ログイン5 幼女と腕輪
貧乏高校生 当溜。格安ボロアパートに住みバイトをして生活費を稼ぐのが彼の毎日だった。明日から学校が夏休みに入る事で浮かれていた時に偶然おもちゃ屋で最新のVRヘッドギアを見つけ購入した。さっそくVRゲームを始めたまでは良かったのだが、本来なら無いはずのVRヘッドギアのホームにログインを果たした。彼は大嘘をつくAIの言う事を真に受け全てにYESと応えてしまった。身体構造スキャンを許し、問題箇所のリペアとしてハルモニア光なる謎の光を実際の身体に照射された。問題は解決したのだとAIに唆されてゲーム世界に送り出されてしまう。しかしこの事が当溜の生活をガラリと変えてしまう重要な出来事だった。ログインしたゲーム内でも問題が発生した。選択出来る性別が女性のみで男性の選択は不可能だった。なんとか女性アバターを男性的な姿に作る事に成功したが、間違えてランダム作成を押してしまい完成したアバターは幼女だった。
♤守ってください幼女な僕を♡
縮めて『守幼』をよろしくお願いします
僕は朝から早く起きていて萃香の部屋まで来ていた、もちろん起こしに来ただけだ。
昨日は一緒にお風呂に入った仲だけど、部屋は別がいいと頼んで空室だった部屋にしてもらった。
当溜『流石に一緒に寝るのはNGだよ!まぁたぶん、ぐっすり寝ちゃうから大丈夫なんだけど僕まだ告白とかしてないからそういう関係ではないので別の部屋にしてもらって良かったよ』
空室と言っても家具はあったしベッドもある、どうやら僕が使った部屋はお客様用の部屋だったようだ。
当溜『この部屋ぬいぐるみが沢山あるな……ヒマだし、後で幼女ごっこして遊ぼうかな』
萃香はやっと起きてくれたのでお腹が空いた事を伝えると、朝食を用意してくれたので美味しくいただく僕。
朝食はハニートーストで蜂蜜がだっぷりかけてあり甘くて美味しいかったし、よく冷えたミルクに粉のココアを混ぜたミルクココアが僕の喉を潤した
ちなみに昨夜はお風呂上がりに萃香がよく頼むお寿司屋の出前を取り、届けられた高級お寿司を2人で食べた
僕は今まで食べた事のない高級お寿司を食べたらすぐに眠くなり、用意してもらった部屋で朝までぐっすり眠った
当溜『たぶん疲れてたんだよ、いろいろあったからな』
萃香「『昨夜はなかなか眠れなかったわ……あの感じだと当溜はぐっすり寝れたみたいね、羨ましいわ』ふぁ〜少し眠いわね」
「ピロん」
萃香「ん?紅優からREONね……「今からそっちに行く、起きてたら返事をくれ」って、いつも思うけどなんか硬いのよ紅優のメッセージは絵文字とか使わないのかしら?」
パーカーと短パンに着替えた萃香は、昔よく着ていたお気に入りのワンピースを僕に着せ紅優にREONの返信をしていた。
この姿で紅優に会いたくないから僕は今、逃走中だ!もちろん部屋にだけどね。
部屋にあった姿見の鏡でワンピースを着ている自分の姿を見る僕
当溜『萃香のおフルかぁ……………まさか僕自身が着るなんて思ってもいなかったよ』
一方萃香は紅優が来るのを待っていた
萃香「それにしても、来ても何もやる事ないのに……何かするつもりなの紅優は?」
「ピンポン」
インターホンのチャイムが鳴った
紅優が来たのでロックを解除し、数分後に萃香は紅優を出迎えに玄関に向かった。
紅優「おはよう萃香、当溜は?」
萃香「おはよう、自室よ『開口1番が当溜って……………あたしの服装は褒めてくれないの?』」
紅優「自室?どこか具合いが悪いのか」
萃香「なんか恥ずかしいって行っちゃったわ『あたしのお気に入りだったおフルを着せたからね、恥ずかしいがるのも無理ないわね』」
紅優「恥ずかしい?」
萃香「まぁ、とにかくあがって」
紅優は簡素なシャツにジーパンと背中にリュックを背負っていた。
昨日と同じリビングに案内して、来た要件がなんなのか萃香は聞いた。
萃香「それで朝一番で来た理由は?」
紅優「あぁそうだな、ちょっとコレを見て欲しくてな!」
紅優はわざわざ持って来たノートPCをテーブルに置いて、画面を見せてきた。
萃香「コレは紅優の幼女コレクション?」
