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ログイン15 オフ会をやってみました     (後編)

貧乏高校生 当溜。格安ボロアパートに住みバイトをして生活費を稼ぐのが彼の毎日だった。明日から学校が夏休みに入る事で浮かれていた時に偶然おもちゃ屋で最新のVRヘッドギアを見つけ購入した。さっそくVRゲームを始めたまでは良かったのだが、本来なら無いはずのVRヘッドギアのホームにログインを果たした。彼は大嘘をつくAIの言う事を真に受け全てにYESと応えてしまった。身体構造スキャンを許し、問題箇所のリペアとしてハルモニア光なる謎の光を実際の身体に照射された。問題は解決したのだとAIに唆されてゲーム世界に送り出されてしまう。しかしこの事が当溜の生活をガラリと変えてしまう重要な出来事だった。ログインしたゲーム内でも問題が発生した。選択出来る性別が女性のみで男性の選択は不可能だった。なんとか女性アバターを男性的な姿に作る事に成功したが、間違えてランダム作成を押してしまい完成したアバターは幼女だった。


♤守ってください幼女な僕を♡ 

縮めて『守幼』をよろしくお願いします



萃香「あゆむちゃん?そのリュックは………もしかしてぬいぐるみ達を連れて来たの?」


 萃香が自分で渡したリュックなので見覚えがあったのは当然だった


紅優「まぁ、リュックの中なら問題無いだろ?」


当溜「病院を見たがっていたからね、連れて来ちゃった」


 病院に到着後、僕と紅優は検査のため検査用の服に着替えた


当溜「紅優も検査なの?」


紅優「称号【幼い聖女】のスキル【(いとけな)御手(みて)】で俺は奇跡的に回復しただろ?内部はどこまで回復しているのかを知りたくてな『医学的に観てもらって、まったく問題が無いのかを調べる目的もあるとは言えねぇな』」


