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ログイン19 新たな武具を求めて

貧乏高校生 当溜。格安ボロアパートに住みバイトをして生活費を稼ぐのが彼の毎日だった。明日から学校が夏休みに入る事で浮かれていた時に偶然おもちゃ屋で最新のVRヘッドギアを見つけ購入した。さっそくVRゲームを始めたまでは良かったのだが、本来なら無いはずのVRヘッドギアのホームにログインを果たした。彼は大嘘をつくAIの言う事を真に受け全てにYESと応えてしまった。身体構造スキャンを許し、問題箇所のリペアとしてハルモニア光なる謎の光を実際の身体に照射された。問題は解決したのだとAIに唆されてゲーム世界に送り出されてしまう。しかしこの事が当溜の生活をガラリと変えてしまう重要な出来事だった。ログインしたゲーム内でも問題が発生した。選択出来る性別が女性のみで男性の選択は不可能だった。なんとか女性アバターを男性的な姿に作る事に成功したが、間違えてランダム作成を押してしまい完成したアバターは幼女だった。


♤守ってください幼女な僕を♡ 

縮めて『守幼』をよろしくお願いします




 それぞれが自宅に帰り、紅優はすぐに書類作成を済ませてゲームにログインしていた


ベニ「まさか、あんなのがこっちにもあるなんてな…………」


 現実で見た例の謎の物体がゲーム内でも存在していて、ベニは驚きを隠せなかった


 ベニが空を見上げていたら、後ろから突然声をかけられた


ギルドマスター「そこにいるのは、ベニ君だね?」


ベニ「ギルドマスター?なんでここに?」


ギルドマスター「見ての通り、アレの様子を見に来たんだが………変わりは無いみたいだな」


 ギルドマスターが見上げる方をベニも見たが、例の謎の物体が空に浮かんでいるだけだった


ベニ「何かあったのか?」


ギルドマスター「あの謎の物体が出現して、何か大木の様な物を逆さまに生やし始めた頃に空がおかしくなったんだが……………今は元通りの空に戻ったからな次の異変があるかもと思っていたところだ」


ベニ「そうだったんだな………俺はその時、現実にいたから知らなかったよ」


 ベニは知ってる事は話さずに、まるで初めて知ったかのように(よそお)った


ギルドマスター「しかしあの物体だけでは無くて、この世界にはいなかったモンスターが出現しだしたと聞いた時は驚いたよ」


ベニ「この世界にいなかったモンスター?どんな姿なんだ?」


ギルドマスター「機械のモンスターだったらしいぞ!」


ベニ「機械のモンスターか………」


 機械のモンスターといえば、ベニ達が現実から侵入した例の謎の物体の内部で遭遇したのと同じ奴だと考えていた


ギルドマスター「ここはまだ安全だが、他の街や村なんかは被害が出ていると報告があったよ」


ベニ「機械のモンスターが襲っているのか?」


ギルドマスター「討伐を試みたらしいがうまくいかなかったそうだが、今の所はその機械のモンスターもいなくなったと報告があったよ」


ベニ『確かにもの凄く硬かったからな、それを考えたら黒鎧は簡単に倒していたな』


 黒鎧の攻撃でほとんどの機械モンスターは沈黙していた


ベニ『だが、俺よりも強いのにマキシリオンに手も足も出なかったと言っていたな………この街を出て次の街で装備を新調したほうが良いかもな』


ギルドマスター「それでベニ君はなにをしていたんだ?」


ベニ「ちょっと次の街に行って武具を新調しようと思っているんだが………俺1人が強化しても意味が無いからなぁ〜」


ギルドマスター「次の街か、ここよりはまともな武具が手に入るが道のりは険しいと聞くぞ!」


ベニ「確か、オンモル峠でしたっけ?」


ギルドマスター「オンモル峠にはコカトリスがいるからな、石化攻撃は数多くのパーティーが全滅して死に戻りさせられていると聞くが?」


 ニュービータウンを出てニュービー街道をまっすぐ南下して行くと、ギュアス山のオンモル峠がある


 そのオンモル峠を越えた先には次の街ペラグロス城下街があり、大きな城のペラグロス城が街の中央に建っているとされている


 ペラグロス城下街では交易が盛んで、さまざまな武具や珍しい道具なども沢山あるとネット民の掲示板で見たのをベニは思い出していた


ベニ「コカトリスか、厄介だな………『1人で行くのは無謀か?いや、やれるだけやってみるか!俺がどこまで強いのか知るには都合がいい』」


ギルドマスター「1人で行くつもりか?」


ベニ「俺は、俺自身の強さが知りたい!だからとりあえず行ってみるよ」


ギルドマスター「それなら、道具屋で石化対策の【オンモルの尾羽根】を買っておくといいぞ!」


       【オンモル鳥】


☆オンモル峠の由来になった鳥でコカトリスとは縄張り争いをしている鳥、体長はコカトリスと比べても大差が無いほど大きさで鮮やかな青い鳥と文献にはしるされているが生きた姿を目撃した者はいないのでもし見る事ができたらとてつもない幸運が訪れるのではないかと噂されている

☆オンモル鳥にはコカトリスの石化攻撃は効かず、その尾羽根には石化中和効果を宿している

☆店などに出回るオンモルの尾羽根はオンモル鳥から抜け落ちた物で、そこに大量にあれば縄張り争いがあった場所なので近づかない方が良いとされている



ベニ「オンモルの尾羽根?どんな効果があるんだ、それは………」


ギルドマスター「オンモルの尾羽根は使用すると、石化を中和する効果があるんだ!もっともポピュラーなアイテムだよ」


ベニ「石化の中和か、確かに役に立ちそうだな!」


ギルドマスター「1人で行くのはやはり、シャーロットちゃんを危険なめに合わせない為なのか?」


ベニ「それもあるが、もともと俺はソロで始めたから1人の方が気が楽でもあるって事なんだ」


ギルドマスター「そうか………だがシャーロットちゃんにもちゃんと経験させてあげなければ、LVアップもしないし新たなスキルを獲得すらできないぞ?」


ベニ「シャーロットちゃんは戦いには向かないし、守ってやらないとあっと言う間にキルされてしまうからな!それには俺自身がもっと強くなって余裕で守ってやれるくらいの男になりたいんだよ!」


