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「バトロワ」無視してサバイバルライフ ~デスゲームに巻き込まれた俺は「攻略」しなかったら最強になってた件  作者: 藤明
5章 港町防衛戦

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第108話 黒瘴石

 多種族が一堂に会した会議が終わり、俺たち探索組とアスティナさん、それと道案内の鬼人族の斥候で集まり、今後の予定を話していると、ジンパチさん達拠点組が近づいてくる。


「カタシさん、例の「黒い禍々しい結晶」のテストをこれから行いますのでこちらへ」


「え? テスト? 浄化したんじゃ?」


「残してあるんです……黒い禍々しい瘴気の石……黒瘴石となづけましょうか。これを体内に取り込むと黒い怪物、巨人化する種族を知っておかないと後が大変ですから」


「……なるほど? ってか大丈夫なんですか?」


「ヨウカさんがあれくらいなら浄化できそうです……と言っていたので……人体実験になりますけどね」


「……え? いいんですかそれ?」


「相談したところ……罪人を使えと。処刑前提の。ヴェネトア王国が襲ってくると言うので保留にれてたらしいです」




 なるほど……確かに、黒瘴石を生物に打ち込んだら全部の生物が黒くなって怪物になったり巨大化して巨人になったら……悪夢だな。それにしても人体実験かぁ……命の軽い世界だなぁ……




「……さすが異世界だな?」


「物騒な世界ね……」


「人の命は世界よりも重いなんて言葉が無い世界ね……」




『姫、どうしましょう?』


『私も行くわ』




 俺たちはジンパチさん達に案内されるがままついていくと、街の離れの方に着く。若干血の匂いがする……ここは……処刑場だな。街に来るときに運ばれてた人も処刑されてたとか言ってたもんな……


 先に拠点組のヨウカさん達が何やら作業をしていて、既に地面には黒瘴石が4分割くらいしておかれていた。分割するテストもしてたっぽいな。ハンマーやら、魔法の武器っぽいものまで置いてあるし。ん? なんか色の抜けた黒瘴石もある? なんだこれ?




「では簡単な報告をお願いします」


「はい、どうやら黒瘴石は生物から発せられたエーテルは吸収しますが、魔法金属と呼ばれるものからは吸収できない様です。また、魔法金属にエーテルを込めて触れると、付与したエーテル分が吸収されます」


「……要するに、スキルとかで武器にエーテルを纏わせなぐると、エ-テルだけ取られちゃうって事だな」




「スキルが無効化されるってこと?」


「そうですね。森人族の魔術師さん達に協力をしてもらったのですが、魔術はかなり無効化、吸収され、スキルも触れた周囲だけ無効化される感じですね」


「そうなると、黒瘴石の盾やら、ゴーレム……ロボットなんかいたら……やばいってことか」


「……それは確かにヤバいな……」


「その時は物理で殴るしかないですね」


「幸い、石くらいの強度ですので、砕けるとは思いますが、これ、くっつくんですよね。磁石みたいに。それで一つの石になるので面倒この上ない感じです」


「砕いても後でくっつくとすると……終わることは無いんじゃないのか?」




 ヨウカさんが一つの黒瘴石をつまみ上げる。大丈夫?? って大丈夫そうだな。


「『浄化』」




 一瞬にして黒瘴石が黒から透明な綺麗なガラスの石に変化する。


「とりあえず、『浄化』のスキルで、「浄化」は出来るみたいなので大丈夫かと」


「一応、この世界の「浄化魔法」でも破片の浄化は出来たので対策は出来るかと思います」


「それなら私でもできそうですね」




 リョウコが出来るなら……大丈夫か。ヨウカさんを前線に連れまわすのは……ちょっと厳しいと思ってたし。




「それでは、怪物化のテストをしますか……」


「余り気乗りはしませんけどね……ではいきますね。お願いします」


『では、やります……』




 鬼人族がトングの様なもので黒瘴石をつかみ、猿轡をした鬼人族らしき人間に突き刺す……痛みで身をよじるがそれだけだった。黒い瘴気がまとわりついて……痛そうだし気味が悪い。刺さったところに黒い靄が湧いてる感じがする。


『鬼人族は問題なし。傷口に瘴気での炎症発生……では猫人族……』




 それからもこの街の罪人を使った色々な種族の人体実験が行われる。獣人も猫系、犬系で別とされてる感じだ。……見ていて気持ちいいものではないけど……なんか……みんな大丈夫だな。ただ、痛みが凄い様で、悶絶して気絶する人間が続出していた。




『本当に黒い石は毒だったのね……』


『すりつぶして飲ませると魔術が使えなくなる理由が分かりました』




「ここまでは予測通りですね」


『それでは、ヴェネトア王国』


「んー!!んー--!!!」




 猿轡を口にまかれた男性将校らしき人が連れ出される。全力で抵抗している様に見えるな。ほかの人とかなり違う。そんな様子も無視して容赦なく黒瘴石を突き刺される。かなり憎しみ籠ってるなぁ……そりゃそう………え?




