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絶世の美少年の誕生

よろしくお願いします。


 容姿が整っているってズルイよなぁ。


 地味で冴えない見た目の人間が三十年間生きてきて思った事はこれにつきる。


 容姿が整っている者と整っていない者が同じ行動をとっても周囲の人間のリアクションは違う。


 例えば真面目で心優しい人間が二人いるとしよう。

 休日にボランティア活動や献血活動を行うのが趣味の様な人間が。

 片方は身長百六十センチで体重百キロでまだ二十五歳なのに若ハゲの男性。

 片方はアイドルに成れそうな程整った爽やかなルックスを持った身長百八十センチで引き締まった肉体の二十五歳の男性。

 同じ年齢で同じ位心優しい性格なのに周囲の人間はあからさまに態度を変えるだろう。


 前者の人間は見た目で不摂生と判断されたり、バカにされたり、虐められたり、心優しい趣味も特に興味を持たれない。

 女性にも基本無視され、職場で書類を取る際に女性の同僚と手が触れたなら嫌な顔され、目の前でハンカチで手を拭かれる。

 結婚なんて余程中身を見て判断してくれる女性が近くに居ないと無理だろう。


 一方後者の人間は仮に不摂生な生活をしていても見た目で清潔な人間と思われ、周囲には彼と仲良くなりたい人間が何人もいる。心優しい趣味は注目され誉められまくるだろう。沢山の女性に好かれ、職場で書類を取る際に同僚の女性と手が触れたなら頬を赤く染められる事もあり得る。心優しい性格は沢山の女性に知られて結婚相手なんて選び放題だろう。


 この二人が暴行事件を起こしたなら、前者の人間はほとんどの人間に蔑まれるだろう。

 後者の人間は何か理由があったのかもしれないと庇う人間は多くいる。


 仮に痴漢の冤罪にあったならば、前者の人間は「やると思った」「生きてる価値のないブタ」「気持ち悪い」と言われ、家族でさえも冤罪を信じてくれないかもしれない。

 後者の人間は彼が冤罪を主張すれば信じてくれる人間は沢山現れるだろう。


 そう、世の中は見た目で判断される事が大半だ。

 すべてとは言わない。中には見た目に判断されない人間もいるだろう。

 だが、いくら綺麗事で大事な物は中身だと言ってもこの二人の性格の良さを説明した上でどちらと仲良くなりたいかと選ばせたならほとんどの人間は後者の人間を選ぶだろう。

 それは当然の事だ。同じ位に性格の良い人間なら容姿の良い人間を選ぶのは当たり前だ。俺だって後者の人間を選ぶ。


 だから容姿が整っている人間はズルイのだ。

 生まれた時から人生の勝ち組の道が多く用意されているのだから。


 羨ましい限りだ。俺もイケメンに生まれたかった。

 別にブサイクだった訳じゃない。ただ地味で目立たない空気の様に扱われるそんな容姿だっただけだ。

 そんな人間がインドアでおとなしい性格で本を読む事しか趣味がなければその人生がどんなものか想像つくだろう。


 「……あぁ、つまらない人生だったなぁ」

  

 なぜ自分の人生を憂いているかというと死にかけているから。


 仕事が終わり、帰宅途中に車に轢かれた。

 青信号になったのを確認し渡っている途中に猛スピードでシャコタンの車が突っ込んで来たのだ。

 余程スピードを出していたのだろう。

 たぶん五メートル程飛ばされて硬いアスファルトに体を打ちつける事になった。

 身体中から激痛を感じる。起き上がろうとしても身体は動かないし、視界は歪んで空に浮かぶ月が何重にもぶれて見える。

 これはヤバいと思っていると人の気配が近づいてくる。


 「うわぁ、マジでヤベー。うわっめっちゃ血出てんじゃん。大丈夫っすか?」

 