紅優「ちげぇよ、この幼女たちは全員VRゲームをしていたプレイヤーだよ!しかも大半が大人だ!」
萃香「こんな幼女がプレイヤー?どう言う事なの」
紅優の話しではPC画面に映し出された幼女たち全員が現在、行方知れずになったプレイヤーたちだった事がわかったと言っていた
そしてさらに
紅優「この幼女たちは現在保護観察されているんだ」
萃香「保護観察?なんでなの」
紅優「まぁ、コレも見てくれ」
紅優は画面の中の幼女1人を拡大して見せた。
萃香「この子がどうかしたの?」
紅優「よ〜く見てくれ、手首を」
言われた通り見てみると、手首に腕輪らしき物が見える。
萃香「コレって当溜と同じ腕輪?」
紅優「やっぱそう思うよな、色は違うが形状は同じ!たぶん材質も同じだろうな」
萃香「なんでこの腕輪が……だってアレはもともと違う形で」
見せられた映像の全ての幼女が同じ腕輪をしていた。
言葉に詰まる萃香に紅優は、さらに衝撃的な事を言った。
紅優「もっとヤバい事がある、さっきこの幼女たちはVRゲームプレイヤーって言っただろ?だけどこの幼女たちがやっていたゲームは皆同じタイトルでそのゲームソフトのタイトルは【忘却のイディア】だ」
萃香「ゲームが原因って事?」
紅優「しかもβテストプレイヤーたちだ」
萃香「嘘!……なんで?当溜はβテストプレイヤーじゃ無いのよ!」
紅優「まぁそこは俺も疑問だらけだ、俺たちもβテストプレイヤーだったがなんともないのは単純に選ばれなかったとしか言いようがないな」
萃香「ひょっとして、行方知れずなのは選ばれたって事なの?」
紅優「おそらくそうだろうな、そして名目上では保護観察としてネットに情報を公開しているといった所かもな!それとコレを見てくれ」
そこに映っていたのは、真っ白な空間に幼女がいる動画だった。
萃香「真っ白な空間!当溜が言ってたのと同じ?」
紅優「これは幼女になったプレイヤーの1人が、VRの中で見た映像を記録できるアプリを使って記録した動画だ」
萃香「本当に、何も無いわね……」
紅優「それとやはり、AIの姿も確認できていないって事だ!ボイスだけのAIだ」
萃香「あたしだったら、あんな真っ白な空間にずっといたらおかしくなりそう」
紅優「それとなこの幼女たち全員、知能の女児化が確認されているんだ」
萃香「知能の女児化?なんなのそれは」
紅優「言葉の通り、知能が女児並みに低下する事、保護した時は達者な言葉使いが時間とともに低下していったと俺が読んだネット記事に書かれていたよ」
萃香「さっきの幼女たちは今、どこにいるの?」
紅優「特別警護の児童養護施設だ、そこで全員が保護観察中」
萃香「それって……」
その児童養護施設はとある県の山奥にあると言っていた。
しかし、どんなに調べてもこの施設は白でしかなく疑う要素が1つもなかったと紅優は言った
紅優「それとな……1人だけが現在病院に入院中なんだ」
萃香「入院中?なんで」
紅優「例の腕輪をな……医療機関での除去をおこなった結果、腕輪を外す事には成功したが現在進行系で意識が戻らないそうだ」
萃香「なっ!そんな事って……」
紅優「コレがその幼女の様子を記録した動画だ」
萃香「眠っているみたい……………………………嘘!やだ、もう見たくない」
萃香はPCの画面から目を離し、顔を手で覆った
紅優「悪い、大丈夫か?」
萃香「当溜も腕輪が取れたら、こうなうちゃうの?あたしはこんなふうになった当溜は見たくないよ!」
紅優が見せた動画は早回しだが1日経っても1週間経っても1ヶ月経っても、幼女はぴくりともしなかった。
しかし心電図と脳波計が動いていたから生きている事は確認出来る、だが見てて辛くなる動画だった。
紅優「悪いな配慮が足らなかった……だがもう少しだけ聞いてくれないか?」
萃香「……わかったわ」
紅優「さっき腕輪を外したと言っただろ?その腕輪が次の日には保管室から忽然と失くなっていたらしいんだ」
萃香「腕輪が?」
紅優「それと同時に別の場所にあったVRヘッドギアも保管室から1つ消えたと記事に書いてあった」
萃香「なんで関係無いVRヘッドギアまで?いったい誰が持っていったの?」
