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「バトロワ」無視してサバイバルライフ ~デスゲームに巻き込まれた俺は「攻略」しなかったら最強になってた件  作者: 藤明
5章 港町防衛戦

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第107話 多種族会議

 §  §  §  §




 夕暮れ近くになり、港町ハコダテーネに戻ると住人らしき人間が増え、街の復興作業が開始されていた。


 結構死人も出たみたいで、麻布を顔にかぶせた遺体が街の外にすれ違いざま運ばれていく。どこの世界でも同じような事はするんだな。


 ん? なんか豪華な服を着ていた様な?


【ヴェネトア王国の軍服ですね。責任を取らされたのでしょう】


 ……え??……もしかしてあの時縛られていた人……処刑ってやつか……怖いな……さすが中世……




 ジンパチさん達、拠点組と合流しようとすると、こちらに気が付いた大柄の鬼人族の戦士が……あれ? アッシュさん? 港町防衛戦では見なかったような?


『おお、ウィンディ! 無事だったのか!』


『戦士長。ご無事で。大丈夫だったのですか?』


『ああ、情報通りにさっさとナガシノ砦を放棄してこちらに逃げて来た。皆無事だ』


『なるほど……それでこの活気なんですね。避難してきた人間が戻って来てるですね』




「……彼らはなんて?」


「どうやらミッション対象だった砦から逃げてきたらしいです。良かったです。テストプレイヤーとの戦いにならなくて」


「ミッションの情報教えたのか」


「ええ、前回のものですけれどもね。私が砦を落とした様なものなので……私が行かなかったら……それでも激戦……だったでしょうけど」


「……なるほど……」




 恐ろしいな……あのすごい魔法を見たあとだと……納得してしまう。


 だけど……なんだろ? リョウコの力が凄すぎる気もしてきてるんだよな。他のテストプレイヤーからは殆どエーテル的な強さを感じないし。どういう事だろ?


【実際リョウコに関しては……規格外だと思った方が良いかと。詳細は言えませんが……】


 なるほど……平均的なテストプレイヤーの強さを知りたいな……




『姫たちが探していたぞ。なんでも今後の事を話したいとか?』


『わかったわ』




 ウィンディードさんが俺たちの方を見て優しく微笑む。なんか嬉しそうだ。


「みんな。アスティナのトコロ。行く。ハナシアイする」


「わかった。行こうか」




『すごいな、言葉が通じてる……』


『頑張って練習してるから。もっとちゃんと話したい。色々な事。日本の事』


『なるほど……お前が恐れられ無いとは……いいことだ』


『ふふ……』




 何やらウィンディがアッシュさんに言われて照れてる様に見えるな。そっちはそう言う関係なのか? うーん、最近そういうの外すからなぁ……リンカさんのも知らなかったし、ほかの人はわかるんだけど……


【あなたの目は節穴なので、色恋沙汰の路線は考えない方が良いかと思います】


 ……わかりました……何となくそんな気はしてました……




 §  §  §  §




 アッシュさんに案内され、かなり大きな屋敷にたどり着く。


 道中はアッシュさんに威圧されたんだろうけど、住人たちが綺麗に道を開けてくれた。中には恭しくお辞儀の様なものをしてくれる人もいた。彼はそこまで強いんだろうか? 尊敬されるレベルなんだろうな。


 建物は洋風な壁に屋根は瓦……見た事も無い建築のブレンド具合だ。異世界観が凄いな。一部、屋根の瓦がずれているけど……あの時の爆風なんだろうなぁ……ここに来るまでもかなり屋根がやられてたし。


 大きな扉がある広間へと通されると、そこには色々な種族がテーブルを囲んで何やら会議をしている最中だったようだ。まるで映画の中に入ったような気分だ。余りに現実離れしていて現実感が無い。獣人っぽい人や、エルフっぽい美しい人、鱗の生えたトカゲ人間……多種多様な感じだ。王国の狩人もいるな……黒い巨人との戦いに参加してくれた人だ。


 ん? 奥の方にジンパチさんもいるな。ツウジさんもいるから……通訳しながら何かを話し合ってたのか?