年老いた医者「これは坊っちゃん、お久しぶりですね」


紅優「本当は来たくなかったけどな『親父が投資している病院だからなぁ、まぁ口が硬いこの人なら問題無いか』」


年老いた医者「何でも検査したいとかお聞きしましたが、そちらのお嬢さんもですか?」


紅優「あぁ、内密に頼む!いろいろ訳ありでな」


年老いた医者「わかりました、しかしお父上に似てきましたな」


紅優「どこが!顔か?」


年老いた医者「顔ではありませんよ、雰囲気というか(たたず)まいがです」


紅優「佇まいね………」


 紅優の知り合いの年老いた医者はかなりの名医で有名らしく、予約してでも診察を受けたいという人がいるほどなのだとかを紅優から聞かされた


 そして僕と紅優は全身隅々まで検査が行われた


 病院での検査は脳波や心電図とCTスキャンそれから血液検査など実にさまざまな検査が行われた




当溜「後は何検査?」


紅優「後は産婦人科の検査だな」


当溜「産婦人科の検査って何やるの?」


紅優「それを俺に言わせるきか?」


萃香「たぶんだけどね、ゴニョゴニョよ」


 萃香は僕に内緒話のように耳打ちしてくれたが、その内容は僕の想像を遥かに超えていた


当溜「え?僕のお腹の中を見るってどうやって………まさかお腹を引き裂いて見るの?」


萃香「そんな怖い事はしないわよ!ちゃんとした検査の方法を使って観てくれるのよ『内緒話をした意味ないわね』」




 産婦人科の検査は確かに萃香が言っていたように、適切な検査をしてくれた


産婦人科の女性医師「まったく問題無く健康的な内部ね、これなら将来的にはちゃんと赤ちゃんが産めるから何の心配もないわ」


萃香「そうですか、ありがとうございます」


産婦人科の女性医師「ついでに、貴女も検査してみる?」


萃香「え〜〜と、それはその………」


産婦人科の女性医師「もちろん検査費用はかからないから安心していいわよ」


 この女性医師はどうやら検査をしたがっているみたいで別に新人の医師というわけでもなく、ベテランの医師という雰囲気も無いので検査が趣味の人なのかもしれない


萃香「わ、わかりました検査してください」


 萃香は女性医師に押し切られて検査を受けた


産婦人科の女性医師「貴女も問題無いわね、内部は綺麗だし将来的に丈夫な赤ちゃんが産めるはずよ」


萃香「もういいですか?こんな格好で説明されても頭に入ってきません」


 萃香は診察台の上で説明を受けていた、産婦人科の診察台は特殊な形なので普通の女性なら恥ずかしがるのは当たりまえだった


当溜「僕、こんなの初めてだよ………『赤ちゃん産めるなんて聞いたけど、いまいち実感がわかないよ』」


萃香「それはあたしもよ………『当溜たら、正面から見てるんだもん恥ずかしくてしかたなかったわよ』」


 僕と萃香はかなりげんなりしていた、いくら検査とためとはいえ下着をつけずに股を開く行為は精神的にかなりキツかった




 産婦人科の検査も終わって、僕と萃香は紅優の元に戻った


紅優「終わったか?」


萃香「えぇ、まぁ終わったわよ」


当溜「紅優も産婦人科の検査受ければ、僕と萃香の気持ちがわかるよ」


紅優「は?萃香も検査したのか?」


萃香「したくてしたわけじゃないわよ!」


 少々涙目の萃香は紅優に八つ当たりをするように言葉で反撃していた


 売店で飲み物を買って、近くのベンチに3人並んで座った


紅優「これで検査はとりあえず終了だな」


萃香「後は結果を待つだけね」


当溜「できればもう検査はいらないよ!特に産婦人科の検査はね!」


萃香「だけどねあゆむちゃん、もし妊娠したらあの検査を何度かやらないといけないのよ」


当溜「なんでそんなに何度も検査をするの?」


萃香「お腹の中の赤ちゃんの様子を見るためよ」


紅優「だがエコー検査なんかもあるだろ?」


萃香「あたしも妊娠した事無いからわからないけど、そうね他の検査もあるわね………」


紅優「そりゃ当然だろ!まだ高校生なんだしそんな経験………」


萃香「あ〜!またそうやってエッチな事考えてる」


紅優「違う!そうじゃなくて、あゆむちゃんの結果はどうだったのかと思って!」


萃香「医師のお墨付きを貰ったわよ、丈夫な赤ちゃんが産めるって事をね」


紅優「そうか………『当溜は中身まで女の子になっていたのか!それならホルモンとかのバランスも保たれているのか?確かホルモンの種類は………エストロゲンとかって言ったけ?』」


