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「バトロワ」無視してサバイバルライフ ~デスゲームに巻き込まれた俺は「攻略」しなかったら最強になってた件  作者: 藤明
6章 王都と決心

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第111話 砦前の戦い

 俺たちは王都への中継地点の砦を目視できる場所まで移動し、おかしな光景を目にして思わず立ち止まってしまっていた。




「……なにあれ?」


「巨人……じゃなくて……まぁ、大きいな……」


「黒い角をはやしているから……瘴気の巨人じゃ?」




 俺たちの視線の先には砦によじ登ろうとして落ちていく小さめの瘴気をまとった巨人が2体いた。


 ただ、前回のように筋肉マッチョで魔王みたいな絶望感を与える形状ではなく、ややぽっちゃりとして、一部がとろけたような、車サイズくらいの巨人だった。巨大妖魔よりは小さいし……


 まぁ、それでも普通の人間の二倍以上はあるように見えるけどね。前回のが大きすぎたんだな。




「……あれですね……最終的に沸いて出てくる奴は……」


「港町と妖魔の砦に出てきたサイズのが湧いて出てくるのかと思ってた」


「あれなら大丈夫と思えてしまうわね」


「巨人の周りに瘴気があるからエーテルは吸収するタイプなのか?」


「だと思いますが」




『あれが瘴気の巨人ですか?』


『そうね。神殿の周りで大量発生していたわ……テストプレイヤーの話を聞くと、島中に出てきてたみたいだけど……そっちは知らないのよね』


「そこら中に沸いてましたね。エーテル……魔法を吸収しちゃうので無視してましたが……」


『今回は無視できないわね……』


『私たちの魔術は使わない方がよいのですよね?』


『そうだったわね。あ、壁から吹き飛ばすのに魔術を使っているわね……使うなって連絡を入れたはずなのに』


『では私が連絡に行ってまいります』




 ミズハさんが魔術で高速移動を開始し、あっという間に砦の上に到着する。


 彼の到着とほぼ同時に魔法での攻撃の手をやめていた。魔法が飛び交ってたから……相手に吸収されちゃってる感じだったんだな。なんか投石と槍の物理攻撃だけに切り替わってるし。




「先輩、どうします?」


「とりあえず、話し合ってた作戦を試してみようか。リンカさん、スキルパワーどう?」


「ダイジョウブです。それなりに残ってます! 身体はちょっと疲れてますっ!」




 スキルパワーがそれなりに残ってれば……結構、時間を巻き戻せる……のかな?


 表情を見る限りは大丈夫そうだな。




「それじゃ、左側の黒い巨人は俺とヨウカさん、リンカさんで『浄化』テスト。右側はどこまでエーテルを吸収するか、物理攻撃でのテスト……かな。そっちはいつもの探索班でお願い」


「わかったわ」


「まかせとけ」




 ウィンディが困った表情をこちらに向ける。


「ワタシタチハどうするの?」




 あ、先日の打ち合わせに入ってなかったな……港町で他の種族に対しての「プレイヤーの解説」で大変だったみたいだし。


「もしもの時のために近くで待機かな。魔法は使わない方向で。魔法は使わないで。リョウコもね。あ、リョウコもついていってあげて」


「はーい」


「わかった。『姫、近くで待機でお願いします』」


『私も剣で殴りたいのだけれども』


『姫、瘴気の魔物のテストをすると言っていたじゃないですか?』


『むぅ……』




 とりあえず相手に気が付かれない位置までゆっくりと接近する。


 瘴気の巨人たちはこちらを気にすることなく、砦の壁を登ろうとしたり、壁をたたいたりして壊そうとしているが壁はビクともしていない。知性をあまり感じられないな。元の知能は関係ないのか?




「……緊張しますね……」


「大丈夫……多分なんとかなりますって!」


「前向きで良いわね……リンカちゃんは……」




 とりあえず今後の戦略の肝になりそうな『座標転移&浄化』のコンボのテストを開始する。


 港町での簡易テストは成功したから……あとは実戦だけなんだよね。




「じゃ、行くよ」


「はい」


「……気持ち悪いんですよね……それ」


「まぁ、気合で……3,2,1」




 俺は二人の肩に手を置き、先日ゲットしたばかりの『座標転移』を発動させる。


 一瞬にして黒い巨人ミニの後ろ3メートルの場所に瞬間移動する。


 テストを何回かしているが……本当に気持ち悪い。鉄棒で何回かグルグルと回って着地する時の、あの気持ち悪さが若干残る。二人の視線を見る限りは俺と同じようだ。


 突然景色が変わり前後感覚が変わるとおかしくなるんだよね……




 リンカさんがヨウカさんの肩に手を置く。


「『協力作用』発動します!」


「感じます! 『浄化』!!」




 瘴気の巨人が纏っていた黒い靄が一気に霧散し、一瞬苦しんだかと思うと、黒い霧へと爆発するかのように変わっていく。想像以上の効果だ。ちょっと威力が強すぎか??


