ログイン27 再会
貧乏高校生 当溜。格安ボロアパートに住みバイトをして生活費を稼ぐのが彼の毎日だった。明日から学校が夏休みに入る事で浮かれていた時に偶然おもちゃ屋で最新のVRヘッドギアを見つけ購入した。さっそくVRゲームを始めたまでは良かったのだが、本来なら無いはずのVRヘッドギアのホームにログインを果たした。彼は大嘘をつくAIの言う事を真に受け全てにYESと応えてしまった。身体構造スキャンを許し、問題箇所のリペアとしてハルモニア光なる謎の光を実際の身体に照射された。問題は解決したのだとAIに唆されてゲーム世界に送り出されてしまう。しかしこの事が当溜の生活をガラリと変えてしまう重要な出来事だった。ログインしたゲーム内でも問題が発生した。選択出来る性別が女性のみで男性の選択は不可能だった。なんとか女性アバターを男性的な姿に作る事に成功したが、間違えてランダム作成を押してしまい完成したアバターは幼女だった。
♤守ってください幼女な僕を♡
縮めて『守幼』をよろしくお願いします
ゲームにログインした紅優達は目的地が次の街の近くにある為まず、ペラグロス城下街から次の街へ移動しなければならなかった
当然だが、まだ誰も次の街まで辿り着いては無いので大規模移動が強行される形となった
ベニ「それじゃあ、パーティーを分けようぜ!」
スカイ「どう分けるの?」
ベニ「まず前衛を任せられるのは………俺とイリスティナそれからアーサーとノブナガだな、あと頼りになるぬいぐるみ達だな」
スカイ「2つに分ける?それとも3つ?」
連携が取りやすいパーティーにしなければならず、アーサーとノブナガはワンセットの方が連携は取りやすいだろうという事でそこにヒミコとムーを入れパーティーAとした
そしてベニとスカイはいつも連携はできていたのでそこにイリスティナとネルを入れパーティーBにした
ぬいぐるみ達は遊撃パーティーCとして超前衛を任されていた
並びはぬいぐるみ達のパーティーCが先頭でアーサー達のパーティーAが中間、そして超後衛にベニ達のパーティーBとなっていた
ベニ「パーティーAはアーサーがリーダーだ」
ぬいぐるみ剣士「なら、おれ達のリーダーは?」
ベニ「パーティーCは剣士がリーダーだ!任せたぞ!」
ぬいぐるみ剣士「あぁ、期待に応えよう」
ムー「あ〜あ、ベニ兄とパーティー組みたかったなぁ」
ヒミコ「確かにムーの言う通りなのじゃ!こんなムサイオッサンと組まされる何てあんまりなのじゃ!」
アーサー「姉さん、ムサイオッサンですいません」
ノブナガ「我がま言っちゃいけませんぜ!」
スカイ「で?パーティーBのリーダーは誰?」
ベニ「それは、俺しかいないだろ?」
スカイ「確かにね」
ネル「本当にゲームの中から迎えに行けるのですか?」
ベニ「大丈夫だ!心配するなよ、ネル」
イリスティナ「じゃんじゃんバリバリ張り切って行こう!1番左側の台が出やすい台となっております!早い者勝ちですよ〜!」
スカイ「ちょっとごめん!1人懲らしめないと駄目な方がいらっしゃるから待ってね」
イリスティナ「ほぎゃ!」
スカイはいつも通りのチョップをかまして黙らせた
ベニ「良しじゃあ、出発だ!」
一同「「お〜!」」
イリスティナ「出遅れた!や〜!」
スカイ「みんな、[お〜っ]て言ってるのに何で[や〜]なのよ!」
イリスティナ「ひねりが欲しかっただけなんや!堪忍してくんなまし!」
スカイ「はいはい、わかったから列を乱さないで歩くように!」
【 ケンム街道 】
ケンム街道はペラグロス城下街の西側に位置していて、中級冒険者でなければ通り抜けるのはなかなか骨が折れると言われている
出現モンスターのLVが格段に高く、倒すのに手間どっていると全滅しかねないと噂されている
【 マイノレブの洞窟 】
マイノレブの洞窟は通り抜けするトンネルみたいな洞窟だが、地上の1階層(西側と東側の2箇所*注意*西側と東側は直接は繋がってはいない)と地下1階層の2階層構造になっていて地下が迷宮かと思うほど入り組んでいる
【 ウザウラの街 】
