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変わらぬもの、変わったこと~一つの終わり~

結婚したが、カナタの生活に大きな変わりはない。

だが、ある日友人達が出掛けているショッピングモールに危険な覚醒者が現れて──




 結婚した──と言っても、カナタの生活はまだ変わらなかった。

 基本実家で過ごし、学業とドミニオンの仕事に追われながらも暇を見つけてはゲームを楽しむ、そんな生活だ。


 そんなある日──


「カナタ、今日はゆっくりしてるな」

「うん。友人達がダブルデートとその付き添いに行ってるから私は留守番」

「どうしてだ?」

「覚醒者が一緒だと、目立つでしょう」

「ああ……なるほど」


 カナタは自分の性格を知っているから、面倒毎に巻き込まれると覚醒者である事を明かしがちだ。

 だから、一緒にいることで不利益になることを避けているのだ。


「まぁ、何もないでしょう?」

『ところがどっこいそうじゃありません』

「げ」

 カナタ達に、レインから連絡が入る。

『ちょっとやばげな奴がショッピングモールに出て暴れているから沈静化をお願い場所は──』

「マヤ達が行ってるところじゃないか!! くそ!」

 カナタはそう悪態をつくと、アルビオンが近づいてきた。

「準備はできたか?」

「できてる!」

 カナタがそう答えると、マヤ達がいるショッピングモールへと転移した。



「なに、これ」

 酷い有様だった。

 多くのけが人が出ており、特に恋人同士やそれ以上の仲と思わしき二人組は片方が、もしくは女性が大けがを負っていた。


「イブリス!! イブリスは何処だ!!」


「いぶりす?」

「レインの昔の名前だ、となるとやっかいだな。カナタ、君は友人達の保護を優先しろ」

「……ありがとう」

 アルビオンの言葉に感謝すると、カナタは探知能力で友人達が隠れている場所を探し当て、急いでそこへと転移した。





「マヤ、怖い、怖いよ」

「アイカ落ち着いて、全く何でこんな日にこんなことが」

「カズくん、大丈夫。俺絶対守るから」

「ヒカリちゃん、無理しないで」

「フミカさん、大丈夫私が守ります」

「タカネさん……」


「皆無事?!」


「「「「カナタ(先輩)!!」」」」


 カナタの姿を視認すると、隠れていたマヤ達は出てきた。

「ここは危ないから全員転移で行ったん避難させるから」

「ちょっと待ってください、カナタ先輩は?!」

「私は仕事! 行くよ」

 カナタは友人達全員を転移させ、安全圏へと来たことを理解すると、口を開いた。

「皆は護衛の人達が安全だと言ったら帰ってちょうだい、それまではここに居て」

「カナタ、待って──」

 アイカの言葉を最後まで聞く前に、カナタは急いで現場へと戻った。





「……ねぇ、カナタは本当に弱いの?」

「弱いよ、だから震えていた」

「え?」

「本当注意力がないのね」

 アイカの言葉にマヤはため息をついた。

「いい、カナタは怖いけど私達や他の人を守る為に戦ってるの、それを支えてるのが八人の旦那さんって訳」

「私じゃ、駄目なの?」

「駄目、足を引っ張るだけだからね」

「そんな……」

 マヤの言葉に、アイカは絶望したような表情をした。





「アルビオン!」

「カナタ、君はけが人の搬送を頼む!」

「分かった!」


「貴様かイブリスをたぶらかしたのはぁあああ!!」


「何コイツ?!」


「──カイン、アンタ何百年立って封印が解かれてもまだ頭がアレなのね」

「レインさん!」

 現場に来ることがほぼない、レインの登場に、カナタは驚きが隠せなかった。


「イブリス!! ああ、イブリス!! 君は本当に美しい!! 君こそ私にふさわしい!!」

「お断りよ、あの日死んだ彼女だけが、私の心にある」

「あの女か!! またあの女か!!」

 覚醒者の男──カインはキレたような仕草を見せた。

「殺す!!」

「ちっ!! カナタちゃんを彼女とダブらせてやがる」

 レインはそう言ってカナタの前に立ち、カナタを守ろうとすると──アルビオンがカインの顔を思いっきり殴った。

「──アルビオン」

「ディオン、カナタを家へ」

「分かった」

 いつの間にか来ていたディオンがカナタを家へと転移で連れて行った。





「……カイン、アンタ私の大事な子をまた殺そうとしたわね」

「何故君は私を見ない、私を見てくれない!!」

「アンタのそういうところが嫌いなのよ」


「貴様もレイヴン同様『反省』を覚えなかったか」


 静かな声が当たりに響く。

 黒衣を纏い、姿の見えない存在は静かにカインの頭をわしづかみ、首をねじ切った。

 そしてそのまま炎で体と頭を燃やした。


 聞くに堪えない絶叫がこだまする。


「貴様はイブリスの炎で焼く価値などない、私が焼いてやる」


 そう言って黒衣の存在はレイン達の前から姿を消した。


「……良く喧嘩売らなかったわね、今までならすぐ一人でも食ってかかってたのに」

「カナタに害がなければ、今はいい」

「ああ、なるほど」

 アルビオンの言葉にレインは苦笑する。

「それよりもレイン」

「何?」

「敵討ちできなかったがよかったのか?」

「いいのよ、あの方の言うとおり、私の炎で燃やしたらあいつ喜んで死んでるから、こっちが正解」

「なるほど」

 レインの疲れたような言葉に、アルビオンは納得したように言う。


「では、俺はカナタの友人達が無事帰宅したか確認してから戻ろう」

「あー……なるほど、じゃあ他は任せて」

「ああ」

 次々とやってくる医療チームが負傷者を運んでいくのを見つめながら、姿を消したアルビオンの居るであろう方向を眺めた。





 アルビオンは無事に帰宅したカナタの友人達を確認し終えると、家に戻った。

「戻ったぞ」

「アルビオン、お帰り」

 カナタが不安そうな顔で出迎えた。

「ただいま、カナタ」

「私の友達とか、他の人は?」

「無事だ、君の友人達の帰宅は確認した」

「よかった~~……」

 アルビオンの言葉に、カナタはその場に座り込んだ。

 張り詰めていた緊張の糸が切れたのだ。


 アルビオンはカナタを抱きかかえて遊戯室へと向かう。

 別件で行動していた他の七人がきっと居るであろう事を予測して。







イブリス基レインの敵討ちをやったのはあの御方です。

本当ならアルビオンがなんか行動するんですが、カナタの事があるので我慢しています。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

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