ギルドマスター「そうだったな、非力な幼女を守る漢か………青春みたいで良いな!」


ベニ「俺はマジなんだけど?」


ギルドマスター「あの娘はキルされてはいけない尊い存在だ、できるだけ守ってやってくれよ!ベニ君」


ベニ「もちろん、そのつもりさ!」


 ギルドマスターと別れて、ベニは道具屋に来ていた


ベニ「これが【オンモルの尾羽根】か青いな………青い鳥なのか?」


 オンモルの尾羽根を多めに買っておき、その他必要な道具も補充した


ベニ「行ってみるか、オンモル峠に!」


 ベニは1人、ギュアス山のオンモル峠を目指し街を出た


 ニュービー街道には危険なモンスターは出ないときどきスライムなどに遭遇するが、ベニが苦戦する事は無くギュアス山の麓にはすぐにたどり着いた


ベニ「ここからは慎重に行かないとな………コカトリス以外のモンスターもいるし気を引き締めないと駄目だ」


 オンモル峠を登って行くと、さっそくモンスターが現れた


ベニ「山ゴブリンか!」


       【山ゴブリン】


☆山中の洞窟などを拠点にしているゴブリンで人間の大人や子供、とくに女を(さら)っては同族を増やす行為繰り返しているとされている

☆繁殖力が強く1匹見かけたら何万匹もいると噂されるほどの嫌われ者

☆山ゴブリンは連携が得意で複数現れたら要注意とされている


ベニ「1・2・3匹か、他にもいそうだな」


 まずは手前にいた山ゴブリンにバツを(えが)く様に剣を左右から斜めに時差ありで切りつけて、ベニは手応えを確認してみた


山ゴブリン「ぐぎゃ〜!」


ベニ「やっぱ、この程度じゃ倒せないか」


 ベニに切りつけられた山ゴブリンはだいぶ怒っているが、まだピンピンしていた


 すると突然ベニの視界に矢が飛んで来るのが見えた


ベニ「おっと!危ない」


 離れている山ゴブリンが弓を使って矢を放つが、ベニはそれをうまく避けた


ベニ「あいつは弓使いか!向こうの奴は棍棒を持っているな、そしてコイツは武器無しだな」


 山ゴブリンは道具を使うのが得意で、道具そのものを作成する者もいるのだと言う


 しかし山ゴブリンの連携はここからだった、弓で矢を放つ山ゴブリンの攻撃に合わせて残りの山ゴブリンが同時にベニに襲いかかって来た


ベニ「うおっ!矢の連射かよ!って何っ!」


 棍棒を持った山ゴブリンは棍棒を真上から振り下ろしてベニに攻撃し、手ぶらの山ゴブリンはその辺の大きな岩を持ち上げて投げつけて来た


 ベニは咄嗟に転がって、矢と棍棒と岩のトリプル攻撃を交わした


ベニ「やべぇ連携だな!危なかったぜ、もう容赦しないからな」


        【加速】


 ベニはスキルの加速を使い山ゴブリンの背後に回り込んで技を山ゴブリンの背中に叩き込んだ


      【クロスブレイク】


山ゴブリン「グゲッ〜〜〜〜!」


       【山ゴブリン】

        LV7HP0


ベニ「次はお前だ!」


弓使いの山ゴブリン「フゲ〜〜〜!」


      【山ゴブリン(弓使い)】

        LV5HP0


 弓使いの山ゴブリンを同じく技のクロスブレイクで沈め、棍棒使いの山ゴブリンだけが残ったが慌てて逃げようとしていた


ベニ「さぁ、後はお前だけだな!」


 逃げようとする山ゴブリンを追い越して正面からクロスブレイクを食らわせて棍棒使いの山ゴブリンを沈めた


山ゴブリン「オゲ〜〜〜!」


      【山ゴブリン(棍棒使い)】

          LV6HP0


   【山ゴブリン3体を倒しました】

   【合計370の経験値を獲得しました】

  【山ゴブリンの弓矢を手に入れました】

  【山ゴブリンの棍棒を手に入れました】


 山ゴブリンはそれほどLVが高く無かったが、防御力がベニの双剣の攻撃力を上回っていた為に苦戦してしまっていた


ベニ「どうやら、他はいなかったみたいだな」


 山ゴブリンを倒したがやはり通常攻撃では一撃で沈める事はできず、ベニは早急に武器防具を新しくしなければと思った


ベニ「山ゴブリンは確か洞窟を拠点にしているんだったな………あるのかこの近くに?」


 ベニは山ゴブリンの拠点の洞窟を探してみた、するとオンモル峠からほんの少し外れた所に洞窟がありそこには見張りの山ゴブリンがいた


ベニ「峠道にだいぶ近いな、もしかして中に誰か囚われているかもしれないな………」


 山ゴブリンが洞窟の出入り口をウロウロしていて洞窟の奥に誰かが囚われているのではと思い、ベニはクエストでも無いのにわざわざ自分から危険を犯そうとしていた


ベニ「俺自身が強くなる為だけじゃ無い、もしかしたら囚われた誰かがいるかもって事で奴ら山ゴブリンを根こそぎ倒すんだ!」


 ベニは変な言い訳を自分に言い聞かせて、山ゴブリンの巣窟に突入した


 ベニはスキルの加速と技のクロスブレイクのコンボで次々と山ゴブリンを倒して奥へ進んで行く


 数えるのも億劫(おっくう)なほど沢山出て来る山ゴブリンの群れを倒し続けて、ベニはさらに奥に向かって行った


ベニ「すっげ〜出て来るな!この奥にもしかしたら繁殖させている奴がいるかもな!」


 それほど入り組んではいない洞窟に、こんなに沢山いるのはおかしいとベニは思っていた


 いたとしても通常は数十匹程度で、洞窟内を埋め尽くすほどの数がいるのは明らかにおかしかった


 と言う事は山ゴブリンを繁殖またはポップアップさせている何かがあるのは間違い無くあり、その元凶を絶たなければ瞬く間に溢れ返るのだとベニは思っていた


ベニ「やっぱりいたか!コイツが元凶か?」


 少し広めの空間に山ゴブリンの親玉とみられる奴がいて、どうやらコイツが繁殖力の元凶であるとベニは確信した


 山ゴブリンの親玉は大柄でゴブリンというよりは、オーガよりは小さいがそれなりにでかい体格で大きな剣を持っていた


ベニ「ゲームなのにこんなリアルに設定を作らなくてもいいのにな!『やっぱ女性のNPCを攫って来て繁殖させているのか?プレイヤーはいないよな………流石に見たくねぇなそんな場面はな!』」


 とにかくコイツを倒せばすくなくとも山ゴブリンの繁殖は抑えられるはずだと、ベニはさっそく攻撃を開始した


          【加速】


ベニ「そらよ!クロスブレイク!」


        【クロスブレイク】


 通常の山ゴブリンに比べてかなり戦闘慣れしているのか、山ゴブリンの親玉はベニの技を交わして反撃して来た


ベニ「何っ!交わしただと!くっ」


 大剣の攻撃が見えたのでベニはしゃがんだが、頭上すれすれを大剣が抜けて行った


ベニ「危なっ!首が無くなる所だったぞ!」


 スキルの加速を使っているのに山ゴブリンの親玉のスピードが早くて僅かに反応が遅れてしまう


ベニ「俺の技がクロスブレイクだけだと思うなよ!」


 ベニは技を放つ為、山ゴブリンとの距離をギリギリまで縮め双剣使いの真の戦い方を見せた


ベニ「四連双撃斬!」


        【四連双撃斬(よんれんそうげきざん)


☆双剣の片方ずつ交互に切りつけ、片方だけで4回攻撃の合計8回連続斬りの技

☆一回一回の攻撃にはブースト補助がかかり、斬撃速度を加速させる効果がありその為どんなに硬くても攻撃を重ねていけば必ずダメージを与える事ができる


ベニ「うおおおおおぉっ!コレで!どうだぁ〜!」


山ゴブリンの親玉「ぐほっ!」


      【山ゴブリンの親玉】

        LV11HP0


   【山ゴブリンの親玉を倒しました】

   【1200の経験値を手に入れました】

 【山ゴブリンの親玉の繁殖元を手に入れました】


 山ゴブリンの親玉はうつ伏せに倒れて霧散していった


ベニ「はぁはぁはぁ!た、倒したのか?この俺が………はははっやったぜ!…………って山ゴブリンの親玉の繁殖元ってなんだよ!()()か!()()なのか!言えねぇけど!」


 山ゴブリンの親玉を倒したベニは、まだ奥に行ける様なので慎重に進んで行った


ベニ「コレは鉄格子か?ん、あそこに誰かいるな!お〜い大丈夫か!」


女性「ん〜〜〜〜?あれ、あれれれれ!ベニくんじゃないですか!」


ベニ「げっ!なんでこんな所にいるんだよ!お前は!」


女性「酷い!私を忘れてしまったのあんなに愛し合ったのに!」


ベニ「愛し合ってねぇよ!」


女性「なんて、冗談よ!それよりもここから助けてくれない?」


ベニ「死に戻れよ!」


女性「酷いわね………ここでは死ねないのよ!そこに結界があるから!」


ベニ「結界?もしかして街とかにあるあの結界か?」


女性「そうなのよ!だから死ねないし、死に戻りできなかったのよ!」


 結界とは街や村などを守護するモノで、ゲームではよくセーフティエリアなどと呼ばれている


 そのセーフティエリアではHPが0になる事は無く、また毒や麻痺なども効果が無くなってしまうので安全ではあるがこういう場合は割りと厄介なエリアでもあった


 そしてこの女性はプレイヤーでベニはソロでやっていた時に知り合ったが、かなりぶっ飛んだ性格で会うたびにやれ恋人だの愛人だの言っていてとても迷惑なプレイヤーだったがベニはどこか憎め無かった