街の規模はニュービータウンよりも小さめで、近くにある山から採掘された鉱石などを輸出している
採掘された時によく出る宝石の原石を加工し、アクセサリーとしての販売などもおこなっている事で有名な街でもある
ベニ達一行はケンム街道を抜けてマイノレブの洞窟に向かわなければならなかった
そしてマイノレブの洞窟を抜けた先には、次の街のウザウラの街がある
しかし、予期せぬ形でエンカウントした多数のモンスターに阻まれてベニ達はまだケンム街道を抜けていなかった
ぬいぐるみ剣士「弓使い頼む!」
ぬいぐるみ弓使い「わかった!貫け!」
弓使いは技ではないが、複数の矢を束ねて同時に放つとほぼ全てのモンスターをうちぬいていた
ぬいぐるみ魔法使い「ここで一気にトドメだ!」
【超級火属性魔法・エクスプロージョンマグナムEX】
ぬいぐるみ魔法使いが魔法【超級火属性魔法・エクスプロージョンマグナムEX】などと言う長ったらしい魔法で一掃した
モンスター達は大規模爆発による超火力でこんがり焼け、HPが0になり霧散して消えていた
ムー「凄っ!」
ヒミコ「巨大爆発なのじゃ!」
イリスティナ「心頭滅却すれば紐またすず氏!」
スカイ「………何アレ?」
イリスティナのボケを完全にスルーしてスカイは素直な言葉を口にしていた
ベニ「さっき魔法使いが言ってただろ?【超級火属性魔法・エクスプロージョンマグナムEX】って」
スカイ「何であの一回で覚えられるのよ!」
スカイのツッコミはもっともだったが、このケンム街道ではエンカウントするモンスターの数が多い為なかなか前に進めずにいた
ネル「戦闘はしていませんけど、こうも連続でモンスターと遭遇するのはちょっと嫌気がさしますね」
ベニ「もう少し行けばマイノレブの洞窟に着くからな、それまでの我慢だ」
スカイ「確か一階部分はエンカウント無しのエリアなんだよね?」
ベニ「あぁ、そしたらそこで一旦休憩だ」
イリスティナ「みんなのLV上げとかはしないって事?」
ベニ「一歩間違えれば死に戻りだからな、全員無事に次の街まで辿り着く事だけを考えようぜ!」
スカイ「今更だけどさぁ、あたし達の中でLVが高いのは誰?」
ベニ「それはもちろんぬいぐるみ達だな」
スカイ「そうじゃなくて、プレイヤーでって事よ」
ベニ「ん〜そうだな!それなら俺とイリスティナ、それからスカイだけだな」
前回のパーティー離脱後にソロプレイをしていたベニのLVが17でイリスティナのLVが16、そしてスカイのLVが14とまだ3人ともLV20には達していない
ネルも最近LVが上がって11になったばかりだった
その他のメンバーもだいたいLVは10前後くらいで、1番低いのはムーのLV4だった
本来ここケンム街道を抜けるには、最低でもLV18は欲しいところなのに強行突破をするしかなくとても苦しい状態といえる
ネル「LVが足りて無いなら全員で行かなくてもよかったのでは?」
ベニ「LVが低い人には待機させて、俺達だけで行けばよかったと言うのか?」
ネル「そうです!そうすればこんな強行突破なんてしなくてもよかったじゃないですか!」
確かにネルの言う通りだったが、待たせておいて辿り着けませんでしたよりはみんなで行く方がいいと考えていたベニは面食らった表情をしていた
スカイ「でもみんなだってシャーロットちゃんの事は心配しているのよ」
ネル「それはわかります!けど、こんな事………あまりにも無謀じゃないですか!」
イリスティナ「ネルはみんなを心配しているんだね、なんて優しい娘なの頭撫でていい子いい子してあげる」
ネル「いりません!」
イリスティナ「な、なんて事なの!ネルっちが反抗期になってしまったわ!」
ネル「なってません!それと変な呼び方しないでください」
スカイ「ベニ!前でぬいぐるみ剣士が何か叫んでいるわよ!」
ぬいぐるみ剣士「すまんベニ!そっちに何体か行ったぞ!」
ベニ「わかった!パーティーAは後方で待機を!」
アーサー「了解!」
ベニはパーティーAを追い抜かし際に待機を言い渡し、モンスターの襲撃に備えた
スカイ「ベニ、複数体いるならパーティーでの行動は基本よ!」
