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ログイン16 到着!浮遊する謎の物体

貧乏高校生 当溜。格安ボロアパートに住みバイトをして生活費を稼ぐのが彼の毎日だった。明日から学校が夏休みに入る事で浮かれていた時に偶然おもちゃ屋で最新のVRヘッドギアを見つけ購入した。さっそくVRゲームを始めたまでは良かったのだが、本来なら無いはずのVRヘッドギアのホームにログインを果たした。彼は大嘘をつくAIの言う事を真に受け全てにYESと応えてしまった。身体構造スキャンを許し、問題箇所のリペアとしてハルモニア光なる謎の光を実際の身体に照射された。問題は解決したのだとAIに唆されてゲーム世界に送り出されてしまう。しかしこの事が当溜の生活をガラリと変えてしまう重要な出来事だった。ログインしたゲーム内でも問題が発生した。選択出来る性別が女性のみで男性の選択は不可能だった。なんとか女性アバターを男性的な姿に作る事に成功したが、間違えてランダム作成を押してしまい完成したアバターは幼女だった。


♤守ってください幼女な僕を♡ 

縮めて『守幼』をよろしくお願いします




シャーロット「さよならバイバイ地上さん、そしてなんだコレは謎の物体さん!」


ベニ「何をやってるのか知らないが、入口を探して欲しいんだが?」


 地上に向かって手を振っていた僕に、ベニは入口を探せと言う


スカイ「出入りできる所がなかなか見つからないわね」


ムー「やっぱり上の方なのでは?」


ヒミコ「入口は、この大木にはないのじゃ!」


ぬいぐるみ剣士「斬りつけても再生力があるからな、無理やりこじ開ける事はできそうも無いな」


ぬいぐるみ弓使い「この大木なら丈夫な矢が作れそうだだけど、枝でさえ切り落とせ無いなんて………」


ぬいぐるみ魔法使い「我の魔法でもちょびっと焦げる程度ですぐに再生してしまうからな!」


 謎の物体に生えている大木をくまなく探したが、入口どころか穴さえもなかった


シャーロット「上に行くしか無いね」


 僕たちは上に向かって飛んでみたが大木の根本もやはり出入りできそうな所は見つからず、さらに上昇しようとしていたが………


紅優「シャーロットちゃん、ちょっと待った!」


シャーロット「どうかしたの?『せっかく行こうとしてたのになんなの?』」


紅優「だいぶ高い所まで来ているからな、このまま上昇すると気圧の変化に身体に負担がかかるかもしれない」


スカイ「そうね、山なんかに急に登ると高山病なんかになったりするからね」


 確かにずいぶんと高い所まで来ていたし、おそらく日本1高い山である富士山よりも高い場所にこの謎の物体はあると思われる


シャーロット「それなら、そこの大木の枝の上で休憩しとく?『具合悪くなるのはちょっとやだな〜』」


紅優「そうだな、一旦休憩だ」


 枝とはいえ足場があるのは休憩も楽だった


 みんなとの話し合いで、やはり入口はてっぺんにあるのではないかという結論が出された





 そもそもこの大木の中は空洞ではないみたいで、耳を当てて音を聴くと普通の木の様に水分や養分を吸い上げる様な音が聴こえていた


ムー「てっぺんまでだいぶあるよね」


ヒミコ「そこになかったらどうするのじゃ?」


スカイ「いいえ、入口は必ずあるはずよ!」


ベニ「無ければこじ開けるまでだがな!」


シャーロット「押しボタンとかあればいいのにね『いや!もしかして引き戸かも!』」


 ボタンを押したら入口が現れたなんて事があればいいとお気楽に言ってみた


ベニ「それなら、それでも構わないさ」


スカイ「ボタンね………それは行って見ればわかる事よね」


ムー「では、そろそろ行きますか?」


ヒミコ「もう充分休んだのじゃ!」


 ぬいぐるみ魔法使い「まだ浮遊魔法は効力が切れては無いから問題無いぞ」


シャーロット「行こうよ!てっぺんに」


 僕の掛け声でみんないっせいにてっぺん目指して飛んだ


