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第二十七話 対面2

 王達との食事が始まって数分が経つ。



 とりあえず、今のところ何の問題もない。



 全員が豪華な食事を楽しんでいるところだ。



「うますぎるッ……!うますぎるぅぅ!」



「舌が、とろける……!」



 ニアとケントも満足そうだ。



「ふふ、喜んで頂けて何よりだわ」



「二人が美味しそうに食べる姿を見ていると、なんだか姉上を思いだすわね〜」



 そんな二人を見て、イメルダとアンリが微笑む。



「姉上というのは、第一王女殿下の事ですか?」



「えぇそうよ。つい最近、他国の王族の所へお嫁さんに行ったの!しかも両思いよ!?王族が政略結婚でもなく!いいわよね〜私もそんな恋がしたいな〜……」



 恋か……



 この世界に転生してから、大切な家族と親友は手に入れる事ができた。



 だが、いかんせん恋人はできていない……



 前世から女性に対する免疫が無いというのもあるが、興味がない訳ではない……!



 むしろ大アリだ……!



 何といっても中身は51歳だが、身体は健全な15歳の男子だしな!



 すると、ナイジェルが俺を見て少し口角を上げる。



「じゃあ、ラルフ君なんてどうだい?腕も立つし、なにより顔もカッコいいよ」



「ブッ!!」



「ばっ……ばか!冗談はよしなさいよ!ラルフが困ってるじゃない!」



 俺はナイジェルの突然の発言に、思わず吹き出してしまった。



 ナイジェルめ……!



 やっぱりいけすかない奴だ!



「アンリッ……!」



「アンリさん……アァ……」



 その一方、照れるアンリを見てニアは嫉妬し、ケントは絶望していた。



 二人とも別にそんな感情を抱く必要はないというのに……



 ナイジェルは俺たちの反応を見て、ニヤニヤと笑っている。



「こんな冗談、兄上がいたら言えないからね。今のうちに言わせてもらうよ」



「まぁね……兄上はThe軍人って感じだものね〜」



 アンリとナイジェルは、少し呆れた様子で口を揃える。



「心配せずとも、ダグラスは昼頃に帝国の動向について兵を率いて調査に向かった。だからしばらくは帰ってこないぞ」

 


 二人の兄、つまり第一王子か。



 The軍人と揶揄される程の人物だ。



 相当お堅い性格なのだろう。



「帝国?まさかまた侵略なんて馬鹿なことを始めようとしているのかしら」



「それについてだが……」



 アンリがそう言うと、アルベルトの雰囲気がピリついたものに変わる。



「あの侵入者が、気になる事を呟いていたんだ。王城の裏切り者についてな」



 やはり潜んでいたか……



 ビカラとメキラの侵入は、あまりにも大胆すぎた。



 流石に手引きした者がいると考えた方が妥当だ。



「それで!?なんて言ってたの!?」



 アンリは身を乗り出してアルベルトへ尋ねる。



「ほとんどは殺されるといったような事を呟いていたんだが、たまに『あいつは逃げた』『嘘つき』『あのクソ男』と怨み言を繰り返していたようだ」


 

 なるほど。



 情報を整理すると、裏切り者は男。



 そしてビカラとメキラを手引きした後、逃走したというところか。



 更に嘘つきという言葉から、本当はあの騒ぎに乗じて何かを仕掛ける作戦だったのかもしれないな。



 それを仕掛けずに、裏切り者は逃走したのかもな。



 まさか十二司将の二人が負けるとは思わなかったのだろう。



「せっかくの食事の席だ、この話はこの辺にしておこう」



 アルベルトがピリついた空気を仕切り直す。



「えぇそうね、ごめんなさいね御三方」



 続けてイメルダが頭を下げる。



 何だか今日は、王と王妃に頭を下げられっぱなしで調子が狂う。



「お気になさらず!僕は皆さんとお話が出来て光栄ですから」



「ハハハ、ありがとうラルフ君」



 アルベルトは口ではそう言っているが、不安が拭いきれていないような表情を浮かべている。



「ハリー」



「はっ!」



 アルベルトはハリーを呼びつけると、何か小声で伝えている。



 ハリーも小声で頷く。



 アルベルトが伝え終わったのか、ハリーがこちらへ向かってきた。



 そして俺の耳元で小声で囁く。



「ラルフ様、後ほど王の部屋へご案内いたします」



 そんな事だろうと思ったよ。



 俺は無言で頷き、アルベルトの方を見た。



 アルベルトは、俺の視線に気づいてニッコリと微笑む。



 変なことを頼まれなければよいのだが……



 


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