 視界が歪んでもわかるくらい金髪でピアスを着けたわりかしイケメンの若い男が至近距離で俺の顔を覗きながら声をかけてくる。

 応えたいが呻き声しか出せない。


 「うわぁ、意識朦朧としてんじゃん。マジヤベー」

 

 本当にヤバいと思ってんのかと思う位このヤンキーっぽい男は焦ってる様には見えない。

 そんな男に近付く人影。


 「アッ君、そ、その人大丈夫なの?」


 恐らくはこのヤンキー男アッ君の彼女だろうギャルはアッ君の横から俺を見る。


 「ア、アッ君その人ヤバいんじゃ。は、早く救急車呼ばないと」


 ギャルがバックからスマホを取り出し、救急車を呼ぼうとするけどアッ君が待ったをかける。


 「ミサ、ちょっと待った。その前に車を運転してたの俺じゃなくミサって事にしてくんね? 俺酒飲んでんじゃん? ミサは酒飲んでねぇしいいっしょ?」


 ……何言ってんのアッ君。それはミサちゃんも同じ気持ちだった様で。


 「えっ!? ちょっと待って。ど、どういう事?」


 「よく考えてみ? このまま救急車呼ぶと警察も来るっしょ? すると飲酒運転してた俺は捕まっちゃうけど、ミサが運転してた事にすれば大丈夫っしょ?」


 「えっ?それじゃ私が捕まっちゃうんじゃ?」


 「大丈夫大丈夫。俺の車はドライブレコーダー積んでないし、この道は大きい通りでもないし、カメラなんて設置されてないっぽいし夜遅くで運良く人も見てない。このオッサンが赤信号を急に渡って来たって二人で証言すればミサは罪に問われないっしょ」


 うわぁ、アッ君クズだなぁ。彼女に罪着せた上で何の罪もない俺の所為にしちゃう? 


 「そ、それって嘘つけってこと? ダ、ダメだよ。それより救急車を呼ばないと」


「おい、俺が捕まってもいいの? もうすぐ俺が仕事で出世するの知ってるよな? 捕まったら今までの俺の努力パァーじゃん。本当に俺の事好きなの?」


 再び手に持ったスマホから救急車を呼ぼうとしたミサちゃんの手首を掴み声を低くし、ミサちゃんを脅すアッ君。


 「す、好きだけどこんなのはダメだよ。それにその人が聴いてるかもしれない」


 「はぁー。こんな状態じゃ聴こえてねぇよ。それにこのオッサンは助からねーよ。だってこの血の量ヤベーもん。それより俺は本当にミサの事愛してるんだぜ。プロポーズも考えてたのによ。もし、ミサが協力してくれるなら仕事も順調にいって結婚もすぐにできるだろうなぁ。なぁ、好きなら嘘つく位できるだろ?」


 聴こえてるっつーの。見た目ギャルなのに良い娘そうなミサちゃんを追い詰める見た目通りクズなアッ君。

 結局ミサちゃんはアッ君の圧に耐えきれず嘘をつく事を了承してしまった。

 その後ミサちゃんが救急車を呼び、しばらくして遠くの方から救急車のサイレンの音が聞こえてくる。

 その頃には俺の意識は朦朧とし、クズなアッ君の「お気に入りの愛車なのに廃車行きかなー。まぁ、保険がおりるだろうし、新車買えるなら逆にお得的な?」と言う声とミサちゃんが俺の横で「ごめんなさい、ごめんなさい」と泣きながら呟く声を聴きながらのおさらばとなった。

 最後に思ったのはこんな良い娘なのに何でこんなクズと付き合ってんのかな? 結局顔がイケメンだからかなだった。



 ……おさらばと思ったのに、俺の意識は再び目覚めた。

 だけど周りには何もない。というか当たり一面全部白い。

 なんだここ? どこだ? 建物の中ではない。空も白けりゃ地面も白い。遠くの方を見ても何もない。全部白。


 しばらく考えこんだ末出した結論は「死後の世界かな」だった。

 それは正解だったらしく頭の中に『ピンポーン』とダンディズムな声が響く。


 えっ? 何で頭の中に声が響くんだ。周囲には人も居ないし。疑問に思ってると、目の前に白いモヤが出てきてだんだんと人の形に形成していき、しばらくすると白髪頭も素敵なダンディイケメンが目の前に立っていた。