ベニ「ってか何で捕まっているんだよ!」


女性「油断してたら、後からスゴッてヤラれてね」


ベニ「その言いまわしをやめろよ!」


女性「この鉄格子が無ければ出れるのに、そしてベニくんにデレるのに!」


ベニ「じゃあ、そう言う事でまたな!」


女性「マジか!こんな所にうら若き乙女を置き去りにして良心が傷まないのか!」


ベニ「自分で言うか?それに、助け出したら絶対抱きつくだろ?」


女性「抱きつかないてばよ!」


ベニ「どっかのアニメのキャラみたいな口調になってるぞ?」


女性「ね〜お願いだから、私をスケートリンクまで連れてって!」


ベニ「なんでスケートリンクなんだよ!ここに氷はねぇよ!」


女性「それならベニくんのリアルに付き合ってあげるってのはどうかな?デート1発」


ベニ「俺のリアルは知らないだろ?ってかデート1発ってなんだよ!」


女性「どうしてもここから出してくれないの?」


ベニ「出してやらない事も無いが、余計な事はするなよな!」


女性「『出してやらない事も無いが』だなんてとてもいやらしいぞ♡このベニくんめっ!」


ベニ「この(怒)!なら俺は帰るからな、自力でなんとかしろよ!」


女性「待って嘘だよ!冗談だよ!ここから出してよ〜〜〜!」


ベニ「はあ〜、もう変な事は言わないか?」


女性「おう!言わねぇよ!(おとこ)に二言はねぇぜ!」


ベニ「いや、あんた女だろ?」


 キャラがいまいちわからないこの女性の名は、【イリスティナ】と言う


 鉄格子を壊してイリスティナを出したベニは、すぐさま帰ろうと踵を返したがイリスティナは後から追いかける様について来た


イリスティナ「助かったよベニくん!お礼にキスしてあげようか?」


ベニ「いらん!そして帰ってログアウトしろよ!俺はもう行くからな!」


イリスティナ「なんか冷たいな〜!お姉さん冷えきっちゃうよ」


ベニ「前に学生って言ってただろうが!どこがお姉さんだ!」


イリスティナ「ん〜〜〜〜!あれ〜?もしかして女!女ができたのね!ゲットだぜウェ〜い!しちゃったのね」


ベニ「女ができたってなんだよ!」


イリスティナ「彼女よ!彼女!はは〜ん、なるほどね〜女かぁできちゃったかぁ!お母さん嬉しいよ!」


ベニ「誰が、誰のお母さんだ!もう帰って寝てしまえ!」


イリスティナ「で、相手はどこのどなたなの?今度紹介してくれるの?いつ空いてたかなスケジュール帳はどこやったっけ?」


ベニ「本当にお母さんみたいな反応すんな!」


イリスティナ「あらやだ!もしかしてできちゃった結婚?相手は妊娠何ヶ月目なの?式もまだでしょ?相手のご家族には挨拶にいったの?お母さんもついて行こうか?」


ベニ「前に言わなかったっけ?俺も学生なんだけど!しかも相手なんていねぇし!ってまだお母さんを続けるのかよ!」


イリスティナ「初ゲットした彼女を1発妊娠なんてやるわねベニくん!お母さん、ベニくんを生んだかいがあったわよ!」


ベニ「なぁ、人の話しを聞いてるか?それとイリスティナ、お前は俺のお母さんじゃ無いぞ!」


イリスティナ「が〜ん!お母さんショックよ!息子が今更反抗期だなんて………」


ベニ「はあ〜!だからコイツの相手は嫌なんだよ!まったく会話か噛み合わないし、1人で妄想をつっぱしらせてとんでもない方向に話しを持って行くから………」


 イリスティナとは知り合ってまだそんなに経って無いのに、グイグイ内側に入って話しをややっこしくするので毎度疲れてしまうベニだった


イリスティナ「まぁ、そう言わずに一緒に行こうか!」


ベニ「どこに?」


イリスティナ「もちろんベニくんが行く所によ!」


ベニ「………そうだな『イリスティナはこれでも実力はなかなかのものだし、それにコカトリスがいるかもしれないからな1人よりも2人の方が生存率は上がるか………コレはゲームだけど遊びじゃねぇからな!』」


