ログイン3 幼女になっちゃった(後編)
貧乏高校生 当溜。格安ボロアパートに住みバイトをして生活費を稼ぐのが彼の毎日だった。明日から学校が夏休みに入る事で浮かれていた時に偶然おもちゃ屋で最新のVRヘッドギアを見つけ購入した。さっそくVRゲームを始めたまでは良かったのだが、本来なら無いはずのVRヘッドギアのホームにログインを果たした。彼は大嘘をつくAIの言う事を真に受け全てにYESと応えてしまった。身体構造スキャンを許し、問題箇所のリペアとしてハルモニア光なる謎の光を実際の身体に照射された。問題は解決したのだとAIに唆されてゲーム世界に送り出されてしまう。しかしこの事が当溜の生活をガラリと変えてしまう重要な出来事だった。ログインしたゲーム内でも問題が発生した。選択出来る性別が女性のみで男性の選択は不可能だった。なんとか女性アバターを男性的な姿に作る事に成功したが、間違えてランダム作成を押してしまい完成したアバターは幼女だった。
♤守ってください幼女な僕を♡
縮めて『守幼』をよろしくお願いします
ギルドを出て武器探しをする事になったがベニとスカイさんが一緒に来ると言い出した。
シャーロット「本当について来るんですね………『ベニはもういいよ、相手にする気力もないんだ帰ってくれよ』」
ベニ「あのステータスじゃあスライムすら倒せないしな」
シャーロット「スライムってどんなモンスター?」
ベニ「ゲル状のデロデロのヤツだ」
スカイ「わざわざそんな表現しなくても……」
シャーロット「ゲル状?デロデロ………『ゲルかゲルね……ゲルって何?デロデロはお化けか?』」
スカイ「現実の物でたとえるとゼリーかグミね」
スライムと言うモンスターの姿を教えてもらったが、結局よくわからなかった。
スカイ「と、そうだシャーロットちゃんフレンド登録しようか」
そんな話しをしていたらスカイさんが僕にフレンド登録をしようと言って来た
シャーロット「フレンド登録?それは何」
スカイ「まぁ、実際に体験した方が早いから」
そう言うとスカイさんはメニューを操作してフレンド登録を僕にして来た。
【スカイさんからフレンド登録の申請が来ています】
【YES・ON】
スカイ「YESを押せばフレンド登録完了よ!やってみて」
シャーロット「YESっと」
【YES・ON】
⬆ポチッと
【スカイさんとフレンドになりました】
シャーロット「お〜コレがフレンド登録かぁ『初フレンドがスカイさんか、悪くないな♪』」
ベニ「良し、じゃあ俺ともフレンド登録しようか」
僕はベニをガチスルーした。
シャーロット「スカイさん、フレンド登録にはどんなメリットがあるの?『ふざけんな!誰が好きこのんでお前とフレンドになんてなるかっ!このイケメンめ!』」
スカイ「アイテムとか武器や防具、それにレア素材とかをトレード出来たり離れていても会話が出来る事ね」
シャーロット「離れていても会話が出来るか、電話みたいだね」
スカイ「フレンドにならなくてもトレードは出来るけど、あまりお勧め出来ないのよ」
シャーロット「どうして?」
スカイ「トレード相手が口ではレアアイテムとか言うのに、いざトレードしたら普通のアイテムだったり使えない素材だったりするのよ」
シャーロット「なるほど、騙される可能性があるって事ですね」
スカイ「そうよだからなるべくなら、フレンドとのトレードがお勧めよ……『っていつまでベニをスルーしてるのかなシャーロットちゃん(汗)』」
ベニ「え?俺は……」
仕方ないのでベニともフレンド登録をしてやった、本当はしたくないけどな!
ベニ「ここが武器屋だ!」
シャーロット『もう立ち直ったのかコイツ』
スカイ「ここにあるといいわね『立ち直りが早いわねベニ』」
シャーロット「ここにぬいぐるみは……『早いとこ、武器探してオサラバしたいベニだけね』」
スカイ「なければそうね……雑貨屋かな」
ベニ「まぁ、とにかく入ろう」
なんか最初にあった時のイケメン具合いがなくなった気がするなこのベニという男はなんだろうな……ベニ生姜とか?
