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XI. Gloria praeterita

 デイレンの街はじきに夕暮れだ。日が沈む前に道の氷はおおかた溶けて、石畳の街は水浸しになっている。徒歩でガラドニック邸へ向かうことになったフォデル、エディ、ロランの三人は、後片付けや行方不明者の捜索でごたごたしている地域を避けて、土地勘のあるフォデルが選んだ道を歩くことにする。宮殿の敷地を抜けてから、エディはフォデルに言う。

「小さいのにちゃんと王様やってるんだな。王様のおかげで助かったよ。他は、殺そうとするやつばっかりだったから」

 エディの感心した様子に、フォデルは考えて答える。

「今日はちょっとすごかったよな。ジェオルジーニのうろたえぶりは面白かった。でもさ、普段はあんなんじゃないって評判なんだぜ。宰相のやつにしっかり懐柔されてるって。半分教育係みたいなもんだからなあれ。王太后も何も言わなかったし、なんか変だったけど、助かった」

 ロランが言う。

「軍人どもはともかく、宰相はどうしてああも殺す方へ持って行きたがったんだ? 魔導士長のやつはあれだろ、怖いから殺せって言いぶりだった。宰相も同じか?」

 フォデルが答える。

「そういうのはベルナルドに聞いてくれよ。誰が何考えてるかとか、おれは苦手だ」

 エディはフォデルに聞く。

「リノリアとの戦争ってそんなに大変だったのか?」

 フォデルは頷いて言う。

「ああ。ぼろ負けして戦場以外でも何人かの首が飛んだ。うちはその前からだいぶ落ちぶれてたみたいだけど、そのときの賠償金の金策で土地を持っていかれた貴族がたくさんいたってさ。報復されたら打つ手なしだろうって、相当ふんだくられたらしい。なんで挑んだんだろうな」

 ロランがフォデルに聞く。

「最初は勝つ気でいたんじゃねえのか? 戦争はあんたが生まれる前の話か?」

 フォデルは違うと否定して答える。

「リノリアとの戦争があったのは十年前だから、おれが今の王様よりも小さかったころだ。しかも、そのころはこんなところにはいなくて、田舎の領地で遊びまわってたから、あんまりよく分かっていない。親父も従軍するはずでさ、兵隊を準備して、いよいよ命令が出るかなってところでいきなり終わったんだ。魔導士がたくさんいたはずの第一陣のやられかたがすさまじかったらしくて、なんか、本当に全滅したからどうなったかがしばらく分からなかったってきいたぜ。すげえよな。魔導士の信用はがた落ちだ。以来、この国で魔導士は出世しない」

 ロランは全滅と聞いて眉を顰め、「魔導士長に恨まれるわけだよな」と呟く。エディも、サンドラの話を聞いたときの想像がどうやら正しかったらしいと思い、複雑な気持ちになる。ロランはふと思いついてフォデルに聞く。

「あんたのところのお抱えのベルナルドは、同じ国の魔導士連中の力をずいぶん低く見積もってたみたいだが、軍属の魔導士ってやつと貴族のお抱えだとどっちの立場が強いんだ?」

 フォデルは「あいつはそういうことを言いそうだなあ」と呟いてからこう答える。

「『軍属の魔導士』っていう言い方あんまりしないけれど、何というか、つまり、国に囲われてるやつらってことだろ。そりゃあ、昔はそっちの方が偉かったさ。ただの貴族だの金持ちに雇われるなんて、そのへんの家庭教師とか料理人とかと大差ないからな。ただ、そのリノリアの一件で宮廷での魔導士の立場がぐっと低くなったから、今はたいして変わらないくらいになってるのかもしれない。これもおれにはよく分からないな」

 エディも一つ聞いてみる。

「ベルナルドがさ、今捕まってるサンドラは『奥方様のご友人』って言ってたんだ。奥方様って伯爵の奥さんだろ。フォデルは伯爵の息子なんだから、サンドラはフォデルの母親のご友人なのか?」

 フォデルはうんうんと頷いて答える。

「そうなるな。おれもすごく小さいころに会ったことがあるって聞いたけれど、さすがに覚えてないからな。どんな人なんだ?」

 まだそれほど付き合いが長くないエディは、考えて答える。

「どんな人かって聞かれると困るな。とりあえず強い。なんかルパニクルスの試練みたいなので、【影】を瞬殺してた。一緒に捕まってるミラベルってやつも、火の魔女で強い」

 ロランがエディの言葉に付け加えて言う。

「サンドラねえさんは美人だぞ。銀髪の冷たい美人だ。ミラベルは将来に期待だな」

 エディは「ミラベルに怒られるぞ」とロランに言う。【探索】の参加者に成長した将来はない。エディもミラベルも、ずっと少年少女のままだ。フォデルはロランの発言にへえと感心しながらこう言う。