 

 「もうわかってるみたいだけどその通り! ここは死後の世界です!」


 ダンディなイケメンは頭の中に響いた声と同じ低く渋い美声で明るく告げる。

 素敵なスマイルを向けてくるダンディイケメンは髪も白けりゃ眉毛も白いし、肌も白い。着てる服も白い。何から何まで白いダンディイケメンは見てるだけで心がざわつく。

 この超常的な存在の答えを俺はもうわかってる。


 「もしかして神様ですか?」

 

 白いダンディイケメンに声をかけるとニヤリと笑う白いダンディイケメン。


 「フフッ、君は物分かりが良いみたいだな。そう私は神。君は死者。ここはあの世!」


 ミュージカルの様に大げさに答える神様。


 「あの世って事は天国か地獄という事ですか?」

 

 うーむ、どっちだろう。地獄に落とされるような悪い人生は送っていなかったと思うし、かといって天国に行ける程善人だったかと言われれば悩むところだなぁ。


 「ハッハッハ。ここは天国でも地獄でもない。というか天国や地獄は人間が作り出したまやかしでしかない。君達で言うあの世であるここは神である私が死者の魂を審査し、転生させる為の場所でしかない」


 「……ちなみに審査とは?」


 「いい着眼点だねキミィ!! 簡単に言えば、生前の人生の行いを調べて善人と言える人生だったならば次の人生は幸せになりやすい様に神の祝福を与えて、悪人と言える人生だったならば、その罪の重さに見合った業を次の人生で背負ってもらうって所かな」


 なるほど。天国や地獄はなくとも次の人生に前世の行いが影響するのは天国と地獄の考え方に通じる物がある。

 ならば俺はどっちだ? そんな悪い事してきてないのだが自分では気付かない間に何かしてしまったのかもしれないし怖いなぁ。


 「フフッ、そんなに怖がらなくとも君は業を背負う程の悪人ではないと既に審査し終わっているよ」


 はぁー、良かった。なら次の人生に余計な苦労はしなくても良さそうだ。んっ? ちょっと待て? 今俺は声に出してたか? もしかして?


 「フフッ、その通り!! 私は心を読める!! なんたって神だからね!」


 やっぱりそうなのかぁ。うーむ、心を読まれるのは恥ずかしいけど神様だししょうがないかぁ。それよりも審査し終わっているならなんで転生させずに俺と喋っているんだ? それとも転生させる前に死者と話すのが普通なのか?


 「うんうん、本当良いところ突くねキミィ!! 君が思った通り普通は審査し終わった死者の魂はそのまま転生させるんだけど、君に一つ質問があってね。君は生前に未練があるよね?」


 この人はやはり神様なのだな。確かに俺には未練がある。正確には死ぬ直前に出来たのだ。

 それは、俺を轢き殺したアッ君とその彼女であるミサちゃんのその後である。

 アッ君は嘘をついて無罪になろうとしてたけど現代の警察はそう甘くないし、あのクズが無罪になるのは許せない。一方でミサちゃんは悪い子ではなかった。そんな彼女はその後どうなったのか気になるのだ。これがつまらない人生を送った俺の唯一の未練。


 「あの、俺が死んだ原因の男とその彼女のその後を教えてもらえたりしますか?」


 「もちろん。次の人生には前世の記憶は残らないものだけど、それでも未練を残したまま転生させるのは嫌だからね。それじゃあ、早速教えるけど、君を轢き殺したヤンキー男アッ君は、嘘の証言をして罪から逃れようとした訳だけど、彼女であるミサちゃんが罪の重さに耐えきれず自白した事により、現場の再検証が行われた結果、事故現場近くのマンションの防犯カメラに事故の映像が残ってたのが決め手になってミサちゃんの自白が正しい事が証明されて、逮捕されたよ。それもただの飲酒運転の轢き殺しの罪ではなく、悪質な虚偽申告罪の罪も上乗せでね。当然彼は仕事を辞める事になり、その後も苦労する人生を送ることになるよ」


