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ログイン6 初バトルとキス?

貧乏高校生 当溜。格安ボロアパートに住みバイトをして生活費を稼ぐのが彼の毎日だった。明日から学校が夏休みに入る事で浮かれていた時に偶然おもちゃ屋で最新のVRヘッドギアを見つけ購入した。さっそくVRゲームを始めたまでは良かったのだが、本来なら無いはずのVRヘッドギアのホームにログインを果たした。彼は大嘘をつくAIの言う事を真に受け全てにYESと応えてしまった。身体構造スキャンを許し、問題箇所のリペアとしてハルモニア光なる謎の光を実際の身体に照射された。問題は解決したのだとAIに唆されてゲーム世界に送り出されてしまう。しかしこの事が当溜の生活をガラリと変えてしまう重要な出来事だった。ログインしたゲーム内でも問題が発生した。選択出来る性別が女性のみで男性の選択は不可能だった。なんとか女性アバターを男性的な姿に作る事に成功したが、間違えてランダム作成を押してしまい完成したアバターは幼女だった。


♤守ってください幼女な僕を♡ 

縮めて『守幼』をよろしくお願いします




   特別イベントPVPバトルの強制参加


 シャーロット『棄権したい棄権したい棄権したい棄権したい!僕にバトルなんて絶対無理だよ!』


 僕は呪文ののように『棄権したい』を繰り返したが、強制参加からは逃げられない


イベントスタッフ「こちらにID14837番のプレイヤーは……」


僕は柱の(かげ)に隠れてやり過ごそうとていると


ベニ「すまん、シャーロットちゃん!ここにいます」


 ベニは僕の方を指差してイベントスタッフに居場所をバラした


シャーロット「うわ〜ん、ベニのアホ〜!なんでバラすの?ベニの鬼、悪魔でべそ〜!」


スカイ「ごめんね、シャーロットちゃん……ベニの方が正しいのよ」


黒鎧「よく聞けシャーロット!勝つつもりで行けとはいわん、だが気持ちだけは負けるつもりでは行くなよ」


シャーロット「う、うん『既に泣きそうな僕だけど、黒鎧の言う通り気持ちは負けないよ』」





 闘技場のバトルフィールドまでイベントスタッフに案内されてる僕だが、この短い足が憎い


イベントスタッフ「急いで下さい、間に合いませんよ」


シャーロット「こ、コレでも急いでます」


 結局僕は歩くのが遅いので台車の様な物に乗せられて闘技場の中心まで、このイベントのスタッフさんに連れて行かれた……


シャーロット『ドナドナドナド〜ナ幼女を乗せて〜♪………って今どきこの歌知ってる人いないよなぁ、確か童謡(どうよう)だって婆ちゃんが言ってたな』


 闘技場のバトルフィールドに宅配された僕は、開口1番に伝えるべき事を伝えた


シャーロット「あの僕、戦い方知らないのですが?それと棄権したいです『良し言ったぞ!』」


司会「え?戦い方を知らないんですか?いや棄権はできませんよ!強制参加ですから」


グライト「へへっ、なら楽勝だな!弱そうだしな」


司会「会場皆様、少々お待ちください」


司会「今マイクは切ってあります、戦い方を知らないとはどう言う事ですか?詳しく教えてください」


 僕は司会のお姉さんに職業と使用武器を説明した。


シャーロット『おや?コレって僕は司会のお姉さんに職質(しよくしつ)されてるのか?………よく見ると格好は婦人警官っぽいかも』


司会「なるほど、何をやっても武器が動かないとそう言う事ですね」


シャーロット「はい、それと僕はステータスが低くてその……棄権を『2度目のダメ押しだ』」


司会「いえだから棄権はできません……分かりました、こちらで少々お時間をいただけないでしょうか?」


シャーロット「時間?『くっ、棄権出来ないなんて……あんまりだ〜』」


司会「貴女の武器の使い方を調べます、なのでお時間を……悪いようにはいたしませんから」


シャーロット「それなら、お願いします『う〜ん、使い方が分かるのはありがたいかな……どんな風に戦うのか知りたいし、たぶん「行け、ぬいぐるみ!なんたらかんたら(技の名前)」とかやるのかも』」


