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「バトロワ」無視してサバイバルライフ ~デスゲームに巻き込まれた俺は「攻略」しなかったら最強になってた件  作者: 藤明
6章 王都と決心

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第112話  砦のプレイヤー達


 落ち着きを完全に取り戻したライジ将軍達と砦の一室で相対して話し合いが行われていた。

 ウィンディが頑張って間を取り持っている感じだ。


『事情は分かりました。分かりましたが信頼できませんぞ』

『……あなたも記憶を持ち越せているんだから協力しなさい』

『しかし……この魔王めと一緒に行動するなどと……』

『ハコダテーネでの戦いの事は聞いているでしょう?』

『しかし……』


 そういえばアスティナさんに関しては完全にリョウコを仲間と思ってやってくれてるし、雑談もしているくらいだったから忘れてたけど……完全に敵だったんだもんな。最初の時の事を思えばかなりの変化だな。

 そにれにしても……ちょっとおかしいな。


「リョウコ、なんでこんなに警戒されてるの?」

「……ちょっと……やりすぎちゃいまして。港町の将軍だったんですよ。元々」

「激戦だったってやつか。死んだら記憶を引き継げないんじゃ?」

「最後、彼は……足止めして戦った後撤退するんですよ。そのあとは……あまり知らないですね」

「……なるほど」


 それからもアスティナさんの説得と、これからの作戦の説明が続く。言葉を理解しない俺たちにとっては蚊帳の外……って感じだ。


 ナオエさんがふらっと部屋の中に入ってくる。ってか、いつの間に外にいたの? この人?

「カタシ君。保護されたプレイヤーがいるみたいだけど」

「え? こんな奥地に?」

「アレだけ均等に落下していれば、奥地もないでしょ?」

「あ……そうだったね」


 なんかもう……海の拠点基準に考えてた。あの大きな山が奥地って感じだと思ってた。

 とりあえず……会議は言葉の分かるリョウコ達に任せて、俺とナオエさんは保護されたプレイヤーの元に案内され……って、沢山いる?? 三十人はいるような??

 俺たちの姿を見てプレイヤー達は一様にざわついていた。そういえば……スキルっぽいのも瘴気の巨人に飛んでたっけか?


「こんにちは。カタシです」

「あ、どうも。マサキです。暫定リーダーみたいのやってます」

「……多いですね」

「あー、なんか、近隣のプレイヤーが全部集まっちゃったみたいな感じですね」

「健康状態も……物凄くよさそうですね」

「あー、そうですねぇ。スキルで料理上手な人がいてぇ~なんかすごくおいしいんですよね」


 港町で見たプレイヤーと……大分違うな。なんか血色よく全員健康そうな……目もなんかギラギラしてる感じだし……戦士だな。不安そうな表情をしている人間なんていなかった。うち等の拠点みたいにうまく回せている。そんな印象だなぁ。


「避難の話は聞いてます?」

「知ってますよ。ここにいる人はぁ……ここで何とかなるんでぇ……みんなチーム組んでうまくやってるんですよぉ」

「なるほど……」

「戦え無さそうな人はもう港町いってるしぃ……鬼人族に助けられちゃいましてねぇ、ほんと良い場所ですよぉ。稼げるダンジョンも結構あるしぃ」


 プレイヤーの間に笑い声が起きる。このリーダー、マサキさんが信頼されて愛されている感じだな。

 ざっと見回すと、結構エーテル量が強い人間が多い気がする。ダンジョンで稼いでるだけで結構強くなれるのか?

