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覚醒者~特別ランクの私は恋愛の好きが分からない!~  作者: 琴葉 悠(琴葉悠)
子だくさんな家族~ただし、旦那一人に子一人だけど~
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早すぎる成長~父親~

カナタはげっそりとしていた。

母乳以外飲まない第一子のアサヒをどうすれば良いのか分からなかったのだ。

そんな時アサヒの父であるディオンが──




 カナタはげっそりしていた。

 赤ん坊はカナタの母乳を求めて大泣きし、吸うのだが、カナタの母乳の生産が追いつかないレベルで求めるのだ。

 その上、粉ミルク、液体ミルクは一切飲まないという困った事態になった。

「おいどうするよ?!」

「赤ちゃんめっちゃ泣いてるんだけど?!」

「……すまん、少し赤ん坊を預からせてくれ」

 ディオンが申し出た。

「解決策があるんだな」

「ああ、だがこれをできるのは父親である俺だけだ」

 ディオンはそう言って赤ん坊を抱きかかえると部屋を後にした。


 しばらくすると、すやすやと寝息を立てている赤ん坊を抱えてディオンが戻ってきた。


「よかった、寝てる……」

「カナタ、君の負担を少しでも俺が取り除こう」

「ありがとう……」


 こうして、カナタが休んでいる時はディオンが赤ん坊の相手をすることで、困難は取り払われた。





「そういえば、この子の名前何にしよう?」

 落ち着き始めた頃、カナタが言い出した。

「……俺よりの名前よりも、君の地域の名前をつけたらいいのでは?」

「よし、かっこいい名前皆で考えよう!」

「そうだね、素敵な名前考えてあげようね」


「……アサヒってどうかな」

「いいんじゃないかな?」

「俺もいいと思う」

「じゃあ、名前の登録に行かないと」

「ああ、そうだな」

「じゃあ、ディオン。カナタとアサヒを任せたぞ」

「分かった」

 ディオンは赤ん坊を抱えて、カナタの手を握り家を後にした。





「そういえば、何でディオンの奴凹んでたんだ?」

「……自分似いや、自分の父親似だから凹んだんだ」

 アルビオンが説明する。

「もしかして……親子仲、めっちゃ悪い?」

「……」

 サリの問いかけにアルビオンは静かに頷いた。

「なるほどーそれは複雑」

「だからって虐待とかしねぇだろうな」

「それはない。カナタとの子だ、大事にするはずだ」

「ならいいんだよ」

 マリはそう言ってクリエイフォンのゲームに没頭し始めた。





「無事名前とかの奴終わったよー、疲れたー」

「お疲れ様、カナタ」

「アサヒはぐっすり寝てくれているから助かったし」

「出掛ける前に、ご飯をたっぷり飲んだからな」

「なるほど」

 すやすやと眠る、白い肌の赤ん坊の頬をふにふにとカナタはつついた。

「アサヒ、元気に育つんだよ──」

 カナタは微笑んでいった。



「わぁ、アサヒがたったよー!」

 カナタが歓喜して言うと同時に、男性陣全員が写真や動画を撮り始めた。

「こわっ?! 早すぎるよ動作が!!」



「まぁま」

「ママっていった!! アサヒ今ママってよんだ!!」

「よっしゃ祝いの酒もってこ……冗談だよ冗談!!」

 マリが悪乗りしたのを男性陣はボコろうとしたのを見て、カナタは吹き出した。



「うわー!! この子離乳食何食べてくれるの?! もうおっぱいでないからどうにかしたいんだけど?!」

 カナタは悲鳴をあげる。

「俺の記憶が正しいなら、おそらく液体だ! 固形物は当分食わん!」

「分かった!」

「スープできたぞ!!」

「アサヒ、ほら、あーん!」

 スープの入ったスプーンをアサヒの口に持って行くと、アサヒはもごもごと口を動かし飲み込んだ。

「やったー! ついに食べてくれた!!」

「これからはアサヒ向けのスープを作る毎日だな」

「そうだな」

「というか歯が既に生えてるのに、どうして固形物はダメなの?」

「すまん、それは分からん」

「ならしゃーないか」

 ディオンの言葉に、カナタは何も疑問を持たず納得した。



「……ねぇ、ディオン」

「何だカナタ」

「アサヒの成長速度、普通の子よりも早すぎない?」

「……早いな」

 既に知育玩具で遊び始めているアサヒを見つめて、カナタとディオンは呟く。

「んー……まぁ、いいか。」

「まぁま」

「はぁい、ママですよー」

 カナタはアサヒに近づく。

「だこ」

「だっこですねー」

 カナタは優しく笑いながら、アサヒを抱っこした。





「おい、ディオン」

「何だ?」

「パパだろ、行ってやれよ」

 マリにそう言われて、ディオンは首を振った。

「いや、その呼ばれていない──」

「ぱぁぱ!」

「パパー呼んでるよー」

「ほれ、行ってやれよ、パパさん」

「……」

 茶化すように言うマリに肘鉄をしてから、ディオンは二人の元へ行った。


「いっでぇ……」

 マリはのたうち回らない程度の痛みに耐えながら静かにうめいた。





「いいなぁ、俺もカナタちゃんとの子ができたらあんな感じになるのかなぁ?」

「さぁ、分からんぞ」

 サリ達はディオン達のやりとりを見ながら話し合っていた。


 各自子どもができたときのことに思いをはせる。

「俺似でもカナタちゃん似でも可愛いこと間違いなし!!」

 サリが楽しげに言う。

「そこまでポジティブだとすごいよ、僕はカナタ似がいいな」

「というかほぼ全員カナタちゃん似がいいよね」

「あー……」

「まぁ、確かにな」

 キリヒトの言葉にレンが同意する。

「そういえば、カナタちゃんの子育て計画はどんな感じなの?」

「とりあえず、二年おきらしい、子どもを産むのは」

「それ体に負担かからない?」

「ネオンさんに聞いたらしいよ、覚醒者の体は修復早いのと夫八人もいるならって」

「全員分生むのに、十六年か……」

 レンが何か思うことがあるように呟く。

「まぁ、その分僕らが頑張って動けばいいだけの話さ」

 キリヒトは何でも無いように言った。

「その通りだな」

「とりあえず、今は全員でアサヒの成長を見守ろうか」

「あと、また妊娠した時のアサヒの対応もちゃんと考えよう」

「そうだな、それはディオンも含めて考えないとな」

 今後について真面目に話し合う、男性陣だった。





「しかし、なんだか悪い気がするな」

「なに?」

 ベッドでアサヒの隣にいながら、カナタは向かいにいるディオンに問いかける。

「今まで交代制だったのが、今は俺が一人でだからな」

「あーなるほど」

 アサヒが大きくなるまで、カナタと一緒に寝るのはディオンという形になったのだ。

 アサヒに何かあったら即座対応できるのは父親であるディオンだけであるために。

「仕方ないよー」

 カナタはくすくす笑いながら、すやすやと寝ているアサヒのお腹をぽんぽんと撫でる。

「それよりも、我が儘に付き合ってくれてありがとう」

「……いや、俺こそ、貴重な経験をくれてありがとう、父親にならせてくれてありがとう」

「これからも期待してるよ、パパ?」

「分かってる」

 そう言って二人は笑い合った──







子どもが急成長ですくすく育っているのに振り回されている親達。

ディオンは自らの何かの経験を生かして子育てしています。

アサヒはディオンそっくりになるのでしょうか。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

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