「ウゴォオオオ!!!!」




 ヴェネトア人が苦しみだすと、体がもこもこと膨れ上がり……え? ケンジさんと同じじゃ? やばくない??




『浄化!!』




 ヨウカさんの手からエーテルが放たれ、もこもことした体が急速にしぼんでいく。


 突き刺した黒瘴石は無色透明になっていた。


 ただ、男性将校の皮膚が戻り切る事は無く、赤黒く腫れて重症になった様に見える。ナオエさんが治さないとだめなかんじだな……治るのかこれ?




「成功……ですね」


「人間に打ち込むと「黒い巨人」になるってことですか?」




 その様子をみていたアスティナさん達鬼人族がにわかに騒めき立つ。


『やっぱり王国人が原因だったのか!』


『ヴェネトア人は黒い巨人になりえる……と言う事ですね』


『……言い伝えだと、どこからともなく表れ、魔族の地から侵入してきた……と言われていたけど、やっぱり違うようね……』


『先の戦争の原因はヴェネトア王国……ヴェネトア人のせいだったんですね……自作自演じゃないですか? これだと』


『そうね。角が生えているから『黒い巨人は鬼人族』……なんて難癖付けられたけど……そそれも知っていた感じね』




 鬼人族語で話す内容をリョウコが訳してくれる。大分要約してくれてるな。


「どうやらヴェネトア王国の人間が過去にこの島でやらかしてるみたいですね」


「……これって俺たちが「人間」って思っているものは全部「黒い巨人」になるってことか?」


「……私たちテストプレイヤーはほぼ確定ですよね。テストプレイヤーに対して黒瘴石の弾丸を撃ってきたので……新規プレイヤーを狙わなかった理由が分かればって感じですよね……」


「……なるほど……って、どうしよ? 俺もやるの?」


「……危険な気がしますが……」




 ジンパチさんが手を上げて後ろに待機していた人に合図をする。


「あ、それでしたら、有志を募ったところやってくれる方がおりまして……」


「そんな人がいるんですか?」


「はい。早くこの世界から解放されたい……人ですね」


「……そういう考えもあるんですね……」




 どう見てもやせ細り、体調不良に見える男性だった。今まで見た人間の中で一番ガリガリだな。見るからに神経質……と言った人だった。


「さくっとやちゃってください。あ、なるべく痛みが無いように殺してくれればいいですよ」


「……本当にいいんですか?」


「この島に来てから嫌な思いしかしてませんからね! もう怖くて怖くて、早く日本の生活に戻りたいんですよ。僕は! ここの食べ物も食べたくありませんし! もう嫌なんです」


「……わかりました。それではお願いします」


「痛くしないでくださいよ! いてっ!!」




 自暴自棄気味な男性に黒瘴石が刺さるが、特に変化はなく……と言うよりただのガラスの破片が刺さったくらい……だな。鬼人族とかには瘴気が当たって赤黒くなってたのに。なんか変だな。




「……変化なし……」


「ありがとうございます……変化が無いですね。普通の刺し傷……瘴気の影響も無し」


「……残念……戻れなかったか……あ、あの……けっこう痛いんですが……」


『あ、治しますね……』




 鬼人族の衛生士の様な衣服を着た人が傷口を治療していく。魔術っぽいけどゆっくりと治って行く感じだな。ナオエさんの「治す」がどれだけチートなのかがよく分かった気がする・……


 ジンパチさんが治療されて不思議がっている男性に声をかける。


「海岸の拠点に戻れば……すばらしく美味しい料理がありますので……少しは楽しむ感じで……」


「食事だけじゃないんですけどね……スマホもゲームも無い世界は僕にはつらいんですよ……あなた達みたいに無双できるスキルがあれば違ったかもしれないけどね……」


「……みなさん最初から強かったわけではないですけどね……」




 そういう考え方も……あるんだなぁ……一千万円よりも、すぐ帰りたいなんて……


【脱落者に関しては彼と同じような考えのものが多いようです。過酷すぎる世界だったようで早く帰ることを願うようで……全員がお金に困っているわけではなさそうで……】


 まぁ、いきなりこんな動画の企画でやるようなサバイバルじゃ……そうなるよな。俺は楽しんでいる方だったのか……ネガティブな人間かと思ってた。一千万円もらえればラッキーとか思ってたけど……