紅優「それはわからない、昨日当溜の手首に巻きついた例の物体も腕輪になってるしその腕輪は何やっても取れなかっただろ?」
萃香「お風呂に入る時に試したけど、やっぱり取れなかったわ……」
紅優「風呂入ったのか……」
紅優は少し挙動不審になった
萃香「『あたしと当溜がお風呂に入ったと聴いた紅優は何かを想像しているみたいね、たぶんあたしの裸ね……それとも当溜の裸とか?たとえ妄想でもあたし的には犯罪よ!』」
萃香は自分の裸はもちろん、当溜の裸(幼女の裸)まで想像していると思い紅優に詰め寄った
萃香「ちょっと紅優!いやらしい想像しないでよ」
紅優「してない、してないって!」
萃香「どうだか……」
疑いの眼差しで見る萃香
紅優「いや、ホントに想像なんてしてない!ただ当溜の身体に何かなかったのかと聞きたくて……」
萃香「身体に何かってなによ、エッチ!」
紅優「違うエッチ違う、アザが浮き出てるとかそういうヤツだよ!」
萃香「アザ?ん~~なかったわね」
紅優「そうか……」
萃香「何?アザがあったら何かあるの」
紅優「例の幼女たちのPCに変な文面が残っていたらしいんだ」
萃香「その文面の内容は?」
紅優「言うぞ「アザありし者、選ばれし者なり、ヤク○○の試練を受けよ」って文面だ」
萃香「その○○は何」
紅優「そこだけが読めない文字だったらしいな」
萃香「「ヤク○○の試練を受けよ」ってヤクヨケ?ヤクソクでもないわね……何かしら」
紅優「当溜にアザが無くてよかったよ」
紅優は紅優なりに当溜を心配している、紅優が徹夜で調べて知った事はわずかな情報でしかないが前進はしていると萃香は思った。
萃香「それで、コレからどうするの?」
紅優「もう一度当溜にはゲームにログインしてもらおうと思う」
萃香「なんで!ゲームが原因なのに、またログインをする意味は何?」
紅優「俺たちはすでにゲームで当溜に合ってるって言ったらどうだ」
萃香「ゲームで合ってる?当溜と……………………あっ!まさかシャーロットちゃん」
紅優「そうだ、俺もシャーロットちゃんだと思うんだ!だから確かめるため当溜には是非ともログインしてもらう」
萃香「今聞けばいいんじゃないの?」
紅優「確かに今聞けば早いが、気になる点がいくつかあってその確認も兼ねている」
萃香「気になる点?」
紅優「その確認をするためには……」
そう言うとリュックからVRヘッドギアを取り出し、ニヤリと笑う紅優。
萃香「用意が良いこと……」
紅優「まぁな!」
萃香「すぐログインするの?」
紅優「いや、まず当溜のログインを見届けてからだ」
萃香「ちゃんとログインしてるかどうかね」
紅優「ああ、それとコレだ!」
紅優はさらにリュックから取り出したモノを見せてきた。
萃香「ビデオカメラ?録画でもするの………あっ!ログアウトの時はどうなってるかをそれで撮るのね」
紅優はわりとレトロなビデオカメラを、萃香に見せた
紅優「御名答!俺たちもログインしてたらそこが見れないからな」
萃香「『紅優が当溜のためにここまでやるとは正直思ってもいなかった、紅優も必死なんだ当溜を元に戻す為に………』」
萃香は当溜のために何も出来てないと思っていた。
一緒にお風呂に入り・ご飯食べ・着替えさせるそんな些細な事しか出来てない自分に苛立った、そして紅優が当溜のためにやった事を正直凄いと関心していた。
紅優「どうした?暗い顔して」
萃香「紅優は凄いって、正直思ったのそれに比べてあたしが当溜にしてあげられる事は少なくて……」
紅優「なんだ、そんな事か」
萃香「そんな事って酷くない?あたしは……」
次の言葉を言おうとした時、紅優が萃香の頭を撫でた。
紅優「馬鹿だな〜、萃香に当溜の事を任せているから俺は俺で動けるんだ!役にたってないなんて事は無い!」
萃香「あ、あたしは役にたってるの?」
紅優「あぁ、充分役にたってるさ!なんせ俺じゃ当溜と一緒に風呂にも入れないしな!男同士なのにな」
萃香「ば〜か!このスケベ……でも、ありがとう」
萃香「『紅優とあたしは別に恋人同士でもないけど、今ちょっとだけ甘えてもいいかなって思っちゃった』」
紅優「良し、当溜の部屋はどこだ?」
