久しぶりの緊急事態~レイドとの遭遇~
ヒマリが二歳になり、他の子ども達を見送るカナタ。
キリヒトとヒマリと和気藹々としていると、レインから連絡が入り──
そして二年の月日が流れ──
「ヒマリ、お兄ちゃんとお姉ちゃん達のお見送りだよ」
「うん! いってらっしゃい!」
「行ってくる」
「行ってきます」
「行ってきます」
「行ってきまーす」
「行ってきます」
「行ってくるよー」
「いってきます!」
「いってきます!」
カナタは二歳になったヒマリを抱きかかえて、皆を見送った。
転移ができる子は一人で転移し、そうじゃない子親に同伴されて、転移して出て行った。
「ヒマリはお母さんと遊ぼうね」
「うん、ママと遊ぶ!」
「ヒマリ、パパが玩具作ったよ」
「キリヒト……」
キリヒトが作るのは所謂知育玩具というものだが、相当難易度が高い。
「もうちょっと簡単なもの作りなさいよ」
「でもさ、ヒマリに渡すと──」
「パパ、とけたよ!」
「ほらね」
「ぐむ……」
ヒマリの頭の良さに、カナタは頭痛がした。
大体の子が飛び級だったが、この子もそうなるのだろうか、と。
『カナタちゃーん! レイドが畜産業のところでまたやらかそうとしてるの! やらかしてる連中、止めてー!』
そんな中、レインから連絡が入る。
「えー⁈ 私で大丈夫ですか⁈」
『レイド、カナタちゃんには甘いから‼』
「うー、分かりました!」
カナタはヒマリをキリヒトに預ける。
「キリヒト、ヒマリをお願いね」
「分かったよ」
カナタはその場から指定された場所に転移した。
「「「「虫を食えば良い! 畜産はやめろ!」」」」
「虫食いたきゃ食え!」
カナタは転移させたイナゴの佃煮を連中の口に突っ込むと連中は悲鳴を上げた。
「これが駄目で昆虫食しろとか頭おかしいだろ!」
そう言って、畜産施設に入ろうとした連中の口に強引に詰め込んで、失神させていく。
「ふぅ、これで全員簀巻きにしたぞ」
「ご苦労だったな」
「レイドさん、あ、この連中殺すのは無しで、特務科に突き出すんで」
「……」
「そんな不満そうな顔をしないでくださいよぉ」
「いや、いいんだ」
「なんかまだ不満そう」
「そう言えば子ども達はどうしている?」
「元気にしてますよ、アサヒとレイジが父親に似てきてちょっと困ってるところはありますが」
「似て困る?」
「食事を取らない日が増えてるんですよ、ディオンとアルビオンの真似してそうしてるのがわかるので……」
「そうか……他は」
「ヒマリが予想以上に頭が良くて」
「頭が色んな意味で柔らかいんだろう」
「なるほど」
「特務科が来たな、俺は帰る」
そう言ってレイドは姿を消した。
カナタは特務科の人達に捕縛した連中を渡すと家に転移した。
その最中イナゴの佃煮はあるべき場所に返した。
「ただいまー」
「ママ、おかえり」
「ただいま、ヒマリ。ちょっと手を洗ってくるね」
そう言ってカナタは手を洗いに行った。
「どういう連中だったの?」
「昆虫食にしろという連中だからイナゴの佃煮食わせたら失神した」
「あははは! 凄いね」
「連中の言う昆虫食とは違うからね」
「知っててやったでしょう?」
「勿論」
カナタが頷くと、キリヒトは手を叩いた。
「さすがは僕らの奥さん!」
「それ褒めてる?」
「褒めてるよ!」
カナタはキリヒトに言われて何かなーと言いたげな顔をした。
その日の夜──
「あら、珍しい。アサヒとレイジもご飯食べてる? 美味しい?」
「うん、美味しいよ、母さん」
「カレー美味しい」
「そう、良かった」
カナタは母親の顔をし、安堵の息を吐いた。
遡ること数時間前──
「アサヒ兄さん、これからどうする」
「父さんに稽古をつけて貰おう──」
「お前達がカナタの息子のアサヒとレイジか」
「⁈」
アサヒとレイジが会話をしていると何者かが話しかけてきた。
「そう警戒するな、君の母親と縁ある覚醒者レイドという」
「レイドって母さんが愚痴ってた、あのレイド?」
「氷の覚醒者の?」
「そう、そのレイド、だ」
二人は警戒したままだ。
「何、お前達に会いに来たのは、たまたまお前達の母親と遭遇したときに愚痴られたのを聞いてな」
「え?」
「母さんが?」
アサヒとレイジは何だろうと顔を見合わせる。
「お前達が父親の真似をして食事を取らないようになっている、とな」
「「……」」
「わざわざ、父親達の真似をする必要はあるまい、食事はとりたいだろう?」
「それは……」
「そうだけど……」
「あの二人みたく、霞や水以外食さぬようになると相当だぞ」
「……」
「ともかく、母親を不安がらせるな」
「わかり、ました」
「はい……」
「分かればいい」
レイドの言葉に二人が頷くとレイドは姿を消した。
「「「「「「「「ごちそうさま」」」」」」」」
「はい、ごちそう様」
「父さん達は?」
「急遽入った緊急の仕事だから遅くなるって」
「分かった」
「だから早く寝なさい、宿題は終わらせて」
「終わってるよ」
「兄さん、宿題見てくれる」
「いいとも」
アサヒは、ツムギ達の宿題を見て、確認などをしていた。
「しっかりものねぇ」
「帰ったぞ」
「戻って来た」
「あー疲れた」
「しんどいねぇ」
「面倒だった」
「同感だ」
「同じく」
「そうだねぇ」
夫達が戻って来たので、カナタは出迎える。
「お帰りなさい、今日はカレーライスよ」
「お、カレーか、いいな」
「カレー好きー!」
「いいな」
「カレーか」
「野菜入ってる」
「入れてるわよ、お肉もね」
「じゃあいいねぇ」
カナタは夫達にカレーをよそうと、夫達はカレーを食べ始めた。
ディオンとアルビオンを除いて。
「二人は水でいいの?」
「ああ」
「美味い水だ」
「そりゃあ天然水だからね」
「そうか」
カナタは二人を見て少し複雑な表情をしたが、首をふった。
──二人の特性だもの──
と受け入れ直していた──
カナタはダイレクトにアタックします。
彼らの言う昆虫食は粉状で、カナタの知っている昆虫食は原型なので多分悲鳴どころじゃすまないと思います。
また、アサヒとレイジはレイドに説教されてます、食べたいのに食べないのはおかしいと。
そこまで父親達の真似はしなくていいことを伝えます。
ここまで読んでくださり有り難うございました。
次回も読んでくださると嬉しいです。