武器屋の中はわりと広くて、短剣・長剣・槍などのさまざまな武器が所狭しと並んでいた。
店内を見渡して見てもお目当てのぬいぐるみは無かった。
シャーロット「無いなぁ〜無いわ〜どこにも無〜い」
スカイ「ぬいぐるみどころか人形も無いわね」
ベニ「人形でも大丈夫なのか?」
スカイ「代替武器としてなら使えるかもって思ったのよ」
他を見てもスキルで使えそうなモノも武器も無いので雑貨屋に行く事になった。
武器屋のすぐ近くに雑貨屋はあったので、歩いて数分くらいの距離だ。
ベニ「ここが雑貨屋だ!」
スカイ「イチイチやらなくてもいいわよ」
シャーロット「綺麗なお店ですね『もう、コイツは無視だ!うざい』」
店内は明るくて雰囲気的には現実にある100円ショップのヤイソーみたいな感じだった。
スカイ「ぬいぐるみあったよ、ほらそこに」
シャーロット「ホントですか?」
ベニ「何!先を越されたか」
シャーロット『は〜ん?スカイさんだけで充分だからお前はもう帰れ!』
雑貨屋にぬいぐるみはあった、素材は布のさわり心地だかとても丈夫そうで簡単には破けそうもなかった
スカイ「このぬいぐるみ人型ね、なんか変わってるわ」
シャーロット「商品名はぬいぐるみ剣士?ぬいぐるみ剣士って何でしょうか?」
ベニ「その名の通りぬいぐるみの剣士なんじゃないか?」
男性の剣士の姿のぬいぐるみでちゃんと鎧や各種装備を着ていて、小さな剣を左側に下げている
スカイ「他は……ママゴトグッズ?『やっぱりあのママゴトよね?コレ』があるわね、どうするの買う?」
シャーロット「ぬいぐるみ剣士とそのママゴトグッズを買います!スキルに幼女領域があったから持ってた方がいいし『どう使うのかわからないが買っておいた方がいいしな』」
ベニ「お金は足りるか、足りなければ出してあげるが?」
シャーロット「え〜と、大丈夫です『ぬいぐるみ剣士が500enでママゴトグッズが400enの合わせて900enだから残りは100enかギリギリだな』」
ベニ「そうかならよかったな」
僕は雑貨屋でぬいぐるみ剣士とママゴトグッズを購入した。
ママゴトグッズはキッチン1式のセットと付属品の手鏡と化粧ポーチがあった
シャーロット『付属品は手鏡と化粧ポーチか中身は……使い方がわからない化粧品がいくつかあるな後でスカイさんに聞いてみよう』
ちなみにこのゲームの通貨はenだ、これは日本の通貨の円と同じ読み方だ。
シャーロット「残り100enかぁ〜」
スカイ「残り100en?回復アイテムとか買えないわね……良しならお姉さんに任せなさい!」
〘スカイさんからアイテム譲渡の申請が来てます〙
〘受け取りますか?〙
〘YES・NO〙
シャーロット「譲渡?」
スカイ「譲渡はアイテムを譲り渡す事を言うのよ、YESを押してね」
〘YES・NO〙
⬆ポチッと
僕はYESを押してスカイさんから譲渡されたアイテムを受け取った。
受け取ったアイテムはHP回復ポーションとMP回復ポーションに解毒薬と麻痺解除薬それから携帯食の5つももらってしまった……なんとそんなにたくさんくれるなんてスカイさんは女神か!
