交代制~ジュラスとキリヒト~
ドミニオンに居ると寄ってくるゴウにカナタは嫌悪感を抱いていた。
そんなゴウの息の根を止めたらどうだと言うアルビオンの発言にカナタは──
「やはりいつ見ても君の側に近寄ろうとするゴウは気持ち悪いな」
「言葉だけならいいんだけど、実行する内容が気持ち悪いから生理的に受け付けないのよ」
家に帰ってきたジュラスとカナタはため息をつきながらそう話をしていた。
「どうしたんだ、二人とも」
アルビオンが二人に声をかけてきた。
「いや、今日我が社の恥さらしがカナタにまた何かしようとしてな、とりあえず減給にはしておいた」
「殺した方が早くないか?」
「ダメダメダメ!! 殺すのはダメ!!」
アルビオンの発言にカナタは即答した。
「分かった」
「お願いだからすぐ殺すとか物騒発想に行くのはやめて欲しいの!!」
「……分かった」
「じゃあ、半殺しか奴は?」
「いや、私が前ぶちのめしたから私以外実害出てないから、そん時対処──」
「「それでは遅い!!」」
「ひぇっ」
二人に叱られ、カナタはびくっと委縮した。
「実害が君だけであっても君が傷ついていい理由にはならない」
アルビオンがカナタの手を握った。
「無意識化だが、君は奴の行動に傷ついている、だから我慢するな」
ジュラスがカナタの肩に手を置いた。
「うん……」
カナタは自信なさげに頷いた。
「俺は奴の行動の事を君に関してはもっと制限するよう言ってくる、ジュラス後は任せた」
「いいのか?」
「構わない」
アルビオンはそう言って姿を消した。
「……疲れちゃった」
「そうか、じゃあ早めに夕食をとって入浴して休もう」
「うん……」
カナタは疲れたように言ってジュラスに手を引かれた。
「ジュラス先に休むけどごめんね……」
「いいんだ、元気な時話とかしてくれれば」
ジュラスはそう言ってカナタの手を握った。
「お休み、カナタ」
「お休みなさい、ジュラス……」
カナタが目を閉じて少しすると、静かな寝息が聞こえてきた。
ジュラスはカナタの布団を整えてからそっと寝室を後にした。
「ジュラス、カナタちゃんは?」
「疲れてる様だったから先に休ませたよ」
「アサギリ君のセクハラ系統が相当キてるみたいだね」
「アルビオンがレインに報告してくれたから改善を望もう、それが駄目なら接近禁止だ」
「当分の接近禁止を取り付けたぞ」
「アルビオン!」
「レインと俺とディオンでのめしておいた、それと合わせて接近禁止も取り付けた」
「有難い、会社では比較まともなのだがな」
「其処迄好かれるカナタちゃんは理解できるけど、セクハラはだめだよねぇ」
キリヒトの言葉にその場にいる全員が頷いた。
ジュラスは寝る時間になり、カナタの寝室へと向かう。
眠っているカナタを見て、微笑みそしてベッドに入る。
「お休みカナタ」
そう言ってジュラスは目を閉じた。
「そういえば、本来昨日キリヒトだったんじゃないの?」
「ああ、僕? うん、昨日仕事で遅くなりそうだったからね、今日と交代したんだよジュラスと」
朝朝食を食べながらカナタはキリヒトにたずねた。
「ふぅん」
カナタはジャムの塗られた焼き立てのトーストを食べつつ、ホットミルクを飲んだ。
「今日は仕事大丈夫ってこと」
「うん、だから今日いっぱい話しようか」
「難しい話は無しでお願い」
「分かってるよ」
カナタの言葉にキリヒトはくすくすと笑った。
「え?! 一緒に寝るだけなの?!」
「アイカ五月蠅い……」
講義が終わり、久々に友人たちと顔を合わせて話をして言われた言葉にカナタは眉をひそめる。
「だ、だって……結婚して、一緒の家に住んでるのに、やる事やってないって──」
「あのさぁ、結婚=セックスするじゃないのよ。というか向こうが拒否してるし」
「え?」
「私が今の学校卒業するまで手は出さない、ってさ」
