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交代制~レン、そして一巡し~

講義が終わり家に帰宅するとレンが菓子作りをしていた。

甘く蕩ける菓子を堪能するカナタ。

何故レンが菓子作りをしているのかマリが事情を話す──




 講義が終わり、カナタは家に帰ってくると、リビングは様々な菓子がテーブルに置かれていた。

「うわすごい、レンこれどうしたの?」

「いやなに、その、ちょっと作りたくなったんだ」

「食べていい?」

「構わない」

「わーい!」

 カナタはケーキを口にした。

 甘く蕩けるチョコレートの味と優しいスポンジの部分にうっとりとする。

「美味しいー!」

「なら良かった」

「お、レンが菓子作りモードに入ってるな、食ってもいいか」

「レンちゃん食べていいー?!」

「構わんぞ」

 マリとサリが入ってきて、同じく菓子を食べ始める。

「菓子作りモード?」

「何かあると起きることだ、まぁよっぽど──」

「マリ、それ以上言うな」

「緊張してるってことだよね!」

「サリ……」

 菓子を作りながら、レンは重い息を吐いた。

「緊張してるって……今日私と一緒に寝ることが?!」

「そうそう」

「レンの奴はそういうのに奥手だから仕方ない」

「マリ、後で絞めるからな」

「やめろ!」

 マリ達のやりとりを見て、カナタはぽかんとしつつもケーキを口にした。





「レン、大丈夫?」

「大丈夫だ」

 黒い寝間着を着てカナタのベッドの端にいるレンに、カナタは声をかける。

「そんなに距離を取らなくても……」

「いや、俺は少々寝相が悪い」

「なら仕方ないか」

 カナタはレンの言葉に納得した。

「でも、落ちないように注意してね、お休み」

 カナタは明かりを消して、目を閉じた。





 カナタが眠って数分後、レンはふぅと息を吐いた。

「全く、我らがお姫様……もとい妻は無防備すぎて困る」

 そう呟いて目を閉じ、眠りについた。





「一巡したね」

 カナタの言葉に、その場にいた八人が頷いた。

「じゃあ、またはじめからがいいんだけど、だめ?」

「駄目じゃない」

「ダメじゃないよー!」

「安心しろ問題ない」

 等と、男達はカナタの意見を肯定した。

「そっか良かった」

「ところでカナタちゃん」

「なに?」

「学校で学友とかできた?」

「できないよ」

「……そっかー」

「作る気ないし」

「なるほど」

 カナタの言葉に皆がため息をついた。

「どうして?」

「だって皆色眼鏡で見てくるんだもん。面倒くさい」

「「「「あー……」」」」

 カナタの言葉に納得してしまっていた。

「結婚してて、夫が八人もいるってだけで普通の人から見てもとんでもない大学生でしょう? それなのにそのうちEXランクになるかもしれない覚醒者なんだもん私」

「……まぁ、その条件が学生である間は達成されないがな」

「そうなんだよねー」

 カナタは頷く。

「まぁ、それでいいんだけどさ。Sランクの覚醒者私だけだし今の学年」

「そうなのか?」

「うん」

「だから割と怖がられる」

 カナタは息を吐いて、肩を落とした。

「そう気を落とすな」

「他の人達とは違う扱いだからショックは受ける」

「え、そうなの?」

 カナタの言葉に予想外と言わんばかりにサリが頷く。

「私の能力があるからテストとか論文全部余裕で満点状態だから教授もそこは抜きにして違うこと任せてくるんだ」

「あー……」

「そういえば、覚醒者になってからテスト満点だって言ってたな……」

 アルビオンが思い出したように呟く。

「そ、だから研究のお手伝いをさせられるのが多いのよー基礎研究は大事だからねー」

「確かに基礎は大事だ、基礎無くして発展は無い」

 レンが頷く。

「講義はどうなんだ?」

「出てるよー、でも何でか助手させられることが多いんだよねー」

「よし、教授に抗議しに行こう」

「いや、私は別にきにしてないからいいよー」

「本当か?」

 ディオンが念を押すように尋ねる。

「うん」

「……嘘はついてないな、ならいい」

「何で私の事そんなに心配するのかなー?」

「「「「「「「「寧ろ何故心配されないと思う??」」」」」」」」

「えー?」

 皆の言葉に、カナタは首をかしげるばかりだった。



 夜、運悪く八人とも呼び出しをくらい、居ない時間帯カナタは帰ってくるまで起きていようと本を読んでいた。

 すると黒衣の存在が現れた。

「あ、こんばんは」

『私に対してもそのような態度は好ましいな』

「ありがとうございます、ところで今日のご用件は?」

『お前はやはり可能性の塊だと、再確認した』

「はぁ」

『今後も、頼むぞ』

 そう言って黒衣の存在は消えてしまった。



「カナタ無事か?!」

 少しして、ディオンが寝室を訪れた。

「無事だよーってぐるじいー」

 抱きしめられて、カナタはじたばたする。


「奴に何かされなかったか?」

 漸く解放されたカナタは首を振った。

「……奴め、何を考えている」

「わかんないよ、私も」

 カナタはそう言ってからディオンを抱きしめた。

「ともかく、お疲れ様。心配で早く帰ってきてくれたんでしょう?」

「……ああ」

「ありがとう、ディオン」

「……アルビオン達ももうじき帰ってくる」

「そっか」

「全員で安全確認するからそれまでは起きていてくれ」

「げー」

 カナタはげんなりした顔をした。

 が、すぐに、いつもの表情に戻った。

「まぁ、いいか。心配してくれてるんだもん」

 そう言って他の七人の帰りを待った。





 全員が集合すると、家の隅々を異常がないか確認し、またカナタの精神も異常がないか確認されるという徹底ぶりだった。

 カナタはそこまでしなくとも、と思ったが、よく考えるとある意味不法侵入されているのだから仕方ないかと納得した。





「……あの、ディオン達の新婚生活に首を突っ込むのはお控えいただければ……」

 ドミニオン本部で、レインの前に黒衣の存在がいた。

「……はぁ、まぁ『息子』達と、覚醒者の希望にも見える子が一緒にいるんだから気になるのは志方ありませんが……」

 黒衣は語らない。

「『ご子息』が貴方を嫌っている理由も分かってらっしゃるなら、もう少し手心というかなんといいますか……」

 レインは非常に言いづらそうに意見した。

「ああ、はい、分かりました……」

 黒衣の存在は姿を消した。

 レインは疲れたようにテーブルに突っ伏した。


「本当あの御方の考えはわからない……!」








レンも緊張していたんです。

また学校生活も心配されているカナタ。

そんなカナタの前に現れるあの御方。

ディオンとアルビオンは結構頭にきてます。

そのことが頭痛の種になっているレイン、可哀想。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

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