 ようやくてっぺんにたどり着いたらぽつんと出っ張りがあってそこが出入口だった、僕たちは慎重に中に進んで行った


 内部の構造は広びろとしたワンフロアがあって、下に降りて行く階段があった


シャーロット「この壁なんか動いてない?」


ベニ「金属製の動く壁とか気持ち悪いな」


スカイ「なるべくひとかたまりになって進みましょう」


 階段を降りると次もまたワンフロアがあったが、そこにはうじゃうじゃと機械のモンスターがいた


 機械のモンスターの形状は、電子レンジの上に炊飯器が乗っている様な感じで下が四角くて上が丸みを帯びた形状だった


ムー「何あれ、モンスターなの?」


ヒミコ「ロボなのじゃ!」


ベニ「とにかく倒さないと進めねぇな!」


スカイ「なんか金属の触手みたいねあの手というかアームは………気持ち悪いわ」


ぬいぐるみ剣士「階段が見えないな、片っ端から倒すしか無いか」


ぬいぐるみ弓使い「あまり大技の連発は控えたほうが良さそうね」


ぬいぐるみ魔法使い「だが、我は派手に行くぞ!」


シャーロット「僕は非戦闘員だから後ろにいるね」


 ベニとぬいぐるみ剣士が前衛で攻撃してそのすぐ後ろにスカイとぬいぐるみ弓使いとぬいぐるみ魔法使いが遠距離攻撃、そしてそこを抜けて来たモンスターをとヒミコちゃんが迎撃してムーちゃんと僕はさらに後方で待機している


ムー「追加の歌でバフをかけ直すわ」


 ムーちゃんは職業、マジカルディーヴァの歌でみんなを支援していた


ベニ「バフか、助かる!」


スカイ「けど油断しないで!こいつ等魔法があまり効かないみたいだから!」


ベニ「わかってるって!」


 ベニは双剣で金属製のモンスターを攻撃しているが、頑丈なのか一撃では倒せなく何度も攻撃してようやく沈黙させていた


 一体倒すのにかなり時間がかかってしまっているこの状況は非常にまずかった


ぬいぐるみ剣士「硬すぎる!このペースではこちらが疲弊してしまうな!」


ぬいぐるみ弓使い「我々は大丈夫だが、他のみんなが疲れてしまうという事か!」


ぬいぐるみ魔法使い「一気に一掃したいが、退避が間に合わんぞ!」


 かなりジリ貧状態でだんだんと押され始めていた


シャーロット「一旦上の階に退却するのはどう?」


ベニ「こいつ等が上のフロアに来るかもしれないが、もしもの時は退却しよう」


 ベニやスカイとヒミコちゃんやムーちゃんたちは疲労しているし、モンスターの数はなかなか減らないなら一時撤退してもいいと思っていたが………



       【双牙連撃斬】



 突然突風の様な風が巻き起こり中央付近のモンスターをなぎ倒し、そこにはある人物が立っていた


黒鎧「まさかこんな所で会うとはな!」


シャーロット「黒鎧?何でいるの」


 先ほどの突風は黒鎧が技を放ち、大半のモンスターを一掃したのだった


ベニ「なんだかわからないが、助かったぜ!」


黒鎧「別にお前を助けたわけでは無い」


ベニ「言ってくれるぜ!なぁ黒鎧あんたどこから来たんだ?」


黒鎧「どこからだと?決まっているだろ!ゲームの中からだ!」


ベニ「は?ゲームの中って、俺達現実から入ったんだが?」


スカイ「お喋りは後にして、倒せるなら倒して欲しいんですけど!」


黒鎧「それもそうだな!待ってろ」


 黒鎧の攻撃が機械のモンスターにすんなりダメージを与えていて、一振りで2〜3体のモンスターを屠っていた


ベニ「相変わらずすげえな!」


 黒鎧はあっという間に全てのモンスターを倒してしまった


シャーロット『流石、黒鎧だね!機械のモンスターなんか簡単に倒しちゃったよ』


ベニ「黒鎧サンキュー!助かったぜ」


黒鎧「礼はいい、それよりどう言う事か聞こう」


 僕たちは現実からこの謎の物体に入った事を黒鎧に伝えた


黒鎧「現実からか………オレはゲームの中からこの謎の物体に入ったが、ここは現実とも繋がっているという事か………『ならここから出ればオレも現実で生きられるのか?いや、駄目だ!オレはゲームの中でやらなければいけない事があるからな』」


