ログイン11 まぎわら系の人達
貧乏高校生 当溜。格安ボロアパートに住みバイトをして生活費を稼ぐのが彼の毎日だった。明日から学校が夏休みに入る事で浮かれていた時に偶然おもちゃ屋で最新のVRヘッドギアを見つけ購入した。さっそくVRゲームを始めたまでは良かったのだが、本来なら無いはずのVRヘッドギアのホームにログインを果たした。彼は大嘘をつくAIの言う事を真に受け全てにYESと応えてしまった。身体構造スキャンを許し、問題箇所のリペアとしてハルモニア光なる謎の光を実際の身体に照射された。問題は解決したのだとAIに唆されてゲーム世界に送り出されてしまう。しかしこの事が当溜の生活をガラリと変えてしまう重要な出来事だった。ログインしたゲーム内でも問題が発生した。選択出来る性別が女性のみで男性の選択は不可能だった。なんとか女性アバターを男性的な姿に作る事に成功したが、間違えてランダム作成を押してしまい完成したアバターは幼女だった。
♤守ってください幼女な僕を♡
縮めて『守幼』をよろしくお願いします
昨日はログアウト後、萃香に軽く説教をされて有無を言わさず一緒にお風呂へ入れられてしまった僕だった
当溜「昨日は勝手にログインしたけど、今日はちゃんと許可を取ったから大丈夫!」
僕はヘッドギアを被りゲームにログインした
AI〘シャーロットちゃん、今日もゲーム?たまにはここでお喋りでもしましょうよ」
シャーロット「ごめんね、また今度でいいかな?」
AI〘ふ〜、仕方ないわね………ゲームに行く?〙
〘YES・ON〙
シャーロット「YES」
最近のAIとのやり取りは少なめになったのはありがたいが、いちいちここに来ないとゲームにログインできない仕様を変えて欲しいと思う僕だった
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ぬいぐるみ剣士「マスター、お帰りなさいませ!」
ぬいぐるみ弓使い「マスターのいない間にクエストを受けて既に達成しておきました」
シャーロット「クエストの達成?」
ぬいぐるみ剣士「マスターの所持金がずいぶんと減っていたので、討伐クエストと採取クエストをこなしておきました」
ぬいぐるみ弓使い「これからギルドにクエスト達成の報告に行く所ですが、一緒に来ていただけますか?」
シャーロット「うん、もちろんいいよ」
驚いた事にぬいぐるみたちは僕がいなくてもクエストを受け既に達成までしていたと言う
シャーロット『ありがたいけどそれって僕が足手まといだって、遠回しに言ってるよね?』
僕はちょっと気分的に落ち込んだ
ギルドに到着してさっそくクエスト達成の報告をしたぬいぐるみたち
受付嬢「はい、クエスト達成ですね」
シャーロット「ぬいぐるみたちがクエスト達成しだけど、この場合はどうなるの?」
受付嬢「もちろん、シャーロットちゃんがクエスト達成した事になりますよ」
シャーロット「僕は何もしてないのに、それっていいの?」
受付嬢「ぬいぐるみ剣士とぬいぐるみ弓使いはマスターであるシャーロットちゃんの意思ある武器ですよね?」
シャーロット「うん」
受付嬢「それと同時に剣士さんと弓使いさんはユニークNPCでもあるんです、主のために自由に動けるからクエストを受けても何の問題は無いんです」
シャーロット「クエスト達成したら、報酬があるけどそれはどうなるの?」
受付嬢「シャーロットちゃんに入りますよ、もちろん剣士さんや弓使いさんが得た獲得経験値や素材とドロップアイテムなどもね」
という事なので僕はメニューを開いてステータスを確認したらLVが3つほど上がっていた
上がったステータスはまた今度調べるとして、ストレージには沢山のドロップアイテムやモンスター素材などがぎっしりだった
シャーロット「アイテムも素材も沢山ある………凄い!」
この方法ならあっという間にLVが上がりそうだが、ちょっと僕的には面白味が無いなと思った