 俺たちが部屋に入ると、こちらに気が付いた者が喋るのをやめてこちらを見る。なんか、すごく注目されてるな……


 アスティナさんが静寂を破って鬼人族語で話しかけてくる。


『「狙撃手」はどうだった? 大丈夫なのか?』


「「狙撃手」はいませんでした。ただ、いきなり移動する……突然飛んで移動してくる様なスキルの使い手は死んでいたので、いきなり狙撃されることは少なくなると思います」




 リョウコが答えてくれる。ウィンディの鬼人族語と違って……アスティナさんの言葉は早いんだよね……さすがネイティブ……




『……狙撃手は生き延びたのね……残念ね……』


『しばらく狙撃におびえなくて良いのか?』


『あの爆発を生き延びるとは……』


『テストプレイヤーなるモノはそれだけ強いのか?』


『あの者は……今話をした人間は最後まで我々と敵対していた魔道戦士では??』


『あの勇猛な風将軍が同行しているんだ、問題ないだろう』




 その場が物凄くざわつく。聞いていると……鬼人族語じゃない言葉も話してる人がいる感じだな。


 アスティナさんが手を上げてその場を制する。ざわつきが消え、静寂に包まれる。これだけを見てると彼女がどれだけ偉いか、尊敬されているかが分かるな。




『それで、「てすとぷれいやー」を巨人に変えた何かをみつけられたの?』


「いえ、現場にはスキルオーブ……新規プレイヤーが死んだ証……エーテル溜まりがあっただけですね」


『……そうなると、新規プレイヤーも今回の事に絡んでいるのね』


「あ……はい。そう予測できます」




 周囲が爆発的にざわつき始める。若干怒声が起きて言い合いが始まったりしている。どうしたんだこれ?


 リョウコが若干気まずそうな顔で俺の方を見る。


「先輩……みなさん……すいません……新規プレイヤーは安全……って思われてたみたいです……それが今回の犯人だったって……言ってしまったので……」


「なるほど……」


「凄い雰囲気ね……」


「ほんとだな」


「カタシ君、SPの残り大丈夫?」


「……え?」




 ナオエさんの言葉でふと我に返り現状を冷静に考えてみる。


 ジンパチさんの方を見ると、やれやれといった表情をこちらに向けていた。どうやら今までうまくはぐらかしてくれていたみたいだな。




 ……あれ? 




 これ返答間違えると……俺たち袋叩きにあう?


【おそらくはそうならないと思いますが、敵対種族は出来るでしょうね】


 ……マジか……困ったな……




『この街を救ってくれた恩人を敵とみなすとは、お前たちはヴェネトア王国と同じ「裏切り者」か!』




 アッシュさんが何やら大声を出してその場を納めてくれる。


 相変わらず何を言っているかわからないけど……すごい迫力だな。


 ざわめきが一瞬にしてなくなり、シーンと静かになる。




『カタシ、申し訳ないけれども、あなた達の本当の目的を教えてくれない。私たちに』


「先輩、新規プレイヤーの目的を教えてくれと……本当の」




 ……あれ? 教えて無かったっけ……


 俺は思わず仲間の顔を順に見ていく。不安と真剣な表情……誰もがリラックス状態には遠い表情をしている。なんか……色々な種族の注目まで……うーん、どうしよう。




「カタシ……」




 ウィンディが不安そうな表情で俺の方を見る。


 彼女が色々と上手く伝えていたけど……って感じだっけ……どこまで伝えたか忘れてるんだけど……ジンパチさんの方が覚えていそうなんだよね……


【初期の頃に絵で説明した程度ですね。殆どのこの場にいる者達は新規移住者と思っている様です】


 なるほどね……アスティナさんの傷をナオエさんが癒してくれたのが出会いだから……信用されてたけど……ってやつか。




 俺は最初にこの世界に送られるときに集められた時に、「カミモドキ」がグラフィカルに表示させていた黒い結晶を思い描く。島の中央……で良いんだよな。位置はあってるのか?


「えーと、この島の中央にある、おそらくですが巨大な黒い結晶を壊すのが……目的なんですが……」


「……なんだと? 巨大な黒い結晶? 島の中央にあるのは……神より賜った「大いなる母なる魔力結晶」……じゃぁないのか?」




 王国の狩人の代表が立ち上がりこちらを不思議そうに見たあと、アスティナさん達の方を見回す。


 あ、そうか、王国の人には言葉が通じるんだっけ……




 アスティナさんの隣にいるツウジさんが俺たちの会話を通訳してくれている様だ。


『それは知っているわ。ここにいるみんなは濁していたけど、神の神殿の奥にある「母なる大結晶」だと……ただ、あれは……透明なのよね……色があったとしても薄い水色のはずなの……黒くないはずのよね。だからあなた達の言っていることがおかしいわ。「黒い結晶」とは先ほど見た、「てすとぷれいやー」を黒い巨人に変えた禍々しい黒の石の事ではないの?』


「……と、アスティナさんが言っていますが……」




 え? 違うの??


 てっきり山の中の神殿にある……リョウコも見た事あるって言ってたような?


 俺は思わずリョウコを見るが、彼女も混乱しているようだった。




「わたしは……見たんですけど……神殿の中に黒い結晶が……あるのを……」


『リョウコ、あなたが「前回」見たのは……黒い瘴気をまとった魔物との戦いの後……おそらく、私たちが打ち倒した魔物から出た黒い魔石だと思うの。黒い魔石がくっつくのをさっき見たでしょ?』


「……とアスティナさんが言っていますが」




 ……あ、確かに……黒い魔物を倒しまくれば……ひっついてそれが巨大な黒結晶に……


 ん? もしかして黒い魔物を倒しまくらないと駄目とかか??


