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覚醒者~特別ランクの私は恋愛の好きが分からない!~  作者: 琴葉 悠(琴葉悠)
え、覚醒者になったら人権ある意味無し⁈ ふざけんなー‼
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初仕事!! それと全身真っ黒な人物との遭遇

カナタは悪夢を見て目を覚ますと武器を持っていた。

思わず叫んでしまうが、なんとか武器をしまうことに成功。

そして学校に行く前にレインから依頼をされて──




 お前を殺してやる

 私を殺そうとするお前を殺してやる

 私は死なない、死んでなんかやらない

 四肢を落としてみろ、すぐさま四肢が生えてくる

 頭部を勝ち割ってみろ、すぐに元通りだ

 私が捕食者で、お前が食われる側だ


 死ね





 ばち、とカナタは目を覚ました。

 何か手に違和感を感じ、横を見ると、右手に大鎌のような武器を持っていた。

「なんじゃこりゃー!」

 カナタは思わず叫ぶ。

「どうしたの?!」

 母親の声がし、カナタはすぐさま。

「な、なんでもない!!」

 と返事を返し、持っている武器に消えろを念じると消滅した。

「……」

 出てこいと念じるとまた出てきた。

 再度消えろと念じると消滅した。

「……武器製造(メイカー)ってこういうことか……うわーやだー!」

 カナタは頭を抱えて、先ほどの夢を思い出す。


 怯えている武器をもった武装集団。

 持っている大鎌で薙ぎ払っていたのは多分自分だ。

 夢ではなく、おそらく無意識にやっていたことということなら、先日の武装集団に襲われた事件のことだ。

 あれが夢として出てきたのだ。

 そしてあの感情は――


「無意識に私が思っていたこと……?」

 カナタは少しだけ険しい表情になる。

「……覚醒者になって性格が変わるっていうのはこう言うのが表に出るからか……⁇」


 カナタはもやもやする気持ちを抑えながら朝食をいつもより多めに取り、学校に向かおうとした、途端耳に何かが届く。

『もしもーし!! カナタちゃん!!』

「げ」

 先日言っていた通信の能力で連絡されているのが分かった。

 連絡している相手は声からレインと分かった。

『どうも、レインよー。早速で悪いんだけど、星橋地区の銀行で覚醒者が強盗事件起こしたの、鎮圧お願いね、場所はここよ』

 カナタの脳内に場所の情報が流れ込んでくる。

「えーと……」

『お家に帰った時と同じ感じで移動すればいいのよ』

 カナタはレインに言われるまま、その場所に行こうと念じた。


 カナタの体が自宅の玄関から消えた。


 カナタが足をつけると、そこは銀行の中だった。

 顔を隠した集団と、顔を隠してない――覚醒者らしき女が居た。

「えーと……鎮圧しに来ましたー」

 カナタはそう言うと大鎌を出現させ、集団が持つ銃だけを粉々に刻む。

「わお」

 自分で動こうとしたわけではない、体が勝手に反応してくれるのだ、戦うのに最良の動きらしき動きを。

 女が手をかざしてきた、炎の玉が飛んでくる。

 カナタは炎の玉を大鎌で薙ぎ払うと女に向かって突撃した。


――あれ、でもこれだとざっくりいかね?――

――それは不味い気がする――


 カナタがそう思うと、大鎌はハンマーになり女の頭部を殴り飛ばし女の全身を壁にたたきつけた。

「……」

 女はぴくぴくと痙攣して動かない。

 カナタは武器を見て、感心してから逃げようとする犯人グループの残りを全員、ハンマーで殴りつけて気絶させた。

「終わりましたー」

『確認したから警察と特務部隊がもうすぐ来るから』

「あ、はい」

 レインの言葉に返事をすると同時に、警察と見慣ぬ恰好の人物たちがやってきた。

 警察は能力を持たない犯人グループを連行していき、見慣れぬ恰好の人物たちは覚醒者の女を引きずって行った。

「ドミニオンの方ですね、有難うございます、では」

「あ、はい」

 一人が近づいてきてそう言うのを、カナタは見送った。

「……あ、学校!!」

『学校にはちゃんと連絡してるから大丈夫よ、欠席扱いとかにはならないから』

「いや、勉強遅れるのが心配……」

『それ大丈夫だと思う』

「へ?」

『あー詳しくは言わないでおくね。とにかく戻っていいよ』

「へいへい」

 カナタはそう言うと、その場から姿を消した。


 自宅に戻り、いいのかなと思いながら学校に転移し、教室に入る。

 周囲がこちらを向いたが気にせず自分の席に座った。

 教師が怯えた表情を一瞬浮かべたのがカナタは少しだけ気に食わなかったが、見なかったことにして授業を受けた。


