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ログイン18 僕はLED

貧乏高校生 当溜。格安ボロアパートに住みバイトをして生活費を稼ぐのが彼の毎日だった。明日から学校が夏休みに入る事で浮かれていた時に偶然おもちゃ屋で最新のVRヘッドギアを見つけ購入した。さっそくVRゲームを始めたまでは良かったのだが、本来なら無いはずのVRヘッドギアのホームにログインを果たした。彼は大嘘をつくAIの言う事を真に受け全てにYESと応えてしまった。身体構造スキャンを許し、問題箇所のリペアとしてハルモニア光なる謎の光を実際の身体に照射された。問題は解決したのだとAIに唆されてゲーム世界に送り出されてしまう。しかしこの事が当溜の生活をガラリと変えてしまう重要な出来事だった。ログインしたゲーム内でも問題が発生した。選択出来る性別が女性のみで男性の選択は不可能だった。なんとか女性アバターを男性的な姿に作る事に成功したが、間違えてランダム作成を押してしまい完成したアバターは幼女だった。


♤守ってください幼女な僕を♡ 

縮めて『守幼』をよろしくお願いします




 お家に帰りたいと言い続けていたあゆむも落ち着きを取り戻したが、前髪当溜と言う人格が完全に無くなり本物の幼女とそれほど変わりが無かった


 あの後は夕食を食べ終えて、みんな疲れ果てていたのでそれぞれ別々に眠りについていた





 翌日に紅優と萃香とあゆむの3人は、再び病院を(おとず)れていた


 昨日の夕食前に紅優のスマホに病院からメッセージが入っていたので、朝早くにタクシーに乗り病院までやって来ていた


 病院からのメッセージには血液検査の結果が出ましたとあったので、前日の疲れが残っていたが結果は知りたいと紅優は早朝に登録してあるタクシーアプリToでタクシーを呼び出したのだった


 その他のメンバーはなにをしているのかと言うと運転手と真央と里麻はキャンピングカーで留守番、航介と鯛蔵は夜明け前に漁に出ていた


 里麻は病院には行きたく無いと言い、真央は紅優について行きたかったが里麻のおもり役として残る事にした


 運転手は大人もしくは保護者ポジションが誰もいなくなってしまうので残ったのだ



 タクシーが病院に着き、病院の前に降りた3人は眠たそうな顔をしていた


紅優「あゆむちゃん、まだ眠いか?」


あゆむ「うん、紅優お兄ちゃんも眠そうだよ?」


紅優「あぁ、そうだな少し眠いな『昨夜は一睡もできなかったからなたぶん目の下にくまとかありそうだな…………それにしても紅優お兄ちゃんか、見た目だけでなく中身も幼女になっちまったんだな当溜は………』」


 昨日の晩にあゆむが眠る前に紅優や萃香はあゆむの記憶を確認してみたが、やはり前髪当溜の記憶はまったく無くて()()()()()が元から()()()()()()と認識していたのだ


 紅優や萃香は昨晩はさまざまな事を考え過ぎて眠れずにひと晩を過ごしていた


萃香「あゆむちゃん、お腹空いてない?」


あゆむ「僕?うん、空いてるよ」


萃香「じゃあ、これをあげる」


あゆむ「ありがとう、萃香お姉ちゃん!」


 萃香は前の日に病院の売店で買っておいたお菓子をあゆむに手渡したが、すぐには食べる様子は無くあゆむは受け取ったお菓子を持って来ていたリュックに入れてしまっていた


萃香『本当に記憶が無いのね………あたしの事をお姉ちゃんなんて呼ばなかったのに!』


 紅優達3人は病院の受付を訪ねるとすぐに受付担当のお姉さんが対応してくれていた


紅優「大森紅優です、あゆむちゃんの血液検査の結果が出たと連絡があったのですが………」


受付係「はい、大森紅優様ですね!少々お待ちください」


 受付のお姉さんは電話で連絡を入れると、すぐにあの年老いた医者がやって来た


 年老いた医者は慌てた様子でやって来たが、ずいぶんと対応が早いなと紅優は疑問に思っていた


年老いた医者「お待たせしてすいません、坊っちゃん」


紅優「そんなに待って無かったから問題ないさ、それよりあゆむちゃんの検査結果が出たんだろ?」


年老いた医者「えぇ、出ましたのでこちらにどうぞ!」


 (うやうや)しい態度の年老いた医者の案内で()()()()()に案内されたが、入口からはだいぶ奥の方でかなりの距離を歩かされていた


萃香「病室?なんで病室なんですか?」


年老いた医者「あゆむちゃんには入院してもらわなければならなくなりました!」


紅優「何、どう言う事だ?」


年老いた医者「検査の結果ですが、病気が見つかりましてね入院して治療をしなければならないのです」


紅優「どんな病気なんだ?」


年老いた医者「()()()と言う病気ですよ?ご存知ありませんか?」


 年老いた医者はどこでその事を知ったのか、幼女化を把握していた


紅優「なんでそれを知っている!」


萃香「え?何、どう言う事なの紅優!」


 年老いた医者は醜悪(しゅうあく)な笑みを浮かべ、あゆむを舐めまわす様に見つめた


あゆむ『あのおじちゃん、なんか怖い…………』


年老いた医者「またいい素材が手に入りそうだ、幼女化した実験体をすぐにでも弄り回したいなぁ〜」


 年老いた医師はまるで変態のように妄想を始め、わきわきと指先を動かしていた


 そのいやらしさのある指先の仕草に、紅優と萃香の2人は嫌悪感を覚えて顔を引きつらせていた


紅優「あ、あんたもしかして………あの施設の関係者か?」


年老いた医者「これは驚いた、既に調べ済みでしたか参ったなぁ」


 年老いた医者はそれほど驚いてはいなかった、まるで想定の範囲内だと言わんばかりに(いびつ)(ゆが)んだ表情を隠そうとはしなかった


紅優「それなら当然、腕輪の事も知っていたんだろ?」


年老いた医者「えぇ、知ってましたよ!」


 驚いた事に年老いた医者は紅優が以前に調べた施設の関係者だった


紅優「だったらこんな所に、あゆむちゃんを入院なんてさせるわけ無いだろ!『何をされるかわかったもんじゃ無いし、当溜の………いやあゆむちゃんの意識が無くなれば記憶を取り戻しても意味が無くなるからな!』」