シャーロット「それって、ゲームの中にも同じ物があるって事だよね?」


ムー「わたしスマホを持って来たから見れるかも」


 ムーちゃんはスマホを操作してゲームの中がどうなっているかを確認してくれたのだが


ムー「駄目ね、映らないわ!」


ヒミコ「このマークはなんなのじゃ?」


シャーロット「これは圏外って言って電波が届いて無いんだ、けどこれじゃ何の情報も得られないよ」


ベニ「圏外か、ゲームの中にスマホは無いからな」


スカイ「もしも、ゲームならでしょ?」


黒鎧「お前達は引き返せ!今ならまだ戻れるはずだからな」


シャーロット「黒鎧はどうするの?」


黒鎧「オレはここの最深部を目指して、原因を探るつもりだ」


シャーロット「だったら僕たちも行くよ!」


黒鎧「駄目だ………この際だはっきり言おう、シャーロットお前は足手まといだ!すぐに引き返せ!」


シャーロット「何でそんな事言うの?」


黒鎧「なら聞くが、先ほどの戦いで何かパーティーに貢献したか?」


シャーロット「それは………僕は非戦闘員だから戦えないし、守ってもらわないとだめなんだ………」


黒鎧「いつまで甘えている!戦えないじゃ無い、戦おうとしてないだけだ!」


シャーロット「僕は………」 


ベニ「いくら何でも言い過ぎじゃないか?」


黒鎧「だがなこれからも守ってもらう事を前提にしていたら、現実でもずっと受け身のままだぞ!」


スカイ「どうかしたの?何か焦っているみたい」


黒鎧「焦ってはいないが、誰かが言わなければならない事をオレが言ったまでだ!」


シャーロット『黒鎧の言う通り確かに僕は足手まといだ!だけど、何か変だな黒鎧はそんな事を言う人ではなかったはずなのに………』


 僕は違和感を覚えていた、黒鎧の言葉は確かに正論ではあるけど何か変な感じがしていて落ち着かなかった


ムー「わたしも直接は戦えませんけど?戦えない事はいけない事なんですか?」


ヒミコ「そうなのじゃ!シャーロットは妾たちのリーダーで仲間なのじゃ!」


スカイ「黒鎧!貴方は正しいと思って言っているけどね、あたしやベニそれからムーちゃんやヒミコちゃんとぬいぐるみ達はシャーロットちゃんを足手まといなんて思って無いわ!」


ベニ「そうだ!スカイの言う通り、もし足手まといなら最初から連れては来ないさ」


黒鎧「それでお前達は納得していると言う事か?」


ベニ「あんたが何を焦っているのかはわからないが、これが俺達のやり方だ!」


黒鎧「ならもう何も言うまい………シャーロット、言い過ぎたなすまない『焦っているだと?オレはこんな状況は経験していないはずだ!前回の経験ではこんな場所はなかったのだからな!』」


 黒鎧は自身の記憶と経験に無いこの場所には何かがあると思っていた


シャーロット「僕が足手まといなのは事実だよ、何もできないって思っていたし実際に何もしてこなかった………『弱い自分が情けないな、戦おうと思えば戦う手段はあるはずなのにそれをしなかった』」


 スキルを使う事でパーティーに貢献したりできたはずなのに、それをしなかった僕は本当の意味で足手まといだった


スカイ「そこにいるだけでも充分役にたっているよ」


ベニ「シャーロットちゃんの存在が俺達に力を与えているんだ!」


ムー「わたしはシャーロットちゃんがいなければずっと1人だったし、捻くれたままだったよ」


ヒミコ「妾もシャーロットのおかげで楽しくゲームをできるのじゃ!そこは誇っていいのじゃ」


シャーロット「みんな………ありがとう『それでも僕は戦うための何かが欲しい!力でも武器でも何でもいいから何かを………』」


 だが僕の願いはどこにも届かなかった


黒鎧「………『この先もそんなヌルイやり方では前回みたいな結末を迎える事になりかねないが…………シャーロットの中では何かが変化したはずだ!オレの知る結末にならなければいいがな…………』」