「いい事じゃない、妊娠すると大変だからね。子育てしながら大学行くのとは別で」
「そうそう、子ども連れて大学行っていい世の中だけども、妊娠しちゃうとまた色々面倒があるからね」
「そゆこと」
「マヤ、流石理解してくれてる、有難い」
「付き合い長いからねぇ」
「二人ともずるいなぁ……」
「そっちは、結婚してないからまだそういう事はしない宣言されてるんでしょう?」
「そうなの~~!!」
アイカの言葉に、カナタとマヤは二人そろって息を吐いた。
「アイカ、アンタ学生時代にそういうことしすぎ」
「うう~~!」
「全く……」
「カナタ、そろそろ帰りな?」
「あ、うん。そうだね、時間も時間だし。じゃ」
カナタはそう言ってファミレスを後にした。
「アイカ、カナタにそう言うデリケートな話は今後しないで」
「ど、どうして」
「彼女の負担になってるから」
「な、なんで……」
「結婚したのに、そういう事をさせない自分が結婚相手の皆の負担になってないかな? なんて考えてるのよカナタは」
「……そ、そうなんだ」
「わかったならいい」
マヤはそう言って冷めた紅茶を飲み干した。
「……」
「カナタちゃん、どうしたの?」
「え、あ、うん、別に」
夜、寝る時間になったのでベッドに入ったカナタと交代制でやってきたキリヒトが会話をしていた。
「嘘だね、何かあった?」
「い、いやそのー……その、友達に結婚したのに……しないんだ、って驚かれて」
「あー」
キリヒトは少し考えるような仕草をした、ベッドに寝たまま。
「そうだね、僕等は君が好きで結婚をお願いしたんだ」
「う、うん」
「だからさ、君が不利益になることは今は避けたい」
「不利益?」
「多分別の友達が言ったと思うけど、子育てをしながら学校に行くのと、妊娠して学校に行くのは別物だ」
「うん……」
キリヒトの説明するような物言いにカナタは頷いた。
「子育ては何処かに預けるスペースがある、でも妊娠はどうにもできない、本人の体を消費して行うんだ、君の体をね」
「……」
キリヒトはカナタの腹部をぽんと撫でた。
「まだ学生の君が妊娠したら、君が大変なんだ。僕等はそれをどうにもできない、助けてあげられない」
「……」
「だから今はしない」
「学生じゃなくなったら?」
「その時は、痛がったら誰かが必ず君の傍で背中をさすったり白湯を持って来たり、色々できるけど今はできない。学生の君の傍にずっと交代でいると君が変な興味を持たれかねない」
「あー……」
カナタは納得したような声を出す。
「そういう事もあるから、僕等は今のカナタちゃんには何もしないのさ」
「じゃあ、学生おわったらするの?」
「いや、しないよ?」
「へ?」
「君がいい、と言うまで僕等は君に手を出さない。だって君が大切だからね」
「……」
「まぁ、その時誰が最初かでもめそうだけどね!」
「あははは、確かに!」
キリヒトの言葉に、カナタは何かおかしくて笑ってしまった。
「ちょっと、カナタちゃん、これ笑い話じゃないんだよ?」
「ごめんごめん」
カナタは謝ると、布団の中にきちんと入る。
「色々すっきりした、ありがとうキリヒト」
「どういたしまして」
「じゃあ、お休みなさい」
「お休みなさい」
カナタは明かりを消して、目を閉じた。
「全く、大変な友達を持ってるね君は、でもちゃんとフォローしようとしてくれる子もいる、よかったよ」
キリヒトは安心した様に呟いてカナタの頬を撫でてから、目を閉じた。
何があっても人殺しは駄目なカナタだった。
そして結婚=セックスという考えはカナタの負担になっています。
それをマヤは見抜いてるからアイカに説教をしました。
カナタも色々悩んで居るんです。
ここまで読んでくださり有り難うございました。
次回も読んでくださると嬉しいです。