「美人なのか。今も強いらしいし。竜遣いが年を取らないのは本当なんだな。そんなの、聞いてもなかなか信じられないからさ。会うのが楽しみになってきた」

 ロランが「ただし二人とも怖いからな。下手に手え出してはたかれないよう気をつけろ」と真面目な顔をして言うので、フォデルとエディは二人とも笑う。和んだところでフォデルが言う。

「それでさ、『ルパニクルスの試練みたいなの』って何だったんだよ? 今までどこでどんなことしてきたのか、冒険の話を聞かせてくれよ」

 ロランとエディは顔を見合わせる。【探索】は始まったばかりなのだが、それでも話すことはたくさんありそうだった。



 フォデルいわく『車は古いが馬はいい』ガラドニック家の馬車の中で、ベルナルドはどこか諦めたような口調で同乗者に頼む。

「どうか内密にお願いいたします」

 向かいに座っているシルキアは、何かが面白かったらしく、可愛らしくくすっと笑う。その隣のジャンは、知らないふりをして言う。

「さて、何のことだったか」

 ベルナルドはかえって困った様子でシルキアに指摘する。

「ユークンドル様は振り返ったでしょう」

 シルキアはそれには答えず、真面目な顔でこう言う。

「シルキアでいいよ。その名前、慣れないから」

 ジャンも言う。

「私のことも呼び捨てで構わない。慣れないからな」

 慣れないというのが解せず、ベルナルドは首を捻る。そして聞いてみる。

「王宮でのふるまいから、お二人ともそれなりのご身分の方とお見受けしましたが、慣れないとは?」

 ジャンは簡単に答える。

「元は違う呼び方をされていたのだ。それはもう過ぎたことで、我々はただの旅人にすぎない。だからもし何か君にとってまずいことを我々に知られたとしても、特に問題はないだろう。こちらの事情に深入りするつもりはない」

 するとシルキアも無邪気に言う。

「わたしたちは面白がりたいだけ。迷惑だった?」

 ベルナルドはますます困惑して聞く。

「最後のはどちらが?」

 シルキアが悲しそうに聞き返す。

「最後の前のは聞かないの?」

ベルナルドは難しい顔をして考え込む。謁見の間で起こったことを思い出し、前に座る二人を見比べて、よく考えてから彼は言う。

「『竜遣いは何もないところから』から『釈放とする』までがジャンさんで、『どのようにして処刑』はもしかするとシルキアさんなんですね。そっちは気が付きませんでした。まったく。あれは面白かったですか?」

 聞かれて思い返したシルキアは、少し下を向いて気にしている様子で答える。

「面白くなって遊んじゃったけれど、かわいそう。ミラベルみたいに家出しちゃうかも」

  シルキアの発言に対して、ジャンはあっさりと言う。

「ミラベルには黙っておこう」

 ベルナルドはため息をついてやれやれと言う。

「広場で八つ裂きにされておかしくない秘密です。私の他にそんなことができる相手に出会えるとは思いませんでした。なぜできるのかは、気にしないことにします」

 ジャンはなんだと言ってベルナルドに問う。

「そんなに珍しい力なら、発覚を恐れる必要もないだろう。告げ口しても誰も信じないのではないか?」

 ベルナルドは首を横に振って言う。

「そんなことはありません。力自体はそこまで珍しくもないのです。それは魔導師の嫌われる理由です。私が初めて見たのは……」

 そこまで言って口ごもるので、シルキアがはいと言って後を継ぐ。

「小さな王様のお人形!」

 ベルナルドは慌てて静かにと言ってシルキアを制する。ベルナルドの深刻さがよく分からないジャンは、呑気に笑いながら彼に聞く。

「それが珍しいのか? なぜだ。子どもなら操りやすいだろう」

 ベルナルドはどきりとする。余計なことを話してしまったと思いながら、彼は暗い顔でこう言う。

「こちらでは、そういう力のある魔導師には、それぞれに得意とする対象があるのです。あの子には、そんな魔導師はいないはずでした。いないと思われているのです。色々な運命のいたずらがありまして、私にも実はよく分かりません」

 馬車は快速で進み、ガラドニック家の町屋敷はもうすぐそこだった。広い通りにある四階建ての建物の前で、馬車は停車する。庭園は建物の反対側だ。ベルナルドは二人に「少々お待ちください」と断って馬車を降り、先に家に入って他の使用人たちに話をつけに行く。急な客人は珍しいことだったので、屋敷の中はにわかに慌ただしくなる。ベルナルドがなかなか戻ってこないので、シルキアが言う。