 死に戻りをすればまた1からやり直しになってしまうのは避けたいので、ベニはイリスティナの同行を認め一緒に行く事にした


ベニ「言っておくが!これからコカトリスがいる所を通るからな!静かにしててくれよな!」


イリスティナ「もちろん!ベニくんの邪魔だけはしないからね!」


 山ゴブリンの巣窟を一掃したベニは、イリスティナを連れて洞窟を出た


 そしてベニはイリスティナとパーティーを組み、残りの峠道を登り始めた


ベニ「それほど急斜面じゃ無いから登りやすいが、右側のがさ(やぶ)と左側の岩肌から何か出て来そうだな………」


イリスティナ「岩肌の方はコカトリスがよく出るって聞いたけど?」


ベニ「それなら、がさ藪の方はオンモル鳥がいるのか?」


イリスティナ「縄張り争いがあるならたぶんそうだと思うけど?」


 オンモル鳥とコカトリスはつまり峠道を挟んで縄張り争いをしていると言う事らしく、遭遇率はかなり高めだった


ベニ「絶対に会いたくねぇな!」


イリスティナ「それ、フラグ立ったんじゃない?」


 イリスティナの指摘した通りにコカトリス1体が現れ、峠道を塞いでしまった


ベニ「やべぇ!ほんとに出た!」


イリスティナ「まだこっちに気づいて無いみたいよ?」


ベニ「一旦隠れよう!」


 ベニとイリスティナは近くの岩に身を隠したが………


コカトリス「コケ〜!」


 真後ろからも、もう1体のコカトリスが現れて挟まれた状況になった


ベニ「何っ〜!後ろからも出た!」


イリスティナ「ベニくん、危ない!」


 咄嗟にイリスティナがベニを庇ったが、コカトリスの石化攻撃をイリスティナは受けてしまった


ベニ「イリスティナ!大丈夫か!」


イリスティナ「攻撃受けちゃった、私はここまでね………死に戻るから気にしないでね」


 徐々に石化していくイリスティナは、既に顔を残して身体全体的に石化が広まっていた


ベニ「そんな簡単に死なせるかよ!」


 ベニは急いでストレージから【オンモルの尾羽根】を取り出してイリスティナに使用した、するとみるみるうちに石化が解けていった


イリスティナ「え?ウソ!石化が解けていく?」


ベニ「本当に効くんだな、このオンモルの尾羽根は!」


イリスティナ「オンモルの尾羽根?何それ聞いた事無いんだけど?」


ベニ「知らないのか?聞いた話しではもっともポピュラーなアイテムだって言ってたんだけどな!」


イリスティナ「そうなんだ………初めて知ったわ」


 しかしまだコカトリスが、ベニとイリスティナを狙っていた


ベニ「とりあえず、なんとか逃げるか戦うかしないとこの状態からは抜け出せないな!」


イリスティナ「それなら私から攻撃してみるよ!」


ベニ「大丈夫か?石化が解けたばかりだろ?」


イリスティナ「問題無いわ、これくらいはね」


 イリスティナは手に武器などは持って無く、代わりにグローブを()めていた


 そうつまりイリスティナの職業は拳で戦う職業で、武闘術士と言う珍しい職業だった


 武闘術士は拳だけでは無く術も使って戦うスタイルで、己の拳や脚に術をかけて殴ったり蹴ったりすると術を相手に移して弱体化や戦意喪失などを内側から発動させる事ができる


 ただし全ての攻撃が接近戦になる為、危険は常に伴う


イリスティナ「まずは弱らせてからフルボッコだね!せいっ!」


コカトリス「ゴゲッ!」


 イリスティナは一瞬でコカトリスを拳の間合いに捉えて、いつの間にか拳や脚に術をかけていてその拳をコカトリスの顔面に打ち込んだ


 イリスティナ自身の拳と脚にかけた術は【悪夢の黙示録】と言う術で、さまざまな悪夢を見せ続けて精神崩壊を内側から行う


 術にかかった者はたとえどんな相手でも、10分も持たずに戦意喪失してしまう


  まさに【武闘()】と【術士()】の合わせ技である


イリスティナ「はい、もう1回!とうっ!」


コカトリス「コッゲ〜!」


 まるで脳しんとうを起こしているかの様にふらふらしているコカトリスに、イリスティナはさらに回し蹴りをお見舞いした


イリスティナ「じゃあ今度はコカトリスのサンドバッグね!やっ!ていっ!とりゃ!」


コカトリス「コッ!コゲッ!コ〜!」


       【コカトリス】

        LV12HP0


     【コカトリスを倒しました】

    【220の経験値を手に入れました】

  【コカトリスのくちばしを手に入れました】


ベニ「マジで?1人でやっつけちまったよ!」


 石化攻撃さえ受けなければ、イリスティナはコカトリスなんか敵ではなかったのだ


 残りのもう1体のコカトリスがいたのだが、そこへオンモル鳥が現れてコカトリスとの縄張り争いを開始していた


ベニ「あれがオンモル鳥か!やっぱり青い鳥なんだな………」