イリスティナ「いらっしゃいませ〜!お客様は何名様ですか?はい、5名様ですね!ご注文はネギ多めの激辛ラーメン5人前ですね?かしこまりました〜!店長〜!ネギ多めの激辛ラーメン5人前の注文入りました〜!」
スカイ「って何でラーメン屋なのよ!それと店長って誰よ!」
ネル「私もやれます!」
ベニ「すまねぇ!みんな、ここを死守するぞ!」
パーティーBメンバー「「お〜!」」
しかし5体ほどいたモンスターは、既に何者かが倒していた
???「まったく、こんな事で危ねえぞ?」
見たことも無い人物がベニ達の前に立っていた
立っていた人物は大柄な男で、肩に担いだ巨大ハンマーで襲いかかるモンスター5体を一瞬で葬ったようだった
ベニ「あの、貴方は?いやそれよりも助けてくれたのか?」
???「なぁ〜に、礼にはおよばないって」
ベニ「いえ、助かりました」
???「んな堅苦しくすんなよ!もっと砕けて行こうぜ!」
ベニ「じゃあ、助かった!サンキュー」
???「おっ、話しがわかる奴だな」
ベニ「俺はベニ、それでアンタは?」
???「オレか?オレはエクザスって名だ」
ベニ「エクザスはこれからどこに向かうんだ?」
エクザス「オレは根無し草だからな、行く場所は無い」
ネル「根無し草?」
スカイ「旅をしている人で家が無いって事よ、けどそれって古い言い方よね?」
イリスティナ「今はホームレスって立派な名前があるじゃない!ドヤ〜!」
ベニ「それ立派じゃねぇよ!」
エクザス「ホームレス?家がねぇ、金もねぇ、その辺の野生動物でも食ってろってか!がははははっ!笑えるねぇ!いや本当笑える」
スカイ『何この人?』
ネル「どこも笑えませんけど?」
豪快に笑うこの男は、只者ではないようだった
一瞬で5体のモンスターを屠ったのに、その動きをこの場にいた誰にもまったく見えなかったのが何よりの証拠といえた
ぬいぐるみ剣士「な、何者だ!貴様!」
エクザス「お〜、ぬいぐるみか?動いて喋るぬいぐるみなんて珍しいな………高く売れるか?」
ぬいぐるみ弓使い「敵意は感じないな」
ぬいぐるみ魔法使い「何て、むさっ苦しいオッサンだ!それに我より目立つとは………」
ベニ「この人はエクザス、俺達を助けてくれたんだ」
ぬいぐるみ剣士「信用できるのか?」
ベニ「そもそも敵なら助けてはくれないだろ?」
ぬいぐるみ剣士「そうか?ベニがそこまで言うなら………『何か妙な動きを見せたならその時は斬るしか無いな』」
大所帯パーティーABCとエクザスと言う男と共にマイノレブの洞窟を目指して歩き始めた
エクザス「この先に行きたいのか?」
ベニ「あぁ、ウザウラの街を目指しているんだ」
エクザス「ウザウラの街か………そこに何かあるのか?」
ベニ「ウザウラの街から山の方向に向かうんだ」
エクザス「山?あそこにある山と言えばテトフ氷山か?」
ベニ「そう、そこに行く前にウザウラの街で防寒対策用の防具を購入してからレイゾ村まで行きテトフ氷山を登る予定だ!」
スカイ「ねぇベニ、ウザウラの街の先って何があるの?」
ベニ「ウザウラの街の先は、ルネチ大森林があってそのさらに先にインクラ砦跡地でその先はイタルバ村でもっと先がオンパウ砂漠だな」
イリスティナ「確か東回りでもオンパウ砂漠には行けたよね」
ベニ「あ〜確かにな!ルア・ガンマロ遺跡を経由して東回りもできるが、アッチは高レベルモンスターがわんさか出るぞ」
さすがはドーナツ状の大陸だけあって、大陸の南にあるニュービータウンからは西回りでも東回りでも北にあるオンパウ砂漠には辿り着けるようになっている
ベニも言っていた通り東回りでは高レベルモンスターとのエンカウントが多発する為、初心者の冒険者には向かないルートでもある
ネル「ベニさん、私達の目的地はどこですか?」
ベニ「目的地は、西回りで行くルートでレイゾ村からさらに真西にそれた先のテトフ氷山にあるスマット塔だな」
ネル「スマット塔?その塔に何があるのですか?」
ベニ「そこに列の浮遊物体があって、そのスマット塔からならその浮遊物体に入れそうなんだ」
ぬいぐるみ剣士「そこにマスターがいるのか?」
