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ログイン22 VRゲームとはなんですか?

貧乏高校生 当溜。格安ボロアパートに住みバイトをして生活費を稼ぐのが彼の毎日だった。明日から学校が夏休みに入る事で浮かれていた時に偶然おもちゃ屋で最新のVRヘッドギアを見つけ購入した。さっそくVRゲームを始めたまでは良かったのだが、本来なら無いはずのVRヘッドギアのホームにログインを果たした。彼は大嘘をつくAIの言う事を真に受け全てにYESと応えてしまった。身体構造スキャンを許し、問題箇所のリペアとしてハルモニア光なる謎の光を実際の身体に照射された。問題は解決したのだとAIに唆されてゲーム世界に送り出されてしまう。しかしこの事が当溜の生活をガラリと変えてしまう重要な出来事だった。ログインしたゲーム内でも問題が発生した。選択出来る性別が女性のみで男性の選択は不可能だった。なんとか女性アバターを男性的な姿に作る事に成功したが、間違えてランダム作成を押してしまい完成したアバターは幼女だった。


♤守ってください幼女な僕を♡ 

縮めて『守幼』をよろしくお願いします


お待たせしました!

ずいぶんとお待たしてしまいましたが、ようやく納得がいく内容になったので投稿しました



 源太郎は少々気になる事があり、それを紅優に尋ねた


源太郎「ところで紅優くんは、探偵でも目指していたのかな?」


紅優「探偵?なんでそんな事を聞くのですか?」


源太郎「君が調べた事はずいぶんと細かかったからね、将来的に探偵でもするのかと思った次第だよ」


 紅優の調べた事はネットを使って短期間でかき集めた情報だったが、よく調べ上げた物だと源太郎は関心していた


紅優「探偵は目指してませんけど、将来か………」


源太郎「何か不安な事でもあるのかな?」


紅優「個人的な悩みなので、たいした事ではありませんよ」


源太郎「もし何か困った事があれば、いつでも頼って貰っても構わないよ」


紅優「わかりました、その時はお願いします」


 紅優の個人的な悩みは、父親の事と大森家の長男としての務めなど悩みは尽きないが人に頼ってまで解決する様な悩みでは無いと紅優は考えていた


羽琉「先ほどおっしゃっていたVRゲームとはなんですか?」


源太郎「羽琉さん?もしかしてVRゲームをなさるおつもりですか?」


羽琉「私でもできる事があるなら、たとえゲームでも力になれればと思って………」


 羽琉は自分でも何かできる事があるとすれば、未経験だがゲームをしてほんのちょっとでも手伝えるのではと考えていた


紅優「ゲームをするには、まずVRヘッドギアの購入をしなければなりませんよ?」


羽琉「VRヘッドギア………それはどこに行けば購入できますか?」


萃香「本当にやる気なの?」


羽琉「私は………兄の記憶を取り戻したい」


 兄の記憶を取り戻したいという羽琉の決意は固かった


紅優「………そこまで言うなら、俺がVRヘッドギアはなんとかしますよ」


羽琉「え?けどこれは私の問題で自分で購入しないと意味がありません」


萃香「ふふっ、まさか当溜と同じ様な事言うなんてね!兄妹って離れていても似るものなのね」


羽琉「私が兄と同じ様な事言った?」


紅優「服の購入の件でね俺がお金を出すと言ったら、当溜が言ったのはこうだったよ「え?だって僕の事だよコレは!自分で出さないと」ってね」


源太郎「それは当溜くんがあの姿になってしまったからなのかい?」


紅優「当溜が幼女化した直後の事でしたからね、そうだ萃香!服は結局届いたのか?」


萃香「もうとっくに届いて着せてるわよ、今着てる服もあの時に当溜が悩みながら選んだ服よ!」


羽琉「今あゆむちゃんが着ている服が、兄が選んだ服なんですね……………可愛らしい服ですね」


萃香「当溜はね、最初にくまさんの絵柄がある下着を選んだんだけどね安物だから破れやすいって言ったらかなり驚いていたわ」


羽琉「くまさんの絵柄ですか?」


紅優「俺は生地とか安さとかわからないから、選ばなかったけど当溜は楽しそうに選んでいたよ」


羽琉「兄が楽しそうに…………」


萃香「まぁ、今はそんな事もできないから早く当溜の記憶を取り戻してあげないとね」


紅優「そうだな!って事で俺がVRヘッドギアを購入しておくから、それでいいかな羽琉さん」


羽琉「不束者(ふつつかもの)ですがよろしくお願いします」


萃香「羽琉さん、それは使い方を間違ってませんか?」