萃香「この人が、あの施設の関係者?」


 あの施設とは児童養護施設の事であり、幼女化したプレイヤー達が入っている施設でもあった


 紅優が以前に言っていた事を萃香は思い出してみた


『紅優「例の腕輪をな……医療機関での除去(じょきょ)をおこなった結果、腕輪を外す事には成功したが現在進行系で意識が戻らないそうだ」』


萃香「まさかここが、その医療機関なの?」


年老いた医者「そこまで調べていたなんて………ますますあゆむちゃんには入院していただくしかないですね!」


 年老いた医者は気持ちの悪いニタニタ顔で、あゆむを捕らえようとジリジリと迫って来る


あゆむ「ひっ!怖いよ、このおじちゃん!」


紅優「帰るぞ、萃香!あゆむちゃんを頼む」


萃香「うん!あゆむちゃん、ちょっとごめんね!しっかり掴まっているのよ?」


あゆむ「うん!」


 萃香はあゆむを抱っこして病室を出ようと扉を開けたが、廊下には病院に勤務していると思われる医者が数名ほど待機していた


萃香「なんですか、あなた達は!」


若い医師「悪いな、こちらも昇給がかかっているんでね!」


中年の医師「そう言う事だ!大人しくしてもらおうか?お嬢さん!」


おそらく研修医「め、命令なんでな仕方なくなんだよ!研修医を舐めんなよ!」


年老いた医者「このままこの病院を抜け出せると思うなよ!お前達そいつ等を捕らえろ、多少傷つけても構わん!」


紅優「なるほどな、ようやく本性をあらわしたのか!このたぬきオヤジめ!そうやって今まで甘い汁を(すす)り続けていたんだろうけど、あゆむちゃんは絶対に渡さねぇぞ!」


 年老いた医師は無害を装った皮を被り今まで沢山の患者を自身の欲望のはけ口にしていて、そしてそれが今度は幼女化した患者をターゲットにして例のあの施設でさまざまな実験を繰り返していたとのだと紅優は(さと)っていた