シャーロット「ありがとうございます『ちゃんとお礼は言っとかないとな、バチが当たりそうだからな』」
スカイ「どういたしまして!あたしはまだアイテムを持つてるし、役立ててね」
ベニ「それで、防具はどうする?」
スカイ「最初のクエストを採取クエストにすればいいだけよ!」
ベニ「採取クエストか初心者にはもってこいのクエストだな」
シャーロット「採取クエストってなんでしょうか?」
スカイ「薬草とか毒消し草とかを森で取って来る依頼よ」
ベニ「では、クエストを受けにギルドに戻ろうか」
シャーロット『え?まさかコイツもついて来るのか!鬱陶しいな』
ギルドに戻る途中になにらやいい匂いが漂って来た、食べ物の匂いだ。
僕の手持ちのお金は100enだ、お腹が減っているわけではないがなぜか食欲を唆られるこの匂いにつられてふらふらと食べ物屋さんに吸い寄せられた。
食べ物屋さんは屋台で、香ばしい匂いをさせ何かを炭火で焼いている。
スカイ「シャーロットちゃん、もしかしてお腹減ってるの?」
シャーロット「減ってはいません、匂いが美味しそうだったからです……『コレはいい匂いだったからついふらっとね』」
ベニ「オヤジ!3人分頼む」
オヤジさん「あいよ!」
シャーロット「え、あの僕、お金もうないですよ?『100enしか無いのに払えないぞ』」
スカイ「ベニが奢るって!」
ベニ「そう、俺が奢るから気にすんなよな」
シャーロット「ありがとうございます『マジかコイツ!代金払ったらそのまま帰ってください』」
スカイ「シャーロットちゃん、もっと砕けた口調で言えない?」
ベニ「そうだな、いざという時に敬語だと言葉に詰まるからな」
シャーロット「さ、サンキューベニ!『言いづらいな!次はサンキューバーベキューにするかな?』」
ベニ「お、おう『まだぎこちないが充分だな……しかし可愛い過ぎだな』」
スカイ「あたしにも言ってみてシャーロットちゃん」
シャーロット「えっと、グッジョブ!スカイ『コレで合ってるかな?』」
スカイ「サンキューよりはグッジョブの方がいいわね」
オヤジさん「はいよ!3人前」
ベニ「お、じゃ払っとくからな」
スカイ「はい、シャーロットちゃん熱いから気よつけてね」
シャーロット「ありがと『スカイからの手渡しだ♪、良かったベニじゃ無くて』」
スカイにもっと砕けた口調で言えないかと言われ、これからはさん付けは辞めにしてスカイと呼ぶ事にした。
スカイから手渡された食べ物を見ると、とうもろこしの芯の様な物体にブドウのように大粒の丸い果肉の様な物が沢山ついていた。
少しかじってみると果肉の様な物は果肉ではなくむしろ肉のたぐいの味と食感だった。
改めてよく匂いを嗅いでみると焼き鳥のタレの匂いのようで表面を焼いてタレをつけてまた焼くという現実の焼き鳥と同じ調理方法のようだ。
ベニ「この食べ物は【焼き鳥コーンモドキ】って言うんだ」
スカイ「この街の名物でけっこう人気な食べ物よ」
シャーロット「【焼き鳥コーンモドキ】か……コレはお肉なの?」
ベニ「残念、不正解!コレは植物だ」
シャーロット『お前に聞いてないぞ!』
スカイ「現実のとうもろこしとは違ってこのゲームではね木になっているのよ、そして正式名称は【コーンモドキ】分類的には野菜ね」
シャーロット「野菜?お肉みたいな味と食感なのになんで野菜なの」
ベニ「ゲーム開発者のちょっとした遊び心だな」
スカイ「けど、美味しいからいいんじゃない?」
シャーロット「コーンモドキ……焼き鳥はどこに?」
オヤジさん「焼き鳥のタレで焼き鳥の様に焼くから焼き鳥コーンモドキなんだぞ!お嬢ちゃん」
シャーロット『やっぱりそうか、あれ?てことはこのゲームにも焼き鳥があるのか……タレがあるしたぶんあるな』
けっこう美味しいかったな、ゲームの中で食べ物が食べれるのは凄い体験だと思う。
【焼き鳥コーンモドキ】を食べ終えた僕たちは再びギルドに戻って来た。
ベニ「コレがクエストボードだ!」