シャーロット「お金は40720en………何をやったらこんなにお金を得られるの?」
ぬいぐるみ剣士「地道にモンスターの討伐をしていただけですが?」
ぬいぐるみ弓使い「上位種のモンスターも沢山討伐しましたし、それくらいは普通ですよマスター」
しれっととんでもない事を言っているぬいぐるみたち
シャーロット『僕だって「これくらい普通さ!」って言いたいよ!何その羨ましい能力!戦闘できない僕への嫌味か何かなの』
ぬいぐるみ剣士「どうかなされましたか、マスター?」
シャーロット「何でもないよ(凹)」
僕はギルドを出て不要な素材やアイテムを売りに行く事にした
シャーロット「う〜ん、買い取り専門のお店とかないのかな?」
そういうお店を探していると、看板に買い取りの文字を見つけたのでそこに向かった
シャーロット「買い取りって書いてあるから大丈夫だよね」
僕はそのお店の中に入ってみた
女性店主「いらっしゃいませ!本日はどの様なご用ですか?」
シャーロット「か、買い取りをお願いしたいのですが………」
女性店主「買い取りですね、ではこちらにどうぞ」
現実の買い取り専門店と同じようにカウンターテーブルとイスがあり、店内には品物等は無く割と広びろとした空間だった
僕はイスに座って買い取りの手順を女性店主さんから教わり、その通りにやってみた
シャーロット「え〜と、これはいるこれはいらないっと………これで全部です」
女性店主「確認しますね、ふむふむほうほうなるほど!沢山の素材やアイテムですがこちらを買い取りしてもよろしいですか?」
シャーロット「はい、お願いします」
女性店主「全部で128000enですね」
シャーロット「へ?じゅ、128000en!なんでそんな金額に?」
女性店主「滅多に取れない貴重な素材やドロップアイテムなんですよ、特にこの素材ですね」
女性店主が教えてくれた素材は黄金森ウルフの毛皮だった
シャーロット「黄金森ウルフの毛皮………これが特にいい素材なんですか?」
女性店主「それはもう、エンカウント率の低さで有名なモンスターの毛皮なんですよ!もしこれが大量にあったら一生涯安泰な暮らしができますよ!」
驚きの事実だった、あの森ウルフに希少種がいてその素材はとんでもない額の大金を産むと言う
シャーロット『僕の天敵がまさか、大金を産むなんて………これからもぬいぐるみたちには森ウルフの討伐に力を入れてもらおうかな?』
今は必要の無い素材やアイテムを売り、僕は買い取り店をあとにした
とりあえずやる事も無いから広場でぼ〜としてみた
シャーロット「あ〜暇だなぁ〜」
ぬいぐるみ剣士「どこかに出かけたりはなさらないのですか?」
シャーロット「スカイと約束してあるんだよ、この街を出ないってね」
ぬいぐるみ弓使い「では、魔法使いを我々みたいに動けるようにしてみてはいかがですか?」
シャーロット「あっ!魔法使い忘れてた」
僕はスキルを使い魔法使いを動けるようにしてみた
ぬいぐるみ魔法使い「ん、動ける?やっと開放されたんだ〜!………はぁ?なんだこの腕は」
ぬいぐるみ剣士「相変わらず騒がしいヤツだな魔法使い!」
ぬいぐるみ弓使い「まったくだ!今のお前はぬいぐるみだ!」
ぬいぐるみ魔法使い「はぁ〜〜〜〜〜!ぬいぐるみだってなんで………ヤバい本当だ、誰が我をこんな姿にしたんだ!」
ぬいぐるみ剣士「まぁ、最後の戦いのアイツだな!」
ぬいぐるみ弓使い「とにかく落ち着け!マスターも見ているからな」
ぬいぐるみ魔法使い「マスター?誰だ」
シャーロット「こんにちは、魔法使いさん」
ぬいぐるみ魔法使い「こ、こんなちんちくりんが我のマスターだってまったく笑わせてくれる」
ぬいぐるみ剣士「おい、お前といえどマスターを侮辱するなら容赦はしないが?」
ぬいぐるみ弓使い「無論2対1……いや、3対1だがな!」
