交代制~ディオンとアルビオンの場合~
ゴウが五人に袋だたきにされた日の夜。
カナタの寝室にディオンがやって来て──
ゴウが五人に袋だたきにされた日の夜──
「ディオンからなんだ、写真とった順番?」
「ああ」
カナタの寝室にディオンがやってきた。
パジャマではないが、ラフな格好をしていた。
「パジャマは着ないんだ」
「俺とアルビオンは睡眠もあまり必要としない」
「じゃあ、私と一緒の時だけでも寝てくれる?」
「──分かった」
少し間を置いてディオンは答えた。
ベッドに入り、カナタはディオンを見る。
なんとなく居心地悪そうにしてた。
「その、ごめんね」
「謝る必要は無い、めったに寝ないから少しばかりとまどっただけだ」
「……何で寝ないの」
「今は答えられない、すまない」
「ううん、そう言ってくれるだけでいいよ」
カナタの言葉にディオンは淡く微笑んだ。
「……私ね、一人で寝るのが嫌だったんだ」
「そうなのか?」
「うん、でも一人で寝れるようになりなさいって言われて、まぁそうだよなって一人で寝てたの」
「……そうか」
「だから、こうやって誰かと家族になって一緒に寝るなんて夢みたいだな~~覚醒者になる前は結婚なんて夢のまた夢だし」
「結婚に憧れがあったのか?」
「結婚というか、家族かな? お母さん達も家族だけど、それとは違う幸せな家庭っていうのも憧れてたの」
カナタのその言葉に、ディオンは彼女の肩に手を置いた。
「ディオン?」
「カナタ、今は幸せか?」
「あはははー、結婚してまだ一年もたってないじゃない。まぁ、幸せではあるよ、これからも幸せでありたいのがお願いかなぁ」
「分かった、俺達は君を幸せにする」
「違うよディオン」
カナタは首を振った。
「皆で幸せになるの、それが私が欲しい幸せなの。私だけが幸せで、他の皆が不幸なのはお断り」
カナタはディオンの頬を触った。
「だからさ、一緒に皆で幸せになろ?」
「──ああ、分かった」
「うん、じゃあお休み」
「お休み」
カナタは明かりを消して目を閉じた。
「……カナタ」
明かりが消えて、カナタが眠りについて十数分後、ディオンはカナタの頬を撫でた。
「俺には難しいかもしれないが……一緒に幸せになる、努力をしよう……」
ディオンはそう言って目を閉じた。
翌日の朝、カナタが目を覚ますとディオンが居なかった。
「おはようカナタ」
ディオンがいつもの黒衣に身を包んで、現れた。
「あ、ディオンお早う、先に目覚めたの?」
「ああ、そして朝食を作ってた」
「え? あ! そうだ私ここに居る間、今まで食事一度も作ってない!!」
「気にするな、俺達の役目だ」
「気にする! お昼は私も手伝わせて!」
「分かった、だからそう怒った顔をしないでくれ」
「あ、うん。ごめん……」
カナタはしょんぼりした顔をする。
「そういう顔もあまりしないでくれ、良心が痛む。ともかく早く着替えてきてくれ」
「うん」
カナタはいつもの表情に戻り、服を着替えた。
着替え終わると、部屋の外に出る。
ディオンが待っており、手を差し出された。
カナタはその手を取り、いつものように案内される。
食堂では、他の七人が集まっていた。
「おはよう、カナタ」
「おはよう、アルビオン」
「カナタ、昨日は寝られたか?」
「おはよ、ジュラス。うん、ばっちり」
「そうか、それはよかった」
「ありがと、レン」
カナタはディオンに促されるままに椅子に座る。
「今日の昼食手伝わせて欲しいの、料理一応できるし、手伝いたいの」
「そうか、昼食の料理はジュラスとレオンとキリヒトが担当のはずだ」
「じゃあ、手伝わせてね」
「あ、ああ」
「う、うん」
「頼んだよー」
気軽そうにしているのはキリヒトのみで、レオンとジュラスはカナタの手伝いと聞いて少し緊張しているようだった。
食事を終えて、自動食器洗浄機で洗われ、乾いた食器類を仕舞うと、カナタは休みで、仕事も入ってないので、マリとともに遊戯室へと行き、ゲームに熱中した。
「あー! マリに勝てないー!」
「俺に勝つにはまだまだだな」
「マリちゃんゲームは強いからねぇ」
「……そのマリにろくにゲームをやってないのに勝つディオンとアルビオンが俺は非常に気になるが……」
「あいつらぜってぇどこかでゲームやりこんでるって!」
レンの言葉にマリは反発する。
「いや、レインが『あの二人ゲームなんてほとんどしないわよ、今はカナタちゃんがやってるゲームを一緒にやる時に遊んでるみたいだけど』と話していたからそれはないだろう」
「まぁ、そのあの二人がゲームやる図がなんか不釣り合いに見えるの俺だけかな?」
「安心しろ、俺もだ」
「俺もだよ!」
「私もー」
「カナタちゃんもかー!」
サリが嬉しそうにカナタの肩を叩く。
レンはどことなくショックを受けている二人を見て、ため息をついた。
その夜。
「今日はアルビオンだね」
「ああ」
「……ひらひらだね」
「……変か?」
アルビオンの来ている寝間着は袖の長いワンピースのような寝間着で、似合っているものの、不思議な感じがした。
「ううん、似合ってるよ」
「ありがとう。ディオンから聞いていると思うが、私もあまり寝ないから……その」
「いいの、付き合って貰ってるだけ嬉しいから」
「……ありがとう」
「お礼を言うのはこっちだよ。ありがとう」
カナタがそう言うと、アルビオンは少し微笑んだ。
微笑んでからいつもの表情に戻り口を開いた。
「聞きたいことがあるのだが」
「なぁに?」
「……私とディオンがその、ゲームをやるのは似合わないのだろう?」
「あー……」
アルビオンの言葉にカナタがあちゃーと言わんばかりの顔になる。
「んーうん、ごまかさずに言うわ。マリや私がやってるゲームをやっているイメージが今も何かわかないんだ」
「……そうか」
「どっちかというと頭脳派のテーブルゲームやってる方がしっくり来るからさ……」
「そういう、もの、なのか?」
「雰囲気がちょっとゲームバリバリやってますっていう雰囲気じゃないから二人は……マリに関しては公言してるし、雰囲気もあるから……」
「じゃあ、私達も公言した方がいいのか?」
「いや、ギャップがすごすぎてちょっとついて行けないからやめてくれると嬉しい」
「……」
どこかしょげた雰囲気を出すアルビオンに、カナタは頬をかいてから、手を握る。
「まぁ、そういうの始めたのがここ二、三年の間だからね。私もしばらくすればみんな慣れるよ、二人がゲームしてる姿に」
「そうか……?」
「多分ね」
カナタは苦笑した。
「じゃあ、お休み、アルビオン」
「お休み、カナタ」
カナタは明かりを消して、目を閉じて眠った。
眠ったカナタの髪の毛をすくい、口づけてアルビオンは呟いた。
「君の隣にいることが当たり前であることのようになれるよう、私は君を愛するよ」
「お休み、良い夢を」
アルビオンも目を閉じ、眠りについた。
ディオン、アルビオンと寝ましたね。
普通に寝るだけ。
カナタはまだ学生なので手は決して出しません。
安心しきって寝る彼女が大切なのです。
ここまで読んでくださり有り難うございました。
次回も読んでくださると嬉しいです。