萃香「どうしたの?」


紅優「あぁ、女性ホルモンってエストロゲンとなんだっけと思ってな………萃香は知ってるか?」


萃香「エストロゲンとプロゲステロンだったと思うけど?」


紅優「そういうのもちゃんと分泌されてるのか?あゆむちゃんは………」


萃香「身体つきが幼いからまだ出てないかもしれないわよ?」


当溜「エストロゲンとプロゲステロンか、なんかロボットみたいな名称だね」


萃香「確かにそうね、合体物のロボットの名前みたいね」


 そんな話しをしていたら、年老いた医者が僕たちの元にやって来た


年老いた医者「坊っちゃん、検査の結果が出ましたのでこちらにどうぞ」


 廊下を歩いていても誰ともすれ違う事はなかった、個室に入って年老いた医者は僕たちにイスに座るように促した


年老いた医者「まず坊っちゃんの方から検査の結果をお伝えします、脳波も心拍数も問題無くCTスキャンでも内蔵などの内部はとても綺麗でした」


紅優「問題箇所はなかったという事か?」


年老いた医者「えぇ、ですがある一部分には疑問が出てくる所があります」


紅優「それはどこだ?」


年老いた医者「うちの病院にいる大半の医者でも背骨付近に疑問を持ちますよ」


紅優「背骨?」


年老いた医者「一度骨折かまたは粉々に砕けているはずなのですが、何事もなく背骨がそのままあるのです」


紅優「言っている意味がわからないが?どういう事だ」


年老いた医者「先ほども言いましたが背骨がちゃんとあるにもかかわらず、その背骨の周りに()()()()()()()がレントゲンにもはっきりと映っているのです」


紅優「それは確かに変だな、砕けた覚えはないが?『いや、本当はある!あの崖から落ちて俺の背骨は一度粉々に砕けたんだ!その時の破片が残っていたのか?』」


年老いた医者「しかし放置しても何も問題ない大きさなので、今はそのままの方がいいでしょう」


紅優「放置しても大丈夫とは?」


年老いた医者「ひょっとしたら数年以内に消えて無くなるかもしれませんし、迂闊に手術なんてできません」


 砕けた破片が背骨付近にあるという事は手術で取り除く際に間違えて背骨を傷でもつければ、取り返しのつかない医療ミスになりかねないからにほかならなかった


紅優「そうか、わかった!それで次はあゆむちゃんの検査結果を教えてくれ」


 紅優が僕の検査結果を教えて欲しいと医者に言うと、年老いた医者は渋い顔をして説明を始めた


年老いた医者「なんとも不思議なお嬢さんですから、なかなか厳しい検査結果ですがよろしいですか?」


紅優「どんな事でも俺は受け入れる覚悟はある!」


当溜「それは紅優だけだよ!僕は覚悟なんてしてないからね」


萃香「それでもなんとか覚悟して聞きましょう」


年老いた医者「そうですねまずは心拍数は問題無しです!次にCTスキャンですが………腕輪という謎の金属ごとスキャンしたのですが、腕輪と手首とその周辺が映らずまるで存在しないみたいになっています」


萃香「存在しないみたいって、どういう事ですか?」


年老いた医者「文字通りCT画像には映っていないのですよ、こちらをご覧ください」


 CTスキャンされた僕の腕の画像には手首からは存在がないみたいに消えていた


当溜「手が映って無い………心霊写真?」


年老いた医者「まさにその様に見えてしまっていますね」


 年老いた医者は一瞬僕の言葉に笑みを浮かべたが、すぐに真剣な表情をして説明を続けた


紅優「その謎の金属のせいか?」


年老いた医者「可能性はあります、手首から外せないなどという事といい我々としてはお手上げ状態です」


紅優「他にもあるんだろ?」


年老いた医者「流石は坊っちゃんです、えぇ確かに脳波にも異常がありました」


萃香「脳波にもってどんな事ですか?」


年老いた医者「まずこちらをご覧ください」


 ノートPCに映し出された綺麗な脳波の波を見せてくれたが、この脳波は紅優のものだと医者は言う


 そして次に見せてくれた脳波は、先ほどの脳波の波とはまったく違っていた


紅優「これが、あゆむちゃんの脳波だな?」


年老いた医者「おっしゃる通り、これはあゆむちゃんの脳波です」


萃香「紅優の脳波と比べると明らかに違いがわかりますね」


年老いた医者「脳波が極端な波形を示していて、例えるなら2つの心がぶつかり合っている様なそんな脳波です」


 紅優の脳波は一定のリズムで表示されていたが僕の脳波は2つあり1つは紅優と同じような動きを見せていたが、もう一つは真逆の動きをしていた


紅優「これは!2つの脳波は同時に出ているのか?」


年老いた医者「それがどうやら時間差で交互に出ているようでして、我々の計測機器では二重に映してしまって判別がつきませんでした」


 つまり僕の脳では2つの脳波が交互に出ていて、常人ではあり得ない事が起こっているという事になるのだ


当溜「僕はなんともないけどね『なんで脳波が2つも出ているの?僕の脳は2つもあったっけ?』」


萃香「その他には異常な事はないですか?」


年老いた医者「………血液検査の結果ですが、鉄欠乏性(てつけつぼうせい)貧血と葉酸欠乏症(ようさんけつぼうせい)貧血の疑いが出ています」


紅優「鉄欠乏性貧血と葉酸欠貧性貧血?どちらも貧血って事はわかるが、それはどんな状態なんだ」


年老いた医者「まず鉄欠乏性貧血は鉄分不足で赤血球が小さくて薄いのが特徴です、次に葉酸欠貧性貧血は[疲労感・脱力感・息切れ・青白い肌・イライラ・食欲不振]などの症状が現れ舌の炎症から味覚低下や神経症状もでます」