萃香「手前の部屋よ」
萃香と紅優は部屋のドアを軽くノックしてから中に入った。
当溜「ねぇ、うさぎさんなんでそんなにカワイイの?『紅優来たのか……うわっ…や、やだな見られちゃったよ!僕の幼女ごっこを……』」
紅優「なぁ萃香、当溜の知能の低下……………進んでね?」
萃香「さっきまでは普通だったのに、なんで?」
たった今、紅優の存在に気づいた振りして僕は紅優に駆け寄って抱きついた。
当溜「紅優〜!『とりま幼女の振り攻撃!』」
紅優「おっと!」
僕は紅優に抱きついた後、満面の笑みで紅優を見上げてみた。
当溜「紅優!遊ぼう『そして、お前もこっち側に来い!そうすれば僕の幼女ごっこはなかった事なるはずだ〜』」
紅優「当溜……『可愛いな……じゃ無くて、こんな当溜を見るのは辛いな』」
萃香「あのね当溜、今から面白い遊びをするんだけどやる?」
当溜「面白い遊び?やるやる『なんだろう?面白い遊びって……』」
2人はなんと僕にヘッドギアを被せて来た、ゲームをやれというのか?いいだろうやってるさ。
当溜『でも、僕は1人じゃ戦え無いんだった……どうしよう』
紅優は持って来たビデオカメラをセットしていた、それを僕はヘッドギアの隙間から見た
当溜『なんだ何を撮るんだ、僕の恥ずかしい姿か?それをお前は後でた〜〜っぷり楽しむのか紅優!』
萃香「当溜それじゃあ、電源ボタンを押すから「シンクロハルモニア」って言うのよ!わかった?」
当溜「うん、わかったシンク……」
紅優「わ〜ちょっと待て当溜!まだ萃香が電源ボタンを押してないからな」
当溜「早く押して〜『ここも幼女っぽく』」
萃香「押したわよ当溜」
当溜「シンクロハルモニア」
キュイーンとヘッドセットから音が鳴り、僕は仮想世界にダイブした。
萃香「はあ〜、なんか疲れたわね」
紅優「本当にこれじゃ小さい子供だな……良し俺たちもログインだ」
萃香「OK」
萃香たちはリビングに戻り、そこでゲームにダイブした。
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スカイ「ここは宿屋の部屋ね」
ベニ「ここで俺たちはログアウトしただろ?」
スカイ「シャーロットちゃんは、確か隣の部屋ね」
まずは部屋を出て廊下で待つベニとスカイ。
が、しばらく経ってもまだ出て来る気配は無い。
ベニ「やけに遅いな?」
スカイ「例の真っ白な空間にまだいるのかもね」
そして、ようやく僕はゲームにログインできた
〘ログイン2日目〙
シャーロット「やっとここまで来たな!」
真っ白な空間にまたAIと自分だけになっていた僕は、ゲームにログインするのに時間がかかってしまった。
というのもAIが検査だとかテストだとか言って、いろいろ僕になにかをやらせて来たので時間がかかった。
部屋を出るとそこには、見知った2人のプレイヤーがいた。
スカイ「おはよう、シャーロットちゃん」
ベニ「おはよう、シャーロットちゃん」
シャーロット「あ、スカイとベニ!おはよう『なんでいるんだ?こんな朝早くに!』」
なぜか僕が喋っている事に驚き、スカイはベニにコソコソ内緒話をした。
スカイ「(ちょっとベニ、どうなっているの?)」
ベニ「(俺もわからないぞ!シャーロットちゃんは当溜じゃないのか?)」
シャーロット「どうかしたの?『なんだ?』」
スカイは僕に愛想笑いをしていた、何か聞きたい事でもあるかの妙にそわそわしていたが……
まだチェックアウトを済ませてないスカイとベニは僕を自分たちが使っていた部屋に連れ込んだ。
スカイ「ここなら誰にも聞かれないわ……ちょっと聞きたい事があるのよ」
シャーロット「聞きたい事?『初心者に聞きたい事って何?』」
ベニ「………シャーロットちゃん、単刀直入に聞くがキミは当溜なのか?」
シャーロット「え!なんで僕の名を?『何!なんだコイツはストーカーか?どうやって調べたんだ!変態だキモっ!』」
スカイ「……本当に当溜なのね」
シャーロット「そうだけど?あなたたちはいったい誰ですか?『スカイも?なんだどうなっている』」
スカイ「あたしは萃香よ」
ベニ「俺は紅優だ」