 司会のお姉さんはインカムでどこかに指示を出し、超特急で調べてくれた。


 一方、観覧席で見守るスカイとベニと黒鎧は……


スカイ「大丈夫かな?シャーロットちゃん心配だな〜」


ベニ「相手は短剣を使うみたいだな」


黒鎧「短剣はリーチが短い、そこを見極めれば勝機はあるが……」


ベニ「シャーロットちゃんが、相手の攻撃をかわせると思うか?」


スカイ「逃げるにしても追いつかれるわね」


黒鎧「何か対策がなければ、逃げた所を後ろからグサリとやられてしまうな」


ベニ「そ、想像したくねぇ〜」


司会「お待たせいたしました、使用方法が分かりました」


 司会のお姉さんによるとぬいぐるみはスキル『ぬいぐるみ魂込(たましいご)め』を使わないと使用ができない事と使用する種類で攻撃方法が違う事を詳しく教えてもらった。


司会「では、バトルの準備は良いですか?」


グライト「ふあ〜、待ちくたびれたぜ!いつでもOKだ」


シャーロット「大丈夫です、準備できました『本当はやだけどね』」


司会「大変長らくお待たせいたしました、間もなくバトルを行います」


シャーロット「スキルを発動して、ぬいぐるみを動かす……だったよね?良しやってみよう」


シャーロット「ぬいぐるみ魂込め!」


スキル【ぬいぐるみ魂込め】

 スキル効果

✦ぬいぐるみ各種を動かせるようになる

✦特殊個体に使用すると意識を持たせる事が出来る

✦特殊個体は主が不在でも活動可能

(プレイヤーがログアウト中でもユニークNPCとして動ける)


 スキルを使用後、ぬいぐるみ剣士がゆっくりとその場に立ち上がった。


ぬいぐるみ剣士「やっと動けるな!マスターおれのやりたい様に戦うが、いいか?」


シャーロット「ど、どうぞ!遠慮なく『え!喋れるんだ、凄いな』」


ぬいぐるみ剣士「マスターの許可が降りた、なら遠慮なく行かせてもらう」


グライト「な、なんだ〜あのぬいぐるみは!」


司会「まさか喋れるとは驚きです」


司会「ではイベントバトルスタート」


    【特別イベントPVPバトル】


    【グライトVSシャーロット】

       【ファイト】


グライト「先手必勝」


司会「グライト選手がダッシュした」


 グライトは僕の方にダッシュで近づくが、すかさずぬいぐるみ剣士がその進路を妨げつつ小さな剣を鞘から抜刀して斬りかかる


       【ぬいぐるみ剣士】

   LV15 最大HP1500/残りHP1500 


グライト「何!うぉ、危ねえ」


ぬいぐるみ剣士「ちっ、浅かったか」


司会「まさかその小さな剣が使えるとは驚きを隠せません」


ベニ「やるな、あのぬいぐるみの剣士!」


スカイ「ぬいぐるみ使いって、あんな戦い方なんだ……」


黒鎧「あの小さな剣はリーチが極端に短い、だから相手が素早いとかわされるのだな」


 ぬいぐるみ剣士の攻撃をかすりながらもうまくかわしたグライトだが、ダメージを受けHPを減らした。


        【グライト】

    LV12 最大HP480/残りHP319 


グライト「思ったよりも手強いな、あのぬいぐるみ」


ぬいぐるみ剣士「次は外さん」


司会「グライト選手とぬいぐるみ剣士は睨み合っています」


      グライトが攻撃を仕掛けた


グライト「せいっ!」


         キンっ!


