少女は強く見えるだけ、本当は脆い
カナタは学校の終業時に友達と会話に花を咲かせて居た。
しかし仕事が入り、向かうことに──
カナタは授業が終わり、友達の二人と喋っていた。
「え、じゃあ今度から一人で仕事するのが減るかもしれないの?」
「組ませられない能力者らしいからね、他は……」
「ねぇカナタ、一人でお仕事してよお願いだから」
「おい、アイカ、遠回しに私に死ねと?」
「やだよ、カナタがラブロマンスで結婚するなんて」
「それはない」
「いや、どうかな、仕事づきあいの延長でゴールイン……あるかもしれない」
マヤがニヤリと笑って言うと、アイカは机に突っ伏して泣き始めた。
「やーめーてー!!」
「何この地獄絵図」
カナタは思わず遠い目をした。
「あ、仕事入った行かないと」
「気を付けてね」
「うん」
「うええええ」
「お前は…」
カナタは呆れた顔をしたまま空間転移した。
「……言わないんだ」
「だってだって」
カナタが仕事に向かった後、
「まぁ、言っても、アンタは無理って断られる未来が目に浮かぶ」
「それが見えるからつーらーいー!!」
「日頃の行いが悪いからねー」
「うわーん!! マヤなんでそんなに辛辣なのー!!」
「私はカナタに幸せになって欲しいからね、だからアイカの恋路は応援できません」
「うわーん!!」
「アイカが品行方正だったら応援してたけど、そうじゃないので無理です、とんでもない問題児なので」
「今更治せって言われたって無理だよー!!」
二人だけの教室に、アイカの叫び声が響き渡った。
カナタが指示された場所に転移すると、レオンが居た。
「遅かった?」
「い、いや今来たところだよ」
「ならよかった」
カナタは武器の大鎌をくるくると回しながら周囲を見渡す。
「……学校で友達いるの?」
「いるさ、一人はおむつ時代からの友達、もう一人は――見捨てたら多分回りも見捨てるから見捨てられない問題児。何かとつけて私を巻き込む。あいつがもし私の事好きでそれやってるなら私は絶対付き合わん」
「そ、そうなんだ……」
「……社長えーとジュラスさん、ジュラスさんとアンタはどんな付き合いなの?」
「――国が、リヴンがあった時からの友人だよ……他の友人はみんな殺されたけどさ……」
「……ごめん聞いて悪かった」
「いいさ、別に」
「……おっと団体さん来たようだよ」
車が無数やってくる。
ぞろぞろと、武装集団が姿を現す。
「覚醒者はいるのか?」
「あー」
カナタは目を青く変化させる。
目に覚醒者か否かが写る。
「三人くらいいるね」
「クラスは」
「多分私達以下、殺さないようにね」
「分かってる」
カナタとレオンは飛び出し、集団に攻撃を仕掛ける。
武装集団は銃を撃ってくるが、カナタは大鎌でそれらを粉々にして、自分の身を守り、攻撃する際には鎌の部分をハンマーに替えてぶん殴った。
ドコバキ、と生々しい音が聞こえるが死なない様に殴っている。
殺すと後戻りできなさそうだからカナタは殺さないように努めていた、たとえ相手が覚醒者であっても。
「身体強化型の覚醒者か!!」
覚醒者の男がカナタを押しつぶそうと圧力をかけてくる。
凄まじい腕力で、腕がギシギシとなるが、カナタは目の色を青くしたまま、相手を見る。
「もっとやべぇのと戦ってきたんだよ! なめんな!!」
腕が赤い籠手のようなもので包まれると、力関係は逆転し、カナタが覚醒者の方を押しつぶそうをいう状態になる。
「おらぁ!!」
ボキン!!
