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「バトロワ」無視してサバイバルライフ ~デスゲームに巻き込まれた俺は「攻略」しなかったら最強になってた件  作者: 藤明
5章 港町防衛戦

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第106話 リンカのスキルと新たなスキル「座標転移」

 §  §  §  §




 俺たち探索組+リンカさんで対岸まで移動し、リョウコが爆発魔法を撃った爆心地に来ていた。木々は倒され、焦げ臭さが充満していた。一部は火がついていたが、乾燥しているような気候ではないのでしばらくしたら火も消えてしまうだろう。


 色々なところにエーテルだまりが出来ているのを見ると、この辺りにいた魔獣や動物も一緒に殺してしまったんだろうな……移動するたびにステータスが上がっていく。




 魔法を撃ったはずのリョウコも焼けただれた森を見て若干引いてる感じだった。


「……凄い破壊力の魔法ですね……戦争の後みたい……」


「まぁ、ここまでくると現実感無くなるな……」




 心配していた他のプレイヤーの姿はなく、爆心地より少しずれた場所にまとまって2つほどスキルオーブが浮いていた。どちらもそれなりの大きさだった。




 リキさんがスキルオーブに手をかざしながらログを見ていた。


「ログと人数が……合わないな。一つは回収された感じだな」


「そうね。近くにいたから……回収したけれども、第二射があると思って、支給カードで離脱した……と考えるべきかしら」


「その可能性が高いわね。それでスキルは? 良いやつあった?」


「『相乗効果』『拠点移動』……だな。射出系のスキルかと思ったんだが……」




 移動系と……相乗効果って言うくらいだから、パワーアップ補助的なものか?


 俺も試しにスキルオーブを触ると……


「『能力強化』と……『座標転移』……」


「私とも違うわね……相変わらずスキルの名前が人によって違うのね」




「……え? 違うんですか? そんなに?」


 スキルの名前は人によって違う……っていうのは探索組での常識になっていたけど、リンカさんの頭に疑問マークが浮かんでいた。




「ええ、毎回違うわね……同じだったことが無いわ」


「不思議なんだよなぁ……」


「おそらく翻訳のされ方が人によって違うと思うの」




 サチさんが若干言いにくそうにリンカさんに質問をする。


「ねぇ、リンカさん。あなたのおかげで今回は助かったのだと思うのだけれども、あなたのスキルは「未来」を知れるの?」


「……いえ未来はわかりません」




 リキさんは意外そうな顔をする。その場にいたものは大体不思議そうにしていた。


「その割には全てを知った感じで動いてたみたいだが?」


「もしかして、時間を……巻き戻せるスキルなのかしら?」




 一同がリンカさんの方に視線を集中させる。確かにいろいろと未来を知っている人間がとる行動を港町ではしていた。俺も彼女の誘導が無ければ……あの爆発は防げなかったと思う。




「うーん。私の生命線なので詳しくは言いたくはないかなぁ……サチさんは時間が戻れるスキルを探してるの?」


「……ええ、ほんの少し、三時間でいいの……それだけ戻せるのなら……」




 珍しくサチさんが思いつめたような……心が押しつぶされるような悲痛な表情をしていた。


 それだけ真剣な……あちらの世界でほしいスキルなんだろうな……彼女がこの世界で攻略に励んでいるのはそれが目的……なんだろうな。




「多分、私のスキルを持ち帰ってもサチさんの希望通りにはならないかも……好きな時間に移動出来るわけじゃ無いから……多分、持ち帰れたとしても、帰った時点以上には戻れないかな……」


「……なるほど、限定的な時間戻しか……」




 限定的な時間戻し……だとすると……スキルを発動させてその間だけ巻き戻れるとか、そういったスキルか。アヤノさんとの逃避行を聞く限りは、リンカさんは相当思い切った行動をバンバンしていた……って言ってたから……そっち方向なんだろうな。




「そう……そうなの……」


「サチ、時間を巻き戻す系のスキルがあったんだから、多分あると思うぞ?」


「……だと良いのだけれども……」




 サチさんが失望しつつも希望を見出す……と言う不思議な、何とも言えない表情をしていた。




 ん? もしかしてリンカさんに移動系スキルもってもらえば……何度もやり直してこのゲームを攻略できるか? ひたすらリスタートできれば簡単じゃないの?