ぬいぐるみ剣士「この程度か?」


司会「ぬいぐるみ剣士まだまだ余裕だ〜グライト選手の攻撃を弾き返しました」


 グライトとぬいぐるみ剣士が戦っているあいだ僕はメニューを開いてあるアイテムを取り出した。


シャーロット「えっ〜と、ママゴトグッズから手鏡〜手鏡は〜あった『コレとあのスキルを使えば、何とかなる………たぶん』」


グライト「短剣のリーチがあるのに届かねぇ」


ぬいぐるみ剣士「簡単には届かんぞ」


司会「武器の有利差があるのに、実力はぬいぐるみ剣士の方が上なのかなかなか決着がつきません」


    低い体勢で突進して行くグライト


ぬいぐるみ剣士「そうでもしないとおれに当たらんからな……だが!」


       スキル【瞬速】

✦高速移動が可能になり分身体を作り出す

✦分身体は攻撃されると消滅する

✦疲労度が倍増するため長時間の使用は不可能


グライト「な、なんだと!」


司会「コレは驚きを隠せません」


 ぬいぐるみ剣士が何体もいるように見え、グライトも司会のお姉さんもそして僕も驚いた


シャーロット「ふぇ?増えた!」


ぬいぐるみ剣士「「「フン!キサマではおれに傷をつける事は出来ない」」」


 グライトは1体のぬいぐるみ剣士に攻撃するが、攻撃は当たらずにその1体は消えた



ベニ「アレは黒鎧とは違う残像か?………」


黒鎧「あれは分身体だ!」


スカイ「分身体?」


黒鎧「高速移動の副産物的な物だろうな」


ベニ「副産物的ねぇ」


スカイ「ん〜、全部で13体いや今減ったから12体ね」




グライト「なるほどな、分身してる理由ではないなら片っぱしから切っていけばいいだけだ!」


 グライトは次々とぬいぐるみ剣士の幻を切りつけていき、そして残り2体となった


司会「グライト選手、ぬいぐるみ剣士の幻を次から次へと攻撃しています!」


ぬいぐるみ剣士「「ほう?やるな、だがだいぶ息があがってるな」」


グライト「はぁはぁ、コレくらい屁でもねぇさ!コレでどっちかが本物だな」


 グライトはまず右側にいたぬいぐるみ剣士に攻撃を仕掛けた


グライト「ちっ、こっちは偽物か!ならてめーが本物だ!」


 グライトは手に持つ短剣をぬいぐるみ剣士に投げつけた。


ぬいぐるみ剣士「フン、当たらなければ脅威では無い!」


司会「グライト選手が投げた短剣を、ぬいぐるみ剣士は優雅にかわしました〜」


     しかし、それは囮で本命は……


 グライトは短剣をぬいぐるみ剣士に投げつけたと同時に、反対側に走り出し僕の方へ向かって来た


ぬいぐるみ剣士「何!しまった、マスターお逃げください」


グライト「フハハハッ!残念だったな、コレで終わりだ!」


司会「ぬいぐるみ剣士なんとグライト選手に騙された〜」



ベニ「な、卑怯だぞアイツ!」


スカイ「シャーロットちゃんが危ない!」


黒鎧「コレまでか?『まだだ!まだ終わらない』」



 グライトはふところに隠していたもう一本の短剣で僕に斬りかかろうとしたが……


シャーロット「氷帝眼(ひょうていがん)