ベニ「断言はできないが、いると思う」
ぬいぐるみ剣士「ならば進むとしよう」
エクザスの協力もあり、サクサク進んで行くベニ達一行だった
一方、別のパーティーがやはりウザウラの街を目指していた
ステラ「はぁはぁ、だいぶ歩いたけどまだ街には着かないの?」
黒鎧「ここを抜ければ街までは一直線だ」
ロリス「それにしても大森林って、木っていったっけ?この木が多いね」
洞窟育ちのロリスにとっては、木が珍しい物に見えていた
黒鎧「ここはルネチ大森林という所だからな、木は沢山あるさ」
ロリス「ルネチ大森林を抜けた先には何があるの?」
黒鎧「ここを抜けた先は、ウザウラの街だな」
ロリス「イタルバ村くらい大きいの?」
黒鎧「村と街では大きさが違うからな、まぁ行けばわかるさ」
ルネチ大森林を抜け出せばその先にはウザウラの街がある
オンパウ砂漠をこえて来た黒鎧達はインクラ砦跡地を抜けて、ここルネチ大森林まで来ていた
【 ルネチ大森林 】
砂漠の手前にあるとは思えないほど、沢山の木が生えている
大森林には多種多様な動物やモンスターが棲息していて、中には普通よりも大きく育った種もいる
【 インクラ砦跡地 】
砦と言っても今は使われていない跡地となっている
かつてこの地には国境がありそこを守る為に建築された砦だったが、急速に砂漠化が広がりその結果1つの国が滅んだ事で国境が無くなってしまいここを守る意味がなくなり廃墟化していた
【 イタルバ村 】
本来はルネチ大森林の木材を切り出して輸出する林業をおこなっていたが、砂漠化のせいで人口が急激に減ってしまって木材の切り出しの担い手が減り過ぎて輸出できなくなってしまった
もともと街だったのが過疎化もあって村へ変わり果ててしまった
ルドマ「ちょっと!ま、待ってくれ!はぁはぁ………」
ロリス「もう、だらしないなぁ!コレくらいでへばったのルドマ?」
ルドマ「う、うるさい!こんな距離を移動した事がなかったから息があがっただけだ!」
黒鎧「あまり怒鳴るなよ体力が減るぞ、それにモンスターもやって来るからな」
イディ「あとどれくらい行けばこの大森林から出られるんだ?」
黒鎧「そうだなここは………ウザウラ側に近い方だと思うが、なにぶん目印となる物が何も無いからな………」
エンカウントするモンスターの種類でウザウラ側とインクラ側がわかるが、今がどちら側なのかという予測は可能であったが非戦闘員の連れがいるのでエンカウントをしないルートで来ていた為現在どのあたりなのかはわからなかった
ステラ「何はともあれ、そろそろエネルギーが切れそうだよ」
イディ「確かにな、黒鎧がバッテリーを持っていたがあと残りは何回分だ?」
黒鎧「バッテリーか………そうだな2回分だから、ステラとイディに1回ずつだな」
電子機器を持って移動する時には重宝するバッテリーをなぜか黒鎧は持っていた
そのお陰もあって雷鳴様の所でたっぷり充電したバッテリーだったのだが、あと2回分だけしか残っていないという事らしい
ステラ「なら僕はいいよ、食べ物にするから残りはイディにあげて」
ステラのボディは電気でも食事でもエネルギーを得る事ができるので、食べ物を食べてエネルギー変える方を選んだのだ
黒鎧「いいのか?」
ステラ「うん」
イディ「ステ坊………何ていい奴なんだよお前は!」
その時だった、草むらをがさがさとかき分けて何かが現れた
黒鎧「モンスターか?」
???「おっと、待ってくれ!モンスターじゃ無い」
???「こんなごついモンスター何ているの?」
????「えっ、まさかステラ?ステラなの!」
ステラ「エルディア?………あれ?おかしいな僕、幻でも見てるの?」
草むらをかき分けて現れたのは、エルディアとごつい騎士と女騎士だった
黒鎧「エルディア?どうしてここに?」
エルディア「いろいろあってね、脱走して来たのよ」
そう言ったあとにエルディアはステラを抱きしめて再会を喜んでいた
ごつい騎士「エルディア殿、知りあいか?」
エルディア「えぇ、そうよ」
女騎士『こんなエルディア殿ははじめて見た』