 昼休み時間になり、友人たちが集まってくる。

「カナタ覚醒者になったんだって?!」

「うん、事件に巻き込まれてね」

「なんで学校遅れたの?」

「組織からの命令で銀行強盗と覚醒者の鎮圧やってきた」

「……」

「アイカ?」

 黙りこくっていた友人の少女がバンと机を叩いた。

「聞いてないそんなの聞いてない!! 私……私達と遊んでくれる時間減っちゃうじゃん!!」

「仕方ないでしょ、そういう義務なんだから!!」

「そうだよアイカ、カナタだって好きで覚醒者になったわけじゃないから我儘言わないの!!」

「マヤ……本当アンタは私の事分かってくれる……」

「幼稚園からの付き合いだからねー」

「二人ずるいー!! わーたーしーもー!!」

 面倒くさそうな友人――アイカを見て、幼稚園からの友人――マヤと肩をすくめた。

 アイカの面倒くささは折り紙付きなのだ。

「さて、そろそろ――」

『はーいカナタちゃん、お仕事の依頼でーす』

 昼休みも終わり、次の授業の準備をしようと思ったカナタの元にレインからの連絡が来た。

「……わりぃ、仕事来た」

「ええ?!」

「どういう仕組みなの?」

「なんか能力使ってやり取りできるようにする……としか言えぬ」

「ずるいずるいずるいー!!」

「ずるくないわ!!」

 アイカを怒鳴ると、レインとやり取りをする。

 急激な覚醒を起こして能力を暴走させている覚醒者を気絶させてほしいとの連絡だった。

 カナタは急いでもらった情報の場所に転移した。





「……本当に覚醒者になっちゃったんだ……」

「うう……これじゃあますます私の事みてもらえないよぅ」

「安心しな、アイカは絶対フラれる。間違いない」

「止めてー! 私の恋の未来をそんな風に言わないでー!!」

 アイカは机に額を擦り付けて、頭を抱えた。

 マヤはそれを見て空笑いを浮かべた。





 カナタが現場に到着すると、辺りは火の海だった。

「うわぁ、あつっ」

 カナタはそう言うと周囲を見て覚醒者を探す。

 茶色の目がサファイアブルーへと変化したがカナタは気づいていない。

 美しい青の目に変化したその目は人と覚醒者を見分けた。

 蹲り、怯えている覚醒者を見つけた。

「アンタか」

 無自覚の覚醒者に近づき手をかざす、すると、覚醒者は気を失い、地面にぐったりと顔をつけた。

 炎は鎮火し、消えていく。

 わずかに燃え上がった痕があるが、それは仕方ないとカナタは結論付けた。

「終わったー」

 すぐさまレインに報告する。

『うん、確認したから、回収するねー』

「へーい」

 カナタはそう言って待っていると、ぞっとするほど美しい黒衣の男が現れた。

 ただ、カナタはそこのあたり気にせず、回収班かなと気になった。

「レインさんの言ってた回収にしにきたの、あんた?」

「……ああ」

「じゃあ、私学校にかえ――」

「待て」

「ん?」

 急に待てと言われて、カナタは体勢をわずかに崩した。

 こけそうになる。

 男は手を伸ばしカナタの腰を掴み、立たせる。

「ありがとう」

 カナタは自分の事を気にしてくれたことに感謝した、男は手鏡を見せ、カナタの顔を映す。

 そこで初めて、カナタは自分の目の色が変化していることに気づいた。

「え!? 何で?! 何コレ?!」

「……判別能力だ、現状ではその目の時だけ使えるそうだ」

「えーと、戻れー戻れー」

 カナタは戻るように念じた。

 そして鏡を見ると、元の茶色の目に戻っていた。

「あー、良かった。全く外見まで変わるとかよくわからん!!」

「……早く学校へ戻るといい」

「うん、そうする。気遣ってくれてありがと真っ黒なお兄さん」

 カナタはそう言ってその場から姿を消した。





「『真っ黒なお兄さん』か……」

『ディオン、どうしたの?』

 男――ディオンは、口元に花も恥じらう様な美しい微笑みを浮かべていた。

 レインの声を聴いてからはその笑みは無くなり、また元の無表情に戻った。

「何でもない、次の仕事か」

『うん、そう次はね――』

 ディオンはレインの通信指令を聞くと、その場から姿を消した。





「……あのお兄さん、誰なんだろう?」

 学校に戻ったカナタは一人、名も知らぬ男の事が頭から少しばかり離れなかった。

「ずいぶんきれいに笑うんだなぁ……」

 姿を消す一瞬垣間見た、笑みがあまりにも綺麗だったので忘れられなかったのだ――







一人目との明確な出会い。

でも、カナタはそういう感情を抱いていません。

向こうが抱いて居ますが。


ここまで読んでくださり有り難うございました!

次回も読んでくださると嬉しいです。

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