シャーロット「はぁ?なんで萃香と紅優が……『馬鹿な!どんな冗談だコレは……はっ、まさか幼女の振りがバレてしまったのか?いやそれなら現実で聞けばいい話しだな……じゃあなんだ、今のこの状況は?』」
全身から汗が出そうだと思ったが、ここはゲームの中だから汗は出なかった
しかし、別に幼女の振りがバレた理由ではなく何かの確認のために正体を明かしたようだった
萃香と紅優は現実の事を僕に詳しく語り、そして紅優は自分が調べた事を話してくれた。
シャーロット「それじゃあ、今僕は幼児のような言動と行動をしているって事?『それ演技だけどな、良かった幼女の振りバレてなかったよ、ふぅ~』
スカイ「えぇそうよ、さっきまでぬいぐるみで遊んでいたわ」
ベニ「お前が覚えているのはどの辺りまでだ?」
シャーロット「えっと、萃香の家で服を選んでそれから……アレ?こっから先が曖昧だな『くらいが妥当か、こっから先はあきまへんよシャーロットはん思い出すのはあきまへん………って僕どこの方言喋ってんの?』」
スカイ「つまり腕輪もわからないわけね」
シャーロット「腕輪?なにそれ『あの落ちつくヤツだな、さわり心地もいいし……ゲームの中では付いてないな』」
知らぬ存ぜぬとまるで身に覚えがないように振る舞い悲劇のヒロイン………間違えた悲劇の僕を演じた
ベニ「なんでかはわからないが、今は意思の疎通が出来てるな」
スカイ「まともに会話が出来るのは、ほっとするわね」
シャーロット「なんかごめん、僕のせいでそんな事になってるなんて『ホントごめん、意識はっきりしててごめんよ………僕の他にも幼女になって知能が低下してる人がいたなんて聞いたからなけっこう罪悪感があるよ』」
ベニ「気にすんなよ!それよりアパートとバイトどうすんの問題だ」
スカイ「意思の疎通が出来る今しか聞けないわね」
シャーロット「アパートは大家さんに連絡して、電気ガス水道を止めてもらわないと!それからバイトは今は無理だから辞めるしかないかな……『今の僕が連絡してもいたずらで終わりにされるのがオチだからな』」
ベニ「全部任せとけ!俺がやっとく」
シャーロット「ありがとう、大家さんとバイト先の連絡先は僕のスマホに入ってるよ『紅優すまん!後は頼んだ、幼女な僕では何も出来ないから任せたよ!こういう時って頼りになる男子がいると助かるよね〜女子としては………え?女子じゃないよ何言ってんの僕!』」
スカイ「学校は今は夏休みだからいいけど、休み明けまでに元に戻れなかったら休学届けを出すしかないわね」
ベニ「他の問題はなんかあるか?」
シャーロット「ネットとスマホ代くらい……あと役所とかかな?『あとは……無いな』」
スカイ「その他はないの?」
シャーロット「う〜ん、コレといってとくには何もないかな『あっ、アパートの庭の隅に咲いてる花の水やりを……やっぱり辞めとこうこんな事頼めないよ!僕の癒やしの趣味なんて……』」
ベニ「良し、あ〜悪いな今すぐログアウトしてくれないか?」
シャーロット「え、今?ちょっとだけゲームしたいだけど……『せっかくログインしたのに、もう終わりとかないって!ちゃんと宿題やるからもう少しやらせて〜…………宿題出てたっけ?』」
スカイ「ベニ少しくらいいいじゃんない?」
ベニ「そうだな………悪かった、ちょっと焦り過ぎた」
シャーロット「いいよ、それより何か楽しめる事ない?『僕でも楽しめる事だからね!』」
スカイ「そうね、闘技場とかいいじゃない?」
シャーロット「闘技場?『わくわくするけど僕は戦え無いしな』」
スカイ「行けばわかるわよ」
シャーロット「そう?『スカイは萃香だったのか……どおりであの時知ってる感じがしたのはそのせいかゲームで森に行く時抱っこされて、そして現実に戻った時に抱きしめられた感覚が同じに感じたのは気のせいじゃなかったんだな』」
ベニ「アイツがいたらリベンジマッチだ!」
シャーロット『しかしコイツと紅優が同一人物だったとはな……』
どおりで似てると思ったよ………ん!ちょっと待てよ、って事はゲームの中では僕にしたようにああやってちょくちょく幼女に声かけしてんのか!キモいイケメン略してキモメンか?
