VS雷使いの覚醒者(社長)!! 明かされる出来事!!
施設を移動すると開けた場所に到着する。
すると其処には白衣の男がいて──
カナタは通路を歩いていた。
色んなところに転移装置があり、マッピングを使いながら悩みながら歩いていた。
「まったく、どういう構造になってるんだ……ってか入った場所の建物じゃねぇよな絶対」
カナタは文句を言いながらも進んでいく。
しばらく歩いていると、広いドームのような空間にたどり着く。
「……なんだ此処は?」
「戦闘訓練室だよ、ドミニオンの――」
言葉は最後まで紡がれなかった。
カナタは不思議に思い、声の方を見ると、白いスーツに身を包んだ青年が呆然としていたのだ。
「……何? 何があった?」
「な、なんという恰好だ?! 他の連中にその恰好で挑んだのか?! 誰か服は与えなかったのか?!」
カナタの上の制服は破れてブラジャーが丸見えになっており、スカートはなく、スパッツと黒タイツが見えているというある意味酷い恰好だった。
「……お前んところのセクハラ野郎がやったんだよ!!」
カナタは忌々し気に怒鳴る。
「誰だそいつは!?」
「眼鏡かけた氷使いの覚醒者だよ!!」
「アサギリか!! 奴はこれが終わったら罰を与えねば!! 他の連中はどうした!?」
「服渡されたけど、なんかセクハラ野郎の仲間ってだけで嫌だったから突っ返したりしたわ!!」
「あの阿呆が!! これでは私も服を渡せないではないか!!」
「恰好は気にすんな!!」
「気にする!!」
青年はぜぇぜぇと息を切らした。
「今すぐ一旦戻れ!! そして着替えてこい!!」
「面倒だから断る!!」
「貴様恥じらいはないのか!!」
「この程度で恥じらってたらこの仕事できるか馬鹿野郎!!」
カナタは全く気にした風には見せず、声を張り上げる。
「……ええい、やむえん、速攻で片付けて服を着せてやる!!」
ジュラスは手にバチバチと電気を集めたと思うと、それは剣の形になった。
「雷の剣?! つーことは雷とか電気使いの覚醒者か!?」
カナタが驚いていると、ジュラスが一気に距離を詰めて剣をふるう。
カナタはそれを大鎌で防ぎ、払う。
電気ということで、手がやや痺れた。
「くそ、厄介な能力だな……?!」
ドクンと心臓が大きく脈打った。
――雷・電気耐性開放――
「……くそ、さっきからこんなんばっかだな。さっきの野郎の時は無かったけどな」
カナタは胸を押さえてから、頭を掻く。
「何か知らんがこちらから行くぞ!!」
男が手を掲げるとあちこちに雷が落ち始めた。
「うわわわ?!」
カナタは反射的に逃げるが、運悪く雷に直撃してしまう。
そして昏倒する。
「しまった……!!」
男は慌てて駆け寄ろうとした直後、カナタは起き上がった。
「いってぇ!! 耐性開放とかいいながらいてぇじゃねぇか!!」
「な、なん、だと?!」
カナタは起き上がって焼けこげた制服の上を脱いだ。
ブラジャーとスパッツと黒タイツのみという恰好になる。
スパッツを履いてなければパンツが丸見え状態になっていたので、スパッツが無事でよかったとカナタは心の中で思った。
「おらぁ!! テメェも死ななくていいけど、痛い目みろ!!」
カナタは大鎌をハンマーに変えて突撃する。
男は電気を飛ばしてくるが、カナタはハンマーでそれを破壊していく。
そして一気に距離を詰め、男の電気の剣を破壊しそして腹部にハンマーを当てた。
「がっ……!!」
ハンマーを振り回し、男を壁に吹っ飛ばし激突させる。
「……アイテテ」
カナタは連戦の疲労とダメージのためか、その場にうずくまった。
すると影が二つ見えた。
片方は金髪に黄金の目、もう片方は黒髪に黒い目――
「……アルビオンとディオン?」
「来てもらうぞ」
アルビオンが倒れている男を連れて姿を消した。
突然の事に呆然としていると、ぽすっと何かを羽織らされた。
ディオンが着ていた黒いコートだ。
「隠せ」
「あ、うん」
カナタはボタンをして、今の恰好を覆い隠す。
ぶかぶかでだぼだぼだった。
何かいい香りがするが、何の香りか分からなかった。
ディオンはカナタを抱きかかえると、その場を後にした。
ディオンはカナタの家の前に転移した。
ディオンはカナタをゆっくりと地面に立たせる。
「コートは後で返してくれればいい洗う必要はない。君の体なら治療しなくても休めば一晩で傷は全て消えるだろう、今日は早めに休むといい。あと制服代はきちんと計上してくれ、レインに払わせる」
「う、うん」
ディオンはカナタの頭をぽんと軽く撫でた。
「……無理しすぎるなよ」
「わ、わかった。ありがとう、じゃあおやすみなさい」
「おやすみ」
カナタは家の中に入っていった。
ディオンはそれを見送ると姿を消した。
カナタは家に帰ると、すぐさま風呂に入る準備をして、寝間着と下着をもって脱衣所に向かい、コートと残っている服を脱いで、タイツを洗い、残りは洗濯籠に入れてシャワーを浴び髪や体を洗ってから、風呂に入った。
「しみる~~!!」
いつもよりハードな任務だった為か、色んな意味でお湯の温かさが体に染み渡った。