ぬいぐるみ剣士とぬいぐるみ弓使いは臨戦態勢をとっていた
ぬいぐるみ魔法使い『コレはまずな弓使いだけならともかく剣士もいるし、ちんちくりんとはいえマスターとやらもいたら勝ち目は無いか………』
ぬいぐるみ魔法使いは両手を上げて降参を示した
ぬいぐるみ剣士「魔法使い、二度とマスターを侮辱するなよ!」
ぬいぐるみ弓使い「このお方は我々にとって希望だ!もしマスターがいなくなったらお前も動けなくなると覚えておくがいい!」
ぬいぐるみ魔法使い「マスターがいなくなったら動けない?それは困るな………『いなくなっても動ける方法を見つけないとな』」
少々問題がありそうなぬいぐるみ魔法使いが、僕の新たな武器となった
それでもまだ暇なので僕は改めて街のマップを見てみた
シャーロット「メニューからマップが見れたなんて知らなかったな………ん、これはなんだろう?」
マップには何かのマークがあったが、僕には何のマークなのかまではわからなかった
本来ならチュートリアルを見てある程度覚えるものなのだが、その肝心のチュートリアルを見ていないシャーロットはゲームの事をいまいち理解してなかった
シャーロット「マップでマークがある所に行ってみようかな?」
僕はマップに印されているマークがある場所まで行ってみた
シャーロット「ここだね………何もないけど?」
謎のマークがある場所は大通りから外れて、小さな公園みたいな所だった
ヒミコ「シャーロット?なぜここにおるのじゃ?」
シャーロット「ヒミコちゃん?どうしてここにいるの」
マップのマークの場所にはヒミコちゃんがいて、お互いに驚いていた
男性1「昨日、姉さんと一緒にいた娘さんか………」
男性2「昨日は姉さんとクエストに行ったと聞いたが、お前さんどこの組のもんだ?」
シャーロット「えっ、組って………え〜と2組でしたけど?」
僕は高校での組を伝えてみた
男性2「2組だと〜!コイツ連中の回しもんかもしれませんぜ!兄貴」
男性1「だがこんな所まで連中が来るとは思えないが?」
ヒミコ「じゃが、シャーロットは悪い娘ではないのじゃ!妾はそう思うのじゃ」
僕にはどうにも話しが見えなかった
シャーロット「あの〜何を言ってるのかわからないのですが?」
男性2「2組のお前とは馴れ合いたく無いという事だ!」
シャーロット「何で2組が関係あるの?」
男性1「俺たちの1組とお前の所の2組は今、絶賛戦争中だ!」
シャーロット「せ、戦争〜!何で?あなたたちは日本人ですよね?」
ヒミコ「いかにも日本人なのじゃ!」
男性2「もちろん兄貴や姉さんは、戦争には反対していたがお前がいる2組から強引に仕掛けて来たんだぜ!」
シャーロット『2組が戦争?至って平和なあのクラスが僕の知らない所で戦争をしていたの?』
まったく意味不明な会話で僕はますます混乱してきた
ヒミコ「先月は妾達が勝利をおさめたのじゃ!」
男性1「もちろん今月も、負けるつもりは無い!」
シャーロット「えっ、戦争に先月とか今月とかないでしょ!お互いに死傷者が出てもおかしくないのに………」
ヒミコ「何を言っているのじゃシャーロット!お主、何か勘違いをしてるのじゃ」
男性2「戦争はあっても怪我人も死人も出て無いが?」
男性1「まぁ、先月に道具で指を切ったヤツがいた程度だな」
シャーロット「へ?死人も無い戦争?何それ!」
まったく意味がわからないので、ヒミコちゃんとメッセージのやり取りで会話をもう一度してみたところやっと真実がみえた
シャーロット「僕は漁業組合のことだなんて聞いてないよ!それに戦争は指定されているエリアの場所取り問題だったなんて………『何年何組の事じゃなかったし、この人達の喋り方がまぎわら系だったよ!』」
簡単な説明をすると彼らは漁業組合で自分達の町を1組と呼び、隣町を2組と呼んでいたんだとか
ヒミコ「ちゃんと説明してなかったお前達が悪いのじゃ!」
