雨の道
初投稿です。不快にさせてしまったら申しわけありません。
「いってきまーす」
「いってらっしゃい」
今日は一日大雨の予報だから、自転車じゃなくて、歩きで学校へ行く。
「おはよう」
「おはようございます」
近所の人に挨拶しながら歩いていく。
「あっ、おはよう、いってらっしゃい」
「うんっ.…ちゃんも.…らっしゃい!がんば…っ」
近所の子に声をかけたら元気な挨拶を返してくれた。ところどころ雨音でしっかりと声が聞こえないのが残念だ。
ふと見るとその子の母親がのぞいているのに気がついた。大雨の予報なので心配して様子を見に出てきたのだろう。
「おはようございます」
「いってらっしゃい。気をつけてね」
私にも声をかけてくれた。
「ありがとうございます。いってきます」
道を3分の1程歩いたところで、右手側の道から同じ制服の子が曲がってきた。
なんとなく目の前を歩くその子の後ろ姿をながめながら、内心首をかしげた。
昔よく一緒に遊んでいた、今でも同クラスのあの子に見える。
近づこうとして、はっとした。
ーーあの子と話すことが何もない。
そうこうしてるうちに、たどり着いていた歩道の信号が赤になる。
するとあの子は左に曲がった。
本来なら、そこで曲がるのは遠回りになるけど、多分、あちら側の道で友達と待ち合わせしているんだろう。
少し遅れて、さっきまであの子が立っていた位置に到着する。
左の車道側を見るとあの子が立っていて、あちらも私に気づいたようだった。
会釈されたので私もし返す。
あの子は傘をこちら側に向けて前を向いた。
私も傘をあちら側に向けて前を向く。
ーーもうずっと前に道は分かれていたみたい。
雨脚が強くなり、白いカーテンのように周囲を覆った。