源太郎「確かにそれだと、(とつ)ぐみたいですね」


羽琉「と、嫁ぐって!私はそんなつもりではなくてその………」


紅優「大丈夫ですよ!俺はわかっていますからね」


羽琉「は、恥ずかしい間違いをするなんて………」


 羽琉は顔を赤くしてしまい、そこで場違いな言動で場を引っかき回すあの人がしゃしゃり出た


茶恋「(とつ)ぐと言えば私!そうあーちゃんの(よめ)です!」


萃香「またなの?いい加減勘弁して欲しいんだけどね!って言うか空気を()()!」


 萃香はゲーム内でもしていた手刀で茶恋の頭にチョップをかました


茶恋「きゃん!痛いよ!またチョップするなんて酷いからね〜!私はあーちゃんの嫁なのよ!」


萃香「まだ言うか!」


 萃香が追いかけて茶恋は逃げる、いたちごっことはまさにこの事だろうか


紅優「きゃんって、仔犬みたいな声だったな………」


源太郎「実の娘だがアレがなければな………痛みを(ともな)えばいい薬になるといいんだがね」


 源太郎も自分の娘の言動には日々頭を悩まされているが、今まで娘に対して一度も手を上げた事が無いので萃香のチョップを愛のムチとして見ていた


羽琉「あの……紅優さん!その……VRヘッドギアの事をよろしくお願いします」


紅優「羽琉さん………わかりました、俺に任せてください」


羽琉「それと………私の方が年下なので、紅優さんそれから萃香さんと茶恋さんもできれば私の事はさん付けしないでくれませんか?」


 追いかけっこをしていた萃香と茶恋、それと紅優は一瞬時が止まったかの様にピタリと動きを止めていた


紅優「そうだな………それなら羽琉ちゃんでいいかな?」


羽琉「ちゃん付けもやめてください!私の年でちゃん付けはキツいので!」


 羽琉はまだ中学1年生だが、同年代ではちゃん付けもあるはずなのになぜかちゃん付けを拒んでいた


萃香「ちゃん付けが駄目ならなんて呼べばいいの?」


羽琉「羽琉と呼び捨てにしてください」


茶恋「じゃあ、羽琉!ちょっと盾になって!」


羽琉「それはお断りします」


萃香「本当に呼び捨てでいいの?」


 萃香に軽くスルーされた茶恋は、ブーブーとぶーたれた顔をしている


羽琉「私はそれで構いません」


紅優「男の俺が呼び捨てにするのもなぁ………」


羽琉「萃香さんは呼び捨てなのに、駄目なのですか?」


紅優「萃香は幼馴染みでいつも呼び捨てにしてたし、さんもちゃんも付けられないなら苗字で呼ぶしかないけどな………」


羽琉「では、紅優さんは苗字で構いませんよ」


紅優「無理言って悪いな!」


羽琉「私の方こそ無理というよりは、我がまを言って困らせてしまいましたから大丈夫です」


 羽琉は紅優にVRゲームについて詳しく尋ねていると、ある問題が発覚した


紅優「え〜と、つまり宇城(うしろ)はゲームができる環境が整っていないとそう言う事か?」


羽琉「はい、祖父母宅なのでWi-Fiはありませんしインターネットも無いので使えるとしたら私のスマホくらいです」


 祖父母の家ではネット環境が整っておらず、ゲームをするにはかなり問題があった


萃香「それなら羽琉、あたしの家に来ない?」


羽琉「萃香さんの家にですか?」


萃香「ちょうどね、部屋は余っているしもう1人一緒に住んでくれればあたしも助かるんだけど?」


 昨夜の事を思い出した萃香は、それとなく羽琉に提案してみた


羽琉「本当は兄と2人で暮らしたいのですが、今の兄では私の方が面倒をみないといけませんし………わかりました祖父母に相談してみます」


萃香「それじゃあ、連絡先を教えて」


 羽琉と萃香は連絡先を教えあって、ついでに紅優と茶恋とも連絡先を交換しておいた


源太郎「私も若ければゲームで力になれたかもしれないが、流石に無理があるか………」


紅優「そんな事ありませんよ、ゲームに年齢は関係ありませんからね」


源太郎「紅優くん、私がゲーム以外で力になれそうな事は無いかな?」


紅優「そうですね………それなら依頼を引き受けて貰えませんか?」


源太郎「依頼?どんな依頼を?」


紅優「運営………ゲーム会社の調査依頼です、俺では詳しく調べる事ができませんから」


 紅優は源太郎にゲーム会社の調査を依頼した、なぜならネット上では詳しくは調べる事が困難で実際に現実側から調べないと実態を探るのは無理だった


 ゲーム会社にハッキングをすれば或いは情報を得られるかもしれないが、なるべくなら犯罪めいた事は避けるべきと判断した紅優は源太郎に依頼する事で解決の糸口を探ろうと考えたのだ