男性1「すみません、姉さん!とんだ誤解をさせてしまうとは思いもよらず………」
男性2「兄貴だけのせいじゃ無いですぜ!オレも誤解をさせてしまったんだ」
で、改めて自己紹介をしてくれた
男性1「俺のプレイヤー名はアーサーだ!姉さんがつけてくれた名前だ」
男性2「オレはノブナガだ、同じく姉さんにもらった名前だ」
アーサーのアバターの姿は大男でスキンヘッド、顔はヤ○ザっぽいかも………種族は人間で職業はクックファイターという戦える料理人らしい
そしてノブナガのアバターの姿は、アーサーほどではないが大男で短髪のこちらはチ○ピラっぽい………種族は人間で職業は侍だとか
アーサーとノブナガは現実では漁師で毎朝、時前の船で漁に出でいるのだと自慢していた
そのせいもあってヒミコちゃんは夕方までしか遊べ無いらしく、遊べる時間は日中だけみたいだった
ただアーサーとノブナガが、何故ヒミコちゃんを姉さんと呼ぶのかは教えてはくれなかった
僕は漁師はどんなお魚を取っているのかに興味が湧いたので聞いてみた
シャーロット「今はどんなお魚が取れるのですか?」
アーサー「旬の時期とかもあるが、今はスズキとシマアジやアナゴなどだな」
ノブナガ「漁に出れない時もあるからな、大量にとはいかないがな」
ヒミコ「毎日、魚料理は飽きたのじゃ!肉が食べたいのじゃ!」
アーサー「すまない、姉さん俺の稼ぎが少ないばかりに………肉も食べさせてやれないなんて」
ノブナガ「兄貴のせいじゃ無いですよ!オレは2組のヤツらが憎い」
シャーロット『えっ、まだそのまぎわら系を続けるの?2組が憎いってダジャレかな』
なにはともあれ、僕はアーサー&ノブナガの2人とフレンド登録をしておいた
シャーロット「何かあった時は知らせますので」
アーサー「助かる」
ノブナガ「恩に着るぜ」
ヒミコ「この後は暇か、シャーロット」
シャーロット「暇だけど、僕が行動できるのは街中だけだよ?」
ヒミコ「何故じゃ?昨日は街の外まで出れてたはずじゃろ?」
シャーロット「昨日はスカイとベニがいたからね」
ヒミコ「なるほど、お主も保護者がいないと駄目なパターンなのじゃな?」
シャーロット「保護者………『幼女で最弱でなければ僕は1人でも冒険はできたのだろうか?』」
僕は改めて自分自身の立場を理解させられた気分だった
そんな事を考えていたら、また1人ここにやって来た人物がいた
ムー「あっ、シャーロットちゃんとヒミコちゃんだ………あのマークは知り合いがいる所を示していたのね」
シャーロット「ムーちゃん、昨日ぶりだね」
ヒミコ「昨日ぶりって何なのじゃ!」
また3人が揃い、僕は内心喜んでいた
ムー「こんな所で何してるの?」
シャーロット「う〜ん、お喋りかな?」
ヒミコ「他にやる事もないのじゃ」
ムー「クエストにはいかないの?」
シャーロット「僕たちだけではいけないよ」
ヒミコ「そうなのじゃ!か弱い妾たちでは、モンスターにズバッとバサッとヤラれてしまうのが落ちなのじゃ」
ムー「か弱いね………」
ムーちゃんの視線はぬいぐるみたちに向けられていた
ぬいぐるみたちの戦闘能力はかなり高く、駆け出しのプレイヤーなら簡単に倒せると僕は思う
シャーロット「あ〜うん、そうだね………僕はか弱い存在で守ってもらわないといろいろヤバい存在だったよ!あはははっ(乾いた笑い)」
僕はルア・ガンマロ遺跡のトラップざんまいを思い出して遠い目をしていた
アーサー「守ってもらう事は決して悪い事じゃ無いさ」
ノブナガ「守られるという事もある意味強さでもあるでしたっけ、兄貴!」
アーサー「そうだ、守り守られるというのは海の生き物にもいるからな」
シャーロット『僕が知るかぎりでは、海の生き物でそんな関係性の生き物といえばクマノミとイソギンチャクしかないな』
クマノミとイソギンチャクの関係は、住まいとさせてもらっているクマノミがイソギンチャクの触手を捕食しようとする魚類を追い払う事で利益をもたらしているのだと何かの説明にあった気がする