 砦の上にいた兵士達とも目が合い、突然、瘴気の巨人が消え去った事に驚いているようだった。


 ……なんか、貫通して砦の壁もきれいになってるな。さすが『浄化』。『協力作用』が無くても……このサイズならいけそうだな。




 瘴気の巨人が存在した空間から無色透明の石が二つ落ちてくる。浄化されて黒くなくなっているが、明らかに「黒瘴石」だな。片方は鋭利な形状をしている。


 この感じだと……やはり先日の「黒瘴石の弾丸」を撃ち込まれていたようだな……


 こりゃヤバいな……テストプレイヤーの数だけ瘴気の巨人が出るって事だもんな……


 瘴気の巨人になりうる別動隊のヴェネトア王国人も何人か島に入ってるって情報だし……厄介だな。ただでさえ魔物は強いし妖魔もいるのに……




「ギョェアアグアァアアア!!!」




 すっごい声だな。


 さっきから攻略組の方から瘴気の巨人の奇声が聞こえるんだよね……


 うわ、四肢切断してなんかやってるし……ほんとにテストしてるんだな。


 あ、消えて行った……『浄化』しなくても黒い霧にかわるんだな。


 砦の上の方から歓声が上がる。まぁ、上から見たら魔物を倒しただけに見えるもんな。




「どうだった?」




「予想通りってかんじだったな」


「伸びる槍は刺している間に刺さった部分だけ無効化されたわね。エーテルが吸収されたから?」


「スキルを瘴気の巨人の内部での発生は阻害され、ワールド座標、外部で生成したスキルに関してはある程度もつわね」


「魔法武器と、普通の武器で殴る分には大丈夫だな」


「魔法はやっぱりだめでしたね」




「あと「治す」では治せなかったわ」


「やっぱりそうかぁ……」




「治す」で元に戻せれば一番良かったんだけど……


 俺は地面に落ちている黒瘴石を持っていた槍でつついて転がす。黒い靄が触手のようになり四方八方に伸びようとしている。


「黒瘴石もくすんでるな……瘴気を出し尽くした感じか」


「黒瘴石が瘴気の魔物のHPってことですね。あ、こっちに近づけないでください。私たちの天敵なので」




「そっちはどうだったの?」


「消滅しちゃった感じだね。黒瘴石も無色透明になったし、やっぱり魔物化すると戻れないみたい」




 リョウコが悲しそうな表情をする。この中で瘴気の魔物になる可能性のあるのはリョウコだけだもんな。


「……そうですか……もしもの時は……やっちゃってくださいね」


「……はい……」




 正義感強めのヨウカさんが、何とも言えない表情をしながら『浄化』を発動させて地面の黒瘴石を無力化していた。





 §  §  §  §




 大きな砦だよな。魔獣対策だろうか? そのおかげで巨人が侵入できないくらいだから今となってはありがたいな。


 大きな門が開かれ、砦に入ると、鬼人族の兵士以外にも色々な種族の兵士、一般的な住民がいた。


 砦の中が生活圏になっている感じなんだね。


 あれ? なんだか日本人ぽい人もちらほらといるな。現地人??


 俺たちが思わずキョロキョロと観光地視察モードになっていると、厳つい重装備の戦士の集団が此方にドカドカと近づいてくる。鬼人族の戦士って……でかいんだな。何人かは腕が四本あったりするし、重装騎士って感じだ。




『姫! 援軍感謝いたします!』


『ライジ将軍! よくやりました。損害は?』


『微々たるものです。連絡が無ければ何人かは死んでいたでしょう……』


『そう、それは良かったわ』




『して、そちらも「ぷれいやー」なるモノを保護しておられる……のかぁあ???!!!』




 ライジ将軍が物凄い勢いでバックステップを踏んで転んだ。慌てて槍を取り出してこちらに向けて構えるが、槍を構えようとするが槍を落としてしまう。よく見るとガクガクと震えている……のか? 


 周りの騎士は呆然とその様子をみていた。彼だけだ。おかしいのは。




『将軍?? どうしたの!?』


『おい、ライジよ。なにか……見えるのか?』


『師匠? ……どうしたのですか?』




 鬼人族も何が起きたのか理解できない様でキョロキョロと辺りを見回し、困惑しているようだった。




『て、て、敵……敵ですぞ!! 悪魔です! そいつは、ま、魔王です!!』




 慌てふためくライジ将軍の視線の先を追うと……リョウコがいた。物凄く申し訳なさそうな微妙な表情をしている。




「……あ、やっぱり私ですか……そういえば……見覚えありますね」




「知り合い?」


「やり直し前のことね」


「ああ、そうか、それか」




 ウィンディがやり取りを理解したのか何か諭すようにライジ将軍に声をかける。


『リョウコは悪魔じゃないですよ?』


『あーライジ将軍……話をしましょう。騒ぐのは無しで』




『……あの勇猛なライジ将軍が新兵の様な……』


『何者なのだあの娘は』




 ライジ将軍の周りにエーテルが集まる。何かの魔術やスキルを発動させる気か?


『か、斯くなる上は!』


「え、あ、どうしましょ?」




 リョウコがこっちに助けの視線を送ってくる。


 はぁ、しょうがないな。


『固定・檻』っと。




『ぶへっ!!』




 例のごとく、対魔獣用に考案した『固定の檻』をワールド座標で展開する。


 何も知らずにライジ将軍が雷を纏いながらリョウコに突撃しようとして綺麗にぶち当たる。


 毎回漫画みたいな動きが見られるな。


 現実でやると痛そうなんだよな。まぁ、壁に全力でぶつかるから当たり前か。




『……な、なにが???』


『あー、それ、私もやられた……痛いわよね、思ったより……恥ずかしいのね。はたから見ると……』


「落ち着いて話をしましょうか……」




 ……あれ? 


 良かったんだよな? なんでアスティナさんが変な表情してるんだろ。含み笑いをしながら同情している様な……複雑だ。


 リョウコに関しては塞ぎ込む寸前みたいな顔してるし。どうなってんの?




 しばらくするとライジ将軍は落ち着きを取り戻し、今度は切腹しようとするところを鬼人族全体で止められていた。


 ……まぁ、恥ずかしいよな。すいません……なんか邪魔しちゃって……

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