源太郎「ゲーム会社か………確かにそこにがどうなんているのか気になるな」


紅優「ゲーム内で謎の物体が出現したのに運営は何の宣伝も無いので、なんだかきな臭い気がするので調べて貰えませんか?」


源太郎「わかりました、他に何か気になる事とかはないかな?」


紅優「あるとすれば児童養護施設ですけど………」


源太郎「何かあるのかね?」


紅優「はい、もしかしたら俺の親父が関わっているかもしれないので………」


源太郎「紅優くんのお父様が?」


 紅優は父親が病院に投資している事と、その病院に務めている医者が児童養護施設と関係があった事を源太郎に詳しく伝えた


源太郎「なるほど、紅優くんのお父様が関わっているかもしれないとはそういう事か………わかりましたそれもついでに調べましょう」


紅優「いいんですか?」


源太郎「ひょっとしたら、まったく無関係かもしれないからね調べるに越した事はないよ」


紅優「ありがとうございます!源太郎さん、よろしくお願いします」


 紅優は探偵である源太郎に依頼を出し、源太郎はその依頼を受ける事になった


萃香「ひょとして、これって紅優の言ってた仲間を増やすって事なの?」


 羽琉がゲームをする事になり、源太郎に依頼を出した事が萃香には仲間を増やす事に思えたが………


紅優「言われてみればそうだな」


萃香「え?考えて無かったの?」


紅優「俺もいっぱいいっぱいだからな、そこまで頭が回らないって!」


源太郎「仲間を増やすか………それは名案だよ、紅優くん!」


紅優「まだぜんぜん、増えてませんけどね」


源太郎「先ほどの幼女化の映像とマキシリオンという脅威をネット上で公開してみてはどうかね?」


紅優「ネット上で公開?」


源太郎「ナレーションか、字幕をつければネットで公開するには充分ではないかな?」


紅優「それをするメリットはなんですか?」


源太郎「マキシリオンの情報が集まるかもしれないという事だよ」


紅優「マキシリオンの情報か………」


 源太郎はもっと詳しく話し、紅優はその話しに納得した


紅優「情報提供を求めるって事なんですね」


源太郎「その通りだよ紅優くん!目撃情報やどんな些細な情報も集めておけば、いざという時に役に立つのではないかと思ったのでね」


紅優「ネットを上手く利用すれば、情報も集まるし脅威を広く知らせる事ができるから一石二鳥か………良しやってみよう」


 探偵である源太郎というブレインのお陰で、ネットに拡散させる事にした紅優はさっそく帰ったら再々編集をして各種SNSにて情報の拡散を行う事にした


 またしても紅優は忙しくなるが、ゲームではソロプレイをする事にしておいたのでその時間はフリーとなる予定なので有効に使うつもりでいた


 さらに例の約束の件もあり多忙な紅優だが、なんとも充実した様な表情をしていた


萃香「アレもコレもってやってて、大丈夫なの?」


紅優「何なら手伝うか?」


萃香「やらないわよ!」


紅優「はははっ、だよな!」


 あゆむは話しが難し過ぎて飽きてしまい、近くにあったテレビのリモコンの電源ボタンを押した


 テレビがついた事に全員が気がついて、画面を見るとニュースの時間では無いのにニュースがやっていた


ニュースキャスター「ここで臨時ニュースです、◯◯県の児童養護施設に何者かが侵入して立てこもる事件が発生しました」


紅優「立てこもり事件って、あの場所は例の児童養護施設じゃないか!」


 臨時ニュースでは紅優が調べた例の児童養護施設が上空からヘリコプターで撮影された映像が映っていた


ニュースキャスター「なお犯人は武器を所持しており、現在もいまだ立てこもったままとの情報です」


源太郎「立てこもり犯が武器を所持して児童養護施設にいるだと!」


 源太郎は怒りがこみ上げている様子だった


ニュースキャスター「また新しい情報が入りました、立てこもり犯は複数いるとの情報がたった今入ってきました」


紅優「複数の立てこもり犯、こいつ等の目的は何だ?」


萃香「ねぇ、これマキシリオンの仕業なの?」


紅優「わからない………」


茶恋「幼女になった人達がいる……んだよね?」


紅優「とりあえず調べた限りではそうだが………」


茶恋「もしかしたらだけど、あゆむちゃんみたいに記憶を奪おうとしてるとかはないの?」


 その場にいる全員が凍りつく様な事を茶恋は言った


源太郎「まさか………記憶を奪う為にこんな事をしでかしているのか?」


紅優「…………充分にあり得るかもしれないな」


 世界を変えるにはやはりたった1人の人間の記憶だけでは足りなかったのではと、紅優は思っていた


萃香「そうなったら、幼女にされた人達はどうなるの?」


紅優「最悪の場合は、まったく記憶の無い赤ちゃん同様の知識しか無い状態になるかもな………」


 唯一の例外としてあゆむは当溜と記憶を分離させていたが、他の幼女はおそらく全ての記憶を奪われるのではないかと予想した紅優だった


源太郎「それはなんとも酷いな………」





