VS復讐を望む科学者
配線と設計図だらけのエリアを通っていると、謎の人物が案内すると言い出す。
カメラ越しのその人物に不信感を抱きながらもカナタはその案内について行く──
機械の配線だらけのエリアに来る。
ここも迷路のようになっていた。
部屋を確認すると、ここで兵器などの設計図作成などを行っていることが分かった。
「この会社の連中相当面倒だろうなぁ」
『そうでもないよ』
「?!」
声が聞こえた、愉快そうな声だ。
きょろきょろと辺りを見回して、監視カメラに気づく。
『ドミニオンの覚醒者さんだね、見たところSクラス!! それもかなり強い!!』
監視カメラの向こうの人物はカナタを見ていたらしくそう言ってきた。
「……」
『僕は君を待ってたよ!! さぁ、早く僕の場所まで来てくれ!! 案内しよう!!』
「信じろってのか?」
『信じてくれていいよ、あそうそう、アサギリ君みたく僕は変態じゃないからね!!』
「……一気に信じられなくなった」
最初に戦ったであろう人物の事を思い出してカナタはげんなりした表情で監視カメラの方を見る。
『大丈夫だよ、僕の事を信用してよ』
「……嘘ついたら出会いがしら殴ってやるから覚悟しろよ」
『勿論!!』
監視カメラの向こうにいる人物はカナタの道案内をし始めた。
カナタはマッピングを見ながら、通路を進んでいく。
声の主は案内をしながらおしゃべりを続けている。
色々と不安になっていると、巨大な扉の前に着いた。
『開いてるから入っておいで』
カナタは言う通りにするしかないと腹をくくり、扉の前に立つと、扉は自動で開いた。
巨大なフロアがあり、その奥には白衣を着た人物が立っていた。
不透明なガラスのようなもので目の部分を覆っている人物がいた。
「……」
「よく来てくれたね!! お嬢さん!! いや、ドミニオン所属Sクラス覚醒者カナタ君!!」
「……」
「君が来るだろうと思ってたのさ、本当だよ!! あ、そうだ服が酷いから着替えるといいよ」
男はそう言うと、白衣がずらりと出現した。
「いらねぇよ。それよりお前何者だ?」
「いらないの? 本当に? ……僕? 僕はねキリヒト・スオウ。リヴン国では学者で、ここでは開発者をやっているんだ」
男は残念そうに白衣をどこかに全て仕舞うと誇らしげに自己紹介を始めた。
「……ロボットの開発とかか?」
「その通り!」
嬉々として言う男――キリヒトの言葉に、カナタは口を開いた。
「……無関係な連中も含めて襲ったロボットを作ったのはお前か?」
カナタがそう問いかけると、キリヒトは口をにんまりとゆがめて笑った。
「うん、無関係な人も襲うようにプログラムしたのも僕だよ」
その言葉にカナタは大鎌を出して、いつ戦闘状態に入ってもいいような状態にする。
「……何故だ?」
「元レイヴンだと知っていて隠してる奴も多いんだよ!! あの犯罪者集団をかばってる屑どもが多くいるんだよ!! 奴らが何をしたかしってるかい? 老若男女問わず皆殺しだ!! 僕の顔だってそうさ!!」
キリヒトは目を覆ってる不透明な板を外した。
痛々しい傷跡が残っていた。
「アサギリ君は違う国だから知らないけど、レオン君に社長、僕はリヴン出身、皆殺しにされた国の生き残りなんだよ!!」
「……なるほど、だからレイヴン関係者を狙ってたって訳か」
それでカナタはある考えに至った。
この連中の目的は「レイヴン」への復讐だ。
自分たちの幸せな人生を奪ったであろう者たちへの復讐、それが行動力になっているのだ。
「気持ちは分からなくないが、それを見過ごすなとも言われてる」
カナタは大鎌を構える。
「言いたいことは山ほどあるし、聞きたいことも山ほどある、だから――」
「お前ら全員ぶちのめして私の上司のところに連れて行く」
カナタがそういうと、キリヒトは真顔から歪んだ笑みに表情を変えた。
「じゃあ君を倒して僕はレイヴンの連中をより殺せるようにするよ、君はいい実験台になりそうだ」
「……やってみやがれ!!」
カナタは大鎌をもって突撃した。
キリヒトは口に笑みを浮かべたままだった。
黒い空間の穴が開き、其処からロボットの顔のようなものが出現し、カナタに向かってレーザーを吐き出した。
カナタは瞬時に武器を盾に返るが、レーザーの威力が強く壁までとばされてしまう。
ガン!! と壁に強く背中を打ち付けられ、カナタは床に倒れる。