萃香「紅優!囲まれてて出れないよ!」


年老いた医者「ここから、簡単に逃げられると思うか?」


 だがこのピンチの状況を打開したのは、ぬいぐるみ達だった


 あゆむが持って来ていたリュックに忍び混んでいたぬいぐるみ達は自らの意識でリュックから飛び出し、襲いかかる医者達に攻撃を仕掛けて退路を切り開いた


ぬいぐるみ執事「行け!紅優、萃香!マスターを守ってくれ!」


おそらく研修医「痛え〜………あれ?痛くないな?って何ぃ〜ぬいぐるみが動いてる!」


ぬいぐるみメイド「たぁ!」


若い医師「な、なんだこのぬいぐるみ達は!うわっ!『ぬいぐるみのメイドのスカートの中が見えたがコレはラッキーなのか???』」


ぬいぐるみ手品師「種も仕掛けもございません、あら不思議!」


中年の医師「何〜!ネクタイが勝手にほどけた!うおっ、目が〜!」


 ぬいぐるみ執事は殴り(けど仰け反る程度で痛みは無い)、ぬいぐるみメイドは蹴る(殴るのと同じく痛みは無い)そしてぬいぐるみ手品師はネクタイを目隠しにさせていた


年老いた医師「そんな馬鹿な、ぬいぐるみだと!どうやって動かしているんだ!」


紅優「誰が答えるかよ、ば〜か!今のうちだ萃香行くぞ!」


萃香「ぬいぐるみ達はどうするの?」


紅優「自力でなんとかするさ!それよりこの病院を脱出する方が先だ!」


 紅優は萃香の前を走りながら全方向に注意を向けていたが、医者以外は敵ではないらしくすれ違った看護師は襲っては来なかった


看護師「こら〜!廊下を走っては駄目よ!」


紅優「悪いけど!今は無理なんで、勘弁してくれ!」


萃香「ごめんなさい!」


あゆむ「ごめんね〜!」


 病院内をひたすら走って、ようやく出入り口にたどり着いて外へと飛び出す様に走り続けた


紅優「はぁはぁはぁ、息が続かねぇとかやべえな!萃香は大丈夫か?」


萃香「はぁはぁ、1人ひとり抱えて走るのはキツイわね」


あゆむ「僕、重たかった?ごめんね萃香お姉ちゃん」


萃香「あゆむちゃん、あたしは大丈夫よ!」


 あゆむの体重は軽い方だが、抱えて走るとなるとそれはまた別でどう走っても負担になるのは明白だったが萃香は走りきった


萃香『あたしは自分を褒めたいわ!良くやったとね!』


紅優「ひとまず病院は抜けたが、ここはまずいな………向こうに公園があるみたいだなそこに移動しよう!」


萃香「えぇ、そうねそれがいいわ」


 とにかく病院の敷地内にいるのはまずいので、道路の反対側に公園が見え紅優と萃香はそこまで移動した


紅優「まさかあの施設と関係がある病院だったとはな、迂闊(うかつ)だった」


萃香「仕方ないわよ、そこまで調べたわけじゃ無いんでしょ?」


あゆむ「施設?」


紅優「悪いな、あゆむちゃん!その事は言えないんだ」


あゆむ「大人の事情なの?」


萃香「大人の事情って………まぁ、そうねそう言う事よ!」


あゆむ「それなら、僕はもう聞かない」


紅優「血液検査の結果は聞けず、無駄足だったな」


萃香「そうね、でも病院はそこだけじゃないから血液検査ならどこでもできるわよ」


 結局検査結果は聞きそびれたが他でも検査はできるのだと萃香は言う、そして紅優にとっては大きな収穫もあった


紅優「そこの病院は親父が投資していたからな、もしかしたらあの施設にも親父が絡んでいるかもな………」


萃香「もしそうだったらどうするの?」


紅優「俺は親父との縁を切って親子関係を終わりにする!」


 それは同時に大森家との縁を完全に切って、株式会社大森グループの社長の息子である事も捨て去ると言う事だった


 そこまでの覚悟を紅優は瞬時に判断し、萃香に父親との縁を切ると言ったのだが………


萃香「そしたら紅優はホームレスね!」


紅優「はぁ?なんでホームレスになるんだよ!」


萃香「だってお父さんに養って貰ってるんでしょ?」


紅優「あのなぁ萃香、俺が一人暮らしをしてるのは知っているだろ?既に俺は収入がある身分なんだよ!」


萃香「えぇぇ?紅優、働いていたの?」


紅優「俺自身は働いて無いが、巨額の金額を株で動かしているしそれと不動産もやってるからそこらの会社員よりは稼いでいるかもな!」


 紅優は投資で株や不動産などを巧みに使って、現在は株式会社大森グループを大きく上回るほどのとてつもない富を築き上げていたと言う


萃香「それって、あたしのお爺様と並ぶほどの大富豪じゃないですか!」


 紅優は総資産こそ言ってないが、株式会社大森グループを上回る富と聞いた萃香はだいたいの想像がついていて自分のお爺様と並ぶほどの大富豪に幼馴染みがなっていたので驚いてしまっていた


紅優「萃香?口調がおかしくなっているぞ!」


萃香「ごめん、ちょっと驚き過ぎて実家口調になっちゃった」


紅優『実家口調?実家ではあんな感じなのか?萃香の実家………すっげ〜気になるな!』


 そこへぬいぐるみ達が病院をなんとか抜け出して戻って来た


ぬいぐるみ執事「大丈夫か?紅優!萃香、マスターもよくぞご無事で!」


紅優「あぁ問題無い、お前達も無事脱出できたんだな!」


ぬいぐるみメイド「しかしまだ追って来るかもしれないな、ここから離れた方が懸命かと!」


ぬいぐるみ手品師「あいつ等マスターを狙っていやがった!」


あゆむ「僕は何もできなかったけどみんな、ありがとう!」


ぬいぐるみ執事「マスターの為なら、たとえ病院の中でも病室の中でも馳せ参じますとも!」


ぬいぐるみメイド「それは火の中、水の中では無いのか?」


ぬいぐるみ執事「病院に火も水も無かったからな!」


ぬいぐるみ手品師「そんなドヤ顔で言われてもなぁ〜!」


紅優「いや!どの辺がドヤ顔なんだ?」


萃香「たいして見た目的には変わらないのよね〜!」


ぬいぐるみ執事「ドヤ顔ではない!凛々しい顔だ!」


ぬいぐるみメイド「執事にドヤ顔も凛々しい顔もいらない!必要なのは主に仕える者の顔だが?」


ぬいぐるみ執事「そもそもおれは、()()()!」


 そんなやり取りをしている場合では無くまだ病院からの追手が来るかもしれないのでキャンピングカーに戻る事になった、そしてまたぬいぐるみ達はリュックの中に自主的に戻っていた




 歩道を歩いて帰っている途中で航介が運転する軽トラが前方からやって来て、車を止めて紅優に話しかけてきた


航介「紅優達か?どうしたこんな所で!」


紅優「ちょっと病院に行っててな、これからキャンピングカーに戻る途中だったんだが?」


鯛蔵「オレ達は漁の帰りだが乗って行くか?」


航介「荷台だがな」


紅優「助かるけど、方向が違くないか?」


 紅優達が向かう方向と航介達が向かう方向は真逆で、今来た道を引き返す事は少々問題があった


航介「これから市場に行く所だが?」


 航介達は夜も明ける前に漁に出て今帰って来たようで、まだ荷台には魚を詰めた発泡スチロールが沢山積んであった


紅優「どうする萃香?」


萃香「そうね、乗せてもらっても良いんじゃない」


あゆむ「どこに行くの?」


紅優「魚を競りに出す場所だな」


あゆむ「競り?」


萃香「お魚を売ったり買ったりする所よ『そう言う知識も無くなっているのね…………』」


紅優『競りもわからなくなったのか………マジでこうゆうところを目の当たりにすると精神的にキツイな、俺の知ってる当溜ではもうなくなってしまったのだと突きつけられてるみたいだ!』