「なぁ、リンカさんに『地図移動』持ってもらえればいいんじゃないの?」


「なんで?」


「移動して時間戻せるなら……死ぬことが無くなるんじゃないの?」




 リンカさんが慌てて間に入ってくる。


「あー、カタシさん、そこまですごいスキルじゃないです。私のやつは……」


「そうなのか?」


「えーとですね、一緒に行動している分には恩恵ありますけど、離れた場所に行って突然時間戻す……ってやっても出来ない感じで……」


「……そうか……残念……」


「そうですね、どちらかと言うと、一番死にそうな人と一緒にいると……恩恵あるかもですね」


「……一番死にそうな人……」




 俺は思わずナオエさんの方を見る。


「……え? 私?? 傷ついても自分で治すから大丈夫よ?」


「カタシさんのは一番心配な人ね……」


「だな。こじらせてるからな。死ぬとしたら俺かサチ……ウィンディだろうな」




 ……何を言ってるんだ。ナオエさんが突然慌て始めるし……ウィンディードさんは何かを察知したのか不機嫌な感じだし。


 ん? 俺は死に安いに入ってないのか?


【あなたはワールド座標『固定』という破格の防御手段がありますからね】


 あ……そうか、はり続ければ……死なないな。確かに。




「それで、リンカさん、私たちと一緒にこのゲームを攻略……してみないかしら?」


「拠点でクリアまで耐えるのもいいかもしれないが、黒いやつらが大量に湧くという時間制限もあるみたいだしな。俺は一緒に来ることをお勧めするが……」




「えっと……」




 リンカさんが困った感じで俺の方に助けを求める。まぁ、悩むよね。拠点の自給自足的な活動がうまく行ってきてるし。あっちだとかなり気楽にサバイバルライフが楽しめる状態になってるもんな……俺も本音だとそっちが良いんだけど……


「……俺もまったり行きたいけど……リョウコ、この先黒い巨人がわらわらと出てくるのは確定なんだよな?」




「……そうですねぇ……巨人もそうですけど、先輩達の言っていた「妖魔の砦の黒いやつ」も地面から出てくる感じで……地獄みたいな光景ですね……私と見てきた未来と、大分変わっているので確定ではないかもしれませんが……」




