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覚醒者~特別ランクの私は恋愛の好きが分からない!~  作者: 琴葉 悠(琴葉悠)
え、覚醒者になったら人権ある意味無し⁈ ふざけんなー‼
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治療と、予期せぬ出会い

ジュラスが目を覚ますと、ドミニオンの医療室の一室に寝かせられていた。

そこで、カナタが負傷した傷が治らないというのを聞き、慌ててジュラス達はカナタの治療室へと向かう──




「っ……」

「ジュラス、起きたか?」

「やぁ、ジュラス起きた?」

 レオンとキリヒトの言葉に、ジュラスは完全に目を覚ました。

「……ここは?」

「ドミニオンの医療室の一角だよ、今結構大変な事になってるけどね」

「何が……」

「……カナタが、カラスに腹をぶち抜かれた傷が塞がらないらしい」

「?!」

 ジュラスは飛び起きて、レオンの服を掴んだ。

「何処だ!」

「わ、わからない。とりあえず集中治療室だとしか……」

 ジュラスはベッドから離れると急いで集中治療室を探しに行った。

「ま、待ってくれジュラス」

「ちょっと待ってよぉ」

 レオンとキリヒトも後を追った。





「カナタちゃんはどうなのー?! 頼む、頼むから入れてくれ!!」

「貴方はだめです!! 所長から『ゴウ・アサギリは死んでも通すな』と言われています!!」

「何故だー!!」

「ここにカナタはいるのか?!」

 ゴウの行動を阻止している看護士達に、ジュラスは尋ねた。

「え……あ、はい!」

「私は入っても良いか?」

「ぼ、僕も!」

「僕らはいいでしょう?」

「あ、はい。貴方達なら……ですが、あまり入らない方が……」

 看護士達は言葉を濁した。


「何故だー!!」


 一人入ることを拒否されたゴウが不平の声を上げる。

「だって君、カナタちゃんにセクハラ発言と行為したじゃん、そんな奴入れられる分けないだろう」

 集中治療室に入っていきながら、キリヒトはあきれた様に言った。





 痛みによるうなり声のような響きが部屋にこだましていた。

 ベッドの上では、見慣れぬ男達に抑えつけられているカナタがいた。

「カナタ!!」

「おっと待った兄ちゃん達、今は治療できない状態にあるあのお嬢ちゃんを抑えてるので精一杯なんだよ」

「お、お前は誰だ?」

「マリ・ロード。このドミニオンでEXランクの覚醒者だ。つまり今のお前さん達と同業だ」

「何で君は手伝わないの?」

 ベッドのカナタを見たキリヒトが問いかける。

「俺腕力そこまでねえからな、足手まといになるより、ここで邪魔になりそうなのを止めておく方がいいだろ?」

「……」


「おっと、漸く来たか」


 マリが退くと同時に、姿を現したのは、ディオンとアルビオンの二人だった。

「カナタは?」

「治療ができない状態だ、ディオンの兄さん頼むぜ」

「わかっている」





 ディオンはベッドの上で苦しみもがいているカナタに目をやる。

 一瞬だけ、悲壮の色に染まったがすぐさまそれは消え、傷跡に右手を近づけそして左手を重ねた。

「──!!」

 びくんとカナタの体が一瞬跳ねて、そしてカナタの目から先ほど以上にぼろぼろと涙が出た。

 ディオンはカナタが舌をかまないように処置していた道具をとり、左手で涙を拭った。

「よく頑張ったな」

「う゛~~!! 死ぬくらいいだがっだ!!」

「だろうな、次からは無茶をするな」

 アルビオンがそう言って近づきカナタを起こした。

 カナタを押さえ込んでいた男達は離れていった。





「ふへぇ、あの子すごい力、マリちゃん、俺つかれたよー労ってー」

「甘いもん欲しいならレンに頼め」

「レンちゃん俺にチョコケーキ作って~~」

「サリ材料を買ってこい、俺も疲れたんだ。骨を折らない程度に加減する必要があったから」

