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退屈な彼女 その2

作者: 阪中楓

彼女は退屈していた。

こうして、彼女は出かけることにした。


この間を埋める活動。某ssからインスピレーションを受けて。タイトルが思い出せないです。

 彼女は退屈していた。


 理由は至って単純なことで、自宅にいてもやることがないからだ。

それならば外には用事があるかと言われたらNOである、これが大変難しい問題であった。

例えば、今日の夕飯をメニューのために買い物に行く、オシャレのために美容院に行く、そんな明確な理由があれば彼女は退屈することなく既に寒さに身を震わせながら街を歩いていただろう。

しかし、彼女にはないのだ、理由が、用事が。

 なぜ訳がなければ外に行こうとしないのか、彼女は自問する。面倒だからだ、彼女は即答する。

面倒なことを進んでやるものは少ない、彼女もその一人だった。ましてや理由がないなら尚更のことである。

 外に出る理由をこじつけるのは簡単だ。SNSで見かけた雰囲気の良い雑貨屋に行く、気になっていたカフェに行く、友達を誘ってみる。外の世界には楽しいことで溢れていることを彼女は知っている。事実、おそらく一歩踏み出せば彼女は楽しむはずだ、その時間が僅かであっても彼女は幸福を見つけるだろう。

 気怠さと退屈さ、鉛よりも重い両者が天秤にかかっている、世界の命運がかかっているのような名勝負である。このままでは拮抗状態のまま時が過ぎるばかりである。それはそれで問題ないのだが、彼女は変化を望んでいた。自分勝手と言ったら言葉が悪い、彼女は明日の風に身を任せているのである。

 しかし時にはその風を自身で巻き起こすことも必要だ。彼女は再び考え始める、外に出ても良いと納得できるだけの理由を。最初はただ退屈しており、退屈の解消が目的であった。しかし、いつからか彼女の中では、外に出る理由を探すことに思考が移っていた。

 ここまできたら、あと一手、きっかけがあれば彼女は外出という選択をとる。いつものことであった。

彼女は閃いたかのように部屋の本棚を見つめる。明日も退屈しないように本を買いに行こう、そう彼女は考えた。買うだけ買って読まないかもしれない、欲しい本が見つからないかもしれない。そんなネガティブな言葉は既に彼女の頭にはなかった。スイッチが入ったからだ。テキパキと身支度を済ませる彼女がそこにはいた。


 こうして、彼女は出かけることにした。

推敲ゼロ投稿

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