イリスティナ「ヤ◯ザ映画なんかではおうおうおう、ここが誰のシマかわかってるのか!んだとこの野郎!こっちのシマじゃボケぇ〜!みたいな感じよね」


ベニ「どこで見たんだよそれは!まぁ、似たような感じだな」


 コカトリスとオンモル鳥はぜんぜん周りが見えておらず、目の前の宿敵しか見えてないようだった


イリスティナ「ベニくん、こっちに獣道があるから迂回して行こうよ!」


ベニ「獣道?なんでそんな事知ってるんだ?」


イリスティナ「実は私、通った事がありまして………」


ベニ「なんで早く言わないんだよ!そんな大事の事を!」


イリスティナ「いや〜!ついうっかりしてて、今思い出したのよ」


 とにかく獣道を使ってオンモル峠の向こう側に行く事になった


ベニ「本当に獣道だな、ここは!」


イリスティナ「本来は獣が通るからね、まぁ遭遇した事無いけどね」


 獣道をひたすらつき進み、やっと峠を越えて向こう側が見えた


ベニ「あそこに見えるのがペラグロス城と城下街か、結構でかいな!」


イリスティナ「城下街に何か用事なの?」


ベニ「武具を新しく新調したくてな!」


イリスティナ「なら、あの城下街にあるプレイヤーが出しているお店があるよ!そこならいい武具が揃っているかもね」


ベニ「そこは、なんて店だ?」


イリスティナ「お店の店主がパルスモラって人でね【パルスモラの館】って名前のお店よ」


ベニ「パルスモラの館ね………豊富にあるのか?」


イリスティナ「かなりの量の武具があったよ」


ベニ「あったって事は、イリスティナは行った事があるんだな?」


イリスティナ「そうだよ!このグローブもそこで買ったし、この服もね」


 イリスティナの着ている服は女の子らしさのあるひらひらとした服で動きやすそうだが、下着は見えそうだなとベニは内心思っていたら


イリスティナ「もちろんこの下着は見せパンだから問題無いのだよ!」


 ドヤ顔で服をめくって下着を見せてくるイリスティナに、ベニはチョップをかましてやめさせた


イリスティナ「痛いなぁ〜もう、何もチョップする事無いでしょ?」


ベニ「女の子が下着を自ら見せるもんじゃありません!」


イリスティナ「まるで先生みたいだよ!」


ベニ「変態な娘には、変態なお仕置きが必要かな?」


イリスティナ「ごめんなさい!もうしませんからそんな事しないで!」


ベニ「はあ〜!まったく、イリスティナといると本当に疲れるよ」


イリスティナ「だけどさぁ、武具を変えてもアレはなんとかできないもんね!」


 イリスティナが指を指しているのは例の謎の物体で、ここからもはっきりと見えた


ベニ「イリスティナはアレが何か知ってるか?」


イリスティナ「ぜんぜん、これっぽっちも知らないよ!そう言うベニくんは?」


ベニ「俺も知ら無いな!」


 ベニは罪悪感を感じながらも嘘をついた、内部まで入ってマキシリオンと言う敵と遭遇したとはとても言えなかったのだ


 そしてそのマキシリオンの目的はゲームの世界を丸ごと変えようとしているなんて、関係の無いイリスティナには何も話せ無かった


ベニ「運営からは何かあったっけ?」


イリスティナ「何も無かったよ」


 運営がまったく関係無いとは思え無かった、なぜならマキシリオンはGMを操っていたし何も告知が無いのはどう考えても奇妙でしか無かったのだ


イリスティナ「こんな大規模なバグとか無いし、いずれ告知されるかもね」


ベニ「そうかもな、さてと早いとここの峠を降りて城下街に行くか!」


イリスティナ「お〜!行こ行こ!」


 下り道ではコカトリスもオンモル鳥もいなくて、わりと楽に麓までたどり着いたのでそこで一休みをした


ベニ「イリスティナは俺と別れて、あれからまだソロプレイか?」


イリスティナ「そう!ベニくんの事か忘れられないの!」


ベニ「真面目に聞いてるんだが?」


イリスティナ「そうね、まだソロやってるよ」


ベニ「そうか…………」


イリスティナ「ひょっとして私が必要?」


ベニ「あ〜、戦力は足りてるが?」


イリスティナ「いつでも呼んでくれて構わないよ!」


ベニ「まぁ、もしもあのメンツで戦力不足を感じたらな!」


イリスティナ「一緒に戦っている人がいるのね…………」


ベニ「まぁな、イリスティナにはいないのか?そういう人は」


イリスティナ「私には、ベニくんだけだよ!」


ベニ「そうか、ソロだったもんな………」


イリスティナ「ちょっとだけ昔話しをするとね………私ね、凄く可愛がっていた男の子がいてその子が雨の中ずぶ濡れでいた事があったの」


ベニ「ずぶ濡れ?どうしてそんな事に?」


イリスティナ「その男の子の話しでは約束していたけど友達が来なかったって、それでねそのままでは風邪を引いちゃうでしょ?だから私は自分の家に連れ帰って一緒にお風呂に入ってあげたの」