あゆむ「行ってみたい」


航介「なら乗ってくれよ、魚の鮮度が落ちたら損害になるからな!」


鯛蔵「兄貴、それはシビア過ぎですよ………」


 紅優達は軽トラに乗り込み市場に向かった


紅優『病院の連中がいなければいいが………』




 市場に着くと航介はいつもの所に行くと言い残して、市場の奥に向かって行ってしまった


鯛蔵「さてと紅優、悪いが手伝ってくれるか?」


紅優「別にいいけど、どうするんだ?」


鯛蔵「オレが今からフォークリフトを持って来るからそこに、この魚が詰まった発泡スチロールを載せてもらいたい」


紅優「わかった」


 鯛蔵は軽トラの荷台にある魚詰めの発泡スチロールを指差して、紅優にやってもらいたい事を説明してその後フォークリフトを取りに向かった


 鯛蔵はフォークリフトを運転して軽トラの荷台すれすれに、華麗な運転さばきでフォークリフトの爪に指したパレットを寄せた


紅優「凄いな、フォークリフトってそんな事もできるんだな」


 フォークリフトの爪は左右に移動可能で物によっては小さな板のパレットもあり、両方の爪を寄せなければならないのもある


 さらにリフトが上下に移動可能で手が届かない所にある荷物もパレットごと降ろす事も可能だった


紅優「それにしても、この中はどんな魚が入っているんだ?」


鯛蔵「網での漁だからなでかい魚はスズキで、それからシマアジやアナゴとイカやタコなんかだな」


紅優「魚群探知機で探すのか?」


鯛蔵「まぁそれも使うが、兄貴は目視で魚を追うからな……………まだオレはそんな事できないがいずれはできるようになりてぇと思っているんだ!」


 早く1人前の漁師になりたいのだと鯛蔵は熱く語っていた


鯛蔵「さぁ、どんどん載せてくれよ!」


紅優「任せろ!」


 紅優と鯛蔵が作業をしている間、萃香とあゆむは暇だった


萃香「ここの市場は活気があるわね」


あゆむ「いい匂いもするよ」


萃香「美味しそうな匂いね」


 捕れたてで新鮮な魚や貝を焼いた匂いが辺りを漂い、朝ごはんも食べていなかった萃香はお預けを食らった犬の気持ちがなんとなくわかった気がした


萃香『紅優ってば、さっき病院で追いかけ回されたのによくあれだけ動けるわね』


あゆむ「お腹空いた〜!」


萃香「あゆむちゃん、もう少しだから我慢しようね?」


あゆむ「うん」


 食べ物ならリュックの中にあるのに、病院のゴタゴタで萃香もあゆむもリュックの中にあるお菓子の事はすっかり忘れていた


紅優「コレで終わりだなっと!」


鯛蔵「紅優、助かったぜ!」


紅優「役に立てて良かったよ!」


 紅優と鯛蔵は全ての魚詰めの発泡スチロールをパレットに載せ終えた、そこに航介が戻って来て鯛蔵に指示を出しフォークリフトごと向かわせた


航介「紅優、ご苦労だったな」


紅優「これくらいはできるさ」


航介「それで、朝めしは食ったのか?」


紅優「いやまだだが、なんでだ?」


航介「いい店があるからついて来い!」


紅優「萃香とあゆむちゃんも行くか?」


萃香「もちろんよ!朝ごはん食べて無いしね、お腹は空いたわよね〜あゆむちゃん!」


あゆむ「僕、お腹ペコペコだよ!」


航介「なら決まりだな!」


 航介の案内でそのいい店という所に行く事になり、歩いて行くがだいぶ距離があるようだった


紅優「競りはいいのか?」


航介「鯛蔵が全てやるから問題無いぞ!」


紅優「へ〜信頼してるんだな」


航介「一緒に漁に出ているのに信頼しなくてどうするんだ?」


紅優「それもそうだな」


 漁の最中にもし万が一にも命の危険が迫ったら、一緒にいる乗組員に助けを求めるのは当たり前の事だと航介は言っていた


 そこには信頼関係が重要で、もし信頼関係が無かったら見捨てられてしまうかもしれないのだとも語っていた


 それはゲーム内でも同じ事で強敵を前にしてパーティーからいち早く逃げ出すような関係ならすぐに全滅もあり得る事なのだと、信頼関係は必要不可欠な要素でもあると紅優は思った


航介「それはそうとお前達はなんであんな所にいたんだ?」


 紅優は躊躇(ためら)ったがコレまでの事を全てを包み隠さず話した


航介「そんな事があったのか………まさか姉さんと同じだなんてな!」


紅優「姉さんと同じって?」


航介「姉さんは、もともと大人の女性だったんだ!」


紅優「そうか、やっぱりそうなんだな!」


航介「気づいていたのか?」


紅優「あぁ、腕輪を見た時にな!」


航介「姉さんはある日、VRゲームがやりたいと言ってVRヘッドギアを購入しゲームをやり始めたのだが………」


紅優「幼女になっていたって事だろ?」


航介「まさにその通りだ、そして口調まで変わってしまった………」


 だが航介の話しは少し妙だった、以前に紅優が調べた幼女化したプレイヤーは皆男性で女性は1人もいなかったのだと紅優は覚えていた


紅優『しかし、なぜ幼女化なんだ?その方が都合がいいのか?なんだかわかんねぇな』


 思考がどん詰まりした紅優は航介と話しの続きをする事にした


紅優「もしかしてだけど、姉さんって海女さんか?」


航介「なぜわかった!」


 幼女化する前の姉さんは海女をしていて、航介と鯛蔵が船で漁に出ている間に姉さんは海に潜り貝や雲丹(うに)小魚や海藻などを獲っていたのだと航介は話してくれた


 しかし、幼女化してからは海に潜る事をしなくなり一人称も『妾』に変わってしまったらしい


紅優「海女さんから姉さんって変わったのかもしれないって思ってな、まさかドンピシャだったとはな」


航介「いや、もともと俺達は姉さんと呼んでいたがな!」


紅優「そうなのかまぁいいか…………なぁ、その姉さんにスマホを持たせる事は駄目なのか?」


航介「毎月のスマホ代がな稼げればいいが、日々の生活でカツカツだからな………船の維持費や燃料費も馬鹿にならないし壊れた漁で使う道具などの修繕費もあるからな簡単には持たせられないんだ」


