第二子~好きが分からなくとも~
第二子の妊活を要求するカナタに驚く夫達。
しかし、カナタのお願いには応えなくてはならないと行動し──
「さて、もうすぐ二年経つのでそろそろ次の子を産もうと思います」
「え⁈ アサヒがいくらおとなしい子だからって早すぎない⁈」
「あんまりペースが遅いと全員産むのに時間かかっちゃうから余裕があるうちに次を!」「ディオンお前は抜きな!」
「分かっている」
「うぇえええ……気持ち悪い」
カナタは吐き気を催していた。
あの日から二週間後、カナタは体調を崩すようになっていた。
「……あのさぁ、もしかしなくても」
「妊娠、してるよね」
「一応念のため確かめて貰おう」
ディオンはカナタに近づき、背中をさすりながら言う。
「カナタ、ちょっとこれを使ってくれないか」
「う゛ー……ん? 妊娠検査薬じゃん……まさか、ね」
「頼む」
「う゛ー分かった──」
カナタは検査薬を使用にし行った。
そして戻ってきて真顔になって言う。
「妊娠してたわ」
その場にいた男陣は天井を仰ぎ見る。
「と言うことは……アルビオンが今回の子のお父さん?」
「その可能性は高いが、とりあえずカナタ、君は今日から絶対安静だ。無理はするな」
「うん分かった」
カナタはソファーに座って腹部をなで始めた。
「……おい、ディオン、アルビオンなんでお前らだけこんなに早いんだよ」
男達はひそひそと小声で話し合う。
「そうだよねぇ、早すぎるよね」
「……」
「おい、ディオン。何無言になってやがる」
「……すまん、言うことができない」
「「「はぁ?!」」」
ディオンの言葉に、他の男達はすっとんきょうな声を上げる。
「ディオン、その理由は?」
「……言えない、すまないな」
「出自が原因」
「そうだ」
「気になるなー……」
「まぁ、今回もカナタちゃんがちゃんと子どもを産めるような環境づくりを心がけようよ」
「そうだな」
「確かに」
「そうだね」
各自納得する。
「かあさん、僕に弟か妹ができたの?」
とても二歳とは思えない発言をするアサヒを、抱きしめながらカナタは言った。
「そうよ、でも貴方も私の大事な子どもだという事はちゃんと理解してね、お兄ちゃんになって忙しくなるけど、それでも貴方も大事な子よ」
「……僕、生まれてくる赤ちゃんにとって立派なお兄ちゃんになる」
「すごいわねアサヒ、偉いよー!」
カナタはアサヒを褒めて撫でてから顔を見据える。
「でもね、お母さん達に甘えていいのよ? そこは我慢しないでね?」
「……うん、かあさん、ぎゅっとして」
「はい、ぎゅっ」
カナタはアサヒを抱きしめた。
「アサヒ、ここにいたのか」
「とうさん」
ディアンがカナタの部屋を訪れ、アサヒを抱き上げる。
「何の話をしてたんだ?」
「お兄ちゃんになるって話しと、甘えてもいいんだよって話」
「そうか……アサヒ、私たちに甘えていいんだぞ」
「うん、とうさん」
アサヒはディアンにギュッと抱きついた。
「おぶぇ~~しんどい」
アサヒが居なくなってすぐカナタはグロッキーモードになった。
「気力で頑張ってたの⁈」
部屋に入ってきたサリは驚き、カナタを労る。
「いや、子どもの前だからつい……」
「無理しないでね⁈」
サリはそういうと、カナタの背中をさすった。
そして半年が経過し──
「──現在半年を目前に控えて、お医者さんからはいつ生まれてもおかしくないと」
全員病院に待機して、話をしている。
交代でカナタの様子を見に行ったりしているが、アルビオンが血相を変えてやってきた。
「どうした?」
「……陣痛と破水、両方始まったそうだ。生まれるかもしれん」
「「「「「「「!?!?」」」」」」」
「と、とりあえず、交代でカナタちゃんの側にいよう!」
「ネオンもそれで許可をくれた!」
「う゛ぇ~~い! しんどいけど頑張ってくるよ~~!!」
「そんな死にそうな顔で無理しないで!!」
分娩室へと連れて行かれる空元気なカナタをサリが叱る。
アルビオンがまず分娩室に入った。
その数分後──
「あの……生まれました」
ネオンが分娩室から出て報告した。
「「「「「「「早っ?!?!」」」」」」」
「いや、私も今回もびっくりする位、すぽーんとお生まれになって……」
ネオンも驚いたように言った。
「いやいやびっくりするわ!!」
「これびっくりしない方がおかしいよ」
「それはともかく、母子の様子は?」
「母子ともに健康です」
ネオンはそう言って分娩室から出てくるカナタを見る。
カナタは薄い金髪のとても美しい赤ん坊を抱いていた。
アルビオンは顔を覆っている。
「アルビオン、どうした?」
「……私似だ」
「はー!?!? お前もディオン同様赤ん坊の頃からこんな綺麗だったの?!」
マリが呆れと驚きの声で言う。
「アルビオン、何感極まってるのか、それとも何か不満があるのかわからないけど、いいから抱っこしてあげて。ネオンさんからも、お父さんはアルビオンだって言われたんだから」
「あ、ああ」
布でくるまれている赤ん坊をディオンはカナタから受け取った。
「……」
「私のようにはなるなよ」
ディオンにしか聞こえないほどの声で、アルビオンは呟いた。
赤ん坊は、ディオンの時同様すさまじい成長の早さと、固形物摂取したがらないのが続いた。
「にっに」
「お兄ちゃんだよ、レイジ」
アサヒは、弟の相手をしてあげていた。
「ママ、パパ!」
「ただいまーアサヒ、レイジ。アサヒは良く面倒見てくれたね」
「うん、僕お兄ちゃんだから」
「偉い偉い、でも無理しちゃ駄目よ」
「うん」
「レイジ、いい子だ」
「キャッキャ」
「そういえばそろあそろだぞ?」
「あ、ワクチン接種ね。念のための」
「ああ、あのちくっとする奴……」
「アサヒは泣かなかったけど、レイジはどうかなー?」
「レイジ、ちくっとするだけだからな」
「んー?」
レイジはよく分からないといった風に首をかしげた。
「アサヒはディオンと一緒に寝てるのね」
「で私とレイジが君と一緒に寝るのか」
「ちっちゃい頃は交代でね」
「そうか」
「私はみんなの子を愛したいの、勿論貴方の子もね」
「……有り難うカナタ」
アルビオンが礼を言うとカナタは笑った。
「好きは未だよくわかんないけど、家族愛はよく分かったからなんとかなるって気づけて良かったわ!」
「それ、今言うかい?」
「あははは、ごめんごめん」
カナタは笑った。
彼女は未だ恋愛の好きを理解できない。
だが家族愛としての繋がりなら八人と結婚したことで理解したのだ──
第二子妊娠出産!
アルビオンとの息子が誕生しました!
そして好きは分からないが家族愛は理解しているカナタ。
カナタにとってそれが最善でしょう。
ここまで読んでくださり有り難うございました。
次回も読んでくださると嬉しいです。