 【ニュースにあった児童養護施設の内部】


 その児童養護施設で行われていた事は紅優が予想した通りだったが、その予想を遥かに上回る事態が行われていた


ごつい騎士「おらおらおら、一匹も逃がすなよ!」


女騎士「………わかってる」


 武装集団が幼女を追い回して捕まえようとしていて、捕まってしまった幼女は武装集団に何かをされたその直後にはぴくりとも動かずに床に倒れさせられている


幼女1「みんな、倒れて動かなくなっちゃったよ!なんで!」


幼女2「うわぁぁぁぁあ!こ、殺される!」


幼女3「こっちだよ!早く!」


 倒れて動かない幼女を見たまだ無事な幼女達はみんなで協力して逃げるのに必死だった


 幼女になったプレイヤー達をごつい騎士と女騎士、それから騎士達の部下と思われる数名の人影が追い回していた


ごつい騎士「なんでわざわざ、オレ達がこんな事をやらされているんだろうな?」


女騎士「…………マキシリオン様の命令は絶対」


ごつい騎士「そのマキシリオン様だが、何を考えているのかわからない時がないか?」


女騎士「…………確かに昔とはずいぶん変わった」


ごつい騎士「それとよ!これ酷くないか?」


 ごつい騎士が指差した床には、記憶を奪われた幼女達が転がっていてよく見るとその幼女達は息をしていなかった


女騎士「…………もう死んでる」


 記憶だけ抜き取るはずの装置が、なぜか何の罪もない幼女達の命を奪っていた


ごつい騎士「いくら命令とはいえ、これはやりたくねぇ仕事だよな?」


女騎士「…………けど今の状態だと惑星だけしか作り変えられないって聞いた」


ごつい騎士「オレはこれでも騎士道は持っているつもりだが、マキシリオン様のやってる事が正しいとは思えない!」


女騎士「………謀反(むほん)を起こすつもりなら敵と認定する」


 女騎士は持っていた武器をごつい騎士に向けてそう言い放つ


 女騎士の武器は槍の形状だが、ただの槍ではなさそうだった


ごつい騎士「勘弁してくれ!そんなつもりはねぇけど、やりたくねぇのは事実だぞ?」


女騎士「………私もやりたくない………それでも命令は絶対だからやるしかない」


ごつい騎士「他者の命を奪うのは戦場だと思っていたんだがな、何の罪もない幼女をこの手にかけているってのはやるせねぇな………」


女騎士「私達にも生きる権利はある!理不尽に奪われたなら取り返すまで!」


ごつい騎士「それは、GMって奴らの事を言ってんのか?」


女騎士「そのGM達がやった事と同じ事を、私達がやって何が悪いの?」


ごつい騎士「まぁ同感だな、やったらやり返される………あたり前の事だ」


女騎士「私達の敵は別の惑星の人間だった、ただそれだけの事」


ごつい騎士「敵ね………」


 ごつい騎士は息絶えた幼女を見下ろしてそうつぶやいた


女騎士「まだ沢山の記憶がいるのだと、マキシリオン様はおしゃっていたと聞いている」


ごつい騎士「ここにいる幼女達だけで足りるのか?」


女騎士「騎士団のまとめ役でもある上司のエルディア殿が、まだ秘策があると言っていたけど?」


ごつい騎士「エルディア殿が?秘策か………」


女騎士「とにかく今はここの幼女達の記憶を奪う事が先決」


ごつい騎士「本当はやりたかねぇけど、マキシリオン様の命令だしな!やりますか」


女騎士「………やると言うのなら与えられた仕事はきっちりこなして誠意を見せて」


ごつい騎士「へいへいっと」


 ごつい騎士と女騎士は仕事として児童養護施設にいる幼女達を捉えては記憶を奪い投げ捨てる様に床に転がす行為を繰り返し、そしてそれは全ての幼女の記憶を奪うまで続いた


 女騎士とごつい騎士と数名の部下は全ての幼女の記憶を奪った後は速やかに帰還をした


 この数時間後に警察と機動隊の突入が決行されたが突入した時には、既に記憶を奪われその命さえも奪われた幼女達の遺体が児童養護施設の床に横たわっていて容疑者と思われる武装集団の姿はそこにはもういなかった


 警察は立てこもり事件から殺人事件へと切り替えて捜索する事になったが、あまりにも不可解なできごとで捜索は難航を極めていた


警察A「どうなっているんだ?」


警察B「もぬけの殻とか、あり得ないだろ!」


機動隊員M「犯人はいったいどこに消えたんだ?」


機動隊員N「ちゃんと包囲していたはずなのにいないなんて………」


 なぜなら立てこもり犯がいるはずの建物を包囲していた警察や機動隊だったが、その肝心の立てこもり犯人達の姿が忽然といなくなっていたからその場いた誰もがみな首を傾げていた



   

       【とある建造物】


 ここはゲーム世界と現実世界の境界に存在する建物で、ゲーム世界と現実世界への行き来ができる狭間の空間だ


 指定した場所に繋げる装置があり空間にトンネルのような物を作り出して移動が可能で、座標さえわかればどこにでも繋げられるそんな装置で行き来をしていた


 帰還した女騎士とごつい騎士を待っていたのは直属の上司にあたるエルディアだった

      