スカイ「ハイハイ、ベニはほつといてシャーロットちゃんコレはねクエストボードって言って、ここにさまざまな依頼の張り紙がボードに張ってあるのよ」
シャーロット「その張り紙がクエストなの?『ナイスです、スカイ』」
スカイ「そうよ」
ベニ「俺の立場は?」
僕とスカイはベニをスルーした。
ボードが高い位置にあるがスカイが近くの椅子を持って来てくれたので、その椅子に登り僕の目線でも見えた
シャーロット『こういう時ゲームって便利だな〜紐ブーツをストレージに入れれば、土足とか気にしなくていいのはありがたいな』
スカイ「さてと採取のクエストはどれかな」
シャーロット「コレそう?」
スカイ「よく見つけたね、じゃあタップしてシャーロットちゃん」
言われた通りタップをした、すると半透明のボードが目の前に現れた。
【ヤノンレの森で薬草の採取】
薬草30〜50枚を採取して来てほしい
最低数が30枚です
報酬は最低数の場合1000en
最高数50枚の場合は3000en
+アイテムを差し上げます
依頼人 道具屋店主
シャーロット「あ、コレさっき張り紙をタップしたクエストだ」
スカイ「それが【受けました(仮)】よ」
クエストを【受けました(仮)】を受付嬢に見せると受理されてクエストを開始する事が出来るとスカイ教えてもらった。
まずは実際に体験してみてとスカイに言われ、椅子から降りブーツを再び履いて受付嬢の所に行った。
受付嬢「はい、採取クエストですね!受理しましたよ」
シャーロット「え?もうこれでいいの」
受付嬢「そうですよシャーロットちゃん、いってらっしゃーい!」
シャーロット「い、行ってきます」
クエストの受理があっさり終わり、僕たちはギルドを出て街の外へ向かった。
【ニュービー街道】
南の門の門番さんの脇を通り抜けて街を出るとニュービー街道があり3方向に道が別れていた。
右側の前方に森が見え街道を真っ直ぐ南に進むと次の街に繋がり、左側に進むとルア・ガンマロ遺跡に繋がる
ヤノンレの森が薬草採取クエストの目的地だ、歩く事15分くらいで森に着いた。
僕は手足の短さのせいもあって、スカイが僕を抱っこして森まで向かった……また抱っこかぁ相手はスカイだし良いか
【ヤノンレの森(入口付近)】
スカイ「シャーロットちゃん着いたわよ」
ベニ「よし、採取しまくるぞ!」
スカイ「採取ポイントをみつけましょう」
シャーロット「うん『ここが森か……』」
当然だが森には木が沢山生えていて、草やキノコそれに苔などさまざまなモノが生えてたり転がっていたりしていた
モンスターではない小動物らしき生き物もいるようで鳥の鳴き声なども聞こえ、ここが森であると確かに証明していた
スカイに薬草の特徴を教わり、採取ポイントの見分け方や間違った草などの事をレクチャーしてもらった。
スカイ「それじゃあさっそく、採取スタート」
シャーロット「薬草〜薬草〜はドコだ〜?」
ベニ「俺は少し先の様子を見て来くる」
スカイ「わかったわ」
ベニは森の奥へ1人で行った。
スカイ「入口は安全地帯になっていて、モンスターは入口に近ければ近いほど出ないからね」
シャーロット「うん『それなら安心だな』」
しばらくするとベニが戻って来て、入口付近で休憩しているみたいだった。
スカイ「何かあった?ベニ」
ベニ「スライムを数匹倒しておいたぞ」
スカイ「シャーロットちゃんのあのステータスじゃ、倒すのは無理だよね」
ベニ「排除しとけば問題ないだろ?」
スカイ「そうね、ありがとうベニ」
ベニとスカイはシャーロットの安全第一に考えて行動をしていた。
ベニ「そう言えばシャーロットちゃんはドコだ?」
スカイ「さっきあの辺に………嘘!いないよ!シャーロットちゃん」
ベニ「まさか奥に行ったのか?すれ違がわなかったぞ」
スカイ「とにかく急いで追いかけましょう、ベニ!」
いつの間にかいなくなっていたシャーロットを探しに森の奥へ向うスカイとベニ。
その頃、僕は薬草取りに夢中になり過ぎて森の脇道の奥まで来ていた。
どうやら入口からはだいぶ離れ、奥が少し開けている広い空間に僕はいた。
