ログイン0 プロローグ
貧乏高校生 当溜。格安ボロアパートに住みバイトをして生活費を稼ぐのが彼の毎日だった。明日から学校が夏休みに入る事で浮かれていた時に偶然おもちゃ屋で最新のVRヘッドギアを見つけ購入した。さっそくVRゲームを始めたまでは良かったのだが、本来なら無いはずのVRヘッドギアのホームにログインを果たした。彼は大嘘をつくAIの言う事を真に受け全てにYESと応えてしまった。身体構造スキャンを許し、問題箇所のリペアとしてハルモニア光なる謎の光を実際の身体に照射された。問題は解決したのだとAIに唆されてゲーム世界に送り出されてしまう。しかしこの事が当溜の生活をガラリと変えてしまう重要な出来事だった。ログインしたゲーム内でも問題が発生した。選択出来る性別が女性のみで男性の選択は不可能だった。なんとか女性アバターを男性的な姿に作る事に成功したが、間違えてランダム作成を押してしまい完成したアバターは幼女だった。
♤守ってください幼女な僕を♡
縮めて『守幼』をよろしくお願いします
【VRゲームソフトタイトル忘却のイディア】
【世界名 シャオリ】
現在、僕はゲームの中にいた。
世界設定は良くあるファンタジーで、剣と魔法の世界だ。
【古い遺跡 ルア・ガンマロ遺跡】
僕らはクエストでルア・ガンマロ遺跡まで来ていた。
ここは駆出しの冒険者が腕試しのためにやって来る言わば初心者向けのダンジョンだが現在、他のプレイヤーは見当たらない。
遺跡周りは草が生い茂っていて、遺跡のそのほとんどが地中に埋まっているためか全体像は不明だ。
シャーロット「ここが遺跡?『ピラミッドとかそう言うヤツかと思ってたけど、全然違うなぁ〜』」
ぬいぐるみ剣士「何が来ようと、おれがマスターを守る!」
ベニ「足もと気よつけろよ、段差があるぞ!」
スカイ「わかったわ、忠告ありがと」
僕のプレイヤー名はシャーロット、意思を持つぬいぐるみ剣士は僕の武器である。
ちょっと補足情報でゲームの中……僕の見た目は銀髪オッドアイロリっ娘エルフという姿でいろいろ訳ありの幼女だ。
そしてポニーテールが特徴的な魔法使いの女の子スカイと双剣使いのイケメン顔のベニという男………僕への嫌味だな、このイケメン顔め!
遺跡内部に入ると下層へと降りて行く階段を発見した、その階段を降りて行くと薄暗い通路があり奥まで続いていて壁にある松明の炎が揺らめいていた。
慎重に進んで行くと僕らの前に大きい鼠型モンスターが数匹が現れ、僕以外の2人と1体であっさり敵を倒した。
ベニ「こんな狭い通路にでっけえ鼠が出てくんなツーの!」
スカイ「確かに魔法も当てにくいし、最悪な戦闘だったわね」
ぬいぐるみ剣士「マスター、ご無事ですか?」
シャーロット「僕は平気だよ『むしろやる事なくて暇だったよ』」
さらに階段を発見し次の階に降りると大きな石柱があり、そこから先はトラップだらけのフロアだった。
僕たちは途中で休憩を取ったりしながらフロアをひたすら歩いて前に進んでいた、その時だった。
ガコンッ
僕はさっそくトラップに引っかかり突然の浮遊感その直後に落とし穴に落ちそうになった、まさにその瞬間に僕の腕を咄嗟に掴んだ人物がいた。
シャーロット「わっ」
ベニ「ぁぶなっ!」
スカイ「ナイスよ、ベニ!待ってて今引き上げるからねシャーロットちゃん!」
ぬいぐるみ剣士「おれでは引き上げれないか……頼むぞ、お前たちマスターを引き上げてくれ!」
落とし穴に落ちそうになった僕にすぐに気づいて助けてくれたのはベニだった。
シャーロット『下を見ない下を見ない、上見……イケメン顔が近いな……良し、下を見よう』
そんなベニの手が僕の小さく細い腕を掴んでいるが、落ちるよりはマシだけどちょっと痛いなもう少し緩めて………いやそれだと落ちるちゃうな。
スカイの助けもあり僕は、まるで冷凍マグロのように引き上げられた………だから痛いって!腕が抜けそう