シャーロット『つまりクマノミは他の魚類を追い払う事で家賃を払っていて、イソギンチャクである大家はクマノミがいれば安泰だと思っているって事だよね?………僕は萃香に家賃払ってないけどそれってどうなんだろう?』
などと僕がぼんやり考え事をしていた時だった、大通りのほうで騒ぎがあったみいだ
男性や女性の騒ぐ声が、僕たちがいる所まで聞こえて来た
ヒミコ「なんなのじゃ?向こうが騒がしいのじゃ」
アーサー「姉さん!危ないのでここにいて下さい、俺が見て来ます」
ノブナガ「ならオレも!」
アーサーとノブナガは大通りに向かって行ってしまった
ムー「まぁ、大人2人なら何かあっても大丈夫ね」
シャーロット「なんか、怒鳴り声が聞こえるね」
僕らは呑気にそんな会話をしていたら………
ノブナガ「姉さん!逃げて下さい!」
アーサー「痛えな、この野郎!」
なぜか大乱闘に巻き込まれているアーサーとノブナガが、謎の集団となだれこんで来た
ヒミコ「いったい、なんなのじゃ!」
ムー「とにかくここは危険ね!離れましょう」
シャーロット「うん『あの人達は誰なんだろう?』」
僕ら3人は安全そうな広場の隅っこまで退避した
男性プレイヤーa「なんなんだあんた達は!これ以上邪魔をするなよ!」
女性プレイヤーB「くらいなさい!ファイアー……痛っ!」
女性プレイヤーBは魔法を詠唱中にノブナガの攻撃をくらい、魔法は不発になった
アーサー「いい加減、やめろと言っているだろ!」
ノブナガ「もう、相手はいなくなったんだ!争い事はやめろよ!」
男性プレイヤーb「もう少しであの忌々しいクランの連中を仕留められたのに!」
女性プレイヤーC「余計な事しないでよ!事情も知らないくせに!」
そこへ騒ぎを聞きつけてギルドマスターと受付嬢がやって来た
ギルドマスター「何の騒ぎだ、これは!」
受付嬢「この人達は………クラン、リトルスモールナイツの方達ですね」
ギルドマスター「リトルとスモールは意味が同じじゃないのか?」
受付嬢「小さなクランを目指して作られたと、以前リーダーのトランカーさんが仰ってましたよ」
ギルドマスター「ほう、ここにトランカーはいるか?」
トランカー「俺がそのトランカーだ!」
ギルドマスター「何があった?詳しく話してはくれないか!」
クラン・リトルスモールナイツのリーダーのトランカーさんは、ギルドマスターに事の次第を全て包み隠さず話した
ギルドマスター「なるほどな、クラン・ビッグナイツか………最近は目に余る行動が目立つクランだな」
受付嬢「ビッグナイツは人員を拡大し過ぎて、今は統率がきちんととれてないようですよ」
ギルドマスター「それで多方面でいざこざが絶えないのだな………良しわかった!」
トランカー「俺はどんな罰も受けるつもりだ!だがクランのメンバーは不問にしてくれないか」
ギルドマスター「何の話しだ?」
トランカー「何のって、この騒ぎの先導者は俺だと言っているんだ!」
ギルドマスター「では聞くが?被害者はどこにいるんだね?」
トランカー「え?被害者はそこの大きな男達や大通りを歩いていた関係のない人達だろ?」
ギルドマスター「と言っているが、どうなんだ?」
アーサー「まぁ、俺はせいぜい顔を殴られた程度だが何か問題があるのか?」
ノブナガ「大通りを歩いていた人達ってのは野次馬だったぞ!」
トランカー「なっ、あんた達は何もなかったようにするつもりか?」
アーサー「現実でも街中で暴れるヤツはいる、それと比べればまだこの中で暴れているヤツの方がましだろう?」
ノブナガ「兄貴の言う通り、死人が出たわけでもないからな」
ギルドマスター「もっとも、ゲーム内で死んでも生き返れるんだからな!問題なんて元からないのさ」
受付嬢「現実では死にかけた人や、まして死人を生き返らせるなんて事はできませんからね」