ごつい騎士「ただ今帰還いたしました」


エルディア「うむ、ご苦労」


女騎士「こちらが奪って来た記憶が入っているコアです」


 女騎士が差し出たのは幼女の記憶を奪って封じたコアと呼ばれる物で、麻袋に大量にありその中から1つだけ取り出してエルディアに手渡していた


 受け取ったコアを見つめていたエルディアに、ごつい騎士が尋ねる


ごつい騎士「秘策があると聞きましたが、どの様な秘策で?」


エルディア「まだ具体的には公表はできない」


女騎士「それは情報が漏れるのは避けたいという事ですか?」


エルディア「そうだ」


ごつい騎士「それでオレ達は、この後は何をすればいいのですかね?」


エルディア「待機だ」


女騎士「了解しました」


ごつい騎士「了解………『また待機かよ』」


 それだけを告げると、その場に女騎士とごつい騎士だけを残してエルディアは部下にコアが入った麻袋を指定した場所まで持っていけと命令を下してその後そこから去って行った


ごつい騎士「もしかしたら、また出撃命令があるのかもな………」


女騎士「その時までは自由行動ね………」


ごつい騎士「自由行動って言ったって、ここは何も無いから暇でしょうがないだろ!」


 娯楽施設もなければ、売店すらないこの建造物では暇をもて余すのは明白だった


女騎士「どこかの誰かさんみたいに抜け出すつもり?」


 本来待機中の騎士がもう1人いたが、ゲーム内の街へと出かけてしまっていた


 コールドスリープ状態の騎士も合わせると全員で12人だが、現在コールドスリープから出ている騎士の数はまだたったの3人だった


ごつい騎士「オレはそんな事しねぇよ!」


女騎士「だったらデートでもする?」


ごつい騎士「は?オレとお前でデート?お前はオレに気があるのか?」


女騎士「無い」


ごつい騎士「じゃあなんでデートなんて言ったんだ?」


女騎士「暇だから、からかい半分で言ってみた」


ごつい騎士「お前ね、仮にも女なんだからそう言う発言は控えた方がいいぞ!」


女騎士「もしかして、私に気があったりする?」


ごつい騎士「まぁ、女として見たらスタイル抜群で魅力は充分だしな良いとは思うが………『性格に難ありなんだよな〜』」


女騎士「思うが………何、それは?」


 女騎士は首を傾げて、年相応の女性らしい表情でごつい騎士の言葉の意味を理解ししようとしていた


ごつい騎士「あ〜、オレ達はいつ死んでもおかしく無いだろ?だからそう言うのはオレ達が平和に暮らせるようになってからでよくないか?」


女騎士「ずいぶんとまともな意見でびっくりした」


ごつい騎士「オレだってまともな意見くらい言うさ!」


女騎士「私はいつ戦場で死んでも良いように、悔いを残したくない」


ごつい騎士「ほう、それで?」


女騎士「私は恋愛は疎いし、男性は父親しかしらないからできるだけ疑似的にでもいいから恋愛の訓練として男性と一緒にいたい」


ごつい騎士「それは将来を見越してって事か?『恋愛の訓練って、間違ってないか?』」


女騎士「確かに私は将来は、お嫁さんになりたい」


ごつい騎士「いやそれはわかるちゃぁわかるが、疑似的とはいえその訓練相手がオレみたいなおじさんでいいのか?『お嫁さんにはなりたいのに、いつ死んでも良いようにとかおかしくないか?』」


