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ヒロインです。

「きゃっ」


「何?このお菓子。」


「えっ、、イ、イトラン様たちへの差し入れにと、、作ったものです。」


「はぁ?まさか手作り?」


「え、えぇ、、」


「ふふっ、何言ってるのかしら。そんなものイトラン様たちが召し上がるわけないじゃない。」


「少し考えたら分かることではなくて?」


「それ、私にくださる?ゴミ箱に入れておきますわ。感謝してくださっても良いのよ?」


クスクス


「そんな、、食べ物を粗末にしようとするなんて、」


「ふふ、そうね。ローズ様は男爵家の御令嬢だものね。そんなお粗末なこと、できないでしょうねぇ。」


「っ、、」


「なんでこんなことするんですか、、私はただ、イトラン様やスターチス様が国のために頑張ってくださって疲れていらっしゃると思ったから、それを少しでも和らげようと作ったんです。」


「そうねぇ。だったら私たちから差し入れいたしますわ。その方が美味しいわ。」


「うちのシェフは国内でもトップの腕前ですしね。」


「少なくともローズ様のお菓子よりは良いと思いますけれど。」


「、、、ですが、、」


「まだ何かおっしゃるつもり?リリー様に言っておかないと。」


「リリー様?」


「えぇ。全て指示されているのはリリー様だもの。リリー様もあなたの行動が邪魔だと思っているのよ。察しなさいよ。」


「そんな、、リリー様が、、」


「私にくださりますよね?ゴミ箱へ、、」




「何言ってるの?」




「えっ」


「リ、、リリーさ、ま?」


「どうしてリリー様が?!」


「こんなところ見つけても、今までのリリー様だったら何も言わずに逃げるはずなのに、、」


「最近リリー様が変わったと聞きましたわ、もしかしたらそれかも、」


私に聞こえないよう、コソコソと何かを話している。


「私、そんなこと言った覚えはないのだけれど。」


「えっ、あ、えぇ、、と、」


「、、、わ、私たちも、他の令嬢から言われたのです!リリー様がこう指示しているから、、と!まさかリリー様が言っていないなんて思っておらず、」


「え、えぇ、そうですわ!私たちは騙されたんですの!」


「どうかお許しを、、、!」


「大丈夫よ、許すわ。心配しないで。」


「よ、良かったです、、ありがとうございます、、」


「リリー様はお優しいのですね、、」


ふっ、分かりやすい安堵の表情ね。


大方、私はチョロいからこうおだてていれば許してくれると思ってるんでしょう?


「あなたたちは騙されただけなんだもの、何も悪くないわ。悪いのはあなたたちに嘘を流した令嬢ね。その方には罰を与えないと。その令嬢って、、どなた?お名前を教えてくれる?」


「ぇ、、」


「そ、それは、、」


まさか簡単に許すとでも?


「リリー」のためにも、私はこの世界で勝たないといけないの。


いずれ貴族階級の剥奪をされても、それまでは。


私の底にあるリリーの魂が、少しでも晴れるように。


「、、、もう、大丈夫です。」


「え?」


「リリー様、この令嬢方が言っていることは間違っておりません。確かに私なんかの作ったお菓子をイトラン様やスターチス様に食べてもらおうとしていた私が愚かだったのです。リリー様にお手を煩わせてしまって申し訳ございません。どうかこの件はなかったことにしていただけませんか?」


「ローズ様、、」


な、、なんて良い子なの?!


流石ヒロインね!


今は誰かがプレイをしていないんだから、、きっとヒロインの純粋な気持ちね。


ヒロインがこういうんだから、、私は何かするべきではないわね。


今後のことも考えて、仲良くなっておいた方が良いし。


「そう。分かった。この件はなかったことにしましょう。御令嬢方、今後は騙されないようにお気を付けてください。私は公女ですので、、下手したら、、、ねぇ?」


「は、はい、勿論でございます!」

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