萃香「えっ、そんな症状があゆむちゃんに出てるの?」


当溜『確かに疲労感や脱力感はあるけど、その他の症状は出て無いと思うけど?』


紅優「疑いが出てるって言ってたな、それはつまりまだ結果が完全じゃないと言う事か?」


年老いた医者「そうです、もっと詳しく検査をすればはっきりします」


当溜「それってまた血を取るの?」


年老いた医者「既に検査用の血液はあるので、もう血を取る事はありません」


 僕は鉄分不足の事は知っていた、小学生の頃に病院の血液検査でも赤血球が小さいという説明を受けていた


当溜『あの時は確か川に落ちて風邪を引いてしまって熱が下がらないから病院に行ったんだっけ、それに僕は以前からよく貧血を起こしていたからついでに検査をしてもらって鉄分不足も発覚したんだった』


 しかしわからないのは葉酸欠貧性貧血という疑いが出たのかそれと僕の身体の中で何が起こっているのかと、とても不安になった


紅優「その他は何も無いんだな?」


年老いた医者「引き続き詳しく血液検査をしてみないと、今の所はなんとも言えません」


萃香「その貧血の件は具体的にどうすれば良くなりますか?」


年老いた医者「不足した鉄分を補う事で改善はできますが、複合的な要素がある為なるべくならバランスのとれた食事と運動を心がけていただけるとより大きく改善できると思われます」


当溜『ようは沢山栄誉のある食べ物を食べて、適度な運動をすれば健康的になれますよって事だよね?』


 引き続き病院では血液検査を続けて結果が分かり次第連絡をくれる事になった




年老いた医者「もうお帰りになられますか?坊っちゃん」


紅優「あぁ、ちょっと連れが待っているからな」


年老いた医者「そうですか、できれば視察などをして頂けたらと思っていたのですが………」


萃香「少しくらいなら視察しても良いんじゃない?」


紅優「だけど退屈だぞ?良いのか」


当溜「僕は待っているよ」


萃香「って、あゆむちゃんは言ってるけど?どうするの紅優」


紅優「あ〜もう、わかった俺1人で視察して来るから2人は待っててくれ」


 そして紅優は視察に行き、僕と萃香は病院の待合室で待つ事になった





 一方その頃、ゲーム内ではある異変が起こっていた


      【ニュービータウン】


 1人の男性プレイヤーが空の異変にいち早く気付いた


男性プレイヤーT「おい、なんだあれ?」


女性プレイヤーR「あの方角は世界の中心よね?」


 空が得体の知れない何かに覆われていてそれがだんだんと広がっていった


男性プレイヤーG「まるで空が食われているみたいだ!」


 世界の中心点はドーナツ状の大陸の中央でそこには海しかなく島などはなかったはずだが、上空には金属製の謎の物体が浮かんでいた


男性プレイヤーM「なんだよコレは!空がまるで異次元みたいじゃねぇかよ!」


 ゲーム内の青い空の全てが奇妙な空になってしまい、世界の中心に浮かんでいる謎の物体には大木が逆さまに生えていた


 プレイヤー達は何かのイベントなのかとか、このゲーム世界の終わりだとかを叫んでいた


 外が騒がしいとギルドから受付嬢とギルドマスターが出て来て、事態の深刻さを知って迅速に行動をとった


受付嬢「これは、どうなっているのでしょうか?」


ギルドマスター「わからないが、皆とにかく落ち着け!」


 周りにいたプレイヤー達は皆、動揺していたがギルドマスターのひとことで徐々に落ち着きを取り戻していた


ギルドマスター『会社………上からは何もなかったはずだ!ならこの事態はいったいなんだ?』


受付嬢「ハッキングでもされたのでしょうか?」


 世界の構造を変えるにはGMの権限がなければ何もできないはずなのに、この異様な事態は外部からのハッキングではないかと受付嬢は思っていた


ギルドマスター「いずれにしても異常事態だ、クエストはどうなっている?」


受付嬢「通常通りのクエストしかでてませんでした」


ギルドマスター「なんだというのだこの異様な空と、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……………」