女騎士「問題無い」


ごつい騎士「まぁ相手をしてやらんでもないが、後で本当は嫌でしたとか無しだぞ?『他の騎士のが良かったなんて言われたら、オレは立ち直れないぞ!』」


女騎士「嫌ならこんな事は言わない」


ごつい騎士「そうか………わかったデートだな、どこに行きたい?『っても待機だから遠くには行けねぇけどな!』」


女騎士「行きたい場所は無い」


 そもそもデートをする為の楽しそうな施設は、ここにはどこにも無かった


ごつい騎士「………じゃあ何をしたい?『頼むまともな事であってくれ!』」


女騎士「楽しそうなお喋り」


ごつい騎士「楽しそうなお喋りか………『会話がデートってなんだ?楽しそうなお喋りってどんなだよ!』」


女騎士「何か無いの?」


ごつい騎士「楽しそうかどうかはわからないが、そうだなしりとりでもするか『オレもしょうもねぇな!それしか思いつかんぞ!』」


女騎士「しりとり………楽しそう?」


ごつい騎士「2人だとあんまり盛り上がらないよな…………『流石に今から戦闘訓練とかないしな………』」


女騎士「いいからやろう」


ごつい騎士「お、おう!ならそうだなはじめは【イディア】の〔ア〕からだ『見た目は大人なのに、中身はまだ子供だったみたいだな』」


 女騎士の年齢は16〜18歳くらいで正確な年齢は本人しか知らないし、彼女も自身の事は喋ろうともしないので周りの連中もなんとなくそれくらいの年だろうと推測していた


 そしてごつい騎士は本人も言っていた通り、30代前半のおじさん(女騎士の年齢からしたらおじさんって事)であるのは間違い無かった


女騎士「〔あ〕、あ〜?あんドーナツ」


ごつい騎士「あんドーナツ?〔つ〕、つぼ『いきなり食いものかよ!』」


女騎士「〔ぼ〕、暴食」


ごつい騎士「暴食?〔く〕、くま『腹でも減ってるのか?』」


 しばらくしょうもないしりとりを続け、やがてごつい騎士が【ん】で終わらせるまでひたすら続いていた



    だいたいほぼ同じ頃


エルディア「コア………この中に彼がいるのね」


   エルディアは研究室にいた


エルディア「貴方に会いたいよ………」


 エルディアはコアの中の人物を知っている、その名前は【前髪当溜】別の名はシャーロット


 マキシリオンの部下の1人であるエルディアは、マキシリオンから直接コアを預かりその中の記憶をエネルギーに変えなければならないのだがそれがなかなかできなかった


 エルディアはシャーロットと面識があり(一方的に)、どうにかして会えないかを模索していた


エルディア「シャーロットちゃん………そうだ!コピーすればいいのよ!」


 そんな時だった、エルディアはコピーする事を思いつきそしてコピーをした


 記憶のコピーは技術的にも比較的に簡単で、記憶を抜き取る装置や幼女達の腕輪のAIはコピーであったのもコピー技術の賜物である


 しかしこんな事がマキシリオンにバレれば、おそらく命を奪われてしまうかもしれないがエルディアはどうしてもシャーロットに会いたかったのだ


 現在いるシャーロットは見た目は確かにシャーロットだが、中身がまったくの別人としか思えないエルディアは【前髪当溜】の記憶をコピーしてどうにかして会おうと試みていた


エルディア「これで、コピーは完了した!後は……あっ!」


 その時エルディアはオリジナルのコアとコピーしたコアを2つとも床に落としてしまう


 エルディアは急いで両方のコアを手に取り、調べたがどちらがオリジナルのコアなのかわからなくなってしまった


エルディア「な、なんて事なの!どっちがオリジナルのコアなのかわからなくなったわ………」


 目印があるわけでも無く、まったく同じ形状のコアで色も同じだから見分けがつかなかった


エルディア「まぁ、コピーでも記憶は記憶だし間違っても問題は無いわ」


 エルディアは開き直り、オリジナルでもコアでも記憶は記憶と割り切って次の工程に移した


エルディア「素体は………アレがあるわ」


 エルディアは自身が素体と呼んだ物を、研究室の保管場所から引っ張出した


 素体は人の形をしているだけで、まだ顔すら無くアバターの様な物で実験用のデク人形とも呼ばれている