「君の力はそんなもんじゃないでしょう?」
疑問そうな顔をしてキリヒトは煽るように言ってくる。
「……お前、Sランクじゃねぇな!!」
カナタの目が青に変わる。
キリヒトのクラスが表示される、Sと表示があるが、それの表示がぶれEXと表示が変わった。
「ああ、バレちゃった。僕これでもEXランクなんだよね」
キリヒトは何でもないことのように告げる。
「偽装能力が高いのか畜生!」
黒い穴が多数出現し、ロボットが現れ、ロボットの一部が出現し、攻撃をしかけてきた。
「!!」
カナタは盾をより強固なものにして攻撃を防ぐ。
ジューっと盾の焼き焦げるようなにおいと、弾丸をはじく音がカナタの耳に届く。
「ウルフ!」
先ほど、レオンとの闘いで出てきた狼型の戦闘ロボットが自分に向かってくる。
カナタは無数の剣を出現させて、なるべく近づかせない様に剣と飛ばし続けた。
「そんなんじゃないだろう、君の能力は!!」
「うるせぇ!!」
攻撃を強めるのをどうやって良ければいいかわからなかった。
先ほどまでの戦いの時のような声もない。
どうすればいいのか分からなかった。
そう悩んでいる間に、横に黒い穴が開き、頭に強い衝撃を受けて昏倒した。
カナタはその瞬間意識を飛ばした。
しばらく動かなくなったと思ったが、キリヒトは知っていた。
カナタの能力は「意識を失ってから」が本領発揮だと。
赤い鏡のような物体出現しがレーザーをはじき返し、ロボットを破壊する。
カナタはゆっくりと起き上がり、だらりとした手で大鎌を持つ。
大鎌に鎖のようなものが付属される。
動き出したと思うと、カナタの動きは素早かった。
弾丸の雨をすり抜け、鎖の先端と大鎌で空間の穴から出ている部分を一瞬で破壊していった。
キリヒトは一瞬唖然としたが、口元に笑みを浮かべて表情をゆがめ、楽しそうに穴を増やして攻撃していった。
「そうこなくっちゃ!!」
巨大なロボットが姿を見せて、カナタを捕獲するが、カナタは両手で捕獲した口の部分をこじ開けた。
そして鎌で口を破壊した。
爆発音が響く。
それでもまだ動くロボットは小型ミサイルでカナタを狙うが、カナタは大鎌を投げて全て撃ち落とした。
大鎌をハンマーに変えたと思うと、キリヒトの腹を思い切り殴り飛ばした。
「が……!!」
バン!! と壁にたたきつけられる。
「……危ねぇ、危ねぇ……もう少しで殺しそうだった……」
意識を取り戻したカナタは深いため息をついて、冷や汗をかいた。
「……いやぁ、君強いねぇ」
「意識ねぇ方が強いみたいだけど、殺意丸出しなのが面倒だ。次は意識飛ばさないようにしないと」
カナタは頬を撫でながら言う。
キリヒトはげほごほと咳き込んでから、何かスイッチを押した。
扉が現れる。
「社長――ジュラスが居るのはこの先だよ」
「あっさりだな、罠か?」
「勝者の君への褒賞だよ」
キリヒトは残念そうに言う。
「君を捕まえれたら、『カラス』の事を惨殺できるとおもったのに」
「『カラス』?」
「……レイヴンの首謀者を僕等はそう呼んでるのさ」
「まんまだな」
「確かにね」
「……じゃ、行くわ」
カナタは武器を大鎌に変えて奥へと進んでいった。
誰もいなくなった空間でキリヒトは壁に背を持たれながら呟く。
「ああ、本当興味深いなぁ……」
何もない空間に手を伸ばす。
「どうやればあの表情が変わるんだろう、笑顔はどんなものなんだろう、気になるなぁ」
一人妄想にふける。
何か影が見えた。
キリヒトは顔を上げる。
其処には黒衣を纏った黒髪の絶世の美を持つ男が立っていた。
「来てもらおうか」
「……やれやれ、君みたいな死を擬人化した存在がが『彼女』の使いだなんて、やだねぇ」
「他の二人は既に確保済みだ」
「レオン君とアサギリ君、もう捕まったの? まぁEXクラスの中でも上位中の上位に属してるからね君は」
「おしゃべりはそれで終いか」
「うん」
男はキリヒトの腕をつかむとその場から姿を消した。
静寂だけがその空間に残った。
EX級の覚醒者との戦闘。
気絶してしまいますが、それによって「バーサーカー」という能力が発現し、一気にキリヒトを追い詰めましたね。
最期にキリヒトを捕まえにきたのはディオンです。
レインは理由があってカナタに今回の件を任せています。
それはいずれ分かるでしょう。
ここまで読んでくださり有り難うございました。
次回も読んでくださると嬉しいです。