 そうか、ミサちゃんは自白したのか。やっぱりあの子は悪い子じゃないのだ。アッ君が正しく裁かれて苦労する事になったのはザマァでしかない。ないのだが、自白したミサちゃんはどうなったのか気になる。一時とは言え、共謀して嘘をついていた事になるのだ。


 「うん、君が思っている通り、彼女も虚偽申告罪の罪を背負う事になったよ」


 あぁ、やはりか。確かに法律で言えば裁かれて当然なのだ。だけど俺はあの短い時間でミサちゃんの人柄を知ったし、最後の泣きながらの謝罪で彼女をとっくに許しているのだ。

 だからこそ彼女が罰せられたのがショックなのだ。

 俺はできれば彼女には幸せに生きて欲しかった。

 

 「フフッ、安心するといい。自白と彼女の反省の姿勢から彼女は彼氏に無理矢理共謀させられただけと判断されて、執行猶予がついてその後何事も問題を起こさなかったから刑罰を受ける事はなかったよ。それに彼女はその後アッ君と違ってとても性格の良い男性と結婚して三人の子宝にも恵まれて幸せな人生を過ごす事になる」


 そ、そうなのか。良かった、本当に良かった。正直アッ君のその後よりも彼女の方が心配だったのだが、幸せに暮らせたなら良かった。もう未練はない。


 「フフッ、安心した君に更なる情報のプレゼントだ。その後ミサちゃんは事故現場と君の墓に死ぬまで毎年花を供え続けたんだよ」


 「……そうですか。ならやはり彼女が幸せな人生を送れたと聞けて心から嬉しく思います」


 「うん、そうだね。私も彼女がその後幸せに生きれた事は嬉しく思うよ。でもそれよりも嬉しい事が私にはあるんだよ。何だと思う?」

 

 嬉しい事? うーん、わからない。


 「すみません、わかりません」


 「フフッ、私の嬉しい事は死の間際に自分の事よりも自分を殺した男の共犯者である女性の心配をし、死んだ後もその未練を抱え、彼女が幸せに生きたとわかると心の底から彼女の幸せを喜んだ人間に出会えた事さ!」


 神様はやはりミュージカルみたいな大げさな言動で答える。

 だけど嬉しい事が俺と出会えた事? 神様が喜ぶ程の事をした覚えはないが。


 「フフッ、したんだよ君は。私は博愛の精神というものが大好きでね。君が見せてくれた未練はまさに博愛の精神そのものだった。私が神の祝福を与えたいと思う程にね!」


 神の祝福は善人と判断された人に来世が幸せになりやすくなるように送るものと先程言っていた筈。ならば俺は善人と判断されて来世は幸せになりやすくなるという事?


 「ノンノン。別に君を善人と判断した訳じゃない。君の三十年の人生は可もなく不可もない。悪い事をした訳でもないが、私が善人と認める程に良い事をした訳でもない。ただ君が残した未練が祝福を与えてもいいと思う程に私を感動させただけさ。善人と同じように来世で幸せになりやすくなるのは一緒だがね」


 そうなのか。善人と認められなくても神の祝福はもらえるのだからありがたい。


 「では祝福を与えよう。次の人生君はどの様になりたい? 君の願望を一つだけ叶えてあげよう」


 「えっ? 祝福って運が上昇する感じのものじゃないんですか?」


 「確かに祝福を与えられた者は普通の人間よりも運値は上昇するよ。でもそれは副次的効果でしかない。神の祝福はどんな願望でも一つ叶える事なんだ。神の祝福を受けた者には巨万の富を願って一生遊べるだけの金を手にした豪商に生まれ変わった者もいるし、権力を欲して一国の王になった者もいるし、物語の勇者の様になりたいと願って勇者になった者もいるし、魔法を究める程の才能が欲しいと願って大賢者になった者もいる」