ベニ「どうした?」
シャーロット「………別になんでもない……『よ、幼女ハンターベニか恐ろしいな』」
スカイ「そうだ、今まで通りシャーロットちゃんって呼んでいいかな?」
シャーロット「いいよ『流石に本名はやめて欲しいよ』」
ベニ「じゃあ、俺もシャーロットちゃんって呼ぶからな!」
シャーロット「あぁ、いいんじゃないか(棒読み)『ベニ及び紅優からはなるべく距離をとろう、身の危険を感じるぞ………女の勘ではなく幼女の勘だな』」
そして僕らは闘技場へと向かった
闘技場それは戦うための場所でプレイヤーが一対一の真剣勝負をする所、勝っても負けても恨みっこ無しだ。
ルールは簡単で相手のHPを0にすれば勝ちで、逆に自分のHPが0になると負けとなる。
闘技場ではパーティー同士のバトルも出来るのだと教わり、ルールも一対一のルールと同じく相手全員のHPを0にすれば勝ちとなるらしい
さらにレアなアイテムや武器、防具を賭けて戦う特別ルールもある。
ベニ「アイツはどこだ〜」
スカイ「わざわざ探さなくても……」
シャーロット「それにしても、凄いねどこを見ても人ばかりだ『こんなに大勢が見てる所で戦うなんて、僕には出来そうもないな』」
闘技場は戦うだけでなく観戦も可能なため、沢山のプレイヤーが他人の戦いを見に来ていた。
大観衆「わあああぁ〜〜〜」
スカイ「凄い歓声ね」
シャーロット「誰が戦っているんだろう」
ベニ「あ、アイツだ!」
闘技場の中心のバトルフィールドには双剣を使うプレイヤーがいた。
シャーロット「あ、黒鎧だ!」
司会「お〜と、また勝ちました!5試合とも圧勝です」
黒鎧「弱すぎるな……」
ヘモグロピン「強すぎる、こんな奴に勝てっこねぇな……」
次の対戦相手は黒鎧が、たった今戦っていた人の仲間のようでずいぶん怖気づいる様子だった
司会「あらら、もしかして棄権するのですか?ヘモグロピン選手」
ヘモグロピン「仲間の仇は取りたいが、魔法使いの俺では勝てない!だから棄権する」
司会「では棄権を受理します、特別イベントの時は棄権出来ないので覚えておいてくださいね」
ヘモグロピン「ふう、通常のPVPで助かったな」
黒鎧「おい、魔法使いでも戦い方次第では1人でも勝てると言う事を覚えておけよ」
ヘモグロピン「あぁ、だがあんたには勝てる気がしないがな」
黒鎧「次はどいつだ!」
黒鎧は双剣の片方を天に向けて次なる相手を待ってるようだった
現在のバトルルールは乱入ありの方式のようで、ノーエントリーでの出場が可能のようだった
そして新たな乱入者が現れた
ベニ「俺が戦うぞ!」
司会「お〜と、挑戦者が現れました」
黒鎧「フンっ!またお前か!」
いつの間にかベニは闘技場のバトルフィールドに降りていて、ベニと黒鎧が闘技場で再び戦う事になった。
観覧席にやって来た僕とスカイは驚いた
シャーロット「あんな所にベニがいるよ!」
スカイ「さっきまで後ろにいたのに………」
先ほどまで後ろを歩いていたはずのベニがいつの間にか闘技場のバトルフィールドにいた
ベニ「例のレアアイテムは持ってるか?」
黒鎧「レアアイテム、レアアイテムとうるさいヤツだな!」
ベニ「うるさくて悪かったな!で、持ってるのか?」
黒鎧「あの程度のアイテムならとっくに入手済みだ、お前では簡単ではないだろがな!」
ベニ「いちいち感にさわるヤツだな」
司会「話しはまとまりましたか?」
ベニ「あぁ、いつでもいいぜ!」
黒鎧「せいぜい楽しませてくれよな!」
司会「では、これより第6試合を開始します」
【PVPバトル】
【黒鎧VSベニ】
【ファイト】
ベニ「いくぜ!」
