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覚醒者~特別ランクの私は恋愛の好きが分からない!~  作者: 琴葉 悠(琴葉悠)
え、覚醒者になったら人権ある意味無し⁈ ふざけんなー‼
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100年前が境目と知る~心臓に悪いよ本当に~

レイドがやって来てカナタを食事に誘ってきた。

レインの命令もあり行くことに。

すると黒服黒髪の女性がいて──




「食事に誘いたいのと会わせたい奴がいるんだが暇か?」

 学校帰りに現れたレイドはカナタにそう言った。

「えっと……」

『お願い行ってきて』

 断ろうかと悩んでいるカナタの頭にレインの指示が飛び込んでくる。

「今……お金あんまりないんですが」

「おごりだから気にするな」

「はぁ……」

 そう言うと、レイドはカナタの手を握り、そのままその場から二人とも消えた。


 光景が変わったかと思うと店の中にいた。

 多分個室だと理解できた。

「ごきげんようお嬢さん」

「どぅわ?!」

 向かいに真っ黒な服の女性がいた。

 カナタは視線をさ迷わせる。

「ご、ごきげんよう、お姉さん」

「あら、お姉さんだなんて嬉しい」

「カナタ座ってくれ、紹介しよう彼女はクロだ。俺同様ドミニオンに所属していないEXランクの覚醒者だ」

「ごふっ?!」

 落ち着かせようと飲んだ水をカナタは噴き出しかけてしまった。

 気管に入ったソレをどうにかしようと何度か咳き込んでから、レイドを見る。

「どうしてそう人をビビらせるんですか!!」

「いや、紹介しておいた方がいいと思ってな、顔合わせするかもしれんし」

「ふふ、大丈夫よカナタちゃん、私はレイドみたく周囲に被害は出さないから」

「はぁ、よかった……周囲……ん?」

 カナタは違和感から思わずたずねてしまった。

「あ、あのー周囲にはっていうことは……」

「私はターゲットとそれに同調する人限定。呪うのが私の本質。私はね、少数民族の出だったんだけど、家族を殺されて呪ったの、そしたら覚醒者になって今にいたるの、ちょうど100年位前の話よ」

「……」

 あまりにも重い話を軽くされて、カナタは反応に困るのと同時にある事に気づいた。

「……覚醒者が公に出る様になったのは100年前?」

「その通りだ、それまで覚醒者は決して表舞台には出てくることはなかった」

 自分の疑問の答えをレイドが言った。

「じゃあ、100年前に何かがあったという事ですか?」

「100年前に、色んな事が『ありすぎた』の」

「ありすぎた?」

 カナタの確認する言葉に、クロとレイドは静かに頷いた。

「民族虐殺、言論弾圧、創作の自由の弾圧、過激な環境保全を訴える、戦争手前の硬直状態、過激な動物愛誤……上げるときりがない」

「ど、どれも今は禁じられている行為じゃないですか……」

「そう、覚醒者がそれが原因で一気に出てきて世界をがらっと変えてしまったから」

 クロはニコリと微笑み、カナタを見る。

「私は家族を殺され、レイドは働いていた場所の家畜たちを殺処分に追い込まれ、色んな理由で覚醒してるの。貴方はくだらないと思う?」

 クロの問いかけにカナタは首を振った。

「いや、だって私だって家族殺されたら多分誰も止められなくなるだろうし、畜産業の家畜たちだって育てている人たちが頑張って肥育しているものなのに外から持ち込まれたウィルスで全部の子が殺処分……誰かが生きるための何かになるわけでもなく、誰かがウィルスで苦しまない為に殺されるっていうのが……」

 カナタは水をちびっと口にする。

「人は生きていく限り何かを食べなければならない、犠牲にしなきゃいけない。植物なら平気という人とかいるけど、植物だって生きているんですよ。聞こえないけど悲鳴だってあげている。結局人は何かを喰らわないと、犠牲にしないと生きていけないから……」

「――レイドが気に入った通りの子だわ」

「へ?」

 クロの言葉に、カナタは間抜けな声を出す。

「貴方の考え方、とても人間らしくて好きよ。覚醒者はそんな風には考えないわ普通」

「そう……なんですか?」

「ええそうよ?」

「大体は『そうか命あるものを食うのは可哀想か、では命あるもの以外は食えなくなれ』と呪われるなりして餓死するか、餓死手前で私達に許しをこうかの二択だな」

 レイドの発言にカナタの顔は引きつった。

「ま、マジですか……」

「本当だ、かなりの数死んでるしな」

「イブ……レインちゃんから『お願いだから所属しないなら大人しくしててくださいー!!』って言われた回数数知れずね、私達」

「……あ、あの、レイドさん?」

「なんだ?」

 カナタは嫌な予感がしてレイドに問いかける。

「もしかしてクロさんを紹介したのって、以前レイドさんを止めるみたく、クロさんを止める事が必要になった場合を考えて紹介……じゃないですよねぇ?」

「その通りだ、止める必要になったらを考えてな。気に入られた方が止めやすかろう」

「おぅいぇ……」

 カナタは現実逃避をしたくなった。

「で、クロ。カナタはどうだ?」

「うん、気に入ったわ。とっても、誰かの痛みを分かる優しい子が覚醒者にはほとんどいないから嬉しいわ」

「さて、話も終わったし食事にするか」

 レイドの言葉の通り、食事をしたが、カナタには豪華な料理の味が一切わからない程頭の中身が混乱していた。



「うへぇ……今日は散々だよ……」

 家まで帰すという言葉を断り、近くのぷにっこショップに返され、カナタは可愛いぬいぐるみを入った袋を抱えながら歩いていた。

「家に帰ったらぷにっこ盛大に癒されよう」


「お姉さん、こんな時間に何してるの~~?」

「良かったら俺達と遊ばない?」


「……」


――本当今日は厄日だ!!――


 柄の悪い男達に囲まれ、カナタはげんなりした。

 流石に一般人に能力を使いたくはないし、どうしようかなぁと思っていると――

「私の知り合いに何の用だ?」

「いででで!!」

 アルビオンが男の腕をひねっていた。

「彼女に無礼な行為は許さん」

「ぐぇえええ……」

 ディオンが男一人の首を掴んで持ち上げていた。

「ふ、二人とも止めて!! お願いだから!!」

 カナタがそう言うと二人はぱっと男を開放し、悲鳴を上げて逃げていく連中を見逃した。

「これでいいか?」

「う、うん」

「家まで送ろう」

「え、いや、いいですよ。だって……」

「さっきのような輩がまた来ないとは限らない」

「……わかりましたではお願いします」

 カナタはため息をついて二人の意見を受け入れた。


 家まで送られると、二人はそのまま礼も受け取らずに帰っていった。


 カナタは二人の行動が謎すぎて、どうしたらいいのか訳が分からなくなった。





「――ようやく発見、さて誰に頼もうかな……」

 ドミニオン本部では、レインが一人情報を見つめていた。

「……やっぱりカナタちゃんよね、他の子じゃ再起不能にしちゃうのもありそうだし……」

 呆れたように呟き、息を吐いた。









ドミニオンに所属していない問題児二人目登場です。

レイドもクロもどちらも理由あって所属していません。

ドミニオンに所属すると自由きかないですし。

そしてとんでもないことを言われたカナタ、諦めてます。

また最期にレインが何かを行っていますね。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

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