ぬいぐるみ剣士「むっ?なんだこの感じは………」


ぬいぐるみ弓使い「どうした?剣士」


ぬいぐるみ魔法使い「変な気配がするな………」


ベニ「変な気配?」


ぬいぐるみ剣士「いかん、お前達マスターの元へ急げ!」


 ぬいぐるみ剣士が叫んだと同時に床が突然消失して僕たちは落ちてしまった


ベニ「うわっ!床が無くなった」


スカイ「嘘っ!落ちちゃう」


ムー「きゃぁ〜〜~」


ヒミコ「のじゃ〜〜〜〜!」


黒鎧「くっ、しまった!こんなトラップがあるとは」


 みんなそれぞれが別のルートに落ちて行き、僕たちは分断されてしまった


シャーロット「な、なにこれ落ちてるの?」


ぬいぐるみ剣士「迂闊だった、まさか床が消えるなんて!」


ぬいぐるみ弓使い「我々はマスターの元に間に合ったが他のメンバーが散り散りになってしまったな」


ぬいぐるみ魔法使い「とにかくこれはまずいな、ミニレビ・フライト!」


 ぬいぐるみ魔法使いは、魔力を抑えた小さめの浮遊魔法を使い僕やぬいぐるみたちを浮かせた


シャーロット「これならゆっくり降りられるね」


ぬいぐるみ剣士「下のフロアが見えて来たぞ!」


 着地に成功した僕とぬいぐるみたちは辺りを見回して見たがみんなはいなかった


シャーロット「完全にはぐれちゃったね」


ぬいぐるみ剣士「ベニやスカイ、ムーとヒミコそれから黒鎧か………」


ぬいぐるみ弓使い「先に進めばどこかで合流できるかもしれないな」


ぬいぐるみ魔法使い「ん?誰かいるな」


???「まさかこんなチンケなヤツが来るなんてな!」


      そこにはゴツい大男がいた


シャーロット「あの、僕は戦えません!」


 僕は両手をあげて戦うつもりは無い事を相手に宣言した


大男「おいおい、戦う前から降参かよ!マジでハズレを引いたな!」


 大男はオーバーぎみなリアクションでがっかりしていた


ぬいぐるみ剣士「マスター、ヤツは強いぞ!」


ぬいぐるみ弓使い「マスターを守りながら戦うとしても、勝てるかどうか………」


ぬいぐるみ魔法使い「何を弱気な事言ってるんだ!マスターを守らなくてどうする?」


大男「ほう、ぬいぐるみ共はやる気か?」


??「止めておけ!お前達では勝てないからな!」


 だがどこからともなく現れた人物にぬいぐるみ達は止められていた


シャーロット「黒鎧?どうしてここに、はぐれたはずなのになんで?」


   何故か黒鎧が僕たちの前に立っていた


黒鎧「シャーロット、お前がピンチなら必ず駆けつけるさ!」


大男「お前もしかして、マキシリオン様の邪魔をしたヤツか?」


黒鎧「やはりそうか、マキシリオンが関わっているのだなこの件に!」


大男「だったらどうした?」


黒鎧「オレはお前の様なヤツと戦っている暇は無い!この場を去るなら見逃してやる」


大男「はぁ〜〜〜〜!頭にうじ虫でもわいているのか?この場を去れだと!」


黒鎧「何度も言わせるな!見逃してやると言ってるんだが?」


大男「そうかい、ならコレでどうだ!」


 大男は手にしていた武器を黒鎧に投げつけて来た


 大男が持っていたのは大きなブーメランで当たれば致命傷を与える事ができそうなほど重そうな武器だったが


黒鎧「ふんっ!」


 黒鎧は双剣で技も使わずにブーメランを真っ二つに斬った、そして大男の手元にはブーメランは二度と戻らなかった


大男「な、何ぃ〜!そんな馬鹿な!」


黒鎧「これで実力はわかっただろう?」


大男「なら殴るまでだ!」


 だがそれでも大男は黒鎧に素手で殴りかかって行ったが、黒鎧にそんな攻撃が効くわけもなく見事にかわされていた


黒鎧「まさかこんな雑魚を相手にしなければならないとはな」


大男「なんだと〜!誰が雑魚だ!」


シャーロット『黒鎧もそんなに挑発しなくてもいいのに、雑魚か………ムーちゃんやヒミコちゃんは無事かな?いや別にムーちゃんとヒミコちゃんが雑魚ってわけじゃなくて前にムーちゃんが雑ぁ魚って言ってたから思い出していただけでって僕誰に言い訳してるの?』


