婚約者です。
「本当に、、わざと、ではないのです。先程の令嬢方に言った通り、イトラン様やスターチス様は国のためにとても励んでいらっしゃる。男爵令嬢の私がこんなことをするのは失礼かもしれませんが、他に私ができることなんて思いつかなくて。お恥ずかしい話ですが、私の家、マリエン男爵家は金銭的に困っているわけではありませんが余裕があるわけでもありません。そんな中で私ができることと言ったら、、これくらいしかなくて。ですから、決して、」
あぁ、、言いたいことが分かった。
私は別に、イトラン様たちに気に入られたいと思っているわけではない、、と。
私がイトラン様の婚約者だから。
普通の令嬢、、いや、ダリアの知り合いの令嬢だったら絶対に信じないけれど、ヒロインが言ってるんだから信じるわ。
ときには信じることも大切、よね!
「大丈夫よ。私は気にしないわ。」
「っ、、こ、これからは決して、」
あれ?
何を勘違いしているの?
私、ちょっと怖く言っちゃったかな、、、?
圧をかけたつもりはないのだけれど、、
しかも私は、イトラン様のことを好き「だった」だけで、今はそこまで好意を寄せていない。
リリーを虐める奴を好きになんてなっていられるものですか!
「本当に、大丈夫なの。、、、本当のことを言うとね、私、イトラン様のことを好きなわけではないの。」
「、、、え?」
私に頭を下げ、必死に許しを乞いているヒロインに言う。
あぁ、、罪悪感がっ!
「とにかく頭を上げて?えっと、、ローズ様、」
う、ウワァァ、ヒロインのこと、名前で呼んじゃったぁぁ!!
さっき言った気もするけど、改めて意識して言うとなんというかぁ、、恥ずかしくなってくる!
「えっ、、」
あ、もしかして引かれたかな?!
勝手に言っちゃったから?!
てっきり、ここでは皆名前で呼び合ってるから、良いのかと思ったけれど、、
皆、私が公女だとしても「リリー様」と呼んでいたし、、
いや、少しそれはあてにならないか。
「ご、ごめんね、勝手に。えっと、、マリエン男爵令嬢、と呼んだ方が良いかしら。」
「え、、、えっ?!い、いや、そんなっ!公女様が男爵令嬢に謝るなんて!申し訳ございません!!」
「で、でも、、私に名前で呼ばれるのは、、嫌なんでしょう?」
「まさか!う、嬉しすぎて驚いてしまって、、本当に申し訳ございません。で、できれば、、ローズ、とお呼びください、、」
良かったぁ、、引かれてなかったぁ、、
流石、攻略対象+隠しキャラを落としたヒロインだけあって心が広いわ。
私がプレイしない方がもっと簡単に攻略できていたかも。