私の気持ちです。
「、、、私は努力してきましたよ。」
「ん?」
「私は、イトラン様に相応しい女性になれるよう、、幼い頃から努力してきました。」
そう、、それは嘘じゃないの。
「それがなんだと言うんだ?実際、皇太子の婚約者ではないリリーの妹、ダリアの方が優秀じゃないか。、、、いや、実際、君は多くの令嬢よりも下だと思うのだけれど。」
そう、それも合っている。
間違いなんかじゃない。
「知っています。でも、、それって、もう答えが出ていませんか?」
「?」
「私は天性の無能なんじゃないですか?」
「、、、は?何言って、、」
「もう私、疲れたんです。私は勉強だってダンスだって、それに、、皆と楽しく話すための練習だってしているのに、何一つ上達しないんです。これって、もう、私は何もできないんだって神様が言ってるってことなんじゃないですか?」
口が勝手に動く。
表面上ではこの口を止めたいのに、考えてもないことがズラズラと出てくる。
あぁ、、きっとこれは「リリー」の本心なんだ。
ずっと心の奥底で隠してきた、本音。
イトラン様が本音を打ち明けたことによって、「リリー」の心の内も解放されたんだ。
それならば、、止める理由はないか。
「隠さず言いますね。周りが言っている通り、私とイトラン様は釣り合わないどころか天秤にもかけられない状態です。私との婚約を、、解消していただけませんか?」
「、、、ぇ、、」
あれ。
リリー。
あなた、そんなこと思ってたの?
リリーは、イトラン様のことが好きなんだと思ってた。
イトランルートでも、リリーは嫌がらせはしないものの、出てくるときはいつも悲しい顔をしていた。
どんなに臆病で気弱でも、イトラン様に好意を寄せてるんだなって、、思ってたのに。
イトランルートの、、数少ないローズとリリーの会話の一つ。
『ローズ様、、あ、あの、、もしかして、、イトラン様、のこと、、お好きなんです、、か?』
皇国にたった2人しかいない公女と何人いるか分からないくらい多い男爵令嬢の会話なのに、まるで立場が逆転したような場面だった。
そのときのリリーの顔は、悲しそうで、辛そうで、、何もかも「終わった」ような顔をしていた。
プレイしているときは、リリー可哀想だなぁって思いながら進めていたけど。
「イトラン様もその方がよろしいのではないですか?私は名ばかりの公女です。確かにグランウィーク公爵家の長女ではありますけれど。婚約するならダリアの方が、、いえ、イトラン様はローズ様の方がよろしいかもしれませんね。」
少しだけ、嫌味っぽく。
「なぜそこでローズの名を出すんだ。今ローズは関係ない!それより婚約解消とはなんだ、勝手に話を出して進めてくれるな!」
「イトラン様は未来の皇妃になる自覚のない私が気に食わないのですよね?でしたら、意欲もあって能力も高い令嬢とご婚約された方が良いのではと言っているのです。」
「っ、、最近、急に君の態度が変わったから何があったかと思えば、、下らない。リリー。君との婚約は解消しない。今後一切この話を出すな。、、、では。」
、、、、、ハァァ?!
言い逃げかよ!!