 その頃、真央と里麻は料理に挑戦していた


航介「魚をさばくのはコツさえ掴めば誰でもできるようになる、ほらこの爺さんも見事に3枚におろしただろ?」


運転手「いや〜!なかなか大変ですな」


真央「骨と身を切り離すのは難しいわ」


里麻「ふっふ〜ん!妾は得意なのじゃ!」


 真央がさばいた魚は身がぐちゃぐちゃだったが、里麻がさばいた魚は綺麗に3枚におろしてあった


鯛蔵「人にはそれぞれ得意不得意があるからあまり気にするなよな」


真央「そうですね、わたしはできる範囲内をやってみます」


運転手「では、この野菜を切っていただけますかな?」


真央「はい野菜なら大丈夫です」


里麻「それで、今日は何を作るつもりなのじゃ?」


航介「焼き魚はもちろん紅優が買い揃えてくれた野菜や肉などを使って、普段食べれない料理を姉さん達やここにいないあの3人にも振る舞ってやろうと思っている」


 結局のところどんな料理をするとは言わない航介だった


 すべての下ごしらえが済んでいよいよ料理を作り始め、まずは1品目は魚を焼いて焼き魚にした


 次に焼きそばがあったので厚めに切った魚の身を焼きそばに入れて一緒に焼いて魚入り焼きそばにしていた、それから次々に料理を作っていき最後の料理が完成した頃に病院に行っていた3人が帰って来た


紅優「悪いな、遅くなっちまった」


航介「いや、ベストタイミングだ!」


里麻「そんな所にいないでこっちにくるのじゃ」


真央「検査とかでお疲れでしょうけど、料理が冷めないうちにどうぞ召し上がってください」


当溜「これみんなで作ったの?」


真央「そうよ、だから食べてみて」


 キャンピングカーのテーブルには所狭しと料理が並んでいて、僕たち3人は手を洗ってイスに着席して勧められた料理を食べてみた


萃香「なにこれ、コレは柔らかいお肉ね」


里麻「それは肉では無いのじゃ!」


紅優「まさかコレは魚か?」


航介「よくわかったな、それは魚入り焼きそばだ!」


当溜「魚入り焼きそば?焼きそばに魚の身を入れただけのシンプルな料理なのに、なんでこんなに美味しいの?」


 まったく聞いた事の無い料理名だったが、どうやら航介のオリジナル料理でわりと絶品だった


鯛蔵「もちろん姉さんと真央ちゃんの愛情が込められているからな」


 それからみんなで食事をして、楽しくお喋りしたり航介と鯛蔵と運転手はビールで乾杯をしていたりと賑やかな食卓になっていった


 キャンプの醍醐味はやっぱり外での夜の焚き火を見たり、花火をしたりして僕たちは楽しく過ごした


 昼間のうちに航介と鯛蔵と運転手でテントを貼っていてキャンピングカーには女性陣が寝る事になった、そしてテントには男性陣が寝るようだ


里麻「こうして2人と一緒に寝るのは不思議なのじゃ」


真央「そうだね、こんな夜空を見ながら眠るのはちょっと不思議ね」


当溜「僕もこういうのは初めてかも」


 キャンピングカーの上部で僕たち3人は仰向けに寝ていた


当溜『紅優が言ってた通りこの天井はせり上がって2階部分が出てきたし、こうして3人で寝ててもまだ余裕があるみたいだ』


 萃香は下のソファーで眠ると言うので、ここは僕たちだけの寝床だった


 天井が開閉できる部分がありそこから夜空が見えていて、晴れた夜空には満天の星が輝いていた


 ちなみに虫を寄せ付けない様に蚊帳と呼ばれる物の中で僕たちは寝ていた


当溜『紅優のおかげで虫刺されとかも心配無いのは嬉しいし、下の階に降りるハッチは閉めてあるから下にいる萃香も虫の心配は無いはずだからね』


真央「病院の検査はどうだったの?」


当溜「何も問題はなかったよ『検査結果をどうするかを紅優と萃香に聞いてみた所、何も問題がなかった事にしておこうと言う事になったので素直にそれに従ったけど………良かったのかな?』」