ベニ「それは確かに風邪を引きそうだな、それで?『ん?んんん〜?一緒に入った?だと…………』」


イリスティナ「私の初体験よ!」


ベニ「は?初体験ってまさか、その男の子に手を出したのか!」


イリスティナ「ちょっと!誤解しないでよ、男性の身体を初めて見たって事よ!それに当時の私は小学6年生でろくに知識も無かったよ!」


ベニ「まぎわらしいな、言い方が!」


イリスティナ「ごめん、でもね男の子は震えていて私は思わず抱きしめたの」


ベニ「たとえ女でも、同意も無く裸で抱き合えば犯罪だぞ?」


イリスティナ「もう事項よ!だいぶ前だしね!」


ベニ「まぁ、いいとして何が言いたいんだ?」


イリスティナ「その男の子がベニくんかなって思ってね」


ベニ「まるで身に覚えが無いが?」


イリスティナ「え〜〜〜!無いの?」


ベニ「誰かと勘違いしてないか?」


イリスティナ「変だな〜てっきりベニくんだと思っていたのに!」


ベニ『いや、待てよ………確か昔に当溜が雨の中ずぶ濡れで待っていたって話しを聞いたな………偶然か?』


イリスティナ「赤裸々に話したのに別人だったなんて、あんまりだよ!」


ベニ「まぁ、勘違いってよくあるしな気にすんなよ」


イリスティナ「なら責任取って一緒に探してくれる?」


ベニ「何を?」


イリスティナ「その男の子の事よ!」


ベニ「名前もわからないなら探しようが無いが?」


イリスティナ「え〜とね、確か【あーちゃん】って呼ばれていたよ」


ベニ「あーちゃんだって!その男の子の本名は?」


イリスティナ「ごめん、知らないの!いつもあだ名で呼んでいたから………」


ベニ『偶然じゃ無いな、あーちゃんなんて男の子は俺の知る限りは当溜しかいないぞ!まさか!ちゃこ姉ちゃんなのか?だけど本名を知らないだと?どう言う事だ?』


 ちゃこ姉ちゃんの本名は璃治綿りじめ茶恋(ちゃこ)で当溜とお風呂に入った当時は小学6年生だった、その時の当溜は小学1年生なので約5歳ほど年が離れていた


 当然ながら紅優も萃香も、もちろん当溜も茶恋の本名は知っていたのだが当の本人はあだ名しか知らないと言うのだ


 今現在の茶恋は大学生でもうすぐ卒業を控えていた、就活に疲れてゲームを始めた時にベニと知り合い一緒に冒険をする仲になりまだそれほど月日は過ぎては無かった


ベニ「もし違ってたらごめん!もしかしてイリスティナは、ちゃこ姉ちゃんなのか?」


イリスティナ「えっ?懐かしい呼び名ね、そうよ確かに私は茶恋よ!そう言うベニくんは誰かな?」


ベニ「俺は紅優だ、あの当時はくーちゃんって呼ばれていたよ」


イリスティナ「まさかの再開ね、こんな形で会うなんて」


ベニ『そうか!学年か、ちゃこ姉ちゃんとは年が離れていたし俺達は常にあだ名で言いあっていたから本名までは知らなかったのか!』


 少人数の小学校では教室にもなるべく本名などが張り出される事は無かったし、プライバシーの問題とかで名札も無かったくらいで本名を知るすべがまったく無かったのだ


ベニ「俺もびっくりしたよ!ちゃこ姉ちゃんがこんなにもぶっ飛んだ性格になっていたなんてな!」


イリスティナ「アレは、あーちゃんだと思っていたからよ!まさか別人でしかもあーちゃんの友達だったなんて………ちょっと恥ずかしいわ」


ベニ「今更過ぎないか?」


イリスティナ「それもそうね、ところであーちゃんもいるの?このゲームに!」


ベニ「なんて言ったらいいのか、いるにはいるとしか言えないな」


イリスティナ「何かあったの?」


ベニ「ここでは詳しくは話せないな」


イリスティナ「だったら連絡先を交換しましょう」


 ベニはイリスティナをまじまじと見てしまい、イリスティナと視線が合ってしまう


イリスティナ「何見てるの?私何か変だった?」


ベニ「…………いや、まるで別人だなって思ってさ」


イリスティナ「何が?」


ベニ「いや態度がさ、ぜんぜん違うから」


イリスティナ「私はあーちゃん1筋よ!」


ベニ「あ〜わかったからそれ以上は、本名やあだ名は禁止な!」


イリスティナ「それなら連絡先を教えて、なんならあー………例の男の子の連絡先でもいいからね」


ベニ「今、言おうとしてただろ!」


イリスティナ「ギリギリセーフよ!」


ベニ「………なら連絡先を交換したら、街まで行ってログアウトして連絡を取り合うか?」


イリスティナ「そうねそうしましょう、連絡先を交換して早く行こ!」


ベニ「やれやれだな『まさかちゃこ姉ちゃんがこんなに変わってしまったなんてな、年月とは恐ろしいな』


 ベニとイリスティナは連絡先を交換してすぐに城下街まで向かい、門番に止められる事なく街の中に入った




ベニ「やっと着いたなペラグロス城下街に!」


イリスティナ「それじゃあ!ポータルをアクティベートしたら、すぐログアウトしよ!」


ベニ「そう急かすなよ!」


 そしてベニとイリスティナはポータルを起動してアクティベートをしておいた


 イリスティナに急かされたベニは、すぐにログアウトして連絡を待った




 

