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交代制~マリとサリ~

カナタがゲームで遊んでいると中々クリアできない場所に遭遇し、代わりにマリがクリアする。

そんなやりとりとほのぼのしながら、寝る時間になったので寝室に行くカナタ。

カナタが居なくなり、彼女の無防備さを語るマリ達──




「カナタ、今どこで詰まってる?」

「ここで……」

 カナタは家の遊戯室でマリとクリエイフォンのゲームを見せ合っていた。

「あー難所扱いされてる場所だな、ちょっと手持ち見せてみろ」

「うん」 

「……何でこんだけいるのにダメなのか、まぁいい俺にちょっと貸せ」

「やった!」

 カナタはクリエイフォンにのぞき込みマリがゲームの難所をいとも簡単にクリアする様子に感心した。

「マリって本当にゲームが得意だね!」

「だろ?」

「でも、何でガチャは毎回爆死するの?」

「知らんわ!!」

 カナタの疑問にマリは叫んだ。

「マリ、やかましい」

「いで!」

 レンがマリの頭を叩く。

「マリちゃんの爆死芸は今はほとんどないからねぇ、ガチャは基本カナタちゃんがやってくれるから俺も安心」

「財布にも優しいしな」

「いでで……俺は何故カナタの引きが良いのか非常に気になる……そういう能力が──」

「ないよ、レインさんも言ってたし」

「純粋に運がいいだけだという訳か」

「そういうことになるね」

「俺は純粋にガチャ運が悪いのかチクショウ!!」

 マリは頭を抱えた。

「それよりも、二人とも」

「ん?」

「そろそろ寝る時間だぞ、あと今日はマリ、お前が一緒に寝る日だろう」

「あ、そうだ」

「もうそんな時間か……」

 時計を見て、二人の言葉に頷くカナタ。

「カナタ、先寝室いってろ、俺はこいつらとちょっと話してから行く」

「うん、分かった」

 カナタはマリの言うことに頷き、そのまま部屋を出て行った。





「……何なんだ、あの無防備は」

「わかる」

「同意する」

「信頼した相手にはとことん無防備になるのかカナタは」

「裏切ったら相当ヤバいことになるねー」

「やんねーよ!」

 サリの言葉にマリは怒鳴った。

「とりあえず、俺も寝るわ。最近仕事で忙しかったからゆっくり寝られる時は寝たい」

「うん、お休みー」

「休めよ」

 マリは二人に背中を向けて手を振り、部屋を後にした。





「あ、来たんだ」

「そりゃな」

「……てっきり二次嫁Tシャツ着てくるかと思った」

「着ねーよ!」

「でも『ガチャ運ください』ってTシャツあるのはちょっと面白いね」

「ほっとけ!」

 Tシャツとルームウェア用のズボンを履いたマリを見てカナタはクスクスと笑った。

「本当、何で爆死ばっかするんだ俺は……」

「ゲームのガチャ運以外の所で運使ってるんじゃない?」

「マジでそんな気がする」

 カナタはふふっと笑って目を閉じた。

「明日もゲームしようね、お休みー」

「おう、お休み」





 十数分後、すぴすぴと寝息を立てているカナタを見てマリは呆れた様に息を吐いた。

「本当、俺等で良かったな」

 そう言ってマリも目を閉じて眠りについた。





 翌日講義終了後、カナタは久々仕事の呼び出しを受け、覚醒者達の犯罪グループの制圧を行っていた。

「どっせい!」


 どごぉ!


 ハンマーで吹き飛ばされ壁に激突して気絶する覚醒者を見て息を吐く。

「ふぅ、後は……」

 一緒にかり出されたサリを見る。

 青い鎧を身に纏い、鞘に入った刀で犯罪グループの一団をのめしていた。

「こっち終わったよー!」

 サリが鎧を脱いで、報告する。

 鎧はサリが脱ぐと消滅した。

「じゃあ、特務部隊と警察に引き継いだら、帰ろっか」

「そうだね」


 しばらくして警察と特務部隊がやってきて戦闘不能になった犯罪グループを連れて行ったのを見送ってサリとカナタはドミニオン本部にいるレインに報告してから家に帰還した。



「それにしても、犯罪グループとかまだあるんだ……」

「そだねー……まぁそういうのが居るから俺等の肩身狭くなるんだよねー……」

「そうならないように、俺達が出るんだろう、捕まえる為に」

「……」

 カナタは無言になる。





 レンとサリは生まれながらの覚醒者だ。

 その為、親は育てられないと施設で育った二人。





「あのさ、二人は、親の顔を知ってる?」

「突然なんだ? まぁ、知らんな」

「俺もだよー」

「そっか……」

「施設の職員に知りたいかと聞かれたが拒否した、生んだことには感謝するが覚醒者というだけで施設に預けた──基俺達を捨てたんだ、知りたいと思わない」

「俺も同感──育てられないならまだしも、覚醒者だからっていうだけで差別されたんだもん俺等」

「似たような子達、いた?」

「居たよ、でもみんな親の顔を見ない事を選択した。理由は簡単だ、恨んでしまうからね」

 カナタの質問にサリが何でも無いように答える。

「覚醒者というだけで捨てたという場合は恨むよ、ただ生んだけど育てられないから施設に預けて休みの日に顔を見せるとかする親も居たよ、みんなそういう親の子はうらやましがった」

「育てられないってのは……出産後体を壊してとかそういうの?」

「そそ、一人親と、あまり裕福じゃない家庭が多かったかな? 覚醒者は結構特別だからね、育てるのが大変な所もあるから余計施設に頼る場合もある」

「……そっか」

「カナタ」

「何?」

 レンの呼びかけに、カナタは何だろうと首をかしげた。

「もし、君が子どもが欲しいとなった場合、生まれた子どもは確実に覚醒者だが、俺達はちゃんと育てるぞ」

「まぁ、保育施設とかは使うかもしれないけどね!」

「……そっか、ならいいや」

 カナタは安心したように息を吐いて寝室へと向かった。





「結構アレな話しちゃったね?」

「そうだな」

 カナタが居なくなってから、サリとレンは話を始めた。

「だが、知らなければならない事でもあったんだろう」

「そうだね。あ、今日は俺がカナタちゃんと一緒に寝る日だから、んじゃ!」

「あんまりおしゃべりして寝られないとかするなよ」

「分かってるよー!」

 ひょいひょいと足取り軽く部屋を後にするサリを見て、レンは呆れたような息を吐き出した。





「カナタちゃんお待たせ~!」

「甚平? 着てる人初めて見た」

「そうそう、俺こういうの好きでさー!」

 青い甚平を着てベッドに入るサリを見て、カナタはほへーと口を開けた。

「ところで、カナタちゃんはこういうの着ないの?」

「浴衣とか着物? ああ、ちっちゃい頃は着たことあるんだけど……今はちょっとね」

「似合うと思うのになー」

「締め付けが苦しくて苦手なの」

「ああ、なるほど」

「んじゃ、私寝るね。お休み」

「うん、お休みー」

 カナタは明かりを消して目を閉じた。





 カナタが寝息を立て始めた頃、サリはにこりと笑ってカナタを見た。

「大丈夫、俺達みたいな悲しいことは起こさせないからね」

 そう言って目を閉じ、眠りについた。







マリとサリが一緒にベッドで添い寝する話でしたね。

マリはガチャとカナタの無防備さについて。

サリは覚醒者だからと捨てられた事が理由で親の顔を見ないという二人の会話に、同情的なカナタ。

カナタにはそんな思いをして欲しくないと願うサリでした。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

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