里麻「そんな事よりも明日はどんな遊びをするのじゃ?」


当溜「う〜ん、遊びじゃなくて航介に頼みたい事があるんだよ」


真央「頼みたい事って、なにを?」


当溜「里麻ちゃんに関係がある事なんだけどさ、その相談かな」


里麻「妾に関係があるじゃと?」


真央「もしかして連絡の事?」


当溜「真央ちゃんって本当に鋭いよね、その連絡手段の事でねいろいろと相談があってね………」


里麻「あゆむは相変わらずわからん表現をするのじゃな………じゃが真剣に妾の事を思ってくれて感謝するのじゃ!」


真央「それならもう寝ましょう、明日早起きしないとね」


 航介と鯛蔵はほぼ夜中くらいに漁に出る準備をすると言っていたので、漁から帰って来たタイミングで相談しに行けばいいと紅優も言っていた


 僕や真央ちゃんとの連絡をスムーズに取れるように、里麻ちゃんにスマホを持たせてあげたいから航介になんとかならないかという相談だから責任は重大だ





 翌朝僕たちは顔を洗うため外の洗い場に向かっていたら………


里麻「な、なんなのじゃあれは?」


真央「えっ、どこ?」


当溜「なんであの物体が上空にあるの?」


真央「2人共何言ってるのよ、何も無いじゃない!」


 僕と里麻ちゃんには見えていて、真央ちゃんには見えてない物体が上空で制止していた


紅優「どうしたんだ?こんな朝っぱらから騒いで、何かあったのか」


当溜「紅優!あの時の物体が空にあるんだよ!」


紅優「あの時の物体?どの時だ?」


当溜「ほら僕たちが故郷の山に行った時に僕だけに見えていた物体だよ!」


紅優「何!本当か、当っあゆむちゃん」


 紅優は動揺して思わず当溜と言おうとしてしまい、他の2人を見て無理やりあゆむちゃんと言い直した


里麻「あゆむ、お主以前もあの物体を見たのじゃな?」


当溜「うん………って里麻ちゃんも見えるのに何で紅優や真央ちゃんには見えて無いのかな?」


里麻「ん?あゆむ、お主のその腕輪は………」


当溜「コレはその………オシャレ的な?」


里麻「なるほどよくわかったのじゃ!」


真央「わたしはわからないけど?」


里麻「妾もその腕輪と同じ腕輪を付けておるのじゃ!」


 そう言って里麻ちゃんは着物の袖をまくり、腕を見せてくれたらそこには確かに僕と同じような作りの腕輪が存在していた


紅優「なっ、何でその腕輪を?」


里麻「よくわからん所から送られて来た荷物を開けたら入っていたのじゃ」


 里麻ちゃんももしかして元は男性だったのかと思ったが、僕は何かが引っかかり聞き出す事はしなかった


紅優「その送られて来た時のダンボールにはどんなイラストが描かれていたか覚えているかい?」


里麻「確かロケットの絵なのじゃ」


紅優「そうか、ありがとう『と言う事はアレは当溜のと同じ材質の腕輪だな、だがどうだろうか?里麻ちゃんは元から女の子だった様に思えるんだよなぁ』」


 紅優は以前に調べた事を思い出してみたが、なんとも歯車が噛み合わない気がしていた


萃香「どうしたの、こんな所で?」


当溜「よくわかんないけど、空にあの時の物体が浮かんでいるだよ!」


 後から来た萃香に僕は順を追って説明した


萃香「今もまだあるの?その物体は」


里麻「空中で止まっているのじゃ!」


真央「わたしには見えてませんけど………2人が見てる物体はあると思いますよ」


 キャンピングカーを停めているここは河原の近くにあるキャンプスペースだが、他には誰もいないので騒いでいても特に問題はなかった


 近年のキャンプブームも収まってしまったせいもありキャンプ場やその他のキャンプスポットはガラガラ状態で、快適に過ごせていたが上空にある物体がまるで僕たちを監視でもしているかの様に思えて不気味でしかたなかった