「ちぇ~~」

 二人に素っ気なくされたサリはむくれたような表情を浮かべる。





「みんなお疲れ様!!」

 腹の痛みがなくなって傷も消えた箇所をカナタがさすっているとレインがやってきた。

「レインさん」

「カナタちゃん、本当にごめん。年頃の貴方に下手すりゃ消えない傷をつけちゃうかもしれなかった可能性を否定できなくて」

「いいですよ……いや、良くない!! 死ぬほど痛かった!! あの主犯格どうなったの?!」

「あー永久監獄行き、そして苦痛刑を死ぬまでずっと受け続けるの」

「ああ……改心する余地が……ないと……」

 カナタはレインの言葉に察した。

「そゆことー」

 カナタはいまいち納得できないような表情をしていた。

「やっぱり納得いかない?」

「納得できるようで、できないんですよ……死刑がいいのか……それとも苦痛刑で死ぬまで苦しむ事で良いのか……何が正しいのかさっぱり」

「カナタちゃんはそれでいいと思うよ、ただこうなったと言うのだけはわかってね」

「はい」

 カナタはベッドから降りて頭を掻く。


「それにしても今回は死ぬかと思った……」


「カナタちゃんの能力(スキル)のおかげだと思うわ、生きていたのは」

「ですよねぇ……」

「まぁ、とりあえず今日は帰って休んでちょうだい」

「わかりまし……」


「ぎゃー!! また最低保証しかこねぇ!!」

「……マリちゃん、もう10万もぶち込んだんだからいい加減やめようよ……」

「そうだぞマリ、今回はそろそろ撤退しろ」


 わずかに聞いた覚えのある声と、そうでない声が、カナタになんとなくわかる内容で話をしていた。

 カナタは気になってそっちの方向へ歩いて行く。


 待合室のソファーに座っている二人と、床に一般通信端末(クリエイフォン)を置いたままうずくまる一人。

 三人二十歳位の青年に見えた。


「ふざけんな!! 今回の神シナリオ見て引かねぇ奴がいるか?! ルビーとサフィの友情展開よかったろ……!!」

 そう言いながら涙をどばどばと流している。


「あ、あのそれってジュエリナクエストですよね?」


 会話内容が自分が知っている内容だったので、カナタは思わず近づいて声をかけてしまう。


「ん? もしかしてJQやってるのか?」

「はい、やってます。あの、良かったら私代わりに引きましょうか? 引いて爆死だったら代金払いますんで?」

「引けるならなんでもいい……ルビー&サフィを引いてくれ……!!」

「はい」

 カナタはクリエイフォンを受け取ると、ゲームのガチャ画面に遷移させ、ガチャを10連分引いた。


「はい、三枚引きましたよ」


「「「はぁ?!」」」


 カナタの言葉に、三人は素っ頓狂な声を上げて、クリエイフォンを見る。

「お、おおおおおお!! ルビー&サフィの限定来たー!! しかも三枚抜きだー!!」

「すごい、すごいよ! 君引き強い?!」

「あ、はい。ガチャの引きは強いと友達からも言われてまして……」

 カナタが困ったように微笑むと、先ほど悲嘆に暮れていた青年がカナタの手を掴んだ。

「頼みがある」

「な、何でしょう?」

「今度からJQイベントガチャの時は引いてくれー!! 俺が引くとこねぇんだよー!!」

 血涙をださん勢いで言う青年に、カナタは引きつった笑みを浮かべる。



──気持ちはわかる、でもなぁ──



 そう思っていると、アルビオンとディオンの拳が青年の頭部に落ちた。








ジュラス達やディオン、アルビオンがカナタの事を心配しているという話。

そして新たな出会い、ちょっと真面目な戦いの後の不真面目な出会いですが、カナタにはこっちのほうが気が楽でしょう。


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

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