 ナオエさんが俺の脇をクイっと引っ張る。

「私たちみたいな人もいるのね」

「そうみたいだね」

「この辺の情報だけ聞いておいた方がいいかも」


「これから王都まで行くのですが、近くにダンジョンや「テストプレイヤー」とか、黒い巨人……とかを見かけたりとかありませんでした?」


「テストプレイヤー?」

「リーダー、ほら、例のかっこいい装備着たやつらの事だよ」

「この辺ではちらほら見るけど、うちら6人パーティで行動するから手を出してこない感じかな」

「ダンジョンはあるけど、教えたくないかなぁ……」

「っすね。俺らもエーテル稼いで生き延びたいっすからね」


 やっぱりダンジョンは、色々とオイシイ場所なんだな。彼らの装備を見ている限りは、鬼人族のものもあるけど、どう見ても時代がおかしい装備を何点か身に着けている感じだ。近未来っぽい武器だったり盾だったり、鎧まであるのか……足りないところは鬼人族達の鎧を着ている感じだし、初期の探検家のベストを着た人なんていない状態だ。


「リーダー、質問しないと。こっちからも。ほら、黒いアイツ」

「ん? 黒い煙をまとった巨人だよなぁ? 砦の壁にいたやつでしょ?」

「あれはさっき見たのが初めてだなぁ……」

「俺たちはダンジョン近くでうろうろしてるの見たぞ?」

「それ見たの昨日だろ? そいつらが砦に来たんだろ?」

「スキルが弾かれちゃったんだけど、あれ、なんなの?」

「あなた達が倒したんだよね?」


 ……え?

 いつもウロウロしてるってわけじゃないのか。

 中央に近づくと黒い奴らがウロウロ……あ、そうか、港町の方に結構移動したから、攻略組が言っていたのとは違うエリアなのか、ここ。

 俺が色々と考えているとナオエさんが代わりに答えてくれる。

 なぜか彼女が話すと場がピリっとするんだよね。なんでだろ?


「アレに関しては、エーテルを使った攻撃をしない事ね。エーテルを吸収して相手が大きくなるわ。強くなるかはわかってない。あとは……なるべくならダンジョン産の魔法金属の武器で殴ると良いみたい。あとは純粋な物理攻撃。スキルもエーテルもまとっていないものがいいわ」