        ピキィーン

       パキパキッパキ


 手にしていた手鏡に自分の顔を映して、スキル氷帝眼を使用し自分自身を氷漬けにした。


       【シャーロット】

     LV1 最大HP5/残りHP5

       状態 氷漬け 

 氷帝眼の効果 

✦使用すると左眼の視界に入った対象を氷漬けにできる

✦対象は継続的けいぞくてきに1ダメージを受ける

✦氷漬けの対象に再び使用すると解除できる


グライト「なんだと〜自分を氷漬けだと!」


司会「おおっとコレは、シャーロット選手自分自身を氷漬けにしました〜」


ベニ「う、ウソだろ〜!シャーロットちゃんが……氷漬けに!」


スカイ「氷帝眼……あんな効果があったの?」


黒鎧「フッやるな!『覚えている……このシーンをな、まさかもう一度見る事になるとはな』」


グライト「ならその氷を削るまでだ!」


        ガキィーン


グライト「クソ、硬てぇ!なんだこの氷は?」


 氷帝眼の氷は通常の氷よりも強度が高く魔法使いの炎の魔法でも溶ける事はない


 離れた場所からダシッュで僕の元に駆け戻るぬいぐるみ剣士


ぬいぐるみ剣士「マスター、今行きます!」


シャーロット「う、冷たい……はぁはあ…息もし辛い」


       【シャーロット】

      最大HP5/残りHP3



ベニ「頑張れ!シャーロットちゃん!」


スカイ「もう限界みたい、震えてるよ!」


黒鎧「残りHPはあと3か、間に合うか?『フッ、よくやったなシャーロット!後は、あのぬいぐるみに任せておけば問題ない!』」




ぬいぐるみ剣士「よくぞ耐えてくれましたマスター!後はおまかせを」


         パキィーン


 ぬいぐるみ剣士はグライトの短剣を力任せに折り、そのまま小さな剣で喉元を3連続突きをした


     ズバッ ドスッ ドシュ


グライト「ぐはっ!」


         【グライト】

       最大HP480/残りHP0


 小さな剣でも剣は剣だ、その小さな剣の攻撃力はそこらのナマクラよりも断トツの攻撃力を誇る。


司会「な、なんという事でしょうか!ぬいぐるみ剣士の持つ小さな剣の3回連続の突きでグライト選手のHPが0になってしまった」


シャーロット「氷…帝眼、解…除!」


       【シャーロット】

       最大HP5/残りHP1



     【ウィーナー・シャーロット!】

     【賞金30000en獲得しました】


     【10の経験値が入りました】

      【PVPに勝利しました】

     【637の経験値が入りました】

      【500enを手に入れた】

     【LVUP・LV4になりました】

      【各種ステータスUP+2】

     【スキルを複数獲得しました】

【獲得スキル・隠れる・丸まる・予測・視野拡大】

【獲得スキルと獲得済みスキルの『隠れる』と『丸まる』と『逃げる』と『身体を丸める』が統合され『頭隠して尻隠さず』に変化しました】

    【獲得称号 低LVでPVPの勝利者】



   【シャーロット・ミニステータス】

LV              :1 ➡ 4

HP(体力)           :5 ➡ 7

MP(魔力)           :8 ➡ 10

SP (スタミナ )        :1 ➡ 3

STR(筋力)          :1 ➡ 3

DEX(器用)          :7 ➡ 9

AGI(俊敏)           :1 ➡ 3

TEC(技量)           :6 ➡ 8

VIT(耐久力)          :2 ➡ 4

LUC(運)           :10 ➡ 12



シャーロット『氷帝眼が上手くいったから、良かったけど失敗してたら………考えたくないな』


大観衆「わ〜〜〜」


    イベントは大いに盛り上がった!



