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卒業式~それぞれの道~

カナタが高校を卒業する日がやって来た。

卒業式カナタは涙を流すこと無く淡々と物事を受け入れた──




 卒業式の日がやってきた。

 カナタはその日は仕事を完全に休み、卒業式に参加した。

 涙を出すこと無く、卒業証書を受け取り、卒業時の歌を歌った。



 涙を流している同級生達を見ながら、カナタは一人もう座ることの無いであろう椅子に座ったまま外を見る。

「カナタ」

「なに、マヤ」

「幸せになってね」

 マヤの言葉にカナタはきょとんとしてから笑った。

「どうしたのよ急に」

「これで、学校はもう一緒じゃないからね。会う機会が減っちゃうから」

「ああ……確かに」

 カナタは覚醒者が行く学校に進学することになった。

 マヤ達普通の人とは異なる道を歩むことを決めたのだ。

「大丈夫、休みの日は一緒に遊ぼう?」

「駄目よ、旦那さん達いるんでしょう? 家族を優先して」

「全く、マヤには叶わないわ」

 カナタは苦笑した。


 カナタは校舎を出て、見上げる。

 三年間、正確には二年と半年以上普通の高校生とは違う暮らしをすることになって普通の高校生をあまりできなかった学校。

 不満はたくさんあるけれども、覚醒者となった自分を今も慕ってくれる後輩達がいるからカナタはそれで良かった。


「「「「カナタ先輩ー!!」」」」


 後輩のヒカリ達がやってきた。

「カナタ先輩卒業おめでとうございます!」

「どうもね、ヒカリ」

「カナタ先輩、卒業おめでとうございます」

「カズもありがとう」

「先輩、よければこれ貰ってください」

「お願いします!」

 カナタは箱を渡された。

 中に入っていたのは綺麗な青い宝石のブローチだった。

「ちょ、これハンドメイド?!」

「皆でデザインとか考えて作ったんです!!」

 フミカが顔を赤くして言う。

「つけてくれとは言いません、受け取ってください。お願いします」

 タカネが頭を下げた。

 カナタはにっと笑い、ブローチを制服につけた。

「確かに貰ったよ!」

「「せ、先輩~~!!」」

 号泣するヒカリとタカネを見てカナタは苦笑した。


「か、カナタ!」

「……アイカ、どうしたの」

「あ、あのさ。マヤに紹介してて、大丈夫って言われたから、紹介したい、人いるの」

「年は?」

「私の行く、大学の、先輩。二個上」

「ならよし、会おう」

 アイカに案内されるまま、彼女がよくいる公園で待っている、大人の女性と言って相違ない髪の長い女性がいた。

 女性はこちらを見るとにこりと微笑み会釈した。

「アキナさん!」

 アイカが彼女に駆け寄る。

 カナタはゆっくりと歩いて二人に近づいた。

「初めまして、アキナです」

「初めまして、カナタです、一つ、質問いいですか?」

「何ですか?」

「アキナさんは、アイカの所業というかやらかしを全て知ってますか」

 カナタの言葉に、アキナは苦笑して頷いた。

「アイカさんからも、マヤさんからも聞きました。大変だったでしょうカナタさん」

「ええ、本当……で、大丈夫なんですか?」

「いいんですよ。私も施設暮らしで、親を頼れない……いえ、親を信じられなくなった身ですから、彼女の気持ちも分からないではないんです」

「なるほど……」

「ですから、二人で信じ合える家族を作っていきたいと思ってますただ──」


「やらかしたら、そのときはちゃんと罰則も考えてますので」


──あ、この人なら大丈夫そう──


 アキナの言葉にカナタは安心したのか頭を下げた。

「アイカをよろしくお願いします。アイカ返品されないよう努力しろよ」

「わ、わかってる!!」

「ふふ」

 カナタは呆れた様に言い、アイカは慌てふためいて答え、アキナは楽しそうに笑った。





「「カナタちゃあああああん!!」」

「げ」

 ドミニオン本部に卒業したことを伝えにレインの居る本部長室に来ると、ケイとゴウが一緒にやってきて土下座したまま入ってきた。

「な、なに?」

「カナタちゃん」

「お願いします、制服のボタンください」

「いや」

「「そんなぁああああ!!」」

「ええい!! よるな触る──」


 ドゴ! バキ!