 激怒している大男はどこからか、何かを取り出していた


大男「仕方ねぇな!とっておきを見せてやる!」


 大男はそんな事を叫んで、アイテムらしき物を使い大男自身に異様な雰囲気が漂いはじめた


黒鎧「なんだ?何をした!」


ぬいぐるみ剣士「この感じは!マキシリオンと同じ威圧感だ!」


ぬいぐるみ弓使い「あの禍々しい力はなんなんだ?」


ぬいぐるみ魔法使い「ヤツは何かアイテムを使っていたぞ!それがヤツに力を与えているのかもな」


シャーロット「だ、大丈夫なの?黒鎧………」


黒鎧「あの程度なら問題はないが、念の為後方に下がっていた方がいいな………巻き添えをくうかもしれないからな」


 僕とぬいぐるみたちは黒鎧の言葉に素直に従った


大男「待たせたな!」


 大男はもはや人間の姿をしていなかった、全身が体毛に覆われていて風貌は熊の様にも狼の様にも見える


 ゲームのプレイヤーでモンスター化をするヤツなど今まで遭遇した事はなかったが、その姿のせいか圧倒的な恐怖が僕を襲った


シャーロット「こ、怖い!僕手が震えてる………『足も震えてたよ!なんなのあの大男は?』」


黒鎧「どんな姿形になろうが雑魚は雑魚だ!」


大男「ふっははっはっ!そうは言うが警戒しているのは見え見えだな!行くぞ!」


 大男はその巨体に似合わない凄まじい速度で黒鎧に突進攻撃をかました


黒鎧「何!」


 速度こそ違うがまるでアメリカンフットボールのタックルの様な攻撃は黒鎧の右肩に当たって黒鎧のショルダーパーツを粉々にした


黒鎧「くっ、なんて威力だ!」


シャーロット「黒鎧!」


黒鎧「シャーロット、出てくるなよ」


大男「おっと、悪いな一撃で仕留めるつもりがつい手加減してしまったな」


黒鎧「確かに今のが正面からなら一撃で仕留められていただろうが、次はそうもいかんぞ!」


  黒鎧は双剣を構え迎撃体制をとった


大男「どこまでやれるか見ものだな」


    再びさっきの突進攻撃をする大男


黒鎧「こんなものか!お前の力は!」


 黒鎧は大男の突進攻撃を双剣で受け止め反撃を開始した、大男の背後に回り込み後ろから十字に斬りつけたが大男にはまったく効いていなかった


黒鎧「何っ!体毛で切れないだと!」


大男「残念だったな?この姿では斬撃は無効化するからな」


 大男の体毛は斬撃系の攻撃を全て無効化できるのだと言い、黒鎧の攻撃もいっさい効いてなかったのはそのためだった


シャーロット「まずいよ!斬撃が効かないなら黒鎧には勝ち目がなくなちゃう!」


ぬいぐるみ魔法使い「我の魔法でもあの体毛にダメージを与えられるかは五分五分といったところだな」


ぬいぐるみ弓使い「あれでは矢も効かないだろうな………」


ぬいぐるみ剣士「剣による攻撃が効かない相手にどうすれば勝てると言うのか!」


黒鎧「なるほどな、手を抜いて勝てる相手では無いと言う事か……………起きろ!お前達!」


 黒鎧は自身が持つ双剣に声をかける、すると双方の双剣が意思持って黒鎧の言葉に反応していた


双剣(右)トーガ「やれやれ、人使いが粗いな寝ろと言ったり起きろと言ったりどっちなんだ?」


双剣(左)ラムーア「それほどまでに驚異も感じませんが?」


シャーロット「へ?剣が喋った!」


ぬいぐるみ剣士『なんだ?妙に心が落ち着かないな、双剣の声を聴いたからなのか?」


ぬいぐるみ弓使い『どこかで聴いた様な声だが?思い出せない………何故だ?』


ぬいぐるみ魔法使い「まぁ、ぬいぐるみである我達も喋れるから別に驚かないがな」


黒鎧「トーガそれとラムーア、力をかせ!」


双剣トーガ「構わないが、さっさと倒せよあんな熊モドキ!」


双剣ラムーア「狼では?」


黒鎧「どちらでも構わん!行くぞ!」


大男「喋るぬいぐるみと変わらんだろ?そんなナマクラな剣はな!」


黒鎧「ナマクラかどうかはお前の眼で確かめてみろ!」


 黒鎧は全力で大男に斬りつけた、すると体毛をものともしないで斬撃が入った


大男「ぐあっ!馬鹿な切れるはずが無い俺の体毛を切ってダメージを与えただと!」


黒鎧「攻撃が通るなら、もう容赦はしない!」