シャーロット「あれ、スカイはどこ?」
まわりを見渡しても同じような風景でここがどこかまでは、わからなくなっていた。
シャーロット「もしかして僕、迷子?」
森で迷子の幼女とか洒落にならないが、今ならスキルの確認が出来そうだと思いメニューを開いてスキルを確認する。
シャーロット「メニューを開いてっと、スキル確認しよう!まずは鑑定眼から……」
スキル 鑑定眼 氷帝眼 愛嬌 幼女領域
逃げる 身体を丸める 甘党 猫舌
ぬいぐるみ魂込め
鑑定眼[唯一無二のプレイヤー固有スキル]
✦鑑定する対象を右眼の視界に入るようにして使用すると対象を鑑定する事が出来る
✦LV・HP・弱点などのステータスを全て見れる
✦複数の鑑定も視界に入っていれば可能
シャーロット「右眼で鑑定か、なるほどで次は…」
氷帝眼[唯一無二のプレイヤー固有スキル]
✦使用すると左眼の視界に入った対象を氷漬けにできるそして対象は継続的に1ダメージを受ける
✦氷漬けの対象に再び使用して解除と唱えると氷漬けが解除される
✦使用可能な能力は現在一部封印されています
✦使用可能パーセンテージ100%中10%のみ可
シャーロット「氷漬けにできるって凄いかも……ん?一部封印か100%中10%のみ可ね、でもコレは使えるな♪」
次のスキルを確認しようとしたその時だった、突然がさがさと草をかきわけて何かが出て来た。
がさがさっ
シャーロット「誰?」
狼?「グルルルゥルッ」
【狼?】未鑑定
草むらから出てきたのはモンスターだった。
シャーロット「も、モンスター?」
狼は思ったよりはサイズが小さく見えるが幼女になった僕の身体よりもひと回り大きいサイズだ……
シャーロット『けっこう大きいな、体積も向こうが上でもしものしかかって来られたら逃げられないぞ』
武器を出したがこのぬいぐるみをどうやって武器として使うのかまでは、まったくわからないがとにかく試してみた。
シャーロット「ぬ、ぬいぐるみを装備!」
し〜〜〜〜ん
シャーロット「………アレ?」
狼?「ウ〜〜」
狼?は僕の様子を伺っている
シャーロット「ぬいぐるみ合体!」
し〜〜〜〜ん
シャーロット「ぬいぐるみさん助けて!」
し〜〜〜〜ん
シャーロット「ぬいぐるみ〜え〜と、何かして!」
し〜〜〜〜ん
狼?「ワォーーーーーーン」
突然遠吠えをする狼?
シャーロット「武器は動かないし、なんかヤバそう!」
いろいろ試したが武器として役にたたずに、ただ腕に抱きかかえるしかできなかった。
シャーロット「周りを見ても誰もいないし、このまま僕は狼?に食べられちゃうの?『やだやだ、まだゲーム始まったばかりだし狼?に食べられちゃうのはもっとやだ!』」
先ほどの遠吠えを聴き、さらに別の方向から草をかきわけて新たな狼?が現れた
シャーロット「に、2体目のモンスター!『そんな無理だよ、2体は卑怯だ!』」
2体目はかなり大きくて先ほどの狼?が小さく見え、爪も牙も相当鋭いようだ
大狼?「ウォオォーーーーーォン」
2体目の狼がけたたましい遠吠えをあげると、今度は複数の狼が群れで現れた。
森ウルフ1「グルルル」
森ウルフ2「ウ〜〜」
森ウルフ3「ガウッワウ」
僕は完全に囲まれ絶体絶命の大ピンチに陥った
シャーロット『な、7匹もいる!絶対無理だーーー!僕は食べられちゃうんだーーーうわっーーーーーん!』
もはやパニック寸前で泣いてしまった僕
キャラメイクもステータスも職業も全部駄目で、非戦闘員となった僕のメンタルはズタズタのボロボロの雑巾以下だったため精神はほぼ幼女化していた
それでも現状を打開する方法を必死で考え
シャーロット「グスッ……何か…そうだ!鑑定眼」
僕の右眼が鑑定を始め狼を鑑定した。
狼の種族名は【森ウルフ】と言う名前だ。
森ウルフたちは僕の周りをゆっくりと時計まわりに移動した、それにより全部の森ウルフを右眼で捉えた事で鑑定ができた。
【森ウルフ】
LV4 最大HP80/残りHP80
【森ウルフ】
LV5 最大HP110/残りHP110
【森ウルフ】