「……うーん、何で最初からあの二人にしなかったんだろう……」
カナタは首をかしげながら考える。
「ま、いいや、とりあえず明日レインさんに会うか、制服代請求しなきゃならんし」
カナタは風呂から上がると、体を拭いて下着と寝間着を身に着けて、コートをもって自室に向かった。
コートをハンガーにかけて、クローゼットから予備の制服を引き出しておく。
それが終わったらベッドに体を沈めた。
「あー……疲れた……」
カナタは疲労感には勝てず、電気を消して布団をかぶって眠りに落ちた。
朝目が覚めると、カナタは母親たちが用意した朝食を食べてから、ドミニオン本部へと向かった。
空間転移で向かい、レインの部屋に入る。
「ちょっとレイン――……なんでこいつらいるの?」
昨日戦ったリヴン所属の者たちが椅子に座らされ、縛られているのだ。
「おお、お嬢ちゃん!! いや、カナタちゃん!! もしかして私に会いに――」
「テメェとは二度と会いたくなかったよセクハラ野郎」
眼鏡をかけた男にカナタがそう言い放つ。
「いやぁ、ちょっと中々口割ってくれないからさ、カナタちゃん協力してくれない?」
レインがそう言うとカナタは困ったような顔をする。
「いや、私がでても……」
「じゃあカナタちゃんからの情報を頂戴」
「あー……それなら……」
カナタは昨日の情報をレインに知っているものを教えた。
「なるほどそこの眼鏡君……アサギリ君以外は全員リヴンの出身だったわけねー……あの国今じゃ人住めない状態になってるからなぁ」
「え、そうなの?」
「色々あってね」
レインは頭を掻きつつ、困ったように笑った。
「……おい」
「なぁに、社長さん、いやジュラス君」
「何故我が国に来なかった、いや来たというのは調べたが、何故来るのが遅かった?!」
「……これ言ってもいいのかなー」
レインが斜め上を見る。
「……言わないと納得しないんじゃないんじゃないですか? いや、言って納得するかはわからないけど」
「……じゃ言おうか。君たちに覚醒者を派遣する契約当時のリヴンの政府が『覚醒者による軍隊を作った、だからお前らの手助けは不要だ』って契約うち切っちゃったのよ」
「な……?!」
「そ、そんなの聞いてないぞ僕たちは!?」
「へー……でどうだったの?」
「政府からの最後の伝言が『助けてくれ』で終わりよ。向かった時には死体になってたけどね」
「「「……」」」
「私達も慈善事業じゃないんだわ、契約をしてそれで色々できるのよ、切られたらできない、でも助けてと言われたら助けないわけにはいかない、そんな状態よ」
「リヴンに助けが他から来なかったのは……」
「他の国も知ってたから、それに自分たちで手一杯だったからよ。レイヴンのテロはそれくらい酷かったの」
レインはため息を吐きながら言う。
「君たちの処遇なんだけど二つ道がある」
「永久監獄に行くか、私達の監視下に置かれるか、この二択よ」
「うわー出た、レインさんの実質一択の宣言」
「……監視下にいたら何が起きる」
「カナタちゃんみたく覚醒者な君たちにはお仕事してもらうよー勿論お金は出す、それと――」
「レイヴンの情報を提供する」
レインの言葉に、男――ジュラスの目の色が変わる。
「応じよう」
「ジュラス、いいのかい?」
「それしか選択肢ないじゃないかレオン」
「となると……」
四人の縄がほどかれる。
「ひゃっほーい!! カナタたんとおしごといっしょ……ぐぼへ?!」
黒いブーツによるかかと落としがアサギリの頭に直撃し、アサギリは床に倒れこんだ。
カナタが後ろを振り向けば、ディオンがそこにいた。
「気持ちの悪いのがいたので足が出た」
「あー、うん、確かに気持ち悪いわアレは」
「ディオンさん、あのさ」
カナタはカバンから綺麗にたたまれたコートを出す。
「はい、一応埃とかは落としておいたから!」
「……そうか」
ディオンはカナタから受け取った黒いコートを羽織る。
「僕らが服貸そうかっていっても着なかったのに、その顔がいい奴のは着るのー?」
キリヒトが不満そうな顔をする。
「いや、だってあんた等とある意味敵対してたじゃん、こっち味方」
「他の味方は?」
「……アルビオンとレインさん位しか知らない……覚えてない……」
「あーそう言えば組ませてないもんねー組ませられないもんねー」
レインが困ったような顔で言う。
「でも組ませられる覚醒者が増えてよかったじゃない」
「ディオンにかかと落とし喰らったキモイ奴だけは組ませないでくださいね」
「うん、わかった」
「何故だ?!」
アサギリは頭を抱えて悩んでいるようだった。
他の三人はそんなアサギリを見て呆れのため息をついた。
やっぱり服のこと言われましたね。
でも着ようとせず、ぶちのめしたあとに着たディオンの服を貸してもらうという風に。
信用できてるかそうでないかなんですよね。
そして全員、レインの交渉でドミニオンに所属して働くことに。
彼らの言う「レイヴン」とはどんなものなのでしょうか?
ここまで読んでくださり有り難うございました。
次回も読んでくださると嬉しいです。