これまでの経緯をエルディアは黒鎧に軽く説明した
黒鎧「裏切り者として処刑か………なんとも残忍だな」
ごつい騎士「だが本当のマキシリオン様は、そんな事をする方ではなかったんだがな………」
女騎士「あまりにも変わり過ぎている………まるで中身が違うみたいにね」
エルディア「中身が違う?まさかっ!そんな………」
黒鎧「エルディア、どうした?」
エルディア「もしかしたら、あくまでも推測だけどマキシリオン様の中身は別人かもしれない」
ごつい騎士「別人?」
黒鎧「アバターみたいな感じか?」
エルディア「そうよ!中身だけ抜き取って、まるで入れ物みたいに別の意識が入っているとしたら今までの事が全部辻褄が合うわ」
エルディアはマキシリオンの中身が別人ではないかとここではじめて気づいたのだ
しかしそれでは本当のマキシリオンはいったいどこに行ってしまったのかという疑問が残る
ステラ「マキシリオンは、マキシリオンじゃなかったの?」
女騎士「中身が別人ならそうかもしれない」
ごつい騎士「じゃあ、アレはいったい誰なんだ?」
黒鎧「どうやらお喋りはここまでだな!」
黒鎧は武器を構えている、何者がこちらを狙っている事を察知して迎え討つ為だ
ごつい騎士「モンスターか?」
女騎士「鬱陶しいね」
ルネチ大森林には昆虫型モンスターが出て来るが、ただの昆虫では無く巨大昆虫だった
ステラ「アレってもしかして蚊なの?デカすぎ無い?」
巨大な昆虫型モンスターで蚊の姿だった
体長は普通の蚊よりも大きくてサイズ的には一般家庭にある扇風機くらいの大きさだろうか、そして針は武器でたとえるならレイピアほどの大きさだ
ごつい騎士「あんな針で血を吸われたら、一瞬でミイラだな」
女騎士「案外痩せるかもよ?」
ごつい騎士「オレは太っているわけじゃ無くて、ごついだけなんだよ」
女騎士は槍を構え、ごつい騎士は大剣を構えてモンスターとの戦闘に備えた
黒鎧「アンタ達で、何体行ける?」
女騎士「だいたい6〜7体くらいかな?」
黒鎧「全部で19体で、そこから7体とすると残り12か………なら残りの12体は任せろ!」
ごつい騎士「おいおい、1人で12体も相手するのか?何者なんだよ」
黒鎧「コレくらいでは肩慣らしにもならないがな」
ごつい騎士「ただの双剣使いでは無いという事か………」
ステラ「違うよ、双剣使いじゃ無いよ!最強のデュアルブレーダーなんだよ!」
黒鎧「最強は言い過ぎだな………でもまぁ、悪い気はしないな」
女騎士「最強のデュアルブレーダー………ね」
黒鎧は巨大な蚊と距離を一瞬で縮めて、初撃の一太刀で2体ほど葬った
あまりにも速すぎるその速度に巨大な蚊も自分が斬られたと思うまで僅かなタイムラグがあり、黒鎧への攻撃のモーションを取るが次の瞬間には絶命して攻撃はまともにできていなかった
ごつい騎士「一太刀で2体も斬ったのか?ありえねぇ早さだな」
女騎士「確かにあのペースなら12体もいけそうだね」
喋りながらではあるが女騎士とごつい騎士も巨大な蚊を1体1体を確実に葬っていた
黒鎧はある時は横薙ぎにまたある時は十文字にと巨大な蚊を斬り伏せていき、残りはあと5体となっていた
黒鎧「少々疲れたな………まとめてかかって来い!」
黒鎧の挑発に怒った巨大な蚊達は、言われた通りにまんまとまとめてかかって行った
黒鎧「技を使うまでも無いな」
ここでステラはかつて見た光景を目の当たりした
ステラ「あっ、あの構えは!」
黒鎧は双剣を左右で少しだけ斜めに構えて、その場で回転を始めた
ステラ「ひっ、ミンチ再び!」
少々トラウマが蘇りそうになっていたステラだった
そうステラがかつて見たのは森ウルフのミンチだったのだが、今度は巨大な蚊のミンチで何の具材にもなりえない代物だった
ごつい騎士「えげつないやり方だな」
女騎士「そう?効率は良さそうだけどね」
黒鎧は本当に12体の巨大な蚊を1人で倒してしまった
ステラ「………ってここも森だよね?森ウルフもいたりするの?」
黒鎧「安心しろ!ここには出ない」
ステラ「ホッ、よかった」
ロリス「終わったの?」
ルドマ「まったくとんでも無い所だな」