「その……」




「迷うのはわかるんだけどねぇ……」




「あ、いえ、その……」




「どうした? 何か見当違いだった?」


「すみません……その、せっかく……カレシが出来たんで、もうちょっと……その……」




 俺たちの間に変な空気が一瞬にして流れる。みんな攻略メインすぎて忘れてるよなぁ……


 拠点メンバーが色々と色恋沙汰が多くなってるのガン無視状態だもんな。




「いつの間に……」


「……まぁ、あれだな。おめでとう?」


「……そうよね、そっちを頑張る事も出来るのよね……」


「すみません……そのーなんか。楽しくて……」




 うーん、困ったな。まぁ、でもこっちの世界でうまく行っても時間制限アリみたいなもんだし、記憶を持って帰れないと駄目だから……


「まぁ、あれだな。あれ。折角の彼氏との思いでの最後が黒いやつらに襲われた恐怖で終わり……記憶を引き継がないであっちに戻ったら他人同士……ってことも……」




「か、カタシ君……それはひどい脅しだと思う」


「そうですよ、先輩。こっちでのことが無かったことになったら寂しいじゃないですか!」


「そうね……最後次第よね……」


「死んだ記憶次第だろうなぁ、確かに……」




 リンカさんが珍しく考え込む。


「いえ、カタシさんの言う通りだと思う。ケイくんのためにも頑張る。拠点が落ちる前に攻略すればいいんですよね?」


「……そうね……それだったら……記憶持って帰るかもね……」


「ですよね。今だったら割と面白い異世界体験でおわれそうですもんね」




 確かに……今だったら悲惨な事……見てはいるかもしれないけど、楽しいうちに入る……のかな。ってか楽しいうちにクリア。それが一番いいかもな。




「ああ、そっか。俺の目標もそこでいいのか……」


「え? カタシ君の目標は……クリア……よね? 最初から?」


「あ、いや……生き延びる……と言うより、ただ単に……行き当たりばったりなだけなんだけど……」


「……そうだったの?」


「そうなの?」


「さすが先輩……そういうところなんですよ……それが無ければ……」




 リョウコが何やら言いたげな顔をして呆れた表情をしていた。


 何だろう。俺の何がいけなかったんだろう? これは現実世界の方での話だよな? 多分。




「それじゃぁ、いつもの……いいのかしら? スキルを一つ渡す方向で?」


「もちろん」




「良いんですか??」


「ステータス上げとかないと後がきついでしょ?」


「どっち取るんだ?」




「え、えっと……『そーじょーこーか』の方で。あれ? 『協力作用』ってなってるんですけど……」


「なるほど、リンカさんからみたらそういう言葉になるんだ」


「相乗強化なんて……中一では使わなかったからな」


「え? 中一?? リンカさんが??」




「そうですよ?」


「12歳以上が参加資格なんだって」




 リョウコがリンカさんの事をまじまじと、いや、かなり真剣に見つめる。


「スゴイですね、とてもじゃないですけれども、12歳に見えない……」


「身体は18歳らしいぞ?」


「……なるほど……年齢を一緒にしたって言ってましたね。新規プレイヤーがうらやましいですね。そこだけは」




「えーっと、そんなに見ないでくださいよ。恥ずかしくなっちゃいます……あ、それではいただきます……え? ステータスもすごいアップしたんですけど……大体8くらいは上がってるんですが……」




「……すごいな」


「さすが他のプレイヤーを襲うレベルだと……そこまでか」


「大きめのスキルオーブは色々と美味しいわね……」




 あとはもう一つ、「拠点移動」これは役に立ちそうだけど……消費SP多いパターンだよなぁ、これ。


「『拠点移動』は……」


「最近カタシさん取ってないから持って行った方がいいのではないかしら?」


「そうだな。さっきもSP切れて無かったら……もっと簡単だった気がするもんな」


「カタシ君、持ってっちゃって」




「……え? いいの? 俺、探索さぼってたわけだし……」


「拠点で兵器作ってたんでしょ? 十分な貢献よ」


「拠点砲撃が無ければ今回はかなり厳しかったと思うわ」


「俺たちはあれから結構ゲットしてるしな」




 そうだったのか……活躍しているの認められて……なんかうれしいな。


「……わかった」




 俺はスキルオーブに手を伸ばす……いつも通りに頭の中に音声と選択する文字が表示される。


【スキル『座標転移』を習得しますか? Yes / No 】


 俺はいつも通りに Yes を選択する。


 何かの力が俺の中に吸い込まれていく……光は消えていく……




【スキル『『座標転移』を習得しました】


【余剰エーテルが溜まっていたためステータスに還元します HP+7.05 MP+6.02  STR +12.01 DEX +8.05 AGI +9.21 INT +7.13 MND +16.14  SP+11.89 ……】




 余剰エーテル? こんなのあったっけ?


 ってか、今まで一番パワーアップしたような気が???


 カミが言っていた「インフレバトル」ってこの事か?