司会「シャーロット選手が勝ちました!勝ったシャーロット選手には記念品を贈呈(ぞうてい)します」


司会「これにてこのイベントは終了いたします」


 戦いが終わり僕はその場にへたり込んだ


ぬいぐるみ剣士「マスターお疲れ様でした!」


シャーロット「あ、あり……がとぅ『うわっ、口の中凍っててうまく喋れないな』」


ぬいぐるみ剣士「マスター!気を確かに!」


司会のお姉さん「こちら無料の回復ポーションです!飲めますか?」


シャーロット「だ、だい…じょ……のめ…『くっ、手が震えて持てない』」


 自力で飲むのは難しいと判断したのか、司会のお姉さんが抱きかかえて飲ませてくれた。


 見た目の状況的にはほぼ赤ちゃんにミルク状態だ


       僕のHPは全回復した


        【シャーロット】

        最大HP7/残りHP7


シャーロット「お、お手数をおかけしました『恥ずかしいな』」


司会のお姉さん「いえいえ、噂の幼女をこの手で抱けたので役得でしたよ」


シャーロット『噂の幼女ってなんだ?僕の事か』


ぬいぐるみ剣士「マスター、ご気分はいかがですか?」


シャーロット「もう、大丈夫だよ!『口の中の凍った状態もなくなったし』」


ぬいぐるみ剣士「マスター、あまり無理はなさらずにお願いします……心臓に悪いので!」


心司会のお姉さん「あれ?ぬいぐるみ剣士さんは心臓があったのですか?」


ぬいぐるみ剣士「もののたとえという事にしてくれ!」


シャーロット『確かに!ぬいぐるみなのに心臓があったら怖いよ!ガクブルだよ』


司会のお姉さん「それはそうとぬいぐるみ剣士さんはなぜ喋れるのですか?」


ぬいぐるみ剣士「マスターのおかげとしか言えんな」


シャーロット『僕、何もしてないけど?』


 僕はまた台車に乗せられて選手の控え室に移動させられた、司会のお姉さんが記念品を持って来てくれるというのでそれまで待っていた。


グライト「よう、やるなお前」


シャーロット「まぐれです『氷漬けになっただけだよ?僕、何もしてないけど?パート2』」


ぬいぐるみ剣士「………」


グライト「まぐれでも勝ちは勝ちだ!」


シャーロット「勝ちかぁ……『負けてもおかしくはなかったのに勝てたのか僕』」


グライト「ぬいぐるみ!お前も強かったぜ」


ぬいぐるみ剣士「おれはまだ強く無い、マスターを危険に(さら)したからな」


グライト「だけどまぁ、楽しかったぜ」


シャーロット「楽しかった?なんで」


グライト「お前もぬいぐるみも諦めずに戦っただろ?だからこそ楽しめるってもんだPVPってのはよ」


 グライトはニッと笑い、僕とぬいぐるみ剣士に親指を立てた


シャーロット『ソレ、ベニもやってたけど?僕はやっぱり親指姫なのかな?ちょっと泣きそうだよ』


司会のお姉さん「お待たせしました、コチラが記念品となります」


 受け取った記念品はぬいぐるみ弓使いだった。


 まだ観覧席にいるベニとスカイと黒鎧は…


ベニ「まさかシャーロットちゃんが勝つとはな」


スカイ「あのぬいぐるみ剣士、かなり優秀ね」


黒鎧「面白いものが見れたな!オレは行くがシャーロットに伝えてくれ、初勝利おめでとうとな」


ベニ「あぁ、わかった伝えとく」


       黒鎧は去って行った


スカイ「会ってあげてもいいと思うけどね」


ベニ「さて、お姫様を迎えに行かないとな!」


スカイ「それやめてあげてね、本当に嫌がっているから……」


 スカイとベニは選手控え室に向かった


 ぬいぐるみ剣士はこの体は魂を込めてもらった事でこれから先もずっと動けて主を守り続ける事が出来るのだと語った。


ぬいぐるみ剣士「マスター!おれは貴女にどこまでもついて行きます」


シャーロット「武器としてしまう事はできないんだね?」


ぬいぐるみ剣士「えぇ、ですが如何(いか)なる危険からもお守りするとここに誓いましょう」


 僕がまるで王族でもあるかの様に膝まずいているぬいぐるみ剣士。


      スカイとベニがやって来た


スカイ「やったね!シャーロットちゃんの初勝利だね」


ベニ「まさか勝つとは……」


シャーロット「まぐれだよ」


ぬいぐるみ剣士「マスター、先ほどの者が言ってた通りまぐれでも勝ちは勝ちです」


シャーロット「そうだね、でもそのおかげでほら新しくぬいぐるみ弓使いを手に入れたよ」


 ぬいぐるみ剣士と同じサイズの、ぬいぐるみ弓使い……


ベニ「ぬいぐるみ弓使いか」


スカイ「剣士と弓使い……次は魔法使いだったらあたしとW魔法とか出来たりして、な〜んてね」


シャーロット「W魔法か、面白そう……あれ、黒鎧は?」


スカイ「「初勝利おめでとう」って伝えて欲しいとか言って去ったわ」


シャーロット「……行っちゃったのか『初勝利おめでとう……か、僕もやれば出来るんだな!』」


  初勝利で少しだけ自信が持てた僕だった


ベニ「闘技場のイベントはもう終わりみたいだな」


スカイ「そうね、ログアウトしてお昼ご飯でも食べましょう」


シャーロット「確かにお腹空いた気がする」


ベニ「なら、この闘技場エリアの個室でログアウトするか?」


スカイ「個室?そんなのあるの」


ベニ「その個室が宿屋と同じ安全エリアだ」


スカイ「それは1人部屋なの?」


ベニ「最大5人までだったなそれで、今は3人と1体か余裕だな」


ぬいぐるみ剣士「おれは、マスターの武器だカウントするな!」


スカイ「やっぱり武器扱いなんだね」


ベニ「だけどよう、テイムモンスターと同じ扱いにならないか?ぬいぐるみなんだからさ」


ぬいぐるみ剣士「くどいな!それにおれはテイムモンスターでは無い」


 その個室とやらまで移動して、みんなで入りログアウトをした。


 僕が現実世界に戻るのはまたしばらくかかった、例の真っ白な空間でAIとお喋りだ


       



〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰



       そして現実



萃香「当溜?」


紅優「おい、当溜!」


当溜「ん、萃香に紅優?どうしたの」


萃香「なかなか戻って来ないから心配してたのよ」


紅優「驚かすなよな!」


当溜「またあの真っ白な空間にいたんだよ!」


萃香「ホーム?まさか毎回そこに連れて行かれてるの?」


当溜「今の所、ログインとログアウトの時はそうだね」


紅優「なんとも厄介だな………」


当溜「それよりもお腹減ったよ」


紅優「確かに減ったな」


萃香「良し!ならあたしが腕によりをかけて、美味しい料理をご馳走してあげるわ」


 僕がお腹が減ったと言ったら、それならと言って萃香が手料理を振る舞ってくれる事になった。


 キッチンで料理を作る萃香、そして僕はリビングで待っている


 紅優は撮影したビデオを見て、おかしな所がないかをチェックしていた


当溜『紅優なんか真剣に見てるな、僕がヘッドギアを被っている動画をそんなにじ〜と見るなよ!穴が空きそうだよ』


 エプロン姿の萃香が出来上がった料理を運んで来て、なんかいつもと違うなと思ったら髪をポニーテールにしているせいで萃香ではなくスカイに見えたよ。


萃香「お待ちどうさま!どうぞ召し上がれ」


紅優「スゲ〜料理の数だな!」


萃香「こう見えて結構、料理はしてる方だけど?」


紅優「いや、コレは作り過ぎだ」


当溜「どれも美味しそだなぁ、どれにしようかな」


萃香「コレ自信作なの美味しいよ、はいどうぞ!」


当溜「ありがとう『た、卵焼きだ!美味しそう』」


 食卓に並べられた料理は卵焼き・唐揚げ・ハンバーグ・チヂミ・炒飯・餃子・焼きそば・サラダと少々偏っているけど、どれも美味しそうだった。


 紅優が旨い旨いと食べてしまい、あんなに沢山あった料理がほとんど無くなった。


 僕が食べれたのは身体のサイズもあってか、少量しか食べれなかったがどれも美味しかった。


萃香「デザートあるけど食べる?」


紅優「もう流石に食えないって!」


 萃香がデザートとして持って来た中にプリンがあった


当溜「プリンなら食べる『甘いものは別腹だ』」


萃香「はい、プリン」


紅優「マジか!」


 後かたづけを萃香と紅優がやっている、僕はこの短い手足では何の役にもたたないので大人しくソファーに座ってスマホで読めるラノベを読んでいた。


当溜『このラノベの主人公なんでこんなに楽しそうなんだろう?やっぱり冒険物って自分で戦わないと面白くないとか?イヤイヤ僕は戦えなくてもあのゲームは楽しいよ』


 小さくなった手ではスマホは大きく、テーブルの上に置いて読んでいたら………


萃香「はい、コレやり直し!もっと泡を落として」


紅優「へいへい!」


萃香「もう、コレもやり直し!汚れ落ちて無いからね」


紅優「………コレ?だいぶ落としたけどな?」


当溜『紅優と萃香のやり取りがなんか面白いな、僕が皿洗いのバイトを初めてやった時みたいだ』


 しかし、しばらく無言で皿洗いをしていた2人だったが


萃香「やっと終わったわ、紅優がつ・か・え・な・く・て・ね!」


紅優「ちゃんとやっただろ?どこが使えないんだよ!」


萃香「全部よ!全部、使えないのよ!汚れ落ちてないし泡まみれなんて、普通ないでしょ!」


紅優「そうかよ!」


萃香「何よ!その言い方」


紅優「萃香だってキツイ言い方だろ!」


萃香「あたしは事実を言ったまでよ!だいたい紅優は適当過ぎるのよ」


紅優「俺のどこが適当だって言うんだ!」


 ん?何やら険悪なムードだな……僕はどうすればいいんだ?とりあえず止めよう