   【双牙連撃斬】双剣覚醒バージョン


 大男は竜巻状の突風の中心に囚われ斬撃の嵐に見舞われ、その身を無数に引き裂かれていた


大男「ぐわっ!クソこの竜巻から抜け出せない!」


黒鎧「終わりだ!」


 竜巻から開放された大男は派手に床に倒れて、元の姿に戻っていた


シャーロット「終わっの?」


黒鎧「大丈夫か?シャーロット」


シャーロット「僕もぬいぐるみたちも平気だよ………」


双剣トーガ「おれが怖いか?」


双剣ラムーア「怖がらなくても大丈夫ですよ」


黒鎧「シャーロット、こいつ等は無害だ安心するといい」


 双剣トーガは男性の性格で双剣ラムーアは女性の性格みたいだった


シャーロット『黒鎧の職業は確かデュアルブレイダーって言ってたっけ、そして喋る双剣か凄いけど少し怖いな…………』


 双剣は意思を持つ剣で以前は()()()()()に入っていたらしい、そしてまたの名をインテリジェンス・ソードとも言うらしい


シャーロット「はぐれたみんなはどうしてるかな?」


黒鎧「無事だといいがな………もしかしたらこの先で合流できるかもしれないな、離れずについて来るんだぞシャーロット」


シャーロット「僕、足手まといだよ?いいの?」


黒鎧「流石に1人でここから引き返せとは言えないからな、一緒にいた方が守りやすいのもあるしな」


 それから僕と黒鎧は下の階に進んで行った






   一方その頃ベニは、ムーと一緒にいた


ベニ「やけに暑いなここは!」


ムー「しかたないですよ、こんな所なんて思ってもなかったから」


 謎の物体の内部だというのに灼熱のマグマがそこにはあり、地面は岩の地面で壁もまるで洞窟内部の様な造りに変わっていた


ベニ「このフロアだいぶ広いな………空間が歪んでいるのか?」


ムー「おそらく、わたし達の常識は通用しませんよ」


???「いよ〜!お2人さん、こんな所でデートか?」


 突然声をかけられたベニとムーは身体をビクッとさせて、声がする方を振り返って見たら男性が素っ裸で立っていた


ムー「きゃあ〜〜〜!」


      ムーは咄嗟に手で顔を覆った


ベニ「な、なんだあんたは?なんで裸なんだ!」


???「おっと悪いな、今ひとっ風呂浴びてた所だったんで素っ裸だったぜ!ガハッハッハッ」


ベニ「女の子もいるんだ、とっとと服を着てくれよな!」


???「すまんすまん、今着るから待ってろ!」


 謎の人物はこのマグマ地帯でひとっ風呂浴びていたと言うが、どこを見てもマグマだらけで温泉などはなかった


ベニ「気おつけろよ、たぶんアイツは敵だ!」


ムー「こんな所にいるならそうですよね………『あう〜パパ以外の男性の裸を見ちゃった…………わたしお嫁に行けるかな?』」


???「待たせたな、それでデート中だったか?」


ベニ「誰と誰がデート中だ!それよりもあんた敵だろ?」


???「よくわかっているじゃないか!オレは松って名前のもんだ、お前達は侵入者だな?」


ベニ「侵入者?確かにそうかもな!俺はベニだ、そしてこの娘はムーちゃんだ」


ムー「いちいち名乗らなくてもいいと思いますよ、あんな変態にはね」


松「変態か………おじちゃん傷つくなぁ〜!若い娘から変態呼ばわりされるなんて!」


ベニ「なんだコイツ?」


ムー「なんかキモい」


松「あ〜、ぜんぜんうけないな………とにかくここから先はお父さんが通さん!」


ベニ「うわっダジャレかよ!しかもすべってるし!」


ムー「ベニさん、こんな人はほっといて先に進みましょう」


ベニ「そうだな、悪いが先に進ませてもらうからな!」


 ベニとムーは松の脇を通って行こうとしたが、先回りされてしまう


松「待てって!この先行っても何も無いぞ?」


ベニ「何も無いだと?どう言う事だ!」


松「言葉の通りだ、何も無い」


ムー「こんな謎だらけの物体なのに何も無いなんて、あり得ないわ!」


松「下の階に降りても行き止まりだ!その他に通路は無い」


ベニ「下の階には降りれるのか?」


松「なんなら案内してやるが?」


 どうにも納得がいかないベニとムーは、松の案内で下の階に降りて来たが確かに何もなかった