イディ「………」
エルディア「これからどこに向かうの?」
黒鎧「ウザウラの街だが?」
エルディア「なら一緒に行ってもいいかしら?」
黒鎧「別に構わんが………そちらの騎士達はどうするんだ?」
ごつい騎士「もちろんエルディア殿について行くさ」
女騎士「異論なし!」
こうしてエルディア達と共にウザウラの街を目指した
そしてこちらは時間を遡る事数時間前の事
浮遊要塞に侵入したシャーロットは、中心部を目指していた
シャーロット「ここが試練がある場所?『もう帰ろうよ!』」
要塞の中は静まりかえっていて、まったく何もいなかった
シャーロット「この奥に行かなくちゃ!『嫌だよ行きたく無い!』」
シャーロットは要塞の中をひたすら歩いて中心部を目指していた
シャーロット「待ってて!必ず、やり遂げるから………『誰と話しているの?』」
シャーロットの表面に出ている人格は別人で、本来の人格は内面の方だった
これは人格分裂の1種で、シャーロットが人格分裂しているのは腕輪内部にいるあの大嘘つきAIが引き起こしていたのだ
大嘘つきAIが無理やり別の人格を作り出して、今現在のシャーロット(あゆむ)の身体の主導権を奪取した為こんな事が起こっていた
多数の能力を制御もしない状態で使用している為、シャーロット(あゆむ)の身体は変化をしてしまい両目の瞳の色が黄金になっているのもそのせいでもあった
シャーロット(本物)『ぜんぜん身体が動かせない………もう帰りたいよ〜!』
シャーロット(偽物)「うるさい!」
シャーロット(本物)『聞こえてるの?だったら帰ろうよ!』
シャーロット(偽物)「いい加減にしろこの偽物!僕はやり遂げなければならないんだ!邪魔をするな!」
シャーロット(本物)『偽物何かじゃ無いよ!』
シャーロット(偽物)「だったらまがい物だな!」
シャーロット(本物)『僕がまがい物?』
シャーロット(偽物)「そうだ!お前はまがい物だ!だって本物は、もうこの身体にはいないんだからな!」
シャーロット(本物)『本物って………誰なの?』
シャーロット(偽物)「決まっているだろ!前髪当溜だ!それは僕の事だ!」
偽物は無理やりにでも納得させようとして、自分が本物だと言い張り意思の決定権を獲得しようとしていた
シャーロット(本物)『前髪当溜?誰だっけそれ………』
シャーロットは前髪当溜の存在を忘れてしまっていた、それは記憶を抜き取られた事が原因だった
たとえるなら穴空きチーズといったところだろうか、部分部分が抜き取られた状態なわけだから当然と言える
そのせいもあって空いてた記憶の穴に新たな記憶が埋まりつつある現在は、自分が前髪当溜だった事を忘れてしまっているのだ
シャーロット(偽物)「お前なんかいなくなったって、誰も悲しんでくれる奴なんかいないよ!」
シャーロット(本物)『それは………僕はいらない子って事なの?』
シャーロット(偽物)「そうだよ!お前なんていらない存在だ!消えちゃえよ!」
シャーロット(本物)『僕が消える?』
シャーロット(偽物)「消えろ!消えろ!消えてしまえ!」
シャーロット(本物)『それは絶対駄目だ!僕は僕として生きるんだから!』
本物のシャーロットが自身の意思を強く思ったまさにその時だった
〘称号:銀髪オッドアイロリっ娘エルフの効果???のロックが解除されました〙
〘???のロック解除を確認完了しました〙
システム音声が聞こえて、以前は確認できなかった称号の1つが解除された事を告げた
シャーロット(偽物)「は?なんだコレは………」
シャーロット(本物)『えっ?』
〘想像具現化を会得しました〙
〘称号相乗効果:幼き聖女とセッションにより邪悪な思念体の排除を開始します〙
シャーロット(偽物)「邪悪な思念体?」
シャーロット(本物)『何が起こっているの?』
次の瞬間まばゆい光がシャーロットを包み込んだ
シャーロット(偽物)「うぎゃー!なんだコレは溶ける心が記憶が溶ける!嫌だ!溶けたくない!」
シャーロット(本物)『僕はなんともないけど?』