【割と楽観的で楽しんでいる部類になりますよ?】


 ……そうだったのか……まぁ、一部楽しいところはあったけど……キツイような? あれ? 楽しんでる扱い? うーん。まぁ、そんなもんか。




 リョウコが不安そうな表情で俺を見る。


「……あの、やっぱり試した方がいいんですかね? 私も」


「あー。やめておいた方が良い気がするんだけど」




「そうね。恐らく、テストプレイヤーに対して狙撃していたことを考えると……「黒い巨人」に変わることを知っていた人間が撃ってたとしか考えられないのよね」


「だな。リョウコが変化すると……この周辺を吹き飛ばすくらいの巨人になりそうだから止めておいた方が良いな」


「……変化してしまったケンジさんもかなり強い方だったのよね。それであれですものね」




 リョウコが仲間の話を聞いて段々と表情が消えて行った。


「……何か私がラスボスだったりするんですかね。良くある話ですが……」


「何かの物語にありそうだけど……」


「黒き魔人を倒せとかいう話だけど実は仲間がラスボスだったってパターンですかね……」


「……冗談……にならない状況な気がするのだけれども」




 頭の中で声が響く。アーゼさんか。


【やはりおかしいですね……黒い魔人、黒き魔人を倒せ……なんて事は一言も伝えていないはずなのですが……どこでどうねじ曲がってしまったのでしょう……】


 ……それってテストプレイヤーの目的が変わってしまっているってこと?


【……すみませんログを見返してみます……担当者に聞いた方がいいかもしれませんね】


 よろしくお願いします。




「なぁ、リョウコ、一番最初の目的ってなんだ? 運営から用意された目的」


「……えっと……たしか……協力してダンジョンを攻略しよう。ミッションをクリアしていくと豪華報酬と経験値がもらえる……ダンジョンの秘密を解き明かすとラスボスが出現するよ……みたいな感じでしたね。なんかすごく軽いノリだった気がしますが……」


「それじゃその時には「黒い魔人」を倒せなんて話は無かったわけか?」


「……そういえばそうですね。ただ、ミッションをこなしていくと、敵は鬼人族、黒い靄を纏った敵がボスだろう……と言う話になりまして」


「……ダンジョン攻略じゃなかったのか?」


「そういわれるとそうなんですが……前回はヴェネトア王国側でのミッションが多くて、情報がそちらばかりで……どう見ても「角付き」の黒い巨人がボスだろうと……言われると変ですね……」




「……ヴェネトア王国の人は「黒い巨人」の事を知っていた感じだったものね」


「そうね、あの王国の探索者ギルド長は知っていて準備をしていたっぽいし」


「あの、やたら強そうなやつか?」




 リョウコの視線が上を向く。何かを考えているみたいだ。


「……あの人、前回……「見た事」無いんですよね……先輩達と同じで追加された感じなんですかね」


「そんな追加コンテンツみたいな……」


「あと、ヴェネトア王国の船も4隻だった気がするんですよね……色々と変わってますよね」


「やり直すたびに世界が変わってる感じか?」


「……またやり直しあるんですかね? なんで巻き戻ったかもよくわかってないんですが……」


「……誰かが魔法とかスキルを使ったんだろ?」


「……うーん。まったく分からないんですよね。すみません……」




 話を聞いていたアスティナさんがリョウコの事をじっとみつめる。


『リョウコ、あなたも船が4隻だった……のを覚えているのね』


「はい。ペリー来航だ!とか仲間で言っていたので……あれ? あってますよね?」


「ペリー来航は4隻だったわね」


「よかった、なので4隻ですね」




『やっぱり数が合わないわよね。ちょっと用事が出来たわ。王国側の代表と話してくる』


『あ、姫、私たちはどうすれば』


『あ……リョウコ! 一緒に来て! 通訳お願い!』


「え? わかりました。あ、先輩たちも来てください」




 なんかついていった方が良さそうだな……行っとくか。


 ジンパチさん達にお礼を言った後、俺は彼女の後を追っていった。

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