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18/21

自由の翼を

更新時間遅れてすみません<(_ _*)>

王配ロシュフォードも同じ考えであったと知り、

ハリエットは彼からの提案を承諾した。


元よりハリエットもそのつもりだったのだ。

一伯爵に過ぎないハリエットが女王サイドへの働き掛けは出来ないが、そこはルキウス本人が頑張れば何とかなるだろうと思っていたのだ。それがミラフィーナ(の夫)側から提案してくれたのだから、すんなりと事が進むだろう。


ハリエットがすべきことは、ルキウスにその話を持ち掛けて彼の背中を押してやる事だ。

こちらへの気遣いは無用であると。

選ばれなかった幸せを今度は自ら選び、そして掴むべきだと。


そう言って彼に翼を授ける……は王都で流行りのエナジードリンクの謳い文句みたいになってしまうが、オーラウン伯爵家のために頑張ってくれているルキウスに対し、ハリエットに出来ることと言えばそのくらいである。

そしてハリエットはルキウスが帰る場所として、この家と子どもたちを守っていく。

それしかルキウスの献身へ報いる方法が思いつかないのだから。

それが彼の一番の幸せだと信じたハリエットは、ルキウスにその話をすることにした。


ルキウスの姿を探して邸内を歩いていると、双子を両手に抱えて庭を散歩する彼の姿を見つけた。


生後半年を迎え、目方も増えた双子を同時に抱えるなどハリエットには出来ない。

細そうに見えるルキウスが意外と筋肉質で力持ちなのは、結婚してから知ったことであった。


ハリエットは庭に出てルキウスに声をかける。


「ルキウス様。お話があるのだけれど……」


「やぁハリエット。エリとマリを日光浴させようと思ってね、散歩していたんだ」


ルキウス(父親)に抱かれていた兄のエリックがハリエット(母親)の姿を見て手を伸ばす。

今度は母に抱っこをご所望のようだ。

どうやら妹のマリエッタは父親の抱っこの方がいいらしい。

ハリエットはエリックをルキウスの片腕から引き取った。

せっかくだからと家族揃って庭を散歩する。


先々代の当主の時に見習いとして入り、今は親方となった古参の庭師が手がけた美しい庭を眺めながら、ルキウスがチラりとハリエットを窺った。


「……話って何かな?僕、また何か失敗した?」


「え?何も?ん?何か思い当たる節でも?」


「い、いやっ……今はとくにないよっ?でもキミがそんな顔をして話があるっていうからっ……」


相変わらず妻の言動に右往左往する夫である。

そんな顔とはどんな顔だ。

それをハリエットは訊いてみる。


「そんな顔とは?」


「……なんだか、固い表情だ」


これからルキウスに話す内容に、ハリエットは無意識に緊張していたらしい。

確かにハリエットにとっては気持ちのいい話ではない。

だけどルキウスが自由になるために、彼の背中を押すと決めたのだ。

固い表情とやらをしていてはルキウスが遠慮してしまうかもしれない。

なのでハリエットは努めて笑顔を浮かべ、ルキウスに言った。


「大丈夫よ。貴方にとって悪い話じゃないから」


「……なんだろう。余計に不安になってきたな……」


そんなに怖がらずとも。

やはり妻でありながら、ハリエットにはルキウスを幸せにはしてやれない。

ハリエットはルキウスに甘く胸をドキドキさせるが、ルキウスはハリエットに恐怖で胸をドキドキさせる。

これではルキウスの心臓が摩耗して疲弊するばかり。

彼にも甘い胸のドキドキが必要なのだ。


話の内容が気になって仕方ないとルキウスがソワソワし始めたのでもう散歩どころではなくなってしまった。

なので散歩を切り上げて邸内へ戻る。

そして双子をナニーとメイド長に任せてルキウスと二人、ハリエットの執務室に向かった。


執務室内のソファーに対面して座り、間怠っこしいのが嫌いなハリエットは直ぐに本題を切り出した。


「話というのは他でもない、今後の貴方の幸せについてよ」


ハリエットの切り出し方に、要領を得ないルキウスは首を傾げる。


「うん?今後の僕の幸せ?」


「ええ。その事について、じつは先日王配殿下から密談の申し入れがあったの」


「ちょ、ちょっと待ってくれ?ロシュフォードが?密談?……え?」


そこら辺で躓いている必要は感じられず、ハリエットはルキウスの反応に構わず話の先を進める。

要するに嫌なことはとっとと言ってしまいたいのだ。


「そもそもこれを私の口から告げること自体が烏滸がましいとはわかっているのだけれど……ルキウス様、貴方はもう自由に空を飛んでいいと思うの」


ハリエットの言葉にますます要領を得ないルキウスが首を傾げる。


「ん?ごめん、ちょっと抽象的でよくわからないな……、自由に空を?僕が飛ぶ?どういう意味?」


「だから、貴方はここから自由に羽ばたくのっ……」


「ん?……ん?」


ルキウスの首が可動域ギリギリまで傾いだ。


自分で思っている以上に思い詰めたハリエット。

どうやら話の切り出し方を間違えたらしい。

それに気付いたハリエットがコホンとひとつ咳払いをした。


「コホン、ルキウス様。貴方は、」







•*¨*•.¸¸☆*・゜•*¨*•.¸¸☆*・゜•*¨*•.¸¸☆



さーせん<(_ _*)>


早くも夏バテでへばっております……

(理由は…まぁ知る人ぞ知る……。※旧Twitterましゅろうポスト参照)


明日のこちらの更新はありますが、


『無関係だった…』の今週の更新はお休みします。

るちあんキターとなった読者サマ、ごめんなさい……

。。。(lll __ __)バタッ

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