そしてシャーロットの偽物は溶けて消え、残った本物のシャーロットはと言うと………
シャーロット「あれ?僕動けるみたいだ」
「ピシッ」
何かヒビが入るような音が聞こえて、シャーロットの腕から腕輪がパラパラと剥がれ落ちた
シャーロット「あっ腕輪が………取れちゃった」
シャーロットの手首にはもう腕輪は無かった
シャーロット「僕シャーロットのままだけど………この身体って生身だよね?どうなっているの?」
生きるという選択をしたシャーロットに奇跡が起こり、会得した想像具現化の効果もあり悪さをしていた偽物を排除してさらにその偽物を作り出していた大嘘つきAI(腕輪ごと)をも排除する事ができたのはシャーロットの強い意思の賜物だった
シャーロット「ここからどうやって帰ろうか………」
そして時は戻り
ベニ「ウザウラの街にやっと着いたな!」
ベニ達はマイノレブの洞窟を抜けウザウラの街に辿り着いていた
エクザス「オレはちょいと酒場に行って来るぜ!」
ベニ「テトフ氷山にも一緒に来てくれるんだよな?」
エクザス「あぁ、その前に1杯引っ掛けてくるけどな」
エクザスは酒場へと向かった
ベニ「さっそくだが、防寒対策用の防具を見に行こうぜ」
スカイ「エクザスの分も買うの?」
ベニ「もちろんその方がいいだろ?」
そしてベニが後ろ向きに歩いていたら誰かとぶつかった
???「痛っ!」
ベニ「っとすいません!」
黒鎧「よそ見をしながら歩くとは、油断は相変わらずだな」
ベニ「へ?何でここに黒鎧がいるんだ?」
先ほどぶつかった人物は、黒鎧の後ろにもうダッシュで隠れてしまった
イディ「何やってるんだ?かくれんぼか?」
ステラ「ど、どんな顔して会えばいいかわかんないんだもん!」
ベニ「こっちも人数多いが、そっちも結構いるな」
黒鎧「ちょうどいい、情報交換といこうか」
ベニ「なら、何か食べながらにしないか?」
黒鎧「こっちに大きめな店があるついて来い」
ベニ達と黒鎧達はそれぞれ連だって、大衆食堂【明後日の二の舞い】と言う飲食店にやって来た
【明後日の二の舞い】
採掘の街である為か、ここの大衆食堂には採掘作業員が多く集まり明け方まで呑み明かす者達がいた為店名を明後日の二の舞いにしたと店主は語る
名前の由来は明後日も昨日と今日と同じく呑み明かして二日酔いになるのだろって意味で、二の舞いとついたんだとか
しかしこの大衆食堂には看板メニューがあり大変絶品だと好評でほぼ毎日店内はお客さんで満員状態なのだが、なぜか今日に限ってはがら〜んとしていた
ベニ「広いテーブルだな」
スカイ「全員座ってもまだ余るわね」
黒鎧「さて、そっちはどうした?そんな大勢で………何があった?」
ベニは黒鎧達に詳しく話して、これからどこへ向かうのかも伝えた
黒鎧「………塔と言ったな、それは上空から見るとどんな形をしているかわかるか?」
ベニ「ドクロの形だったぜ」
黒鎧「まずいな………」
ベニ「何がまずいんだ?」
イリスティナ「まだ何も食べてないけどねぇ〜!」
スカイ「はい、黙っててねっ!」
イリスティナ「ひぎゃっ!」
ネル「まったく凝りませんね」
黒鎧「お前達には話して無かったな………俺は未来からやって来た、さすらいの異邦人だ」
ベニ「未来からだって!こんな時に何を冗談言ってるんだよ」
黒鎧「冗談なんかでは無い!本当の事だ!」
ベニ「それを証明できる物は?」
黒鎧「いっさい何も無い!」
ベニ「それをオレ達に信じろって?無理があるだろ!」
黒鎧「だが事実だ!」
ベニはしばらく考えて応えを出した
ベニ「………わかった、アンタの事だ嘘なんかじゃ無いんだろ?信じるよ」
スカイ「ベニ、本気なの?」
ベニ「これまで何度も助けて貰っているし、めちゃくちゃベストなタイミングで現れていただろ?」
スカイ「そうだけど………」
ステラ「黒鎧は嘘なんかついて無いよ!」
イディ「ステ坊………そう言う事は隠れながら言うものじゃ無いだろ!」
ベニ「さっきから気になっていたが?その娘は?」
黒鎧「ステラだ………」
ベニ「ステラ?どこかで会った事ないか?」
スカイ「ちょっと、ベニ!こんな幼い娘をナンパする気なの?」