LV3 最大HP70/残りHP70
【森ウルフ長】
LV10 最大HP250/残りHP250
森ウルフの群れは、LV3が2体・LV4が2体・LV5が2体・LV10の森ウルフ長で合計7体だ
シャーロット「こ、怖くないぞ!ひっぐっ『うわーーー、よだれが凄い!僕を食べても美味しくないです食べないで!いやっ!』」
口ではそう言う僕だが、ぬいぐるみを腕に抱いて身体は震わせていて涙を流してる姿は幼女そのものだった。
シャーロット「うっく……『初めてのゲームでこんな恐怖体験なんて聞いてないよ!僕の初めてなのに!』」
森ウルフはとても凶暴そうな目で僕を見ていて、一匹の森ウルフがゆっくりと近づいて突然襲いかかって来た
森ウルフ2「ガウバウッ」
シャーロット「もう駄目だ!食べられちゃう、神様助けてよ〜」
僕は身かがめて身体を丸めた
スキル【身体を丸める】
スキル効果
身体を丸めると自動で発動するスキルで
防衛手段には向いて無い幼女スキル
森ウルフの一匹が僕に襲いかかるまさにその瞬間だった
ズバッ
森ウルフ2「ギャイン」
【森ウルフ2】
LV3 最大HP70/残りHP0
シャーロット「うっく……ひっぐっ?『あれ痛くない?……』」
涙でぐちゃぐちゃの顔を上げて確認するとそこには、見知らぬ人がいた
???「その様子なら大丈夫だな、しばらくそうやって身体を丸めてろ!すぐ終わらせる」
頭をすっぽり覆う兜と漆黒の鎧を全身に纏い、赤い擦り切れたマントをなびかせて森ウルフと戦っている人物に僕は見とれてしまっていた
シャーロット「ひぐっうぅっ……『か、カッコいい〜!』」
森ウルフ3匹が3方向から同時に攻撃を仕掛けたが、彼は持っていた双剣でクロスする様に横薙ぎに切った
森ウルフ3匹「ギャウ ギャヒン ギャバゥ」
【森ウルフ4】
LV4 最大HP80/残りHP0
【森ウルフ1】
LV5 最大HP110/残りHP0
【森ウルフ3】
LV3 最大HP70/残りHP0
???「雑魚だな!もう少し手応えがありそうな……お前がかかってこい!」
彼は森ウルフ長を指さして挑発していた
森ウルフ長は残り2匹の森ウルフにまるでアイコンタクトの様に目を向けて合図を送っていた
合図を送られた残りの2匹は彼の背後に周り込んだ
森ウルフ長が彼に突進して行くと残りの2匹も背後から同時に攻撃をしかけたが……
???「浅知恵か?つまらんな」
そう言うと彼は、その場で身体を右回りに回転させて森ウルフ長と2匹の森ウルフを手にした双剣で斬り刻んだのだ……まるでミキサーの様に!
森ウルフ長も森ウルフも突進していたため、止まれずに彼の双剣の餌食になった
シャーロット『う、ちょっとグロいな……ミンチみたいだ……』
【森ウルフ5】
LV4 最大HP80/残りHP0
【森ウルフ6】
LV5 最大HP110/残りHP0
【森ウルフ長】
LV10 最大HP250/残りHP0
森ウルフ長と森ウルフ2匹の断末魔が森の中に響かせた
森ウルフ長と2匹の森ウルフたちはHPが0になり、跡形も無く消滅した
【10の経験値が入りました】
【10の経験値が入りました】
【10の経験値が入りました】
【10の経験値が入りました】
【10の経験値が入りました】
【10の経験値が入りました】
【10の経験値が入りました】
称号効果の10の経験値は森ウルフ6匹分と森ウルフ長1匹分の合計7回分入った
彼は僕が泣きやむまで待ってくれた
???「こんな所に1人でどうした、仲間がいるのだろう?」
シャーロット「あぅ、それは…はぐれてしまって……」
???「怖がるな、オレはお前の味方だ」
シャーロット「た、助けてくれて…ありがとうございます」
???「気にするな」
そう言いながら僕の頭を優しく撫でてくれた
シャーロット「さっき僕の味方だって言っていたけど、アレはどういう意味なの?」
???「時が来ればいずれわかる、それよりも仲間と合流する方が先じゃないのか?」
シャーロット「でも僕は……1人じゃ戦えないし」
???「仕方がないな、入口に向かえばいいのか?」