 「勇者に大賢者? あの、生まれ変わる世界って死ぬまで生きていた世界に生まれ変わる訳じゃないんですか?」


 「うん、同じ世界に生まれ変わる訳じゃないよ。世界は無数に存在していてね、君が生きてきた世界もその中の一世界に過ぎない。物語の様な勇者や魔王やモンスターがいる世界もあるし、科学が君が居た世界よりも随分進んだ世界や逆に君の居た世界よりも科学が進んでない世界もある。まぁ、君が転生する世界がどんななのかは秘密だけどね。さぁ、君の願望は何かな?」

 

 どんな世界に行くかはわからないか。

 非常に気になるけど秘密なのだから仕方ない。

 それよりもどんな願望にするかだけど、もう決まっている。


 「俺の願望は、世界中の生きとし生ける者が見惚れる程の絶世の美少年に転生する事です!!」


 三十年間生きてきて思ったのが容姿の良さがすべてなのだからこんな願望になっても仕方ない。


 「ははっ、随分欲に忠実な願いだね。しかし、世界中の生きとし生ける者すべてが見惚れる程の美少年か。願いとしてはかなり大きい願いだね。普通にイケメンに生まれ変わりたい程度の願いなら神の祝福もあって普通の人より幸せに暮らせると思うけど、これだけスケールの大きい願いだと、神の祝福の力も願望の方に取られて幸運の効果は得られないよ。結構生き辛くなると思うけど、それでもその願望を叶えて欲しい?」

  

 幸運の効果が得られない?

 そんなのこの願望を叶えてくれるなら無くても構わない。


 「お願いします、この願望を叶えてください!」


 「ふふっ、即答だね。ああ、わかったよ。その願い確かに叶えよう」


 神様が右手をかざすと、俺の身体が光り始めた。


 「か、神様! これは何ですか!?」


 「心配しなくても大丈夫。新しい世界に飛ばすだけだから」


 俺の身体は更に光が強くなり身体も透けてきた。


 「ふふっ、願望が叶った君がどういう風に生きていくのか楽しく観させてもらうよ」

  

 神様のその言葉を最後に俺の意識は途絶えた。




             ◆◆◆



 目が覚めると何か狭くて暗い場所にいた。ここどこ?  

 

 グイグイ。


 うん? 何か頭を引っ張られてる。


 スポッ!!


 うわ眩しい!!


 目はよく見えないけど明るい場所に出たのはわかる。

 それで誰かに抱っこされてる?


 目は光を感じる事しか出来ないけど、耳は聞こえる。

 何を言っているのかわからないが抱っこしている女性が何か慌てている。

 次の瞬間背中を強く叩かれる。

 痛い痛い! 思わず声を出したら「オギャー」と赤ちゃんの様な泣き声をあげてしまった。

 

 結構大きな声で泣いているのに抱っこしている女性は安心した声色をしている。そしてタオルで俺を包み別の人間に渡した。


 その人も女性で嬉しそうな声色で俺に何か囁いている。

 その優しい囁きに心地良くなっていると、ドタドタと慌ただしく誰か近づいてきて女性から俺を受け取り頬を擦りつけながら泣いている。非常に暑苦しいし、髭がジョリジョリして痛い。

 

 まぁ、一連の流れで今の現状はだいたい理解した。

 今俺は生まれたばかりの赤ん坊で泣きながら頬を擦りつけてくる男性は父親で、先程優しく抱いてくれていたのは母親だろう。

 神様が言っていた通り新しい世界に転生したのだろう。

 うん、それは問題ないけど、一つ問題がある。


 ······俺、前世の記憶持ったままなんですけど?

 

読んで頂きありがとうございました。

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