シャーロット『冷凍マグロ上がりました〜……腕が痛いな、特にベニが掴んだ方ね!』
スカイ「他も何かトラップがありそうね、今までよりも慎重に行きましょう」
ぬいぐるみ剣士「くっ、トラップ回避のスキルがあれば……いや無いものねだりか」
シャーロット「びっくりした〜」
ベニ「それ俺のセリフな!」
シャーロット『助けて貰っといてなんだけど、僕をもっと優しく扱ってよ!こう見えて僕は幼女なんだからね……ってコレは新たなカテゴリー幼女デレか?いやデレでなくツンかと言うと幼ツン……腰痛みたいだなやめよう』
ベニに対して心の中で抗議する僕だが、行く先々で次々とトラップに引っかかってしまい2人と1体にそれぞれ助けられた。
シャーロット「………トラップ嫌い」
ベニ「勘弁してくれよ!ここに来るまでのトラップ全部だぞ、コンプリートでもする気か!」
スカイ「乗ると落ちる床に押したら駄目よボタンそれから罠付き宝箱と床のスイッチを踏むと転がって来る大きな玉ね……まるでトラップのお弁当箱ね、ぎっしり詰まってる」
ぬいぐるみ剣士「マスターを守るのがおれの役目なのに、なんたる不覚だ!」
シャーロット「ごめんね、僕のせいで……」
ベニ「終わった事は気にすんなよ!」
シャーロット『ベニには言ってないけど?』
スカイ「まだ先がありそうね、あたしがシャーロットちゃんを抱っこして行くわ」
シャーロット『マジか!また抱っこかぁ〜僕、昨日から抱っこされまくりなんだけど!』
ベニ「少々戦力ダウンだが、トラップを抜けるまでは仕方ないか」
ぬいぐるみ剣士「……その判断は正しいな、マスターを頼んだぞ!」
シャーロット『正しいの?ゲームの中で抱っこが正しいって何?』
その後も初歩的なトラップばかりだったがスカイのおかげてトラップには引っかからずに、やっと遺跡の最深部までたどり着いた。
【ボス部屋】
一際広い空間で、いまだに原型を留めていたり朽ちて倒れている石柱があった。
隠れられそうな遮蔽物となりそうなのはやはり石柱だけでその他は視界は良好だ。
部屋に到着した直後にボスが出現し、戦い始めてから既に40分以上経過していた。
このパーティーの戦闘の要は2人と1体だけで、もう1人は隠れる事しか出来ない非戦闘員………つまり僕だ。
そんな僕にも役に立つスキルがある。
【ぬいぐるみ使いのシャーロット】
LV5 最大HP9/残りHP9
シャーロット「『僕だって役に立つって事を証明するんだ』鑑定眼」
鑑定眼は敵のステータス全て見る事ができ、現在の状態と弱点なども看破出来るとても優れたスキルだ。
シャーロット「その騎士の弱点は、鎧の下ほぼ全体だよ」
僕はうんと離れた後方から、ボスの弱点をみんなに伝えた。
位置関係はボスを中心に扇状に包囲している状態で、前方左側にぬいぐるみ剣士で同じく前方右側にベニで少し距離を置いてスカイでさらに後方の倒れた石柱の後ろにいる僕だ。
【魔法使いのスカイ】
LV10 最大HP830/残りHP584
最大MP350/残りMP45
スカイ「OK!これでもくらいなさい!」
【アローズファイア】
スカイは残り少ないMPを消費して、3本の炎の矢を出現させ狙いを定めて放った。
ヒュバッ!
スカイの放った炎の矢が3方向に弧を描き騎士を挟み撃ちにして、全弾見事命中その直後に爆炎を上げた。
ドガァーーン!!!
騎士の頭上に見えるHPのバーがみるみる減っていき残り四分の一を切った。
【クエストのボス 大型騎士サウジェンド】
LV8 最大HP2000/残りHP496
「グオオォーー!」
自身のHPが四分の一以下まで減った事で、攻撃モーションが変化した証の雄叫びをあげている。
ぬいぐるみ剣士とベニは騎士と距離を取ってすきを伺う、騎士に1番近いのがぬいぐるみ剣士で少し離れた所にベニの順だ。
ぬいぐるみ剣士「フェイント」
ズバッ! ドシュッ! ズバッ!