紅優「スマホの本体代金と月々の支払いができればいいのか?」


航介「まぁそうだな、できれば両方揃っていれば持たせても問題無いな」


紅優「俺がどっちも払ってやるって言ったらどうする?」


航介「そんな事をお前に任せられないだろ!」


紅優「俺はこう見えても、金はあるけど?」


航介「まだ学生なんだろ?自分のスマホ代もちゃんと払えるのか?」


紅優「まぁ普通そうなるよなけど俺は今、俺のスマホ代とあゆむちゃんのスマホ代を払う予定だでまだまだ余裕があるけどそれでも俺を信用できないのか?」


航介「なら聞くが、今のお前の資産はどれくらいあるんだ?」


紅優「俺の資産か、確かこの前の株で900億くらい稼いだから今は何億だったかな?」


航介「は?億だって………いやそれどころか株で稼いだ?何者なんだよ、お前………」


紅優「俺?ただのその辺にいる高校生だが?」


航介「いや!いねぇよ、そんな高校生は!」


 そんなハイスペックな高校生なんてそこらにはいないのだと、航介は激しくツッコミを入れていた


萃香「今、億って言ってたわね………億入りの人とかどんだけよ!」


あゆむ「おくいりの人って?」


萃香「いっぱいのお金を持っている人の事よ」


あゆむ「いっぱいかぁ…………それならいっぱい買い放題だね!」


萃香「何か買いたい物でもあるの?」


あゆむ「買いたい物?う〜ん、無いよ」


萃香「そうなんだ………『欲しい物がわからないのかしら?』」


航介「わかった、もう降参だ!紅優お前に任せるから頼むからその事は姉さんや鯛蔵には言わないでくれよ!」


紅優「よくわかんねぇけど、わかった言わないって約束するって!」


航介「それと姉さんには悪いが、スマホは俺が決めても良いか?」


紅優「もちろん構わないけど、大丈夫か?後でごちゃごちゃ言われそうだが?」


航介「俺が言われるぶんにはいい!」


 そして航介が言っていた、いい店にやっとたどり着いた


紅優「こ、ここがいい店か?雰囲気はあるな」


萃香「雰囲気って………ボロいけど大丈夫なの?」


航介「味は保障するぞ」


あゆむ「お店の中に人いないね」


 外見はボロい店で、店先にかかっているのれんはビリビリに破れて書いてある文字もほとんど読めなかった


紅優『中なんとか理屋?のれんがボロボロで文字が読めねぇな!たぶん中華料理屋だな』


 店の中は客どころか店主さえ見当たらない、そんな店に入るのはとても勇気がいるが航介は遠慮なく店の中に入って行くので紅優達も店の中へと入って行った


紅優「中はまだまともだな」


萃香「店の外だけボロいのね」


 店内は割と綺麗で掃除も行き届いてて、床にはチリ1つ見当たらなかった


航介「オヤジ!いるのか?」


紅優「オヤジ?航介のオヤジか?」


航介「いや、そうじゃ無くて店のオヤジだ!」


萃香「まぎわらしいわよ!言い方が!」


あゆむ「まぎわらしい?『何か引っかかるような懐かしいような…………』」


店のオヤジ「うるせぇな!店の中では静かにするもんだろ!」


 店の中央にある階段から降りて来て、開口一番に怒鳴る店主のオヤジはずんぐりむっくりで頭のてっぺんがハゲていて着ている服はなぜかコスプレ衣装だった


 2階は居住スペースのようで関係者以外立入禁止の札があった


 ずんぐりむっくりオヤジがしていたコスプレは、いったい何のコスプレなのかは誰が見てもわからなかった


航介「オヤジまたコスプレか?」


店のオヤジ「いけね!忘れてた」


 店のオヤジは階段を慌てて登って行き、上でドタバタして降りて来たらT()h()e()()()()の格好になっていた


紅優「さっきのコスプレはなんだったんだ?『巫女さんの服とセーラー服とナース服を融合させたような奇妙なコスプレだったな………何のアニメだ?』」


航介「聞かないでやってくれ!」


萃香「聞きたくも無いわよ!『ずんぐりむっくりオヤジの女装コスプレなんて誰も詳しく知りたいなんて思わ無いわよ!』」


あゆむ「あのおじちゃん面白いね、ずんぐりむっくりで!」


航介「悪いがそこも言わないでやってくれ!わりと気にしているらしいからな」


店のオヤジ「で?今日はどんな料理をお求めですかね?」


紅優「手………洗ったのかよ!」


 慌てて着替えたとなれば必ず身体を触るから、そこは徹底してもらいたいと紅優は思わず指摘していた


 紅優の指摘を受け厨房の流し台で手を洗って来たオヤジは、何事も無かった様に店主としての仕事を始めた


店のオヤジ「それでご注文は?」


紅優「メニュー表とか無いのか?」


店のオヤジ「メニュー表?どこにやったっけなぁ〜」


 オヤジはメニュー表を探し始めるが、航介がいつものをくれとオーダーを出した


店のオヤジ「いつものやつね、人数分か?」


航介「もちろんそうだが?」


店のオヤジ「はいはい、少々お待ちを!」


 ずいぶんと適当なやり取りで注文を受けたオヤジは調理を開始していた