 待つこと数秒で茶恋から着信があり、画面を見るとなぜかビデオ通話だった


茶恋「繋がってる?やつほ〜!」


紅優「繋がってるよ!それよりなんでビデオ通話なんだ?」


 茶恋はビデオ通話の事にはまったくふれずに、さっそく何があったのか詳しく聞いて来て紅優はモヤモヤしながらも説明を始めた


紅優「……って事があったんだよ」


茶恋「幼女化ね………そんな事が本当にあるなんて信じられないわ!」


紅優「でも事実だぞ!そして現在は記憶を奪われたんだ!」


茶恋「記憶?どんな記憶なの」


紅優「当溜の16年間の記憶全てだよ、しかもそのせいで常識がまるで無い様な幼児と変わらない知識ゼロの状態なんだ!」


茶恋「あーちゃんの記憶だけでなく知識ゼロの状態ね…………私に手伝える事はあるの?」


紅優「事情を知っている仲間が増えるなら心強いが、いきなりちゃこ姉ちゃんが仲間だなんて言ったら萃香がぶっ倒れるって!」


茶恋「萃香ちゃんって、すいちゃん?」


紅優「そうだよ、すいちゃんだ!」


茶恋「それなら大丈夫じゃないの?」


紅優「かもしれないけどなぁ〜」


茶恋「う〜ん?それは後まわしにして、あーちゃんを元の姿に戻せ無いの?」


紅優「俺もそれはできなくは無いと思っているんだが、なにせ探しているのが噂だけのアイテムだからな………」


茶恋「噂だけのアイテムって?」


紅優「あぁ、そのアイテムは【願いの雫】で別名を【忘却のイディア】って言うんだ!」


茶恋「アイテムの【忘却のイディア】かぁ、でもそのマキシリオンって人がいた惑星だっけ?そこも【イディア】って言うのよね?」


紅優「偶然なのか意図的なのかはわからないが、関係はありそうだよな?」


茶恋「それと、GMが人形の様にされていたってのも気になるわね」


紅優「運営がマキシリオンと関わっているというのは俺も思うよ」


茶恋「でしょう!だってあんなモノがゲームの中に、何の告知も無く現れたのよ?」


紅優「空に浮かぶ謎の物体か………アレも確かにおかしいな、それにゲームと現実が繋がっていたし俺達は現実から入ったのに黒鎧はゲームから入ったと言っていたな………」


茶恋「その黒鎧って人とは連絡は取れないの?」


紅優「いつもゲーム内で会うからな、現実の連絡先は知らないな」


茶恋「なら今度ゲームで会った時に聞いてみたら?」


紅優「何を聞くんだ?連絡先か?」


茶恋「アイテムの【忘却のイディア】の事よ、もしかしたら何か情報を持っているかもしれないでしょう?」


紅優「何度も助けられてるのに、その事は聞いては無かったな………今度会った時に聞いてみるよ」


茶恋「それでなんだけど、その肝心のあーちゃんに私は会いたいのよね………」


紅優「わかった、なんとかするからまだ待ってくれ!いろいろやらないとならない事があるからな」


茶恋「絶対よ!約束だからね!破ったらベニくんにいやらしい事されたって言うからね!」


紅優「それじゃあ、まるで俺がゲーム内でいやらしい事したみたいじゃねぇーか!」


茶恋「だったら紅優くんにって言った方がいいの?」


紅優「そうじゃねぇよ!いやらしい事されたなんて言うなって話しだろ!ってかそもそも俺、ちゃこ姉ちゃんに何もしてないし!」


茶恋「ごめ〜ん、からかっただけだから許してね♡」


紅優「そう言う所はイリスティナ状態だな………まぁ、会いたいのはわかるから待っててくれよ」


茶恋「そう言えば、あーちゃんは今なんて呼ばれているの?」


紅優「そうだな、ゲームでは本人がつけたシャーロットで現実では小玉あゆむって偽名を使っているよ」


茶恋「シャーロットちゃん、それから小玉あゆむちゃんか………」


紅優「偽名を使ったのは、当溜のままだと不自然だからってあゆむって偽名にして小玉の姓は萃香が遠い親せきって事にしたんだよ」


茶恋「それでそのあゆむちゃんは今どこに住んでいるの?まさか紅優くんの家とか言わないよね?」


紅優「俺の家じゃ無くて萃香の家、ってか高級マンションだな」


茶恋「高級マンションね………イイな〜2人っきりでかぁ、羨ましいなぁ〜」


紅優「どうしてそんなに当溜を気にかけるんだ?」


茶恋「コレはナイショにしてくれる?」


紅優「内容によるな!」


茶恋「私の初恋相手なのよ、あーちゃんがね!」


紅優「マジで!知らなかったぞ!」


茶恋「あたり前でしょ!今初めて言ったんだからね!」


紅優「いつから好きになったんだ?」


茶恋「最初に出会ってすぐの一目惚れよ!ビビッと来たのよ!」


紅優「そうだったのか、当溜には告白したのか?」


茶恋「まさか、してないわよ!年上だし恋をしたなんて言ってもあの当時に理解できると思う?私は小学6年生であーちゃんは小学1年生だったのよ!」


紅優「いや、できたと思うぞ!」


茶恋「どうしてそんな事が断言できるの?」


紅優「ここでの話しはお互いにナイショって事にするなら教えてやらないでもないな」


茶恋「内容によるな!(紅優のマネ)」


紅優「それ俺のマネか?まぁいいや、俺は昔からすいちゃんが好きだった!そして当溜もすいちゃんが好きだと言っていたんだ!」


茶恋「とんでもない暴露ね、それで?」


紅優「俺は恋愛感情で好きと言っていたし、当溜も当然同じだったはずだからな」


茶恋「つまりあの当時でも恋はわかるかもって事ね」


紅優「そう言う事だよ!告白したら案外うまく行ったかもな」


茶恋「え?なんでそう思うの?」


紅優「あの当時の当溜はすいちゃんだけでなく、ちゃこ姉ちゃんも好きって言ってたからな」