 音が聞こえた。

 ディオン達八人が、ケイとゴウをたたきのめした音だった。

「レイン、こいつら監獄に入れた方がよくないか?」

「う、うーん。どうしようかなぁ……被害がカナタちゃんだけだし、稀だし……」

「稀だろうがカナタに被害が来ているんだ、ぶちこめ」

「「八人そろって結託してカナタちゃんを独占した卑怯者が何を言うかー!!」」

 血涙を流さんばかりの勢いで言う、ケイとゴウに、カナタはあきれのため息をついた。

「あのさ、確かに八人そろって結婚は申し込んだけど、受け入れたのは私! で、その後結婚申し込んだアンタ達を拒否したのは私!!」

 語気を強めて言うとカナタははっきりと言った。

「アンタらは生理的に無理! その性格直しても結婚する気はない!! 以上」

 カナタの言葉に、二人は硬直し固まって倒れた。

 レインが近づき、足蹴にする。

「意識失ってるわ、よほど効いたのね、今の言葉」

「効いてくれて良かった……」

「とりあえず医療班こいつら隔離部屋に入れといてー」

「「了解しました」」

 医療チームが二人を引きずって部屋から出て行く。


「とりあえず、卒業おめでとう……だけど、次も学校あるのよね」

「本人の実力というか単位とかで卒業年決まるので……まぁ平均は四年らしいですけど」

「カナタちゃんの能力なら二年くらいじゃないかしら」

「プレッシャーかけないでください」

「大丈夫大丈夫」

 あっけらかんとした雰囲気になっていうレインにカナタはため息をついた。


 ディオンとアルビオン達八人が居なくなりと、二人っきりになると、レインはカナタに声をかけた。

「カナタちゃん、黒衣に身を包んだ御方に会わなかった?」

「ああ、会いましたよ」

「やっぱり、ディオンとアルビオンがなんかカリカリしてるから……」

「二人のお父さんなんですよね?」

「あ、そこまで知ってるんだ」

 レインは驚いたように言った。

「その方は、自分は父と呼ばれるべきではないって言ってましたけど……」

「でしょうね……」

「それで、その何か?」

「カナタちゃん、その方は『黒き御方』と呼ばれているの」

「『黒き御方』??」

「そう、この世界ができた頃からずっといる謎の御方」

「は?!」

「以前変な連中が『貴様はカミになりたいのか』とか言ってたけど『誰がそんな者になるか』って言ってたから『黒き御方』と呼ぶしか方法がないの」

「カミ? なんでしょうね、カミって」

「私も分からないわ。まぁそれは置いといて」

 レインは何かをどかす仕草をした。

「多分これから、その御方は貴方により積極的に関わると思うわ」

「……それ、ディオンとアルビオンの怒りかいません?」

 カナタが少し嫌そうに言うと、レインは苦笑した。

「買うわね」

「やっぱり」

「でも、仕方ないからなだめてね?」

「へいへい」

「ところで……」

「何です?」

 レインは不思議そうにカナタに言う。

「私に聞こうと思わないの? 二人のこと」

 レインの質問にカナタは首を振った。

「二人から聞きたいんです、聞いた後に聞くことはしたいですが……」

「わかったわ、ありがとう」

 レインは嬉しそうに微笑んで頷いた。

「今日はどうするの?」

「今日は実家に帰って卒業祝いです。明日が家で卒業祝いするんです」

「そっか、楽しんでね」

「はい!」

 カナタはそう言って部屋を後にする。





 誰も居ない部屋でぽつりとレインが呟いた。

「どうか、あの子の道行きが良いものでありますように……」

 一人祈りを捧げていた。







後輩達がカナタ重いですね。

そして漸くアイカもまともで安心できる相手を見つけたようです。

ゴウとケイは相変わらずですが……

そしてあの御方、「黒き御方」と呼ばれる存在、私達では神に相当するけどそうではないと言い切り、この世界に「カミ」という言葉を根付かせなかった存在でもあります。

理由は不明。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

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