紅優「何を作っているんだ?」


航介「絶品の料理だ!」


 航介がここまで言うと期待は膨らむが、ずんぐりむっくりオヤジの料理はどんな食べ物なのかと不安の方が大きかった


 しかしそんな紅優達の不安は裏切られ、店のオヤジは手際よく具材を切ったり中華ナベに投入して炒めたりしてあっと言う間に料理を完成させていた


店のオヤジ「はい!お待ちどうさま!」


紅優『え〜〜〜!あんだけ期待させておいて炒飯とか無いだろ!』


萃香『炒飯ね…………確かに美味しそうだけど、本当に絶品なの?』


あゆむ「チャーハンだ!美味しそう、いただきます」


 あゆむは躊躇(ちゅうちょ)無くオヤジの作った炒飯を食べたが………


あゆむ「美味しい!この炒飯の下にカレーがあるよ!僕、この味好き♡」


紅優「何!本当か?どれ俺も!うっ、うめぇ!なんだこれ口の中でとろけるみたいだ!」


萃香「嘘!それならあたしも、やだ〜!ナニコレ凄く美味しい♪」


 パラパラの米を卵でコーティングして具材もチャーシューとネギを細かくなるほど小さく切り刻んで全体的によく馴染ませ絶妙な焼き加減で炒めてあり、さらに炒飯の下からはとろっとろのカレーが現れなかなかの絶品だった


 とろっとろのカレーは鍋でずっと弱火で煮込まれていて、中の具材全てが柔らかくカレー自体も辛すぎず甘すぎず程よい中辛で炒飯を引き立てていた


 見た目のインパクトが強烈過ぎるずんぐりむっくりオヤジは本物の料理人だった


紅優「カレー炒飯か?炒飯カレーなのか?これなら何杯でも食えそうだな!」


萃香「こんなに美味しい食べ物は、今まで食べた事無いわ………できればレシピが知りたいわね!」


店のオヤジ「商品名は【炒飯カレー】で、レシピは企業秘密だ!」


あゆむ「おかわりいいですか?」


紅優「あゆむちゃん、大丈夫か?この炒飯カレーは結構ボリュームあるぞ!」


萃香「あたしもおかわりしたいからシェアするのはどうかな?」


紅優「なるほどな、オヤジさん追加で2つ炒飯カレーを作ってくれないか?」


萃香「なんで2つなの?」


紅優「俺と萃香で、あゆむちゃんにシェアするんだよ!」


萃香「なるほどね、それなら食べ切れそうね」


店のオヤジ「そんなに喜んでくれるなら作ったかいがあったってもんよ!2つ追加ね、今作るよ!」


航介「な?言っただろ!」


 ずんぐりむっくりオヤジは追加の炒飯を作り、紅優達の前に出来上がった炒飯カレー2つと()いてる皿を置いくれた


 ちなみに値段はかなりお安くなっていて、一皿税込み780円だった


紅優『これ一皿税込み780円って元取れるのか?炒飯とカレーだぞ!具材だけでも相当赤字じゃ無いのか?』


 元を取るどころか客が1人もいないならこの店はいずれ潰れてしまうのではと紅優は思っていたら………


店のオヤジ「いや〜それにしても客が来ないな!」


航介「いつまでもこんな所に店を構えてないで、向こうに新しい店を出せはいいだろ!」


店のオヤジ「馬鹿言うな!ここは代々受け継いだ店なんだ、そんな簡単に手放せるものか!」


航介「客足が遠のいているのは周りにあった店が無くなっているからだろ?」


店のオヤジ「なんとか宣伝すれば、まだ客は来てくれるはずだ!」


航介「その宣伝も成功したためしがないぞ!意地を張ってないで、漁業組合に助けを求めたらどうだ?」


店のオヤジ「漁業組合だって!あんな奴らになんか誰が頼むか!」


 漁業組合とは何か因縁があるらしく、ずんぐりむっくりオヤジは(かたく)なに拒んでいた


航介「こんなに絶品な料理を世の中に広めなくてどうするんだ!俺も力になるからよ!」


紅優「なぁ、取込み中悪いんだけどなここが繁盛すれば問題ないのか?」


航介「どういう事だ?」


紅優「察するに沢山あった店も向こう側に店を移したわけだろ?」


 ずんぐりむっくりオヤジの店の周りには、空き店舗がズラリと並んでいてそのほとんどが向こう側に店を移転させていたのだ


 もちろん空き店舗も既にボロボロの状態で、不動産の『空き店舗あります』の看板が多数目立っていた


店のオヤジ「そうだが?」


紅優「だったら、ここに新たに店を呼べばいいんじゃねぇの?」


航介「店を呼ぶ?」


店のオヤジ「逆の発想って事か!」


航介「だが、どんな店を呼ぶんだ?向こうと変わらないならどう考えても客はこっちには来ないぞ?」


紅優「向こうの店とは違う店だな、こっちは変わった店を出してもらえばいいんだ!」


航介「変わった店だと?」


紅優「向こうは魚や貝などの魚介類の店が多くて捕れたてを焼いたり生で提供したりしてるだろ、ならここには別の店の方が繁盛できそうだと俺は思うが?」


店のオヤジ「具体的にどんな店を呼べばいいんだ?」


紅優「簡単さ!向こうは生魚や加工された魚介類の品を買いに来る人が多いし、その場で調理された品を購入して食べる人もいる!それならこっちは若者を呼びそうな店を出してもらえばいいのさ!」