紅優「とりあえず、顔を洗って朝飯にしよう」


萃香「そうね、まずはお腹を満たさないとね」


里麻「しかし、やっぱり気になるのじゃ」


当溜「そう言われると確かに気になるけどね………」


真央「ねぇ、その物体はどんな形をしているの?」


里麻「銀色のまんじゅうみたいな形なのじゃ」


当溜「そうだね、金属のまんじゅうみたいだよ」


真央「金属のまんじゅうね………それってUFOかな?」


 UFOは未確認飛行物体の事であるが、まさか宇宙人が僕や里麻ちゃんを監視しているとでも言うのかと思っていたその時だった


 UFOらしき物体の底から何かが生えていき、大きな逆さまの大木(たいぼく)の様な物が現れた


里麻「な、なんなのじゃ」


当溜「何アレ、逆さまの気になる木?」


 その大木が生えた瞬間から空に異変が起こっていたが、空の異変が見えているのは僕と里麻ちゃんだけだった


 僕と里麻ちゃんはパニックになり紅優や萃香と真央ちゃんに逃げようと必死になって伝えていたが………


紅優「2人共、まず落ち着け!」


萃香「あたしが見る限りは空はなんとも無いけど………2人には異常な光景が見えてるって事よね」


真央「こんなに取り乱すなんて、本当に危険なのかも………」


紅優「だが俺達には何も見えないし、上空で何が起こっているんだ?」


ぬいぐるみ執事「紅優!お前達には見えて無いのか、この異常な光景が!」


ぬいぐるみメイド「とてもでは無いが、お気楽にキャンプなどしてる場合では無いのでは?」


ぬいぐるみ手品師「アレはヤバそうだ!我も何かできる事があればいくらでも手を貸すぞ!『この世界でどこまでできるかはわからないが、今後の為にもマスターは守らなくてはならないからな仕方なくだがやってやるさ!』」


真央「え?もしかしてゲームの中のぬいぐるみたちなの?」


里麻「あゆむ、お主はゲームの中のぬいぐるみたちを連れて来れるのじゃな?」


当溜「ん~~と、原理はよくわからなかったけどそうみたいなんだよ」


 ゲームの中で玉になった[剣士・弓使い・魔法使い]が僕のアバターの中に入った現象と、現実でスキルを使えてぬいぐるみたちをこちらの世界で動ける様にした事は未だに謎のままではあるがすくなくとも今は頼もしく思う


里麻「そうかならば、妾も遠慮なくやるのじゃ!」


 そう言って里麻ちゃんは何かポーズを取っていたら身体が輝き出して、ゲームと同じ【ヒミコ】の姿になっていた


真央「え〜〜〜?なんでゲームの中のアバター姿になれるのよ!」


 里麻ちゃんはヒミコちゃんになっていて、着ている着物は現実の着物なのに身体だけアバター姿になっていてウェアタイガーの耳や尻尾も生えていた


里麻「良し今日も絶好調なのじゃ………あゆむもできるはずなのじゃが?」


当溜「そんな事できるわけないよ」


里麻「妾ができるのに、できない事はないのじゃ!」


 僕は里麻ちゃんからやり方を教わりやってみる事にした、すると里麻ちゃんと同じ様に身体が輝き出して僕はゲームのシャーロットの姿になっていた


当溜「コ、コレはシャーロットの姿?」


紅優「な、なんだよそれは!どうなっているんだ!」


萃香「ちょっと落ちついて紅優!」


紅優「わかっているさ、もうあり得ない事だらけで頭がパンクしそうだ!」


真央「嘘っ!あゆむちゃんまで姿が変わったなんて………」


ぬいぐるみ執事「マスター!それでいかがなされますか?あの物体に攻め込みますか?」


当溜「あんな高い所には行けないよ!」


ぬいぐるみメイド「ではどういたしますか?」


ぬいぐるみ手品師「この異常事態をなんとかできるのは、マスターと我とそっちのネコ幼女だけですが?」


里麻「誰がネコ幼女なのじゃ!」


ぬいぐるみ執事「おい手品師、おれ達もいるぞ!」


ぬいぐるみメイド「しかし、武器が無いと攻撃はできそうも無いな」


ぬいぐるみ手品師「だったらこうするまでだ!」


 ぬいぐるみ手品師は持っていた杖を振り、手品をするように執事とメイドそれから手品師自身と紅優や萃香と真央ちゃんにもそれぞれ何かを仕掛けたら全員がゲーム内の姿に変わっていた


