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(第二章は削除しました)無自覚ハイスペックくん、女優学生に拾われる。  作者: 柏木悠斗
1st. あなたは自分の大切な…。
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PART.4 朝食とドス黒オーラの突撃記者 :前編

 朝が来た。ソファなのにいつもの布団で寝るよりも心地よく眠ることが出来た。何故だろう…?


 さて、朝食は味噌汁と目玉焼きと白いご飯。味噌汁には冷蔵庫に入っていた人参と昨日残した大根を入れる。ワカメもあったし、これで出汁も取れるよね?よし、完璧だ。


 まずは人参の皮を薄く剥く。野菜とかは川のすぐ近くに栄養があるらしい。ちなみに自分で食べるときはここもそのままゆでて食べている。剥いている理由はいたってシンプル。硬くて食べにくいからだ。


 自分はそのまま噛んでしまえるが冴島さんは難しいかもしれない。だから皮は剥いてしまう。人参はいちょう切りで。

 大根も同じだ。皮を剥き、これは輪切りに。大根は昨日()ろすときに使ったが、下ろすときは皮ごとで構わない。どうせ下ろすから口に入る時には余程酷いものでない限り味に変化はない。


 よし、綺麗に全部切れた。あとは先ほどワカメを先に煮ておいたから出汁は取れてるはず。あ、確か昆布とかから出汁を取る時は水に一回戻すんだったよな。まあ、昆布だしは素って形で売ってるからそれでいいけど。たまに自分で出汁を取るんだけど結構おいしいんだよな。まあ、出汁を取った後の残りを醤油とか塩を付けて食べてたあの時期が懐かしい。



 卵を片手で一個ずつ割り、それぞれフライパンに入れる。油を敷いておくことを忘れずに。剥がれにくくなって黄身が割れる可能性があるから。


 僕は半熟が好きだけど、冴島さんはどうだろう。まあ、一応半熟でいいかな?嫌だったら新しく焼き直そう。ちなみに目玉焼きはソース派、醤油派、塩派などがいるが、僕は醤油派だ。ちなみに塩でもイケる口だけどソースはちょっとお好み焼きとかもんじゃ焼きとかのあれが好きだから基本的に我慢。その内お好み焼きとか作ろうかな?


 さて、そうこうしている内に味噌汁は出来てきたかな?人参は少し多めに切った。まあ、見た目的には大根、人参、ワカメの味噌汁だけどね。ここは白味噌だけど、赤味噌の方が僕は好きだ。あっちは味噌汁にしてもそのままキュウリとかに付けるにしても白味噌を上回っている感じがする。まあ、一応白味噌派のために言うけど、白味噌も大好きだけど。どちらも買えるのは本当に最近は進化してるんじゃないかな、スーパーは。


 ああ、ぬか漬け食べたい。朝食は普段は納豆、白米、味噌汁、きゅうりのぬか漬けだった僕にとって、ぬか漬けは本当に食べたいものだ。でも、ぬか床から作るのは大変なんだよな。まあ、確か手にわずかに含まれる細菌がイロイロ増やすだのなんだのあった気がするけど、手が汚れるのは嫌なのでゴム手袋でやってたな。まあ、別に問題はありませんよね?まあ、結局お金の節約のために素手になったんだっけ?懐かしいな。


 そうこう考えている内に、朝食が出来てしまった。現在の時刻は七時。時間的にはベストだと思う。しかし、冴島さんはまだ起きていない。はぁ、とため息一つ。起こしに行こうと思ったところで、寝室に行っても大丈夫なのだろうかという不安が僕を直撃する。はぁ…。とさらにため息一つ。


 部屋に入るのは不味いと考え、僕は部屋の前まで行って呼んで起こすことにした。


「冴島さん!朝食出来ましたよ!」

「ううん、は~い。今行くよ~。」

「すぐに降りてきてください。早くしないと冷めちゃいますから!」

「分かってる!」


 冴島さんは今日は黒い服装だ。そう言えば昨日取材とか如何こう話してたな。それについてちょっと聞いてみようかな?


