスキルを使ってます」

「マジですか?」

『言葉が分かるのね……お互いに……そういえばサチとリキの言葉もわかったし……』

「あー、まぁ、なんだ。良いところは……次の機会に見せてもらえば……」


 ウィンディがしゃがみ込み頭を抱えてしばらく固まって動かないな……耳が真っ赤だ……

 ……なんだろ、突然モテ期がきたのか? 照れ方が可愛いな。

 まぁ、なんか……色々とすみません……気がつかなくて。

 それにしてもどこでだ?……どこからだ? わからん……女性の心がわからない……鬼人族の距離感が近い……なんてことは……無いな、この砦の鬼人族を見てたら普通だ……割と序盤からじゃないか?? こんな美少女に好かれていたなんて……


 リョウコがジトっとした目でこっちを見てくる。

「なんで鼻の下伸ばしてるんですか……先輩……この世界に残るんですか?」

「……そんなの分からないよ……」

『え? カタシ、自分の国に戻るの??』

「あ~帰れるかは、よくわかってないんだ」

「まぁ、そうですね。クリア後……の事は詳しく聞いてませんもんね」


『よかった……カタシは……国……帰らないでね……』

「……あー、まぁ、全部片づけるまでは……いると思う」

『そんな……』

「なるべく長くいるから……」

『……』


 ウィンディが絶望の表情に変わっていく。困った。彼女にやる気を出してもらわなければ……

 リョウコが気を使ってかウィンディの肩に手を当てる。

「まぁ、私たちは、自分たちのためにも、あなた達に協力をすることを決めましたから安心してください」


 オトナシさんがしゃがみ込んでウィンディの両肩をがっしりとつかんで視線を合わせる。

「そうですよ、鬼人族には助けられていますから、ここで恩を返します。恋愛はそれが終わってからで」

「オトナシさんの言う通り、終わってからです。色々と考えるのは終わった後で」

「そうですよ、初恋って実らないもんですから、前に進みましょう」

『!!! 心を静めてきます!!』


 ……なんかフォローじゃなくて、止めを刺しに行ったような……

 ウィンディが走って部屋を出て行ってしまった……いいのかこれ?

「オトナシさん……」

「す、すみません……思わず……色々分かってしまったので……触るとわかるんですよね……あはは……」

「他にもスキルあるんですね……」

「さすが前線基地の攻略組……」


『あの勇猛な風将軍が……』

『女性らしい一面もあったのだな』


 様子をみていた鬼人族も意外そうな顔をしていた。

 あんまり女性扱いされてこなかったっぽいな……まぁ、あれだけ強ければそうなるか……

 ってか……大丈夫かこのチーム? 脱線しすぎだ……明日は命のやり取り……鬼人族にとっては現実の命のやり取りなんだけど……何でこんな甘ずっぱい雰囲気に……


 それからはウィンディ抜きで作戦の詳細を詰める。

 ……それにしても……本気で俺とリョウコが組むと……チートだな。

 戦術を聞いている鬼人族が本気でできるのか聞き返すくらいだった。

 当たり前だけど俺も聞き返してた。こんな戦略をいきなり使われたら……ズルいよな……

 まぁ、港町の時は使われたからピンチになったわけだけどな……


 §  §  §  §


 各チーム言葉の壁を取っ払った事でかなり良い感じに作戦をすり合わせることが出来たようだった。

 それから、外で空を見上げ落ち着いた感じのウィンディを迎えに行き、狙撃ポイントを強襲できる地点へと移動を開始する。

『自動翻訳』のスキルの使用がおわり、いつも通りに言葉が通じなくなると、皆残念そうな表情をしていた。


 ウィンディだけがほっとした表情をしていた。

 いつもより距離を取られ、若干寂しいような変な気がした。


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