黒鎧「いつでもいいぞ」
シュッ
ベニは無策で突っ込んで行き左右の双剣でクロス切りをするが、黒鎧はそれをまるで知ってたかの様にバックステップでかわした
ベニ「クソ!外した」
司会「ベニ選手、無策で突っ込み攻撃を外した」
黒鎧「お前は馬鹿か?前回も同じ策だったはずだ、オレがかわせない理由ないだろ」
ベニ「なら、次の策で驚かせてやるよ!」
司会「ベニ選手今度は何をするのでしょうか」
そう言ったベニだがまったく動かない
黒鎧「何のつもりだ、それが策か?」
ベニ「お前の動きに合わせる策だ!」
司会「ベニ選手、黒鎧選手の真似をする策に出た〜」
黒鎧「くだらんな、ならついて来れるならやってみろ!」
黒鎧は右に走り出したそれを真似てベニも右に走り出す、互いに向き合っているせいかまるで1本のポールを中心にしてぐるぐる回っている様だ
一方観覧席で見ている僕たち
シャーロット「あんなにぐるぐるして、目が回らないのかな?」
スカイ「平衡感覚は狂いそうね」
黒鎧は徐々にスピードを上げそしてベニの視界から消えた
ベニ「何!消えた?どこに行った」
司会「これはどうした事か、黒鎧選手が忽然と姿を消しました!」
バトルフィールドのどこを見ても黒鎧の姿は確認できないベニは焦った
司会「こちらでプレイヤーの位置を示すマップを確認した所、黒鎧選手はまだフィールドにいる様ですがあちらこちらと点滅を繰り返していますもの凄いスピードで走っている様です」
ベニ「『マジか!姿が消えるほどのスピードなんて出せんのかよ』ほぼ化け物じゃねぇかよ」
黒鎧「「化け物ではない、お前たちと同じ人間だ」」
ベニ「く、声もあっちこっちから聞こえて理由わかんねぇ」
ヒュッ
風切音がした直後ベニは240のダメージを受けた
【双剣使いのベニ】
LV11 最大HP980/残りHP740
ベニ「ぐわっ、クソどっから攻撃してるんだ!」
ヒュッ ヒュッ ヒュッ
3回風切音がなり、合計720のダメージを受けたベニは片膝をついた
【双剣使いのベニ】
LV11 最大HP980/残りHP20
ベニ「はぁはあ、もうHP20か少ないな」
闘技場でのバトル中の回復は魔法以外は禁止されているので、残り少ないHPで黒鎧にベニが勝つ手段は大技を確実に決めなければ勝てないのだ
黒鎧「そろそろトドメといくか」
再びフィールドに姿を現す黒鎧
ベニ「『奴は今油断している、近寄って来た時がチャンスだ』クソまた負けるのか俺は……」
黒鎧「前回よりは、そこそこ頑張ったがここまでだ!」
黒鎧は双剣の片方を天高く突き上げて振り下ろそうとした瞬間
ベニ『今だ!』
【ソウガ連斬】
ベニはすぐに立ち上がり双剣の技ソウガ連斬を繰り出した
左右の双剣を連続で突き出す攻撃で、現在ベニが使える大技である
HPに余裕があれば最大で5〜7連続で攻撃できるが、今は残りHPが少ないので3連続までしか出せなかった
黒鎧「何!くっ」
ベニ「やった!コレで形勢逆転だ!」
ベニは一矢報いたと思ったがしかし、そこに黒鎧は倒れてはいなかった
黒鎧「今のは残像だ、気分はどうだベニ」
ベニ「なんでだ?確かに手応えがあったのに……」
黒鎧「オレのスピードなら、やられた振りも造作もないとは1ミリも思わなかったか?」
ベニ「そうか……わざと攻撃を受けたふりかよ!悪趣味だな」
黒鎧は自らやられた振りをして、ベニの背後に回りこんでいた
ベニ「俺の負けだ」
黒鎧「そうか、だが最後の攻撃はなかなか良かったぞ!前回よりは楽しめたからな」
司会「ベニ選手、負けを宣言しました〜!コレで黒鎧選手は6試合とも圧勝です」
【ウィーナー・黒鎧!】