当溜「け、喧嘩は駄目だよ2人とも」


紅優「喧嘩を吹っかけてきたのは萃香だ!俺じゃない」


萃香「あたしが悪いって言うの?」


紅優「もう、話しになんねえな!」


  紅優は自分の荷物をリュックの中に入れ始める


萃香「ちょっと何してんのよ、紅優!」


紅優「悪いな!当溜、俺帰るわ!」


当溜「え、帰っちゃうの?」


萃香「あっそ、好きにすれば!」


紅優「じゃあな!」


    そして紅優は本当に帰ってしまった


         バタン


萃香「何よ!ちょっと使えないって言っただけじゃない!それなのに紅優は……」


 紅優の気持ちもわからなくもないし、萃香の気持ちも今の僕にはわかる


 お互いにすれ違っただけなのにわずかなズレで仲が悪くなる事は世の中沢山あるが、僕は萃香と紅優には喧嘩して欲しくはない


萃香「ってごめんね当溜」


当溜「泣かないで、萃香」


 昨日とは逆で今度は萃香が泣いている。


当溜「大丈夫だよ、紅優もしばらくしたら元通りだからね」


萃香「今一番辛いのは当溜なのに、本当ごめんねこんなくだらない事で喧嘩して……」


 僕にしてくれたように、萃香を慰めてあげた。






萃香「もう、落ちついたから大丈夫よ」


当溜「無理はだめだよ」


萃香「うん」


 潤んだ瞳で僕を見つめる萃香、僕はその瞳から目を背ける事はできなかった。


当溜『萃香と紅優が喧嘩ね……昔もあったなぁそんな事が何回も、それで結局は紅優の方が謝ってた』


萃香『今の当溜は幼女寄りでは無いみたいね、慰めてもらっちゃった………絵本とかのおとぎ話では王子や王女のキスで元に戻るのよね』


当溜『なんでじっと僕を見てるの?うっ、目をそらせないな(まばた)きはOKかな?』


萃香『今なら紅優もいないし、試してみようかな……でもキスよキスなのよ!しちゃいけないわ!』


当溜『むぅ、瞬きだけしよう!目が痛い!』


萃香『でもコレはチャンスなのよあたし、当溜を元に戻すためよ!決してやましい考えで行動するわけでは無いからね』


当溜『目が乾燥してるっぽいな、目薬さしたいぃ〜』


萃香『やるのよあたし!今を逃せば2度とチャンスは訪れない、たとえ元に戻らなくても試しにキスしただけって言えば当溜も納得してくれるはずよ』


当溜『萃香はなんで僕をじっと見てるんだろう?はっ、もしかして口のまわりにハンバーグのソースが付いてるのかも……どのみちこの状態が終わらないと拭けないな』


萃香『キスの仕方は……………え〜?あたしキスの仕方知らないよ……した事ないし』


当溜『あ〜でもあのハンバーグ美味しいかったな〜肉汁たっぷりのハンバーグなんて初めて食べたし……昔婆ちゃんが作ってくれたのはハンバーグではなかったのだと、改めて知ったよ!アレはハンバーグモドキだったんだな』


萃香『待って今思い出したかも少女漫画で見たわ、確か鼻が当たらない様にどちらかが顔を傾けてたわね』


当溜『そうだ、婆ちゃんが作ったハンバーグモドキにはなんか魚の骨みたいなのがあったな……それに焼いてなくて茹でた?煮た?感じだったな』


萃香『落ち着け〜落ち着くのよあたし、良し覚悟は出来たわ!』


     とことん思考がすれ違う2人


 しばらくじっと見つめてくる萃香、その瞳に映る幼女な僕………


当溜『この状況いつ終わるの?』


萃香『これは当溜のためなのよ……今からする事を恨まないでね当溜!』


 

紅優と萃香は仲直りできるのでしょうか

そして萃香は当溜にキスをしちゃう?

次回は幼女領域ママゴトです

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