ベニ「違う!誤解だ!」
イリスティナ「そう?ここは一階だけど?」
スカイ「何が誤解なわけ?」
スカイはイリスティナを全開スルーした
ベニ「いやナンパじゃなくて、その娘の仕草がどこかで見た事がある気がしたんだよ!」
ステラ「僕はステラだよ!ベニの知ってる人物なんかじゃ無いよ!」
スカイ「ベニの知ってる人物?貴女はもしかして、まさかそんな事って………当溜なの?」
ステラ「違います!誰ですかそれは?僕…………あたしゃステラっていいますのよ、オホホホッ!」
イディ「ステ坊、誰のつもりなんだそれは?」
本人はなんとか誤魔化しているつもりだが、とても苦しい誤魔化し方だった
黒鎧「ステラは紛れもなく前髪当溜の記憶そのものだが?」
ステラ「って何でバラすの!黒鎧!」
次の瞬間だった、ふわっと何かが僕を包みこんでいた
スカイ「やっと会えた!」
ベニ「本当に、当溜なのか?」
スカイに抱きしめられながら僕はため息を吐いた
ステラ「はぁ〜!またこのイケメン顔を見ないといけないのか………うんざりだ!」
ベニ「おい(怒)!人がめちゃくちゃ心配していたのに、なんだその言いぐさは………」
スカイ「もうそんな事どうだっていいでしょ!無事だったんだからねぇ当溜って無事と言えるのかしら………今はステラって言った方がいいのよね?」
ベニ「そんな事って………俺は別に悪くないよな?」
僕がシャーロットだった時の記憶はほぼ無いけど、それでもイケメン顔のベニはなんとなく許せ無いと思ったのでつい口から出てしまった
ネル「あのスカイさん………そろそろ代わってくれませんか?」
スカイ「それはいいけど、今までのシャーロットちゃんとは違うからね?」
ネル「本当の兄の方………なんですよね?」
スカイ「だからまずは、自分が誰なのかを伝えてからよ?」
ネル「わかりました」
ステラ「えっと、誰かな?」
ネル「私は貴女の妹の羽琉と言います」
ステラ「えっ?羽琉って言ったの?」
ネル「そうです貴女の妹の羽琉です」
ステラ「昔はあんなに小さかった羽琉が、今はこんなに大きくなってたなんて………けどまるでコレだと僕の方が妹だな」
スカイ同様にやはりネルもステラ抱きしめてその温もりを感じ、感極まってつい涙を流していた
ネル「覚えてくれていたんだね、お兄ちゃん」
そんなネルとステラの感動の再会を邪魔する輩が現れた
イリスティナ「あのネルさん………そろそろ代わってくれませんか?」
ネルがスカイに言ったまんまのセリフをそのまま使う卑怯者のイリスティナだった
スカイ「代わりません!」
イリスティナはスカイによって完全に阻止された
イリスティナ「そ、そんな馬鹿な〜!うわ〜!」
スカイ「はいはい、うるさい人はそっちに行ってて!」
イリスティナはスカイによってその場から強制退場させられた
ムー「ベニ兄、彼女はシャーロットちゃんとは違うの?」
ベニ「ほとんど同じ人物なんだけど、今は別の人と考えた方がいいかもな」
ヒミコ「何が何だかまったくわからんのじゃ!」
ネル「お兄ちゃん、姿は違っていてもこうして会えたのは嬉しいよ」
ステラ「僕もだよ!こんなかたちだけど、会えて嬉しい」
スカイ「ネル………よかったね、感動の再会ができて」
ネル「はい、ただ思いがけずって感じですけどね」
ベニ「いや〜よかったな、姉妹の感動の再会!」
ステラ「僕………いつの間に妹ポジションになったんだろう?」
黒鎧「その姿では説得力ほ無いがな」
ステラ「む〜!エルディア!もっと良い素体は無かったの?」
エルディア「ごめんなさいね、それしか無かったのよ」
ネル「そんな事どうでもいいよ!お帰りお兄ちゃん」
ステラ「納得いかないけど…………ただいま!」
離ればなれだった本当の姉妹がやっと感動の再会を果たした瞬間は、周りの仲間達も涙ぐんでいる者もいた
よかったですね〜!姉妹の感動の再会………あれ?でも本当は兄妹でしたね
次回は試練です
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素人の作品です
福望華雫でした