ムー「嘘っ!なんでこの先の階段が無いの?」


ベニ「上みたいなマグマ地帯は下には無いんだな………」


松「言っただろ?何も無いとな!」


 フロア全体を見回してみたが、階段もなく何も無いがらんとした空間だけがそこにあった


 さらにこのフロアは上のマグマ地帯の様な暑い場所ではなく、金属製の壁や床に戻っていた


ベニ「これじゃみんなと合流できねぇ!」


ムー「シャーロットちゃんやヒミコちゃんは無事なの?」


松「ここで戦うか引き返すか2つに1つだ!」


 戦うにしても次の階に進めないなら引き返す方がまだましだと思えるが、もしかしたらこの松というヤツを倒せば道が開けるかもしれないとベニは思っていた


ベニ「なぁ、あんた松っつたな!あんたを倒せば階段が現れるって事はないのか?」


松「倒したところで道は無いが?それでも戦うのか?」


ベニ「ムーちゃん、バフを頼む!」


ムー「無謀ですよ!こんな戦い意味がありません」


ベニ「どのみち、こいつは倒さないと安全に引き返せ無いぞ!」


 ベニの言う通りだった、帰ろうとした時に後ろから攻撃でもされればひとたまりも無くあっという間に全滅してしまうのだとムーも理解した


 しかし落ちて来た場所まで戻っても上の階には戻れないから、別のルートを捜さなければならなかった


 ちなみに落ちた場所にはマグマは無く、柔らかくて弾力性のある赤くて大きなスライムが2人を受け止めてくれたのだった


ムー「わかりました、けど無理はしないでくださいね」


ベニ「あぁ、わかってる」


 ムーは歌を歌いベニにバフをかけ、攻撃力や防御力それから回避率をそれぞれ底上げした


ベニ「良し!いつでもいいぞ!」


松「本当に戦うのだな?ならば始めから全力でいかせてもらうぞ!はぁ〜〜〜〜!」


 松は隠し持っていたアイテムを使い自身の強化を行なった


ベニ「なんだ?何をしているんだ!」


ムー「えっ、何あの人身体の色が変わっていってる?」


 変身が完了した松はもう人間の姿ではなかった


松「待たせたか?」


 松の皮膚は茶色く変色し、さらに風貌が爬虫類を思わせる姿になっていた


ベニ「なんだよありゃ〜!恐竜かよ!」


ムー「きょ、恐竜ぅ〜!なんでそんな姿になるの?」


松「この皮膚は硬いぞ〜!そしてお前達はぞ〜っとしているぞ〜」


ベニ「その姿でもダジャレかよ!お笑い芸人でもやればいいだろうが!」


ムー「プチファイア!」


 ムーはマジカルディーヴァなので魔法も使えるが、威力はかなり低くても攻撃は遠距離からもできるが………


松「なんだこのちっさい炎は?やる気があるのかお嬢さん!」


 松はムーが放ったちっさい炎を素手で握り潰して霧散させた


松「ちっとも熱くねぇ炎だな………しまったダジャレが思いつかなかった」


ベニ「いちいちダジャレはいらねえよ!」


 ベニは双剣で松を斬りつけるが、硬い皮膚が邪魔をしてダメージは与えられなかった


ベニ「硬った!なんだよその皮膚は!」


松「言っただろ!硬いってな!」


ベニ「なら技を打ち込めばどこかしらダメージを与えられるだろ!」


       【クロスブレイク】


 ベニは双剣をクロスさせて斬りつける技、クロスブレイクを放ったが松には攻撃は通らなかった


ベニ「うわっ!」


ムー「ベニさん!」


松「おっと悪いな、弾いてしまったな」


 松はまるで遊んでいるようで、ベニの本気の一撃がまったく効いてなくノーダメージだった


ムー「ベニさん、もう止めましょう!わたし達ではこの変態には勝てませんよ!」


松「また変態か………まぁ今はいいか」


 松は何かを言おうとしたが雰囲気的に止めておいた


ベニ「止めてどうする!まだ誰とも合流できて無いんだぞ?」


ムー「そんな事言っても………このままじゃベニさんがやられてしまいますよ!それにわたし達は生身で変身した様なものだから、もしやられちゃったら死んじゃうかもしれないんですよ!」


ベニ「俺がやられてもまだ黒鎧がいるぬいぐるみ達がいるスカイもヒミコちゃんもそしてムーちゃんキミもいるんだ!それに俺はシャーロットちゃんを何が何でも守らなければならないんだ!」