 この素体にコピーした或いはオリジナルの【前髪当溜】の記憶を移植して動いたり喋ったりできるようにしようとエルディアは試してみた


 素体は後頭部が開閉でき、そこにコアごと入れて代理の脳として使用する事にした


 素体に願いを託してコアをセットし内部の接続を終えて、セットしたコアのちょうど真下にある起動スイッチを押して開いていた後頭部を閉じた


エルディア「これで動いて!お願い!」


 素体が変化を起きはじめた、まるでアバターを作成しているかのように目や鼻と口や髪型と変化が次々に起こる


 最終的には[目・鼻・口・眉・髪型・髪色・体型・性別]の変化を起こし、見た目はシャーロットとはほど遠いがやはりこちらも幼女の姿だった


???「あれ?ここは、どこ?」


エルディア「やったわ!成功よ!」


???「お姉さん、誰?」


エルディア「シャーロットちゃん………いいえ前髪当溜くんよく聞いて、貴方はたった今蘇ったのよ」


当溜「蘇った?僕が………そうだ思い出した、記憶を奪われそうになってそれで僕はシャーロットと決別したんだった………」


 記憶を奪われている瞬間にシャーロットだけを残し、自分だけが囚われた事を思い出した当溜は自分自身にいったい何が起こっているのかをエルディアに訪ねた


エルディア「その身体は仮の身体アバターと同じ存在で、今の私ではこれが限界………」


当溜「でも、お姉さんはマキシリオンの部下なんだよね………なんで僕を蘇らせたの?」


エルディア「私は………シャーロットちゃんにもう1度会いたかった」


当溜「シャーロットに?でもシャーロットはもう1人いるでしょ?」


エルディア「あのシャーロットちゃんは別人よ、見た目はシャーロットちゃんだけど中身が違うからね」


当溜「なぜ、僕に会いたかったの?」


エルディア「この姿だと、やっぱりわからないよね?…………」


 エルディアはとても優秀な頭脳と美貌の持ち主で、口調も変えていたので当溜が気づくはずも無かった


 当溜は彼女と既に出会っていて、それはエルディアの姿では無くゲームとしてある平凡な日常的な風景にとけこむように彼女はそこにいつもいた


エルディア「はじめて見た時は、その姿が可愛らしく見えて言葉を失っていたけど会うたびにさまざまな表情を見せてくれたシャーロットちゃんに私は心が癒やされていた」


当溜「僕と会った事があるの?」


エルディア「もちろんある!いつもギルドで会っていたわ」


当溜「ギルド?…………お姉さんはもしかして受付嬢のお姉さん?」


エルディア「姿が違うのにわかってくれたのね?ありがとう」


 エルディアの正体はニュービータウンのギルドの受付嬢だった


 ニュービータウンのギルドにはNPCの受付嬢もいる為、エルディアとしての活動に支障は無かった


 本来は敵同士なのに正体を明かしてしまうのはとても危険でもあったが、エルディアはそれでも気づいてくれた事がとても嬉しかったのだ


エルディア「もう気づいていると思うけど、その身体は仮の入れ物よ」

 

当溜「この身体………僕はもう現実には戻れないの?」


エルディア「………コアの中の記憶をゲーム内のシャーロットちゃんに戻せば或いは現実に戻れるかもしれないけど…………しばらくはそのままでいて欲しい」


 記憶がオリジナルなのかコピーなのかもわからない状態で、シャーロットに記憶を戻すのはとても危険だった


 オリジナルの記憶なら何も問題は無いが、コピーは別である


 何度もコピーしたわけでは無いから確かに問題は多少の事だが、コピーは劣化しやすく徐々に人格崩壊などを引き起こし兼ねないのでそこは慎重に判断するしか無かった


エルディア「それと………ここでの名前が必要ね」


当溜「名前か………僕、名前付けるのは苦手なんだけど………う〜ん………あっ!シャークサンダーとか駄目かな?」


エルディア「なるべくならシャーってつかない方が………」


 【シャー】と付く名前で万が一にでも【前髪当溜】であると気づかれたら、もう2度と会えないかもしれないとエルディアは思っていた


 今の当溜の姿は幼女でやはり人外の姿だった


      【現在の当溜の状態】


☆ちっこい幼女

☆機械人形

☆セミロングストレートヘア&ミニツインテール

☆機械の角が片方だけある(右側)