そんな会話を聞いて僕は、故郷の山での出来事を思い出していた
シャーロット『死にかけた紅優を、僕は治してしまったけどあれは良いのかな?』
現実で紅優は大怪我を負って死にかけていたのを、なんか知らないが称号を獲得してさらに紅優を治してしまったという事実が僕の記憶に深く刻まれていた
シャーロット『そうだ、紅優に口止めされてるんだった………この事は秘密にしとけよって言ってたしなぁ』
リトルスモールナイツのクランメンバーがトランカーさんの所に詰め寄って行って、リーダーだからって1人で罪をかぶろうとするなとかいろんな言葉で攻めていた
トランカー「みんな、すまない!」
ギルドマスター「後でギルドまで来てくれないか?トランカー」
トランカー「わかりました」
これでとりあえずは騒ぎは収まったようで、そこには僕たちだけが残された
ヒミコ「まったく、なんだったのじゃ!」
ムー「クランって何?」
シャーロット「え〜と、ユーザー同士で作る事ができる小さなギルドみたいな感じだったはずだけど?」
ヒミコ「パーティーではないのじゃな?」
シャーロット「そのクラン内で別々にパーティーを組む事もできるみたいだよ」
ムー「ふ〜ん………『クランね』」
ヒミコ「妾はそのクランを作ってみたいのじゃ!」
シャーロット「クランを作る?」
ムー「作ってもいいんじゃない?」
シャーロット「そうは言ってもメンバーを集めたり、クランを作る条件を満たさないと作れないよ?」
ヒミコ「もちろんメンバーは妾とムー、そしてシャーロットお主で決まりなのじゃ!」
アーサー「俺達はどうなんです、姉さん!」
ノブナガ「まさかオレ達は別って事ですか!姉さん」
ヒミコ「ムサイし、うるさいのじゃ!女の子同士で作ると決めたのじゃ!」
シャーロット『厳密に言えば僕、男の子ですけど?』
ムサイくてうるさいと罵られたアーサーとノブナガはうなだれていた
シャーロット「それならギルドで聞いてみる?クランの正しい作り方をね」
僕たちはギルドに向かった
受付嬢「こんにちは、シャーロットちゃんとヒミコちゃんにムーちゃん!今日はどんなご要件かな?」
シャーロット「僕たちクランを作りたくて、その〜正しいクランの作り方を教えて下さい」
受付嬢「クランの作り方ですね、わかりました詳しく教えますよ」
受付嬢から正しいクランの作り方を聞いたら、まずはクラン結成の最低人数は2人以上で特別なクエストに行かなければならないらしい
その特別なクエストはクラン結成の人数が増えれば増えるほど難易度が上がる、そのためはじめは最低人数で結成してその後クランの人数を拡大する方法が一般的になっているんだとか
ヒミコ「その特別クエストとはどんなクエストなのじゃ?」
受付嬢「クラン結成を目指す人達の技量をみて判断するので、具体的にはどの様なクエストなるのかまではわかりません」
ムー「と言う事は、その特別クエストを出す人が判断するのね?」
受付嬢「そうなりますね」
シャーロット「その特別クエストを出す人はどこにいるかわかりますか?」
受付嬢「闘技場の外側の広場にいるはずですよ」
という事で僕たち3人はクラン結成のため特別クエストに挑む事になったが、もし危ないクエストならやめると言う条件つきだった
ギルドを出て闘技場を目指して歩いていると前からベニがやって来た
ベニ「あれ?シャーロットちゃんとそれにヒミコちゃんとムーちゃんか、こっちは闘技場だぞ?」
シャーロット「僕たちクランを結成したくて、今から特別クエストに挑むんだよ!」
ベニ「クランね………なら俺もついて行くか!」
闘技場の脇にある広場で、仁王立ちの女性がいた
女性「ん、君たちはクランを結成したいのかな?」
女性が僕たちに気づき、そう聞いて来た
シャーロット「はい、僕とヒミコちゃんとムーちゃんの3人です」
ヒミコ「わくわくするのじゃ」