「なんか余剰エーテルをステータスに還元とか出るんだけど?」


「死んでからしばらくするとスキルオーブにエーテルがついちゃうみたいなんだよね」


「なるほど……この前は目の前で死んだから……自動的に吸収しちゃったのか」


「そうみたいね」




 **********************


 スキル:『座標転移』 


 スキルレベル:20.5  


 現在の使用可能容量:0/2.05㎥


 転移可能距離:    2.05km


 ・任意の座標に指定した物体を入れ替える事が出来る。




 ・ワールド座標


 地図からワールド座標の位置を指定して『座標』を入れ替える事が出来る。




 ・ローカル座標固定 


 物質の相対位置を指定して『座標』を入れ替える事が出来る。




 詳細


 転移する質量と距離によってSP消費が変動する。


 最大容量と最大距離以上での使用も可能だがSP消費量が劇的に上がる。


 ……etc……


 **********************




「……どう?」


「……なんか、座標を指定して、入れ替えるスキル……らしい」


「テレポート系じゃないのか?」


「拠点を指定してファストトラベルできるやつじゃないんですか?」




 俺は試しに、手に持った石と、落ちている木の枝をイメージして「座標転移」をしてみる。


 ん? 座標が表示されるな。これを入れ替える……っと。うん。綺麗に入れ替わった……SP消費もそこまでしてないけど……近いからだよな。




「位置交換?」


「位置交換……の遠距離版か?」


「座標が頭に浮かぶから……マップで座標を入れ替えると……転移した……。うーん……説明に距離二キロメートル、体積二立方メートル……って出てるんだけど……弱くない?」




「人間の体積って、体重をリットルにした感じだったから……」


「装備も入れると80リットルくらいかしらね……リキは100くらいありそうだけど」


「一平方メートルが1000リットルだから……結構運べそうだな」


「すごいですね、二十人の人間を二キロ先に転移できるなんて……」




 あ、そうなの? 二立方メートルって……そんなに運べるのか。人間4人くらいしか運べないかと思ってた……


【なんです? この、狭いエリアにかなりの人がいる空間のイメージは?】


 日本の満員電車……通勤の時に……ってわからないか……


【なるほど……興味深い。人口が集中するが故の習慣なのですね。時間を同期していると……ふむ……】


 ……まぁ、効率的じゃないよな……傍から見ても。


【もっと記憶を見せてください】


 ……え? 脱線してない??


【……してません】




「あ~、そうなんだな、えーっと、SP消費みないとか……」


「先輩、計算しっかりしてませんでしたね?」


「消費SP次第……なのは確かね。今やったらすぐに枯渇しそうだけれども……」


「大規模テストはまた後日……ね」


「早く遊びたいんだけどね……のこりSP一桁ってなかなか無いよな……」




「……マジかよ……」


「カタシ君でも減るのね……」


「一桁になったら頭痛ひどくならないのかしら?」




 ……そうだったのか。割と平然としてる様な……なんだか頭痛がしてきた気がする。


【気のせいでしょう……】




「うーん。これで狙撃手はしばらくは来ないのが確定?」


「あぁ、そうだな。『狙撃手』の足が、かなり遅くなった……ってのだけは確かだな」


「そうね。他に『移動』系のスキルが無ければ……」


「この大自然で道がなければ……二キロの瞬間移動はスゴイ移動手段ですよね」


「『協力作用』でブーストしてたかもしれないしね」


「ああ、なるほどな。その辺も検証しないとだな。このジャングルでブーストして……2キロ以上飛べたらすごい楽……戦術も変わるな」


「爆弾があればすごい楽になるんだけどな」


「ジンパチさん達にリクエストしないと駄目ね」




 ……あ、そうか。道がないんだもんな。二キロなんて20分も歩けばすぐじゃん……とか思ってしまった。恥ずかしい。




 俺たちは他に爆心地に何かないか探していたが、壊れた装備、使い物にならなくなった大量の武器……くらいしか見つける事が出来なかった。四次元収納ポーチから排出された後、燃えててしまったんだろうな……


 リョウコの魔法はどれだけ強力だったんだろうか……テストプレイヤーが恐ろしいのか、魔法がすごいのか、リョウコが恐ろしいのかが分からなくなってきた。




 リョウコは巻き添えになってしまった動物たちを見て眉間にしわを寄せていた。

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