 クリア条件ってもしかして……黒い魔物の全滅か?? なんかすごく難しいんじゃない? エーテルを吸収するんでしょ?




『「母なる大結晶」ではなく「ダンジョン」の向こう側にある「妖魔の大結晶」なのではないか?』


『あれはどちらかと言うと濃い紫だろう!』


『そもそも「てすとぷれいやー」と「しんきぷれいやー」を信頼していいものなのか?!』


『まて、王国の人間の言葉を理解するのだ。あちら側の人間ではないのか?』


『彼らは目的を果たしたらこの島から出ていくのか??』


『移住するのが目的と聞いたが違うのか?』




 場が紛糾してきた。絶対王政……とかじゃなくて、共和国……って感じだな。色々な言葉で議論が開始されて収拾がつかなくなっていく。どこだかの映画の評議会みたいだ。


 俺は思わずジンパチさんの方に駆け寄っていく。




「ジンパチさん……助言があれば……」


「先ほどから不確定情報が多すぎて推測ばかりになっているように見受けられます。ですので一旦冷静に調査をし、情報を整理する必要があるかと思います」


『……とジンパチさんが言っております』




 ツウジさんがアスティナさんに通訳してくれる。


『……なるほど……まずは調査ね。このままでは収拾がつかないわね』


『姫様、カタシたちを中央神殿に連れて行った方が良いのではないでしょうか?』


『……そうね……黒い魔物、黒い巨人、黒い結晶……全部……黒い瘴気がらみよね……今までの異変を何とかするために、彼らは神に遣わされてきたのかしら?』


『ええ、ですので、中央神殿に「母なる大結晶」の他に「大きな黒い結晶」があるかどうかの確認を……神子のみが開ける扉の向こうの事は知りませんので……』


『「母なる大結晶」が最終目標だったとしても……ツクヨミがいれば……そうね……彼等なら……ツクヨミを殺そうとしないわよね……』


『ええ、すでに助けてもらっていますので』




『神子様の襲撃事件ですか?』


『この間、神子を狙ったのは「てすとぷれいやー」と言う話ではなかったのか?』


『神子様はどうなられたのです?』


『それは「しんきぷれいやー」が助けてくれたから大丈夫です。健在ですよ』


『なんと……』




 それからも各種族ごとに何やら話し合いが続いた。鬼人族の首脳陣は各種族との長との話し合いを終え、何かを伝えた後、その場に集まった多種族の長たちは解散となった。特に俺たちを敵視する事も無かった。うまく行った……んだろうな。これは。


 言葉が分からないってホント辛いな……ひたすらお経を聞いている気分だ。全く意味が分からないし、本音を言えば疲労が酷くて眠くてきつかった……


 リョウコもなんか考え込んで途中から全然通訳してくれないし……




「んで、リョウコ、俺たちはどうなるんだ?」


「……え?」


「あー言葉分からないんだが」


「すみません、そうでしたね。一人で納得して考えてました……先輩達が人助けしていたおかげで、敵対する事も無くなったみたいですね。何やら謎が中央神殿にあるとかそんな感じの話をしてましたが……」




 リョウコの話を聞いていたアスティナさんが何やら話している。相変わらず内容分からず。翻訳スキルが本気でほしい……ツウジさんのスキル欲しいなぁ……


【……彼から奪うとは考えないのですね】


 だって……まじめに働いてる人を襲うってのは……抵抗あるよ。やっぱり。


【あなた達の種族は価値観が様々なのですね……】


 ……え? そうなの? みんな同じようなもんだと思ってた。





『そうね……一旦……神殿を調べる必要があるわ……神子が封印を解かないといけない……私が行くしかないか……あ、カタシの例の空を飛ぶアレで行けるのね! あれだったらすぐね!』


『姫、空を飛ぶ「ヒコーキ」に関しては「狙撃」される可能性があるので使えない……との事です』


『そう……なの。残念ね。……ん? それじゃ飛竜も? 飛んじゃダメなの??』


『よくわからないのですが、「ろーかるざひょー」だと防げないかもしれないので、地面を移動した方が良いそうですよ。空を飛ぶと良い的になるといってました』


『……え……中央神殿まで……地面を行くの?? あの距離を?』


『そうなります』


『……参道を通っていくのか整備されてないのよね……先代の戦争以来……騎竜の用意……とても面倒な事になったわね……』


『あー、「狙撃」を避けるには、道をなるべく行かない方が良い……みたいですよ』


『……何を言ってるの?? 道……駄目なの??』




 何やら知ってる単語が随所に出てくるけど……「狙撃」はやっぱり対応難しいよな。

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