シャーロット「案内してくれるの?」
???「入口までだぞ」
入口まで送ってくれると彼は言った
シャーロット「あ、待ってえっとフレンド登録していい?」
???「構わんが?こんな得体の知れないオレとフレンド登録をしたいとはな」
シャーロット「フレンド登録は〜あったコレだ」
【シャーロットさんからフレンド登録登録の申請が来ています】
【YES・ON】
⬆ピッ
???「YESだ、押したぞ」
【黒鎧さんとフレンドになりました】
シャーロット「黒鎧?なんて読むの?」
黒鎧「そのまま、くろよろいだ」
シャーロット「くろよろいか、カッコいいな!」
黒鎧「そうか?良しフレンド登録は済んだな、入口に向かうが……その足ではオレの歩幅と合わんな」
で、結局僕は黒鎧に抱っこされたが別に嫌な感じはしなかった。
黒鎧「見た目通り軽いな」
シャーロット「僕ってそんなに軽い?」
黒鎧「あぁ、軽いな」
シャーロット「ふ〜ん……そうだ、ねぇその双剣凄い切れ味だね!双剣使いなの?」
黒鎧「双剣使いではない、オレの職業はデュアルブレイダーだ」
シャーロット「デュアルブレイダーかカッコいい♪…………本当は僕も、そういう職業になりたかったなぁ」
黒鎧「スキルで決まってしまうからなこのゲームは……」
僕の姿では無理だとか言わないあたりが凄くカッコよく見え、密かに僕は憧れの眼差しで彼を見ていた
黒鎧「『シャーロット……か、懐かしいな』」
シャーロット『漆黒の黒鎧の騎士に守られてるお姫様になった気分だけど、悪くないなコレはちょっと幼女で得したみたいだ♪』
黒鎧「どうかしたか?」
シャーロット「ううん、なんでもないよ」
森の入口にたどり着くとスカイとベニが待っていた
黒鎧「迷子を保護しておいた、次は目を離すなよ」
ベニ「な、なんでお前がここに!」
スカイ「知り合いなの?」
ベニ「コイツは俺のレアアイテムを奪ったヤツだ」
黒鎧「奪ったとは人聞き悪いな、闘技場での正当な賭けでオレが勝ったからだろう」
黒鎧はスカイに僕を預けた
黒鎧とベニは以前闘技場で戦った事があり、ベニの惨敗だったらしく賭けていたレアアイテムを黒鎧に奪われたとベニは主張する
ベニ「俺のレアアイテムはいずれ取り返すからな!」
黒鎧「悪いな、もう使ったから無いぞ」
ベニ「だったら同じレアアイテムを手に入れておけよ!からなず取り返すからな」
黒鎧「やれやれだな……じゃ、またなシャーロットもう迷子になるなよ」
シャーロット「うん、ありがとう黒鎧さん」
黒鎧「さん付けはよせ、黒鎧でいい」
そうして僕は黒鎧と別れた
スカイ「なんにしても無事で良かったわ」
ベニ「初クエストで失敗ならまだしも、死に戻りなんてさせたら後味が悪いもんな」
スカイ「あたしは経験してないけど、HPが0になったら強制的に街の教会に転送されるんでしょ」
ベニ「俺はしたよ死に戻り、ソロでやった時にな」
スカイ「どんな感じだったの?」
ベニ「自分のHPが0になって強制的に転送されるあの瞬間は、なんか気持ち悪かったな!」
スカイ「そうなんだ……HP0にならない様に気よつけよう」
シャーロット「そう言えば薬草どっかに全部落としちゃった『森ウルフたちのせいで、薬草無くしちゃったんだよ』」
ベニ「俺やスカイが沢山取ったから気にすんな、クエスト達成分くらいならわけてやれる」
シャーロット『そうか、じゃあスカイにわけて貰おう』
スカイ「シャーロットちゃん、薬草どれくらい取ったの?」
シャーロット「だいたい30枚くらいだったよ」
薬草は取り尽くしリポップするまで待つ理由にもいかないので、僕たちは街に戻る事になった。
シャーロット『黒鎧……また会えるかな?』
街のギルドにまた戻って来て、受付嬢に依頼品の薬草を納品してクエストが終わった。
スカイ「シャーロットちゃん、コレからどうするの?」
ベニ「違うクエストでも受けるか?」
シャーロット「今日はもういいや、ログアウトしたい『凄く疲れたし、お家帰る……ってこれまるっきり幼女じゃん僕……それとさっき森の中で泣いた事は2人にはナイショだ!』」