「ぎゃあああ!!」
腕の骨を折り、悶えている覚醒者の男の腹を思いっきりハンマーで殴り気絶させた。
「レオンそっちは?!」
カナタはレオンの方を見ると、覚醒者の女と男が、ぶすぶすとところどころ焦げた状態で転がっていた。
「君の組織は甘いね、殺さないなんて」
「……いや、多分私がいる時限定な気がする」
レオンの言葉に、カナタは否定で答える。
「え?」
「いや、聞いた話によると、他の覚醒者は割とサクッと殺しちゃうことが多いらしい、レインさんの方針で私と、私にかかわって仕事している場合は殺し厳禁――みたいな?」
「それ本人に確認したのかい?」
「あ、うん、確認したら、『だいたい当たってる』って言われた」
警察と特務課がやってくる。
倒れている武装集団と覚醒者たちを連行していった。
「お仕事お疲れ様です~~」
連行していくのをカナタは見送った。
「……カナタは力を使って何かしようと思った事はないか?」
「んーあ、ぷにっこの店舗限定のぬいぐるみ買うのに空間転移使ったことはある!」
「いや、そういう可愛い……えっと平和的な事じゃなくて!!」
「暴力沙汰? 悪いけどそういうのはガキの頃にガキ大将とか悪ガキボコって泣かせてきたのでおいてきたわ、今は覚醒者だから暴力沙汰は不味いし、覚醒者って名乗ると向こうから逃げていくしね」
「……覚醒者だから差別されたことはないのか?」
「うちの国、覚醒者差別すると問題起きる国でね!! よく調べたら氷河再来事件起こしたレイドのおっさんがいる国だもん!! 覚醒者差別の法案とか通そうとした奴ら全員氷漬けにされて殺されたって記録もあるからね、怯えられる位よ!!」
カナタはからからと笑いながら言う。
「……辛くはないのか?」
「別に? 昔から腫物扱いだったからねぇ家族と友人以外から、今更って感じだよ」
レオンの問いかけに難でもないように答える。
笑って答えていたが、ふっと表情が消えた。
「……でもこれ家族とか友達いるからなんだよな……いなかったら無理だ、独りは耐えられない」
レオンは、初めて見るカナタの表情に戸惑った。
どこか遠く、儚く消えてしまいそうな雰囲気を漂わせていたのだ。
先ほどまでの、荒っぽいが前向きで、苦境にも動じないそんな感じの少女に見えていたのに、今の彼女は孤独を何より恐れている少女に見えた。
「……ああ、悪いね、なんかしんみりさせて。さっさとレインさんに報告に行こう」
「あ、ああ……」
カナタとレオンは空間転移し、本部へと戻った。
レインに報告をすると、レインは何か額を抑えていた。
「……レインさん、どったの?」
「いやね……特務局から連絡があったのよ、捕まえた覚醒者じゃない奴、レイヴンの奴だって」
「?!」
レオンは目を見開いた。
カナタはそれを横で見ながら、首をかしげる。
「あれ、レイヴンって覚醒者のテロリスト集団でしたよね? なのに覚醒者じゃない奴がレイヴン所属? ……覚醒者じゃないのを覚醒者にできる奴でもいるんですかね?」
「カナタちゃんビンゴ、どうやらそいつは覚醒者にしてもらう前だったみたいなのよ……ただ、情報少し見れたと思ったら、そいつ死にまして情報が通常だと開示できなくなったのでディオンにちょっと頼んで情報調べてもらってる最中なのよ、本当レイヴンはロクな事しない」
レインは頭を抱えて疲れたようにため息を吐いた。
「……レイヴンの連中の一人が何かしようとしてるってことは……」
「……奴らまた……」
「その可能性が大なのよ」
レインはどうしたものかと言わんばかりの顔をしている。
カナタはレオンとレインの顔を見比べる。
レインは今後の対応に悩んでいる顔をしている。
レオンの顔は憤怒を押し殺そうとしているがそれが漏れている怒りの形相に変わっている。
「カナタちゃん」
「はい?」
「……レイヴンが本格的に動き出したら何が起きるか分からない」
「……まぁ、そうでしょうね」
「でも、貴方は何があっても殺しちゃだめよ!!」
「はぁ……」
「一度殺すと戻れないからね、本当其処は覚えておいて」
「……ここの覚醒者戦闘できる人達はだいたい殺してるんですか?」
カナタの問いかけに、レインはしばらく無言になった。
「そうね、戦闘能力が高い覚醒者はだいたい殺したことがあるわ」
「……覚悟はできてますよ」
「貴方はそんな覚悟は持たないで、持っていいのは生き延びる覚悟だけで十分よ」
レインは非常に重々しい表情でカナタを見た。
カナタはその様子から、何が何でも自分には殺しをさせたくないというのを感じ取れた。
――自分がまだ子どもだから?――
理由がそれくらいしか思い浮かばないが、いずれその時が来たら自分も手を赤く染めなければならないだろうと思った。
「とりあえず、カナタちゃんは帰っていいわ、ゆっくり休んで」
「へいへい」
カナタはそう言うと空間転移して帰った。
カナタが居なくなった部屋で、レインは深いため息をついた。
「彼女自分がまだ子どもだからと思ってるだろうなぁ」
「違うのか?」
レオンが少し驚いたような問いかけをすると、レインは頷いた。
「あの子根っこが脆いのよ、強いように見えて非常に脆い、支えがないとぽっきり折れてしまう位にね」
レインの言葉に、少し前の儚げな表情をしていたカナタを思い出した。
「だから、どんな事情であれ、カナタちゃんには殺しはさせれない、覚えておいてちょうだい」
「……僕たちは?」
レインは顔を伏せ、手を組んだまま言った。
「君たちはもう『殺しすぎている』引き返せないのよ」
重々しい沈黙が部屋を包んだ。
カナタの友達、片方がカナタに恋慕の情を抱いて居るがそれを応援されずに嘆いています。
以前の問題を起こした子です、カナタはそういう問題を起こすのが嫌いなので自分から嫌われていってるんですよね、残念な子です。
そして「レイヴン」きな臭い感じになっています。
レインさんの「殺しすぎている」はカナタが「手を汚させない」理由の一つです、殺す事におびえている子に、殺しはさせられない、そういう理由です。
ここまで読んでくださり有り難うございました。
次回も読んでくださると嬉しいです。