☆左右の瞳は鮮やかなエメラルドグリーン

☆レンズのような第3の目(左右の瞳と同じ色)

☆各関節は球状の人形の関節(ドール人形と同じ)

☆エネルギー補給は普通の食事か電気

☆部位欠損時は即時自動再生機能付き

(頭にあるコアが無事ならという条件付き)

☆非力ユニット搭載(機械なのに身体能力が最弱)

☆肌の質感は生身の人間と変わらない


 シャーロットの時とそれほど変わらない最弱であった


当溜「う〜ん、他の名前かぁ………」


 近くにあった金属製のピカピカのコンテナに今の当溜の姿がまるで鏡の様に写っていた


 当溜は自分の姿を確認するように、その場でくるりと一回転してみた


当溜「この姿は機械の人形みたいだ………」


 しかし名前までは思いつかなかった


当溜「何かないかな?」


 思わずエルディアに聞いてしまったが、エルディアは少し考えてからこう言った


エルディア「………それなら【トロイメライ・ステラ】はどう?」


当溜「【トロイメライ・ステラ】?どっちを名乗ればいいの?」


エルディア「フルネームは【トロイメライ・ステラ】で、普段名乗るのは【ステラ】の方がいいわ」


当溜「ステラか………『女の子みたいな名前だな………でも今の僕の姿は確かに女の子だしあってはいるけど複雑だよ』」


エルディア「もしかして気にいらなかった?」


ステラ「そんな事はないよ、名前を付けてくれてありがとう」


エルディア「じゃあ、ステラ!ここではなるべくなら隠れていて!」


ステラ「隠れる?なんで隠れる必要があるの?」


エルディア「ステラの正体が、前髪当溜である事を伏せ続けるのは不可能なのよ」


 エルディアはこの中で内部をまったく見知らぬ者が動き回るのは危険であると説明をしてくれた


 それと素体から作り出された存在はどんな理不尽な命令も受け入れなければならない決まりがあるとも教えてくれた


ステラ「どんな理不尽な命令って?」


エルディア「この中には騎士や沢山の部下達がいるの、その誰かにもし見つかってしまったら戦場に行く事や(しも)の命令をする者もいるかもしれないからなるべくならずっと隠れていて欲しいの」


 下の命令とは性的な事を強要する事でどんな命令でも従わなければならないし、逆らえば酷い目にあうかもしれないのだ


ステラ「マキシリオンもいるんだよね?」


エルディア「マキシリオン様は確かにいるけど、滅多に人前には出て来ないわ」


ステラ「なんで人前に出て来ないの?」


エルディア「今のマキシリオン様は以前のマキシリオン様ではなくなってしまった、昔は誰にでも優しかったのにまるで人が変わったかの様になってしまわれた」


ステラ「何があったの?」


エルディア「私達が惑星を脱出した直後に、ある人物がマキシリオン様にお会いになられた」


ステラ「ある人物って?」


エルディア「かつて魔王の配下だったという男で、何かをマキシリオン様に手渡しそのままその男は1度も現れてはいない」


ステラ「手渡した物はなんだったの?」


エルディア「私もその場にいたけど、手渡していたのは書物の様な物だったとしか覚えてないわ」


 その書物をマキシリオンは丸暗記するほど読み続け、その後マキシリオンがまるで別人の様になってしまったとエルディアは語った


ステラ「その書物は今はどこにあるの?」


エルディア「おそらくはマキシリオン様の自室にあるけど………あれを読むのはやめて!ステラが変わってしまったたら私は………」


ステラ「読まないよ、ただどこにあるのかなって思って聞いてみただけだよ」


エルディア「そう………ならいいけど………」


ステラ「それはいいとして………これから僕は何をしていればいいの?」


エルディア「そうね、ずっと隠れている事もできないしそれにここでは暇になるから………後で街に出れるように手配しておくからそれまではここにいてね」


ステラ「出た先でも僕はステラなの?」


エルディア「なるべくなら正体は隠しておく方が無難よ」


 こうして僕はステラとしての生活が始まった



今回は沢山の動きがありました、紅優達と敵の一部の人達とそしてあの人も復活しました!

次回は居場所です

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素人の作品です   


           福望華雫でした

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