ムー「どうしてそこまでシャーロットちゃんにこだわるんですか?ベニさんにとってシャーロットちゃんの存在はなんですか?」


ベニ「俺にとってシャーロットちゃんは大切な人なんだ!だから絶対に守ってやらないとならないんだよ!」


ムー「大切な人?それは恋愛対象として見てるって事ですか?」


ベニ「は?何言ってるんだムーちゃん?」


ムー「だって大切な人なんでしょ?それは1人の女性として見てるって事ですよね?」


ベニ「俺はシャーロットちゃんをそんな風には見てないけど?」


ムー「えっ?違うの?」


ベニ「誤解しているみたいだが違うって!」


ムー「てっきりベニさんはシャーロットちゃんの事が好きなんだと思ってました…………」


ベニ「まぁ、そう見えなくも無いかもな………」


ムー「それならわたしにもチャンスはあるんですね?」


ベニ「チャンス?何の話しだ?」


 ムーは密かにベニに思いを寄せていたが(つね)にベニはシャーロットを気にかけていた為、ベニとシャーロットがお互いに両思いなのだと勘違いをしていたのだ


ムー「何でもありません!けどこのまま戦うのは危険ですよ!」


ベニ「そうだな………」


松「あ〜そろそろ()()のも飽きて来たんだが?そしてオレは()だ!」


ベニ&ムー「「……………」」


松「いや!なんか言ってくれよ!恥ずかしだろ?」


ベニ「突っ込むのも疲れたしな、ぜんぜん攻撃も通らないしどうしたものかとな!」


ムー「変態に突っ込むほど暇じゃ無いので!」


   ムーは松に辛辣な言葉をいい放った


松「お嬢さん!それは精神的なダメージがあるからやめてくれないか?」


ムー「それって変態ね」


ベニ「それを言うなら大変だろ?」


 松とベニとムーで、まるでトリオ漫才だった


松「でだが?まだ戦うって?」


 松は先ほどのやり取りをスルーしてベニやムーに聴いて来た


ベニ「いや、止めるわ!まったく攻撃が効かないし疲れたからな」


ムー「それならここから引き返しますか?」


ベニ「それも無しだ!ここで休憩だ!」


松「本当に終わりにするのか?」


ベニ「だって松だっけ?俺の力じゃ、あんたにダメージを与えられねぇし帰ろうとしたところを襲われるのもいやだしな!」


松「そうか………」


 松は元の姿に戻り、ベニのすぐ近くにあぐらをかいて座った


ベニ「何してるんだ?」


松「まぁ、戦わないなら話しでもしてやろうかと思ってな」


ムー「いりません!上のマグマ地帯に帰って!」


松「あんな所にずっといたら暑いって!」


ベニ「ならここで終わりにすればいいさ!」


 するとベニとムーの姿か透け、そこには誰もいなかった


松「何!どう言う事だ!」


ベニ「こう言う事だよ!」


       【クロスブレイク】


松「馬鹿な、何故背後にいるんだ!ぐわ〜〜!」


    ベニは奇襲に成功し、松を倒した


ムー「うまくいきましたね♪」


ベニ「それはムーちゃんのおかげだよ!まさか幻を見せる歌をこっそり歌っていたなんて、この松ってヤツも気づかなかったしな」


ムー「ベニさんが、この変態とのやり取りをしてくれていたおかげですよ」


 松を倒した事によりフロアに変化が起こって、ベニとムーは下の階に降りる階段を見つけた


ベニ「やっぱりあったな!」


ムー「これを降りて行けばみんなと合流できますね」


ベニ「シャーロットちゃんは無事か?スカイとヒミコちゃんはどうなった、そんな心配しかできねぇな」


ムー「黒鎧さんとぬいぐるみ達はいいのですか?」


ベニ「黒鎧もぬいぐるみ達も強いからな、そこは大丈夫だと思っているさ………だが女性陣はどうなんだとねつい思ってしまうんだよ」


ムー「わたしもシャーロットちゃんやヒミコちゃんとスカイさんが気になります」


ベニ「なぁ、ムーちゃんその喋り方やめないか?」


ムー「えっ?喋り方ですか」


ベニ「俺が年上って事もあると思うけど、さん付けとかですとか無しで話そうぜ!」


ムー「それならベニ、わたしは貴方から見てどんな風に見えてるの?」


ベニ「と、突然だな………そうだな俺は1人っ子だから妹みたいな感じかな?」


ムー「妹かぁ………『それならまだ脈はあるわよね?』だったらベニ(にい)って呼んでいいかな?」


ベニ「ベニ兄って、まぁ構わないけど?」


ムー「ありがとうベニ兄!『やった!これで少し距離が縮まったはずよね!』」


 ムーはベニとの心の距離を一気に縮める事に成功して、内心喜んでいた


ベニ「現実でも紅優兄って呼ぶのか?」


ムー「ベニ兄がいいなら呼びたいけど、変に思われないかな?」


ベニ「いや、俺は構わないさ!」


ムー「本当?なら紅優兄って呼んじゃうよ?」


ベニ「あぁ、いいぞ!」


ムー『嘘っ!凄いこんなに良い事があるなんて夢みたい』


 ベニはやらかしてしまった、ムーの心を鷲掴みにしているとは知らずに安易に呼んでいいなどと言ってしまったのだ


 当然だがムーはベニを恋愛対象として見ていて、ベニは義理の妹くらいにしか考えていなかった


ムー「ベニ兄!早く行こうよ!」


ベニ「そんなに引っ張るなよ!階段は逃げないって!」


 ベニとムーは階段を降りて次のフロアを目指した




分断されてしまった仲間達、それと黒鎧の過去が見え隠れして来ました

マキシリオンの目的とは何か、そして黒鎧や双剣の秘密とはいったい

次回はそれぞれの目的です

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素人の作品です   


           福望華雫でした

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