紅優「おいコレって、まじか!」


萃香「凄いわね、あたしはゲームのスカイになったわ」


真央「どうなっているの?」


ぬいぐるみ剣士「なるほどな、コレなら戦える」


ぬいぐるみ弓使い「どうやったんだ?」


ぬいぐるみ魔法使い「我は魔法使いだぞ?コレくらいは容易(たやす)いさ」


真央「紅優さん萃香さん、アレを見てください!」


 真央ちゃんが指差していたのは上空で、そこにあるのは僕や里麻ちゃんが見ていた物体だった


紅優「なんだあれは、本当に金属のまんじゅうから大木が逆さまになって生えてるみたいだ!」


萃香「ねぇ、コレって現実よね?」


紅優「すくなくとも、夢なんかじゃ無いな!」


真央「コレはARみたいですね」


 ARは拡張現実と言い現実に仮想の世界を映す技術であり、今の状況はまさにARと言っても過言ではなかった


 幸いここに運転手はいなかったのでキャンピングカーを施錠して、上空にある物体に乗り込む事になった


 ちなみに運転手は航介と鯛蔵の漁に同行させてもらっている為ここにはいなかったのだ


紅優「良し!乗り込むか………って言いたいがどうやって行くんだ?」


萃香「この姿なら魔法が使えそうだけど、全員を連れて飛ぶとなるとあたしの魔法だけでは無理ね」


ぬいぐるみ魔法使い「ならば我に任せてもらおうか」


ぬいぐるみ剣士「やけに張り切っているが、この人数だが大丈夫か?」


ぬいぐるみ魔法使い「無論、大丈夫に決まっているだろ!我をなんだと思っているのだ!」


ぬいぐるみ弓使い「ぬいぐるみだが?」


 ぬいぐるみ弓使いの言葉はまさに正論だった


ぬいぐるみ魔法使い「た、確かに我は今はぬいぐるみだが………かつては名を()せた大魔導士だったのは覚えているはずだろう?」


 ぬいぐるみ達の過去は謎に包まれてていたがどうやら実在していたらしく、魔法使いは相当な魔法の使い手だったようだ


ぬいぐるみ魔法使い「ではいくぞ!最上級浮遊魔法レビ・フライト・オール!」



     【レビ・フライト・オール】


☆パーティー全体に浮遊魔法をかける事ができる魔法

☆浮遊時間は使用した魔法使いのMP量で決まる

☆浮遊魔法をかけられた人物は自分の意思で上下左右前方後方と自由に空を飛べる




 ぬいぐるみ魔法使いは、全員に浮遊魔法をかけて浮かせる事に成功した


紅優「うおっ!浮いてるぞ!」


萃香「最上級浮遊魔法って聞いた事ないけど?」


ぬいぐるみ魔法使い「なるほどな、あの世界にはなかったか!我は大魔導士だこれくらいは朝飯前だ!」


当溜「そう言えば、まだ朝ごはん食べてないね」


里麻「んなこと言うとる場合じゃないのじゃ!」


真央「アレをなんとかしないと、この事態も収まらないからね」


ぬいぐるみ剣士「では向かうとしましょうか、マスター!」


当溜「行かないとだめかな?」


ぬいぐるみ弓使い「解決してから朝ごはんにすればよろしいかと思われますが?」


紅優「あゆむちゃん………いやシャーロットちゃん!号令を頼む」


萃香「そうね、みんなゲームの中の名前で呼び合いましょう」


里麻「シャーロット、お主の号令で妾たちは突入するのじゃ!」


真央「お願い、シャーロットちゃん!わたし達【夜風と虹月光】のリーダーでしょ?」


当溜「わかったよ!行こうあの物体の最深部まで!」


紅優「そうこなくちゃな!」


萃香「大丈夫よ!みんながいるからね」


ぬいぐるみ剣士「マスターはおれが守る」


ぬいぐるみ弓使い「マスター!どこまでもお供いたします」


ぬいぐるみ魔法使い「我がいるんだ大船に乗ったつもりでいていいぞ!マスター」


真央「わたしがどこまでできるかはわからないけど、役にたってみせるわ」


里麻「レッツゴーなのじゃ!」


当溜『あの物体の中はどうなっているのかな?何事もなければいいけど………』


 そして、僕たちは大空を飛んで謎の物体の最深部を目指した



 

病院での検査とオフ会キャンプで和気あいあいとしていた彼らですが、ゲーム内でも現実でも起こっている異変に立ち向かう事になりました

次回は到着!浮遊する謎の物体です

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素人の作品です   


           福望華雫でした

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