騎士の右腕の肘に左足首とガラ空きの背中に切りつけた。
【クエストのボス 大型騎士サウジェンド】
LV8 最大HP2000/残りHP301
スキルのフェイントを使い翻弄しながら小さな剣で確実にダメージを与えていた、ベニも負けじと騎士に近寄ろうとしたその時だった。
徐々ににHPを減らされた騎士が悪あがきで、その手に持っていた巨大な剣を投げつけた。
「ヴゴアァーーー!」
ブウンッ!!
ブウンッと大きな音を出して飛ばし、まるでF1レーシングカーの様な嘘みたいな速度で飛ぶ巨大な剣。
ぬいぐるみ剣士とベニの間を猛スピードで通過して行きさらにスカイのすれすれを通過して行った。
ビュン!
巨大な剣の進行方向の先は朽ちて倒れた石柱がある、そこは僕が隠れている所だ。
【双剣使いのベニ】
LV11 最大HP980/残りHP752
ベニ「マジか、シャーロットちゃんが危ねえ!」
【加速】
ベニがスカイのすぐわきを通る時に、声をかけ合う。
スカイ「頼んだわよ、ベニ!」
ベニ「任せろ!」
ベニがスキル【加速】を使って巨大な剣に追いついた。
ガッギィギギギィーーーーン!!!
ベニは自身の双剣をクロスさせ巨大な剣を受け、双方の武器が激しくぶつかり火花を散らしていた。
ベニ「ぐっこの重てぇな、コノヤロッ!」
【クロスブレイク】
ッギィン!
しかしベニはこの状態から技を放ち巨大な剣の突進速度を大幅に減速させて自ら退いた。
止める事はできなかったが減速は成功した、あのまま受け続けていると自分が避けられないと判断したらしいベニは退く事を選んだのだ。
しかしまだ飛んで来る巨大な剣を見て僕は思わず、可愛らしい声を漏らし身構えた。
シャーロット「うひゃっ!」
【スキル発動中】
【頭隠して尻隠さず】
頭隠して尻隠さずの言葉の通りのモーションをすると自動で発動するスキルで、効果は可愛いらしさが1.2倍になる通称幼女スキル
シャーロット『今初めて知ったけど効果が可愛らしさが1.2倍になる必要ある?それと幼女スキルって何?って今突っ込んでる余裕ないんだった〜』
倒れた石柱の裏に隠れていた僕だったが、その場所のギリギリ手前に巨大な剣はズシンと音をたてて突き刺さりやっと止まった。
ちらりと見ると巨大な刀身を震わせていた。
ビィーーーィーーン!!
シャーロット『あれ、僕生きている?』
巨大な剣が減速していなかったら僕はあっという間に戦闘不能になっていただろうけど、ベニのおかげで難を逃れた。
ベニ「ふぅー」
ベニは僕の方を見て、僕が無事なのを確認するとほっとした顔で親指を立てた。
シャーロット『助かったけど……その親指はなんだ?僕の事を親指姫とか思ってんの!』
【シャーロットを主とするぬいぐるみ剣士】
LV15 最大HP1500/残りHP1367
ぬいぐるみ剣士「よくもマスターを危険に晒したなデカブツめ、たとえマスターが許してもおれが許さん!」
自身の主が危機に陥った事でぬいぐるみ剣士は激昂し、剣を握り直して斬りかる。
騎士とぬいぐるみ剣士の体格差は例えるなら長身のムキムキマッチョ男とチワワくらいの差があり、とても敵う相手ではないように見える。
ちなみにぬいぐるみ剣士のサイズは、ちょうど四足歩行中の小型犬くらいの身長だ。
このぬいぐるみ剣士が持つ小さな剣は普通サイズの剣と比べればまるでおもちゃに見えるが、驚くべき殺傷能力があり強度も頑丈でとても優秀な剣だ。
ぬいぐるみ剣士「キサマはここで倒す!」
【ドールソード零式・ファントム】
ぬいぐるみ剣士は技を放った。
その技は一見すると何度も切りつけているように見え、その全てが幻で真の一刀は最後の一振りであるが常人の目では追えない速さらしい。
シュピーーン!
ぬいぐるみ剣士は騎士の首を真の一刀で横一文字に跳ね飛ばした………その瞬間はやっぱり僕には見えなかった。
ボドッコロッコロコロッコロー!!!
