表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

第一話 始まり

 クイクイ パシパシ


 『You Win』


 「よっしゃー。99連勝。あと一勝で100だ」


 100連勝したプレイヤーには『聖剣』が送られるらしい。あと一歩だ。

 『聖剣』を手にした時の嬉しさ、達成感は半端ないだろう。


  俺の心臓はバクバクしている。


 ゲームのエンドロールが流れはじめた。

 暫くするとゲームのタイトルが表示されるのだが。

 エンドロールがひたすら流れている。


「エンドロールなげぇんだよ!!」


 危うくコントローラーを薄型液晶モニターに投げつけるところだった。

 

 俺はコントローラーを置き深呼吸をし心を落ち着かせる。

 この動作は既に99回も繰り返している。進歩がないとよく言われるが、ムカつくことはムカつくんだ。

 

 エンドロールが終わるまで少し説明をしておく。


 ゲームXでは、『聖剣』は全ての生き物を一瞬にして消え去ることができるつるぎだ。神様から授かった神聖しんせいつるぎとも言われている。


 今だに『聖剣』を手にしたプレイヤーはいない。


 いや、一人だけいた。

 父のクラスメイトで幼馴染の美幸みゆきおばさんだ。ゲームXで勇者になったすごい人だ。なりたくてなれる職業ではない。

 美幸おばさんは、母の父親すなわちじいちゃんを助けた英雄だ。しかし、父を救えなかったと嘆き苦しんでいるらしいが、父がX2の世界から脱出できなかったのは父のせいで、美幸おばさんのせいではない。


 その話は後にする。


 俺は生まれながらの勇者なのだが、悪魔とか魔王とか言われていて、マイナスイメージしかない。あくまでゲーム内での話だ。あまりに強すぎてプレイヤーが妬んでいるんだ。


 俺は『聖剣』を手にして神になり、全プレイヤー、いや、運営を含めたゲーム界の頂点に立ち、俺のイメージを変えてやる。


「俺は親父とは違う!」


 薄型液晶モニターの画面が切り替わり、タイトルがデカデカと表示された。

 そのゲームのタイトルは、ゲームXにアドインされたX2。


 噂では激ヤバのバージョンらしい。母の会社で大騒ぎしていたゲームであり、プレイを禁止しているゲームだ。父の精神がとじ込まれ寝たきりになったいわく付きのゲームでもある。

 プレイ禁止になったにも関わらずいまだに配信が続いているのは人気があるからだろう。


 俺にとっては嬉しい限りだ。


 俺は再び、コントローラーを握り、startボタンを押す。


 X2の始まりだ。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