出産~第六子、ジュラスの子~
一年と半年が過ぎた頃、カナタは再び妊活を宣言。
そして妊娠し、時期が来ると出産した。
産まれてきたのは男の子でジュラスの子だった──
シロウが産まれて一年と半年が経過したころ、いつものようにそれはやって来た。
「妊活しよう、そっちはいつも通り任せる」
残されたジュラス、サリ、キリヒトは顔を見合わせて、くじ引きを開始した。
それから二ヶ月後──
「妊娠してる」
検査薬で陽性反応が出ていることを確認するとカナタはディオン達に病院に連れて行かれ、ネオンの検査を受ける。
「はい、妊娠してますね。安静にしてくださいね?」
「はい」
カナタは真面目に頷いた。
家に戻ると、子ども達がわっと寄ってきた。
「お母さん、赤ちゃんできたの?」
「母さん、妊娠したの?」
「母さん、赤ちゃんできたの?」
「ママ、赤ちゃんできたの」
「あーかちゃー」
それぞれ口々に赤ん坊ができたか聞いてくる。
「ああ、だから母さんに無理させないように、何かあったら父さん達に言え」
「うん、分かった父さん」
ディオンの言葉にアサヒが反応する。
「じゃあ、父さん、話したい事があるんだけど……」
アルビオンにレイジが尋ねてきた。
「こっちへおいで」
二人きりで話合っているようで、カナタは一切話を聞かせてもらえなかった。
おそらく出産が終わり、育児が落ち着いてからだろう、話を聞かせてもらえるのは。
「レイジとアルビオン、大丈夫かな」
「大丈夫だろう、あの二人なら。駄目そうなら俺も手伝う」
「有り難う、ディオン」
そう言ってカナタを寝室へ誘導する。
「無理はすんなよ」
「分かってる」
「でも、体は適度に動かしてね?」
「分かってる」
「何か異変があったら即座に病院へ行くぞ」
「わかった」
夫達に気を遣われて、申し訳ないなーとカナタは思いつつも、これは自分の選んだ道なのだからと納得していった。
それからつわり、マタニティブルーなどいつも通りの困難と格闘して、出産予定月に入った。
「じゃあ、ママは入院するから、パパ達の言うことしっかり聞くんだよ?」
「「はい」」
「「「はーい」」」
子どもが生まれた夫と子ども達に見送られ、カナタは病院に到着する。
そして部屋で準備をしていると──
「あ」
「カナタ、どうした?」
「……陣痛と破水来たっぽい」
「「何ぃ⁈」」
ジュラスとサリが驚愕する。
「慌てずナースコールしたよー」
「どうしましたか?」
「あの、陣痛と破水きたっぽくて……」
「すぐ処置室に向かいましょう」
カナタは車椅子に乗せられ、処置室へ連れて行かれた。
それから一時間後──
ふぎゃあふぎゃあ
「産まれたか!」
「少々いつもより時間がかかったがな」
「でも普通の人から見たら早いほうでしょう」
処置室に入って良いと許可が出た三人は部屋に入る。
少し疲れた表情のカナタと、男の赤ちゃんが胸に抱かれていた。
「ジュラスさんのお子さんですよ」
「私の、か」
ジュラスは感慨深そうに、我が子を抱き上げる。
「ジュラスに何となく似てるね」
「もしかしたら女の子はみんなカナタちゃん似で、男の子は父親似なのかな?」
キリヒトが言う。
「どんな子でも、私の子だ。私とカナタの子だ」
「じゃあ、名前決めないとね」
処置室から、部屋に戻され、話合う。
「んーレオなんてどうかしら、ジュラスの会社継ぐ場合でも不自由しないでしょ?」
「そうか、いい名前だ」
キリヒトとサリは壁に寄りかかって三人を見つめている。
「俺達の順番まだ遠そうだねぇ」
「予想だけど、僕が一番最後になりそうだよ」
「え、どうして?」
「何となくね」
「?」
と、サリとキリヒトは二人だけの会話をした。
一週間後、カナタは自宅に赤ん坊を抱きかかえて帰って来た。
「ただいまー!」
「赤ちゃん見せてー!」
「見せてー!」
「みせてー!」
「母さん、お帰り、弟、なんだよね⁈」
「見せてよ母さん」
「はいはい、レオよ。貴方のお兄ちゃんとお姉ちゃん達よー」
カナタは屈み子ども達に赤ん坊を見せる。
「わぁ、可愛い!」
「ジュラスパパにどことなく似てるね、やっぱり」
「そこまで分かるのか、アサヒ」
「うん、何となく」
アサヒの言葉に、ジュラスは驚いた反応を見せる。
「じゃあ、赤ちゃん用の部屋に連れて行くから」
そう言ってカナタは立ち上がり、赤ん坊を部屋に連れて行った。
少しぐずっていた赤ん坊は、オムツを替えると泣き止んだ。
「ふぅ、子育ての第一歩再び、か」
「私も手伝うから、言ってくれ」
「有り難うジュラス」
カナタはジュラスに笑いかけた。
「社長‼ カナタちゃんとの子ができたって聞いたんですが⁈」
「ほぉ誰から聞いた⁈」
ぎろりとゴウの事をジュラスが睨むとゴウは震えだし、
「レインさんに報告してるとき盗み聞きしてました」
「お前減給な」
「そうね減給ね」
レインが姿を現し、笑ってない笑顔をゴウに向ける。
「すみませんでした‼」
「どっちにしろ、子どもはお前らには見せないから安心しろ‼」
「何で見せてくれないんですか⁈」
「教育に悪いからに決まってるだろう‼ お前、カナタにしたセクハラ内容を忘れたのか⁈」
「アレはスキンシップです‼」
「そう言う限り子どもらには会わせない、いいな!」
「そんなぁ……」
「当たり前に決まってるじゃない。あ、ジュラス君、今度の休みにお家に行って良いかしら? 赤ちゃん見たいの」
「ええ、構いませんよ」
ジュラスとレインは和やかにそう会話すると、その場から立ち去り、ゴウだけぽつんと取り残された。
「お邪魔しますー」
「あ、レインさん、いらっしゃいませ」
「よく来たな」
「赤ちゃんは?」
「赤ちゃん用の部屋で寝てます」
「じゃあ、起こさないようにしないとね」
部屋に入ると赤ん坊──レオは泣いていた。
カナタはすっと近づき、授乳しようとすると、男性陣とレインが後ろを向いた。
「お腹いっぱい?」
けぷっとげっぶをするレオを抱きながら、服装を整えて振り返るカナタ。
「何でレインさんまで?」
「いや、一応部外者だから」
「なるほど。もう振り向いても良いですよ」
「ありがとう」
カナタは赤ん坊をレインに抱かせた。
「可愛い子ねー」
そう言って居ると、子ども達が、レインの事を覗き見していた。
レインはたまに来ては子ども達の相手をしていたのだ。
「おいで、みんなで遊びましょう」
子ども達はわっと群がるようにレインに抱きつき、ゲームやパズルなどで遊び始めた。
それをカナタと夫達は微笑ましそうに眺めた──
父親が違っていても仲良しな子ども等。
そんな子ども等に悪影響とされ近づけさせてもらえないゴウとケイ、自業自得ですね。
また、授乳中は気遣う面々、見られたくない人も居ますからね。
ここまで読んでくださり有り難うございました。
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