シャーロット「きゃあぁ〜『く、首がぁ〜』」
僕が隠れていた所まで騎士の首が転がって来て、思わず女の子の様な悲鳴を上げてしまった。
わずかに残っていたHPを0にした騎士は、首と胴体が塵のように消えていった。
騎士の首が消えていくさまを、恐怖のせいか女の子の様な悲鳴を上げたせいかはわからないが僕は涙を流して見つめていた。
騎士が消滅した直後にクエスト達成の文字がパーティー全体に表示された、続けて僕の目の前にズラリと獲得したスキルなどのメッセージが出て来た。
【大型騎士の討伐クエストを達成しました】
【10の経験値が入りました】
【10の経験値が入りました】
【10の経験値が入りました】
3回も表示されたこの【10の経験値が入りました】とはけしてバグではなく、称号効果で一回守ってもらうと入るちょっとしたボーナスだ。
回数を見て分かる通り、今回の戦闘では合計3回も守ってもらったのだ。
【大型騎士討伐により1500の経験値が入りました】
経験値はきっちり3等分されているようで、ベニ・スカイ・僕にそれぞれ1500ずつ入った。
【2700enを手に入れました】
【LVUP・LV7になりました】
【各種ステータスUP・+3UP】
【スキルを複数獲得しました】
【獲得スキル・ギリギリを生きる者・避難する者・息を潜めし者・ぬいぐるみ修復】
【獲得スキルと獲得済みスキルの『頭隠して尻隠さず』と『ギリギリを生きる者』と『避難する者』と『息を潜めし者』が統合され『奇跡の生還者』に変化しました】
【奇跡の生還者】
スキル効果
✦自身を中心に半径1メートルに絶対不可侵の防御シールドを展開し如何なる攻撃も絶対通さない
✦パーティーを組んでいる相手ならそのシールド内に入れてその効果の恩恵を得る事が出来る
✦連続使用はできず2分のクールタイム後に再び使用が可能になる
全員がLVUPして各種ステータスや獲得したスキルを確認後に、みんなが僕の所まで駆け寄ってきた。
ベニ「大丈夫か?シャーロットちゃん」
ぬいぐるみ剣士「ご無事でしたかマスター!」
シャーロット「うん……『ちょっと怖かった……またトラウマになりそうだ』」
スカイ「シャーロットちゃんが無事でホント良かったよ」
スカイは涙目の僕を抱いて頭をナデナデしてくれた、そしてベニは何かを思い出して僕にたずねた。
ベニ「……「きゃあぁ〜」って悲鳴上げてなかったか?」
スカイ「可愛い声で上げてたわね」
シャーロット「め、目の前に首が転がって来たら誰だって悲鳴を上げるよ『ムムムッ、そこをイジるなよ!ベニのアホ』」
ぬいぐるみ剣士「すみませんマスター!まさかあそこまで転がるとは思っていませんでした」
戦闘には向かない低すぎるステータスと攻撃手段が意思を持ったぬいぐるみで、直接攻撃ができない非力な幼女だから……
だからこそベニもスカイもぬいぐるみ剣士も僕を心配してくれる、それを嬉しく思う。
ベニ「エルフのお姫様、お怪我はございませんか?」
シャーロット「むぅ、からかうの禁止!『コ、コイツ絶対意地悪だ!それにやっぱりさっきのは親指はそう言う事か、僕が親指姫だと言いたいんだこのアホベニ!』」
ぬいぐるみ剣士「キサマ、マスターをからかうのは禁止だ!」
そう言うとぬいぐるみ剣士は、納めていた剣を再び抜剣して剣先をベニの方へ向けた。
先ほどの技を見た後では流石のベニも、こんなに小さな剣であの騎士の首を跳ね飛ばした実力は本物だと思い素直に謝る事にしたようだ。
ベニ「す、すみませんでした!」
ぬいぐるみ剣士「フン、わかればいい」
シャーロット『ナイス!ぬいぐるみ剣士』
ベニの謝罪を聴き剣を鞘に納めるぬいぐるみ剣士。
スカイ「まぁ、でもこれでクエスト達成よ!」
ぬいぐるみ剣士「マスター、いかがなされましたか?」
シャーロット「改めて思うよ、僕は守ってもらわないといろいろヤバい幼女なんだなぁって………昨日が懐かしいな」
ベニ「昨日って懐かしく思う事だっけ?」
スカイ「人それぞれでしょ!特にシャーロットちゃんはね……」
ただの男子高校生だった昨日、VRヘッドギアを手に入れた事で生活環境がガラリと変わり僕は幼女になった。
そう昨日の出来事が全ての始まりだった。
まだまだ『ド』が付いてる素人の作品ですが、よろしければ【評価】と【ブックマーク】を付けてください
福望華雫でした