航介「若者を呼ぶ店?どんな店だ!」


紅優「そうだな、クレープとかチュロスとかタコが取れるならたこ焼きとかだな!後は貝殻を加工してアクセサリーなんかも良いかもな!それと御当地Tシャツなんかもありだな」


 向こうにある店には食べ物関係が多くあり、紅優が言う様に貝殻などの加工品の店は向こうには無かったのだ


 服なども効果がありそうで、それなら向こうに来ている客もこちらに足を運んでくれるのではないかと紅優は考えていた


あゆむ「僕、ドーナツがいいと思うよ!」


紅優「お、いいなドーナツか他には思いつくかな?」


あゆむ「え〜?う〜んとパン屋さんとか?それと流木や珍しい石とかもいいよ」


航介「パン屋か、ハンバーガーとかアイスなんかもあるな!それとイカも捕れるからイカ焼きとかもいけそうだな」


紅優「お〜!いいね、なんか加工した魚をパンに挟んで売り出すのもありかもな♪それと流木や珍しい石の販売か確かどこかで似たような事をやっていたな」


萃香『何でみんなしてこんなに盛り上がっているのよ………しかもあゆむちゃんまで!』


店のオヤジ「なんてこった!店を呼ぶなんて発想は無かったな!」


 食事が終わって紅優が払おうとしたら、この店の食事代は航介が支払ってくれた


 紅優はずんぐりむっくりオヤジに資金を提供してここに新たに若者が寄り付く店を次々とオープンさせる計画を立てていた、そして必ず契約を交わすと約束して店を後にした


 だが紅優の真の目的はずんぐりむっくりオヤジの店や周辺の繁盛だけでは無かった


紅優『コレからの戦いにはどうしても課金してでも俺達の強化が必要になる、強力な武器や防具を手に入れるにはたとえ僅かでも金がいるしゲームにも現実にも敵がいるからなどちらにしてもそれなりの額の金は必要だ!』


 紅優は今までゲームでは課金はしなかったが現実にも影響を与える敵がゲームの中にいて、親友の姿と記憶を奪った奴がどうしても許せなかった


紅優『俺の資産がすっからかんになってもいい、必ず当溜の記憶は取り戻すし元の姿にも戻してみせるさ!俺は親友を絶対に見捨てないからな!それと首を洗って待ってろよマキシリオン!てめぇだけは絶対に許さねぇからな!』


萃香「一大プロジェクトで、新たな資金調達方法ってわけね………」


 しかし萃香はそんな紅優の心情はわからず、紅優を軽蔑の目で見ていた


紅優「ここが発展すれば店のオヤジは儲かって助かるし、俺も資金が増えるしまさにウインウインの関係だろ!」


航介「いいのか?もし失敗したら多額の金を失うんだぞ?」


紅優「航介にとっては多額かもしれないが、俺にとってはたいした額じゃないさ」


航介「忘れる所だった!紅優は金持ちだったな」


萃香「ここのお店もリニューアルするの?」


紅優「そうだな、一度リノベーションして店を綺麗にした方がいいな」


萃香「電光掲示板とかつけたりするの?」


紅優「従来の電光掲示板は無しで、使うとしたらLEDの方だな!電気代も浮くし少しは店のオヤジの足しになるからな」


あゆむ「LEDって何?」


萃香「LEDはね発光ダイオードの事でね、省エネで寿命が長く電気で光るのよ『ってLEDも忘れてしまっているのね…………』」


紅優「Light Emitting Diodeからの頭文字を取って【LED】なんだぞ!」


あゆむ「【LED】は【L】と【E】と【D】なんだね」


紅優「そんなに区切ったりはしないけどな…………【L】【ED】だとヤバいな!」


萃香「ちょっと紅優?変な事をあゆむちゃんに教えないでよね!」


紅優「区切り方を間違えるとヤバいって言っただけだろ?」


あゆむ「【L】と【ED】?」


萃香「ほら、みなさいよ!区切って聞いて来たじゃない!」


紅優「俺のせいか?」


あゆむ「【L】はそのままだけど【ED】って何?」


航介「男性機能不全の事を【ED】と言うがな、あゆむちゃんには関係が無い事だな!」


あゆむ「男性機能不全を【ED】って言うんだね………『昨日聞いた事だけど僕はもともと男の子だったらしいけど、それ僕の事なんじゃないかな?それなら【L】は【()()()()】の【L】?だとしたら【()()L()E()D()】だねロリで男性機能不全な僕?意味はあんまりわかんないけどたぶんそうかな』」


萃香「ちょっと!航介、何教えているのよ!」


航介「聞かれたから答えたまでだがまずかったか?」


紅優「まずいってもんじゃ無いだろ!」


あゆむ「【僕はLED】なんだね!」


萃香「あゆむちゃん?意味わかって言っているの?」


あゆむ「僕はロリータの【L】で元は男性だったから男性機能不全の【ED】なんだよ!だから【僕はLED】になったんだ!」


紅優「やべぇ!変な事をあゆむちゃんが覚えちまった!『しかも意味合いが違うのになんか合ってるし!確かに【Lolita】の【L】は完全に一致してるが、男性機能不全の【ED】はそもそもあゆむちゃんがその機能が失われている身体だから違うんだけどしっくりくる説明だな!【僕はLED】はあながち間違いじゃないぞ!』」