司会「次は特別イベントPVPバトルです、準備のためしばらくお待ち下さい」
ベニと黒鎧が観覧席の僕たちの所にやって来た
黒鎧「……またあったな、シャーロット」
シャーロット「黒鎧!凄くカッコ良かったよ」
スカイ「ベニも頑張ったじゃない」
ベニ「だが負けた……」
ベニは相当凹んでいる
黒鎧「そら、お前のレアアイテムだ受け取れ!」
〘黒鎧さんから譲渡の申請が来ています〙
〘受け取りますか?〙
〘YES・ON〙
ベニ「な、なんでだよ、俺はお前に負けたんだぞ」
黒鎧「いつまでもレアアイテム、レアアイテムと言って追いかけられても困るからな!それに今回は楽しませてもらったからだ」
ベニ「これは貸しだとは思わねぇからな、それでいいんだろ?」
黒鎧「あぁ、それでいい」
ベニは黒鎧から例のレアアイテムを受け取った
シャーロット『流石だよ、黒鎧!』
黒鎧「オレは行く、シャーロットの顔も見れたからな」
シャーロット「もう行っちゃうの?」
黒鎧「オレにはやらなければならない事がある……『懐かしんでるヒマは無い』」
ベニ「なぁ待ってくれ、あんたに頼みがある」
黒鎧「なんだ、頼みとは?」
ベニと黒鎧はなにやらコソコソと話していた
黒鎧「フッ、まぁいいだろうお前の頼み引受けた」
ベニ「じゃあ、後でな」
ベニと黒鎧の因縁はこうして消えたようだ
スカイ「いいわね、男の子って」
ベニ「なんだよ、単純たとか言いたいのか?」
スカイ「河原で殴り合って友情を深めるなんて、男の子の特権じゃない?」
ベニ「ここ河原じゃねぇから」
黒鎧「フッ、PVPを河原と同レベルとはな」
シャーロット「僕は痛いのは苦手だから河原はパスでいいや」
スカイ「シャーロットちゃんは、河原でバトルしなくてもいいのよ」
そう言ってスカイは僕を抱きしめた
シャーロット「しないしない絶対しないよ『それはいいけどなんで抱きしめるの?………まぁ笑顔だしいいか暗い顔されてるよりはいい』」
黒鎧「その方がいい、シャーロットはそれでいい」
ベニ「俺が絶対守るって!」
そんな話しをしていたら、司会のお姉さんが闘技場全体にアナウンスを始めた
司会「特別イベントPVPバトルの準備が整いました、この闘技場に現在いるプレイヤーの中から無差別に2名のIDをコチラで読み上げますのでIDが一致したプレイヤーはこのバトルに強制参加してもらいます」
ベニ「イベントバトル?新しく始まったのか」
スカイ「強制参加って、もし当たったら出ないといけないのね」
黒鎧「なら、少し待つか強敵と戦えかもしれないしな『………』」
司会「ではコレより無差別抽せん会を開始します、見事プレイヤーIDが一致したプレイヤー2人にはこの場でバトルをしていただきます」
闘技場全体がざわついた
司会「それでは発表いたします、IDナンバー10495番のプレイヤーとIDナンバー14837番のプレイヤーです」
スカイ「あたしは違うみたい」
ベニ「俺はハズレた」
黒鎧「違ったな」
シャーロット「えっとID14837番……アレ?僕当たったんだけど……『え、ムリ棄権したい!』」
黒鎧『やはり、こうなる運命か……』
僕は非戦闘員なのに初バトルの強制参加が決まってしまった。
スカイ「嘘!だめ絶対にダメよ!」
ベニ「なんてこった!シャーロットちゃんが当たっただと!」
ヤバめな展開になりました
なんとシャーロットちゃん特別イベントPVPバトル、しかも強制参加が決定してしまいました
次回シャーロットちゃん初バトルです
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福望華雫でした