茶恋「あーちゃんってわりと欲張りね、けどそれを聞けたのは嬉しい♡」


紅優「だが今の当溜はまったく覚えて無いから、記憶を取り戻さないかぎり永遠に思い出のままになるぞ!」


茶恋「紅優くん、なんとしてでもあーちゃんの記憶を取り戻しましょう!今すぐに!」


紅優「いや今すぐは無理だからな!そこまでやる気ならゲーム内で紹介するから、少しだけ時間をくれないか?」


茶恋「紹介してくれるの?ありがとう紅優くん!ビデオ通話だけどキスしてあげるよ!」


紅優「キスはいらないって!ってか当溜1筋じゃ無かったっけ?………まぁ、いろいろとびっくりすると思うけどな………」


 紅優は茶恋をみんなに紹介する約束をしてビデオ通話を切った


紅優「ちゃこ姉ちゃんか………懐かしいな、まさかイリスティナが知りあいだったなんてな微塵も思ってもみなかったな」


 茶恋とあゆむが出会ったらどんな反応をするのかを想像してみたがやはり合わせてみなければわからないなと思考を巡らせていたら、紅優はウトウトとし始めたのでベッドに横になった


紅優「あゆむちゃん………記憶を思い出してくれないかな?」


   紅優はそのまま眠り、夢を見ていた


夢の紅優『あれ?ここはどこだ、あの娘は………あゆむちゃんか?[なんだ、コレ?自分の意思で動かせねぇぞ!俺の意識とは無関係に勝手に喋っているし]』


夢のあゆむ『紅優お兄ちゃんだ!会いたかったよ!』


 あゆむは紅優に抱きついて来た、夢の中なのにちゃんと触れた感触があり体温も感じられたが本当の紅優は自身の意思では身体をまったく動かせ無かった


夢の紅優『どうかしたのか?[俺は、なんでここにいるんだ?夢………だよな?]』


夢のあゆむ『紅優お兄ちゃん、大好き!』


夢の紅優『え?おい、あゆむちゃん?[なんだか急にあゆむちゃんが変だぞ?]』


 現実ではそんな事を言われた覚えは無かったが、本当の紅優は夢と認識しているのに現実で大好きと言われた気がしていた


夢のあゆむ『紅優お兄ちゃんは僕の事、好き?』


夢の紅優『そうだな、俺もあゆむちゃんが大好きだぞ![何、言ってんだ夢の俺は………]』


夢のあゆむ『それなら僕をすきにしていいよ!』


夢の紅優『なら遠慮なくするぞ![待てって!俺はそんな事望んで無いぞ!やめろよ、夢の俺!やめろぉお〜!]』


 夢の中の紅優はあゆむにキスをしてそれから抱きしめて、そしてその続きをしようとしてあゆむの服にてをかけたその時………


紅優「やめてくれ〜!夢の俺!」


 ガバッと起きて周りを見渡すと自室で、あゆむの姿はどこにも無かった


紅優「なんだよ!やっぱり夢か………やべぇなこんな夢見るなんて、あのままだったら最後までヤッてたな………何をとは言わないがな!」


 まだ唇にあゆむとの感触が残っている様な気がした紅優は、自分の指を唇に触れて確かめてみた


紅優「あゆむちゃんと、キスしたんだよな………まだ感触が残っている?夢なのにか?おかしぞ俺………」


 夢とはいえ自身の欲にうんざりしていた紅優は、少しだるい身体をベッドから起こしてトイレに向かった


紅優「って、何スタンドアップさせてんだよ俺は!あゆむちゃんに興奮したとでも言うのかよ!こいう時自分が嫌になるな………」


 自身の生理現象に驚いたがなんとかコントロールして用を足せる状態に戻した紅優は、出すもの出して水を流しトイレから出て手を洗う


    「ジャアーゴポゴポゴポッ!」


紅優「はあ〜!やべぇな、俺はどうしちまったんだ?」


 紅優は常に考えてるのはあゆむちゃんの事で頭がいっぱいなのに、そこに誰にでもある欲が加わるとこんな現象が起こるというのは知識としては当然知ってはいたが実際にそうなるとは思ってもいなかった


紅優「健全な男子高校生だから仕方ねぇけど、何も幼女に興奮しなくてもよくないか?あゆむちゃんは当溜なんだぞ!」


 幼女化した親友を夢とはいえキスをして抱いてしまい、危うくその先までしてしまうところだった事が紅優にはとてもショッキングな夢となった


 その後紅優は部屋に戻ってベッドに横になったが、夢で見た光景が頭から離れずに眠る事はできなかった


 もしも、あのまま夢を見続けていたらどうなっていたかを想像してみたがやはり最後までしてしまうイメージしかできなかった


紅優「アレは夢だったし、俺はまともだ!あゆむちゃんは元は当溜で親友だ!忘れるなよ俺!」


 アレはは夢だと自分に言い聞かせて、夢の事は忘れようと試みたが頭からイメージが抜ける事は無くひたすら思考のループに悩まされていた


 そして翌朝になっても紅優は眠れずに、ひと晩を過ごしてしまった


紅優「ね、ねみぃのに寝れねぇなんて!すげぇ地獄みてだな…………」


 そして紅優は前日の()()()()()()とのやり取りがこの自体を引き起こしたのだと、ようやく理解したところだった


紅優「あっ、イリスティナとの会話でキスとか抱きつくとかあったな………まさか夢の原因はソレなのか?」


 人間は眠りについた時にその日にあったできごとを、夢の中で整理整頓するのだと言われているのだと何かの本で読んだ事があった紅優はその結論にたどりついたのだった




紅優のターンになってしまいましたが、次のお話しでは本物のシャーロットちゃんが出て来ます

次回はおにゅうの装備です

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素人の作品です   


           福望華雫でした

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