萃香「ちょっと紅優!航介!どうするのよ!2人とも責任取りなさいよね!」


航介「俺もか?」


萃香「あたりまえでしょ!」


 確かにかなりまずい発言なので紅優と航介はなんとかあゆむの誤解を解いて【僕はLED】なんて二度と言わない様に説得をした、そのかいがあってようやく理解してくれたのだ


あゆむ「僕はL()E()D()じゃ無かったんだね!ごめんね変な勘違いしちゃって………」


紅優「いや、わかってくれたならいいからな『僕はLEDなんて真央ちゃんや里麻ちゃんには聞かせられないからな、助かったぜ!』」


航介「誤解をさせて、すまなかった」


萃香「なんとかなって良かったわ………『あのままだったらどうなっていた事か、想像するだけ恐ろしいわね!』」


 区切り方が【LE】と【D】でもまた違った誤解を生んでいたかもしれないと紅優は内心思っていた




 その後鯛蔵と合流して、途中で携帯ショップに寄り里麻のスマホの契約を済ませてキャンピングカーに戻ってきた


紅優「お〜い里麻ちゃん、スマホだぞ!」


里麻「なんと!もう買って来たのじゃな!」


真央「すぐに使えるの紅優兄!」


紅優「あぁ、もう使えるはずだぞ!」


里麻「しかし、妾自身が選びたかったのじゃ」


航介「姉さん、紅優にお礼を言ってください!」


里麻「………紅優、ありがとうなのじゃ!」


    里麻は膨れた顔でお礼を言った


紅優「月々の支払いも俺が払うからな?」


里麻「な、なんとそこまで妾の為に………感無量なのじゃ!」


 里麻は先ほどとは打って変わって紅優に抱きついてお礼をいい続けた


真央「ちょっと里麻ちゃん!離れてよ!」


里麻「妾の感謝の気持ちを全身で受け止めてもらいたいのじゃ!」


真央「だからって、くっつき過ぎよ!」


紅優「まぁ、俺的には妹が増えただけだって思えばこれくらいは構わないさ!」


真央「紅優兄は甘いのよ!特に女の子に対してね!」


萃香『そうね!甘いわよね真央ちゃんにしろ里麻ちゃんにしろ、もちろんあゆむちゃんにもね………それならあたしには?昔からそんな事無かったし喧嘩ばっかりだったわね………』


あゆむ「紅優は甘いの?舐めてみてもいい?」


紅優「あゆむちゃん、それは無しだ!いろいろまずいからな!『さっきの【僕はLED】といい、今の【舐めてみてもいい?】とか常識も奪われているのか?』」


あゆむ「まずいの紅優は?」


紅優「味の問題じゃ無いんだが?」


真央「舐めるって、どこを舐めるつもりなの?」


あゆむ「ん~~?顔?」


真央「それは絶対にアウトね!って言うか、それ以外の所を舐めるのも駄目よ!」


里麻「無知とは恐ろしいものなのじゃな!」


萃香『さっきの【LED】事もそうだけど、常識がまるで無いみたいね………顔を舐めるなんて普通は言わないし里麻ちゃんの言う通りそのへんは無知なのね………』


紅優『身体を舐めるなんて言われ無くて良かったぜ!それじゃまるで俺が変態だもんな………後で常識を教えてやらないとな、こんな形でも守ってやらないとならないなんてこれからは大変だな…………』


航介「紅優、コレからどうするんだ?まだキャンプを続けるのか?」


紅優「そうだな………今日1日は遊んで、夕方になったら帰って書類作成だな!」


航介「店のオヤジの為だったな、すまない何も力になれなくて………」


紅優「いや、航介にはこれから役立ってもらうから心配すんなよな!」


航介「俺が役立つ?」


紅優「航介はちゃんと役に立つって!それと書類作成にはそれほど時間はかからないが、2〜3日したらここにまた来るからその時にはよろしくな!」


航介「もちろんだ!」


 残りの滞在時間はめいいっぱい遊びに費やし、夕方には帰り支度をして航介達に見送られて帰る事になった


 紅優と萃香と真央は、航介と鯛蔵それから里麻と連絡先を交換しておいたのでいつでも連絡が取れる様になっていた


紅優『あゆむちゃんのスマホにも航介達の連絡先を入れておいたし、問題無いな』





 そして帰る途中で真央は少しばかりうんざりしていた


         「ピロん」


真央「また里麻ちゃんからREONね………ってスタンプばっかり送って来なくてもいいのに!」


紅優「嬉しくてついつい送っているんだろ?しばらくしたらその送られてくる頻度もおさまるはずさ」


真央「だといいけどね!それより紅優兄〜!今度わたしと出かけない?2人だけで、ねっいいでしょう?」


紅優「暇ができたら行ってもいいぞ!」


真央「本当?やった〜!紅優兄大好き!」


紅優「おいおい、抱きつくなよ!」


萃香「本当、甘いわね『紅優………イチャイチャしてる場合じゃ無いでしょ?それにどう見ても真央ちゃんのソレは恋愛感情なのよ、責任取れるの?しかもそれって完全にデートじゃない!ってあたし真央ちゃんに嫉妬してるの?』」


あゆむ「もう食べれないよ〜むにゃむにゃ」


萃香『ゲーム内の敵とか病院の関係者とかそれと父親の事もあるのに…………それに一番重要な当溜の事もないがしろにしないでよね、紅優!』


 ソファーに座る萃香の膝を枕にして眠るあゆむをあやしながら、萃香は紅優の行動を眺めてそんな事を考えていた





病院の医師は例の施設の関係者であゆむちゃんを狙う不届き者と判明、そして紅優は寂れた店の立て直しの一大プロジェクトを立ち上げる事になりましたね

次回は新たな武具を求めてです

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素人の作品です   


           福望華雫でした

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