ムー「よろしく」
女性はルモンと名乗り、これから特別クエストを行うためにそれぞれの技量を見てくれる事になった
ルモン「さてまずはシャーロット、貴女からねこれから攻撃するから今自分ができる範囲でいいから防いでみて」
ルモンは小さな小石を拾うと、僕に投げつけて来た
シャーロット「スキル!奇跡の生還者」
小石はシールドに弾かれて、投げつけたルモンの顔すれすれを通って闘技場の壁にめり込んだ
僕はまだ一度も使ってないスキルを使ってみたが、シールドは本当に何も通さなかった
ぬいぐるみ魔法使い『な、なんだよアレは!ほぼ無敵じゃん!』
ヒミコ「す、凄いのじゃ!シャーロット」
ムー「小石を弾き返した?」
ベニ「あれは相当使えるスキルだが………『確かクールダウンしないと再度使用は無理だったな………いや、幼女領域と併用すればかなりいけるか!』」
アーサー「守りは万全と言う事か………」
ノブナガ「姉さんにもあんなスキルがあれば良かったのになぁ〜」
ルモン「驚いたわ………まさか弾き返すなんてね」
シャーロット「まぐれです」
とりあえず僕はそう言っておいたけど………
ルモン「次はヒミコよ」
ヒミコ「妾の番じゃな!」
ルモンが投げた小石をダンシングで避けるヒミコちゃん、職業の僧侶ダンサーのダンサーの方が役にたったようだ
ルモン「まさかダンシングで避けるなんてね、次はムーよ」
ムー「わたしは戦った事ないからどうすればいいかわからないわ」
ルモン「職業は何?」
ムー「マジカルディーヴァよ」
ルモン「マジカルディーヴァ?という事は魔法が使えるわね、武器はあるの?」
ムー「いちおう、この杖だけど?」
ルモン「なら、その杖で炎を出してみて」
ムー「炎?どうやるの」
ルモン「そうね………炎をイメージしてファイアと唱えてみて」
ムー「炎をイメージして唱える………『炎は熱くてカタチが定まらないって感じよね』ファイア!」
ムーちゃんの持つ杖から炎が出て来たが、炎は大きくなりまるで炎の壁だった
ルモン「なっ、待ってムーそれ以上は炎を大きくしては駄目よ!」
ムー「え?」
ムーちゃん自身も驚いていた
ベニ「まずいな!あのままじゃほぼ自爆だ!」
ぬいぐるみ剣士「マスター、ムーの所に行きもう一度先ほどのスキルを使って下さい!」
シャーロット「よくわからないけどわかった!」
僕はムーちゃんの所に急いで近づき、既にクールダウンが完了していたスキルの奇跡の生還者を再び使用した
奇跡の生還者のシールドが杖から炎を切り離した途端に爆発した、僕とムーちゃんはシールドに守られていたので無事だった
ルモン「熱っ、2人共大丈夫?」
シャーロット「なんとか無事です」
ムー「ありがと」
地面は焦げたが、僕とムーちゃんは火傷1つ負わなかった
ルモン「すまない、初心者だった事を失念していたよ」
ムー「いえ、ですがコツは掴めました」
ルモン「ではこれで技量測定は終了だ、次は特別クエストを決定するのだが………」
ベニ「どうかしましたか?」
ルモン「ムーを除いて、攻撃を防ぐ事はできていたが誰も反撃はしなかった………という事は特別クエストは最低限のクエストになるね」
ヒミコ「最低限のクエストとはどんなクエストなのじゃ?」
ルモン「定番のお使いクエストしかないな………」
シャーロット「お使いクエスト?」
ムー「買い物でもするの?」
ルモン「まさにその通りさ!NPCのお使いをかわりにやるクエストしかない」
こうして僕らの特別クエストはお使いクエストとなった
シャーロットちゃんとヒミコちゃんとムーちゃんの3人はクラン結成のために特別クエストを受けたけど、まさかのお使いクエストだった
さてどんなお使いを頼まれるのでしょうね
次回お使いクエストです
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素人の作品です
福望華雫でした