 ナオエさんの説明にその場が一気にざわつく。完全な新情報って感じに見受けられる。新しい情報は得られなさそうだな……

「……魔法無効系の敵かぁ……」

「ほら、やっぱりスキルだめだっていったじゃん。なんか相手のパワー上がってるって言ったじゃん」

「純粋な物理攻撃……って……やれるやつは限られるな」

「スキル頼みの人多いですからねぇ……」

「スキルでモノを飛ばして物理攻撃……とかかぁ」


「あとは、黒い瘴気を消すことが出来るスキルがあればなんだけど……」

「あるのか?」

「定番の、聖属性のスキル?」

「この前拾った『洗浄』で綺麗に出来るか?」

「『聖気』が効くってこと?」

「マジ? 役に立たない『聖気』にスポットがあたるのか?」

「おい、スキルの内容は秘密だろっ??」

「あ、そうだった」


 あ、やっぱりスキルの内容は……話さないのが一般的か。まぁ、奪えちゃうルールだからそうなるよね。


「あー、兄さんたちは攻略しにいくのか? 例の「ダーククリスタル」を壊しに?」

「だーくくりすたる?」

「え? 違うのか? この世界ファンタジーだから、闇の結晶を壊すとゲームクリアなんだろ?」

「……なるほど」

「正式には「黒結晶」よ」


「……そうだっけ?」

「例のゲームマスターが言ってたまんまだとそうだな」

「話聞いていると黒い瘴気の結晶っぽいなぁ……」


 ゲームマスター……なるほど、カミには見えなかったもんな……

 この辺で嘘をついても意味が無いだろうし……どうやら「黒結晶」まわりの情報は無し……って感じだな。鬼人族も知らなかったってくらいだから……そんなもんか。


「あ、俺ら黒髪の日本人は「鬼人族の王都」行っても入れてもらえないぞ?」

「え?」

「『伝心』もちが通訳してくれたからな。なんでも「黒髪の日本人」は入れない様にってお達しがあったんだってさ。一月以上前に」

「この世界の人目鼻立ちクリックリだろ? すぐにばれるみたいなんだよな」

「『擬態』していけばいいんだけど……エーテルがすごいやつらだらけだったからなぁ……『看破』みたいな魔法があったらアウトだもんな」

「城壁もすごい立派で取り囲んでるし、なんかすごい物々しい気配なんだよなぁ……」


 あれ? これから王都に行くんだけど……不安になって来た。

「まじか……」

「アスティナ……鬼人族の姫だから、たぶん大丈夫よ。護衛の人も偉いっぽいし」


「すげぇな、……姫と知り合いかよ……」

「たま~に飛竜に乗って飛び回ってるあの人だよな?」

「言葉が分かればお近づきになりたいんだよねぇ」

「俺も『伝心』もってればなぁ……」

「下心ありで『伝心』あるとやばいんじゃね?」


 男性陣の間で変な笑い声が起こる。さすが姫様……有名人ってやつね。

 まぁ、あの美貌で飛竜乗って飛んでれば目立つか。

 それにしても一か月前から……ってそこから色々と手を打ってたんだな。

『伝心』……リンカさんが港町で使ってもらったって言ってたスキルだよな? 同じようなスキルがやっぱりあるのか?


 それからも情報交換を続けていると、様子を見守っていた知的な女性が初めて口を開く。

「それで、あなた達はクリアの目途が付いた感じなんですか?」

「その確認に行く感じですね」

「カタシ君、それ言わなくていい情報」

「……あ、ごめん」

「……大丈夫ですよ。私たちはプレイヤーは襲いませんから」

「襲ってきたら返り討ちにするけどな」

「……この人たちにはちょっと無理かもしれないけど……」

「まじかよ……」

「え……そんなに強いのか??」

「瘴気の巨人の戦い見てなかったのか?」


 何かプレイヤーが騒然とし始めてるけど……発言した人が相手の強さを測れる何かのスキルがある……のか?

 知的っぽい雰囲気の女性が不味いと思ったのか話題を変える。

「あと、装備の違う「テストプレイヤー」とやらですが、小麦畑のダンジョンの近くで見かけましたよ」

「おい、ダンジョンの話は……」

「話を聞いていると、テストプレイヤーが鍵なんですよね?」


 完全にナオエさんの事を視線でロックしている。

「……そうね。一部のテストプレイヤーは「瘴気の巨人」を作り出しているわ」

「……え?」

「マジかよ……」

「マジなのか? マナミ?」

「さっきから嘘はついていない……から本当ね、信じられないけど」


 ……マナミと呼ばれた知的な感じの女性の言う事は信じられるって感じか。アヤノさんみたいに「嘘発見機」みたいなスキルもってるのか?

 後ろの方で大き目の立体的な地形の模型を囲んで何やらやっていた集団の周辺がざわつく。こっちでもイメージしたものを模型化できるスキルを持ってる人がいるんだね。

「うわーマジかよ! 近いじゃないか!」

「あ、やっぱりいますね。「てすとぷれいやー」達、ここにいます」

「ま、マジかよ? 黒い巨人量産されちゃうのか??」

「なに? ゲーム終盤だったの?」

「さっきの巨人がうじゃうじゃわくのか??」

「あーでも、テストプレイヤーだけじゃないなぁ……プレイヤーもいるみたいだけど……」

「そのほかにも……プレイヤーじゃない人もいる感じかなぁ……」


 プレイヤーの一人が地図の一点を指し示す。何やらダウジングの様な……変なことをやってるな。サチさんと似たようなスキルだろうか?


「そのスキル……必ず当たる感じ?」

「ええ、ほぼ当たります。イメージがずれなければですが」

「……相手の目的が想定していた『瘴気の巨人』の量産だとすると……」

「カタシ君……みんなに知らせないと……」

「そうだな……」


 彼等が指差ししていたポイントは「麦畑ダンジョン」を狙撃できそうなポイントだった。


 §  §  §  §

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