スカイ「そうね、あまり根を詰めても良くないし」
ベニ「ログアウトするなら宿屋だな」
シャーロット「どうして宿屋なの?『最初に出て来た広場じゃないのか?』」
スカイ「一番とまではいかないけど、宿屋の方が安全ね」
シャーロット「そうなんだ、まだ知らない事だらけだ『安全か?ベニがいても安全なのか……本当か?』」
ベニ「コレから知ればいいさ」
シャーロット『何をだよ!僕に何を教えるつもりなんだ、断固拒否するからね』
すぐに宿屋は見つかりチェックインまでベニとスカイは付き合ってくれた。
シャーロット『見送りはスカイだけでいいから、イケメンは池の中にでも行けよ!』
2人とお別れをして宿屋の部屋でログアウトをした。
AI〘おかえりなさいませ〙
シャーロット「ここはホーム?」
僕はシャーロットの姿のまま、この真っ白な空間に戻って来た。
シャーロット『あれ?シャーロットのままだ、ログイン前は僕の姿だったのになんでだ?』
AI〘ずいぶんお早いおかえりですね〙
シャーロット「ちょっといろいろあって疲れたから今日はもうおわりにする『なんだ?口調が何か柔らかいような甘いようなどうしたんだこのAIは?』」
ご飯にするそれともお風呂にするそれともあ・た・しにする、とか言いそうな雰囲気のAIだな!どれも無理だけど
AI〘今度はいつログインをするのですか?〙
シャーロット「それは……わからない『なんでそんな事を聞くんだ?その質問はまるで恋人だぞ』」
AI〘そうですか、ではログアウトをしますか?〙
シャーロット『あっなんか、あからさまにガッカリしてないか?このAI』
〘YES・NO〙
⬆ピッ
シャーロット「YES」
AI〘おつかれさまでした〙
シャーロット『お!営業モードに戻ったみたいだ』
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やっと現実に戻って来たがすぐに起き上がれない。
いつものように布団から飛び起きようと足を上に持ち上げた勢いで起き上がろうとしてるのに、まったくピクリとも上半身が上がらない。
当溜『アレ?なんか変だな』
言葉に出さずにそう思った事は、けして間違いではなかった。
今度はヘッドセットを頭から外そうと手を頭に持って行こうとして、やっと自身の異変に気づく。
着ていたスウェットがぶかぶかで手が袖から出ず、余った袖がブラブラしていた。
ヘッドセットの隙間から見ると自分の腕が肘から先が無いように見えて怖くなり慌てて、手のひらを握ると握った感覚はあった。
当溜「なんか変だ……へ?誰、誰かいるのか」
謎の声が聴こえてその相手にたずねるが、しかしまったく返答は返って来ない。
当溜「わっ!ぎゃう、ぽん……ぴむっ」
意味の無い言葉を言ってみるが、見事にシンクロして聴こえる。
何故、自分と同じ言葉を瞬時に相手が発声出来るのかを理解できずに数分が過ぎた、しかしその沈黙のおかげでようやく理解出来た。
当溜「そ、そんな……そんな馬鹿な!こんな事って…あり得ない…僕の声じゃないなんて……」
その時だった、また別の声が頭上から聴こえてきた。
萃香「まったく!やっと自分の声って理解出来たの?」
当溜「えっ?何で萃香の声がするの?」
さっきヘッドセットの隙間からの見た時には誰もいなかったはずなのに、いるはずの無い幼馴染みの萃香の声がした。
僕の疑問の返答のかわりに、ヘッドセットを外してくれた萃香とばっちり目が合う。
上から覗き込む萃香の目は少し潤んでいた。
萃香「忘れたの?何かあった時の為に合鍵を渡してくれてたでしょ!それを使って入ったのよ」
当溜「合鍵……忘れてた」
萃香「………」
当溜「今、僕はどんな姿なの?」
萃香「……幼女よ」
ゲームでも現実でも幼女なった彼は今後、元の姿に戻れる日は来るのでしょうか?
次回は現実編です
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福望華雫でした