「あ、今日は和朝食?」

「はい。味噌汁に白飯に目玉焼きです。目玉焼きは固さが分からなかったので一応半熟にしておきました。」

「ん、半熟が一番好きだから大丈夫だよ。それより早く食べよ?」

「そうですね。では、」


「「いただきます。」」


「ん~!今日も美味しい!この味噌汁具材は結構質素なのになんかすごく具材本来の味が濃くて柔らかい!」

「出汁から取って、ゆっくりと煮ていったので。具材の人参の甘みが少し出たみたいですね。我ながらこれは美味しいものが作れました。」

「それに、目玉焼きの半熟加減もサイコー!あ、ちょっとうるさかった?」

「いいえ。お褒めに預かり光栄です。」

「よかったぁ。………………そうだ。ちょっと今日面倒くさいことが起きそうなんだ。」

「…面倒くさいこと、とは?」

「突撃取材班が来るのよ。しかもうちに。」

「…えっ。」

「だからパソコン取りに行けないかもしれない…。ごめん。」


 冴島さんは本当に申し訳なさそうにそう言った。

 別に僕自身パソコンはあまりいらない。でも、スマホのデータがそのまま入っているから盗まれたら痛手なだけだ。


「ああ、いや。大丈夫ですよ別に。パソコンだって、ゲームとかメモくらいしか入っていませんし。まあ、スマホのデータのコピーが入っているので無くなったら痛手ですが。」

「そういうところよ!本当に興味ないことには無関心よね…。」

「まあ、あまり考えるのは好きじゃないので。」

「私とも何の緊張感もなく話すし…。普通私と面と向かい合って話せる男性はいないからね?」

「さりげなく自慢しましたね。まあ、事実、あなたは美しい人間だとは思いますが。」

「…ホント?」

「嘘をつく意味も理由も、メリットもありませんし。」

「(やった!)コホンッ。…………で、記者の話だけどね。」

「はい。」

「彼ら、いや、来るのは一人なんだけど何十人も同時に相手するくらい面倒くさいのよ。」

「えぇ…。」


 どうやらこう言うことらしい。

 例として僕らの現在の状況について説明する際、まず僕が何故倒れていたかを原因から全部言わないといけない。それが終わるまで追及をやめないのだ。しかも、その後どうしてその行動をとったのかも言わないといけない。反対に、冴島さんが何故僕を拾う決断をしたかもインタビューされる。そして、最後には僕らの関係について聞かれるわけだけど、


「どう考えても女優の主人と専業主夫兼元高校生でいいじゃないですか。」

「それがそうともいかないのよ。彼ら、もう少し突っ込んだこと聞いてくるのよ。デリカシーが存在しないのか貞操観念についてまでド直球に聞いてくるのよ。」

「…セクハラで訴えましょう?」

「出来たら楽なのよ。でも、裏に結構大物がいるの。だから組織に訴えたところで絶対に負けるわ。」

「まあ、学校に行けばちょっと面白いものが出てくると思います。それも()()()()()()()()()()なアイテムがあるので最悪それを使います。」

「?なに、それは。」


「盗聴器ってやつですよ。まあ、多分厄介すぎる記者には無効化されますが。」

「それはなんで?」

「言葉巧みに誘導してくるタイプは面倒くさいですよね?そうすると訴えようにも訴えにくくなるんですよ。自分から情報を話してしまうので。」

「ああ、そういう…。」

「まあ、それよりももうじき記者が来そうな気配がしてなりませんよ。インタビューが面倒くさそうなので僕だけでも逃げていいですか?」

「駄目よ。一応この家の専業主夫でしょ?」

「了解ですよ。流石に職務怠慢は許されませんし。」

「サボったら承知しないわ『ピンポーン』よ。………………来たみたいね。」

「どうやらそうっぽいです。」


 インターホンが鳴る。そして、若い女の声が聞こえてきた。インターホンのカメラから見るとスーツ姿で黒い髪を一つに結っている。顔立ちは比較的に整っている女性だった。


『は~い!丸橋TVの記者です!』

「こんにちは。これから扉を開けるので少々待ってください。『は~i』ふぅ…。」

「あの…。」

「どうしたの?」

「何故か知らないんですけど、扉から異質な黒いオーラが見えるんですけど、これって僕の目の錯覚ですかね?」

「あ~、あのテレビ局の人みんなああだから。ささ、開けるわよ。」


 そうして、扉を開けた瞬間。


「本日より冴島友里と居候の彼の同棲生活について密着していきたいと思います!」

「「なんでこうなった~!?」」


 悲痛な冴島さんの叫びと、暴露されたら()()()()命がない僕の焦りからなる叫びが同時に発せられた。

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