「きっと、わたしたちが一着」



 障壁の張られた家具付きの独房でミラベルがふてくされていると、廊下を歩いて近づいてくる大勢の足音が聞こえてきた。いよいよ処刑のとき——すなわち戦いのとき——かと、ミラベルは椅子から立ち上がり、扉を見据えて身構える。杖は荷物と一緒に取り上げられているが、実家で訓練を積んでいるので、杖なしでもいくらかはやりあえる自信がある。この障壁さえなければ。サンドラは何も防がない障壁と言っていたが、竜の雷とミラベルの魔力の炎では、やはり違いがあるのだろうか。ミラベルの炎は、何度試しても障壁に跳ね返されてしまう。障壁が効くことを確認して安心したのか、ミラベルをここに閉じ込めた魔導士たちは、彼女に手枷や足枷をはめることはしなかった。近づきたくなかったのかもしれない。ミラベルは何度か、彼女の逆鱗に触れた魔導士のローブに火をつけて騒ぎを起こしている。今度はそのくらいじゃ済まさないわよと構えていると、足音がミラベルの房の前で一斉に立ち止まり、扉の鍵が開く。少し間を開けてから、鉄の扉が開けられる。扉が開いても障壁は残っている。その障壁越しに、外に立っている人物が見えた。後ろに大勢の魔導士たちを従えた、白と金のローブの魔導士長クローヴィエだ。ミラベルはクローヴィエを睨みつけて言う。

「あたしの処遇が決まったってわけ? 答えによっては容赦しないわよ」

 クローヴィエは大きくため息をついて言う。

「ルパニクルス使節団の請願でおまえたちの釈放が決まった。使節団の身元保証人のガラドニック伯爵に、おまえたちを引き渡す。今から障壁を解除しても暴れないと約束するか?」

 ミラベルは答える。

「まずあたしの杖を返しなさい。返さなきゃ暴れるわ」

 クローヴィエは大げさに両手を広げて馬鹿にしたように言う。

「せっかく釈放してやろうというのに、一生その中にいたいのか?」

 ミラベルは負けずに強く言い返す。

「決まったんでしょ。あたしをここから出さなかったら、あんたが上から怒られるのよ。覚悟ある?」

 これは賭けだったが、ミラベルには杖を今取り戻したい動機があった。クローヴィエは、今回捕縛された囚人二名を適切に収監しておくよう任命された責任者らしい。彼より偉そうにしている者を、ミラベルはまだこの監獄で目にしていない。彼がこの場の責任者であり、だからこそこうして釈放の場に立ち会っているのだろう。ミラベルはここからさらに推測した。ミラベルの房にクローヴィエが来ている、ということは、彼らにとって本命のはずのサンドラはまだ釈放されていないのではないか。ミラベルに『暴れない約束』を取り付けなければならないくらいの小物なのだから、昔ひどい目に遭わされたというサンドラのことは、もっと警戒しそうだ。ミラベルは収監されるときに、魔導士どもが縛られたサンドラに目に余るふるまいをしたのを覚えている。緊縛を解いた後に報復されることを恐れるクローヴィエたちは、ミラベルを房から出した後、彼女を連れてサンドラの房へ行き、ミラベルを盾にとって説得するか、ミラベル自信に説得させるか、何かまた腹の立つふるまいをするかもしれない。そんな場に居合わせるのならば、なんとしたって杖がいると思う。クローヴィエは渋い顔をして考え込む。この国で王命は絶対だった。今日改めて分かったことだが、宰相のジェオルジーニにいくら胡麻をすったところで、王自身にこうひっくり返されたのでは、保身もままならない。従っておいた方が得だと計算し、クローヴィエは部下に命じる。

「71番の杖を持って来い」

 部下が駆けて行く。他の魔導士たちがざわめくが、機嫌の悪いクローヴィエに睨まれ静かになる。クローヴィエとミラベルは、向かい合ったまま沈黙する。ミラベルは気を張って腹を立てているのだが、ちらりとこうも思う。こんなふうに最初から敵対した状態ではなければ、この人からはこの国の魔法の話を色々と聞けただろうか。睨みあっているうちに、部下がミラベルの杖を持って戻ってくる。クローヴィエはそれを受け取り、独房に入ってすぐの床の上に置いて下がる。ミラベルは警戒しながら杖を拾い、よく確かめて前と変わりないことを確認してから、クローヴィエに言う。

「確かにあたしの杖ね。障壁を解除していいわよ」

 クローヴィエは部下の魔導士二名に障壁を解除させる。部下たちは緊張する。無事解除されると、クローヴィエはミラベルに言う。

「出てこい。これから忌々しいもう一人の方の房へ行く。あれが騒ぎを起こさないように、おまえが先に入り説得をするのだ。いいな」

 やっぱりねとミラベルは思う。杖を取り戻しておいてよかった。実家の連中向けに鍛えた先読みは、ここの連中にも通用するのか。ミラベルは呆れながら「分かったから早く連れて行きなさい」と言い、房を出てクローヴィエに続く。部下の魔導士たちが一歩引く。彼らはまたこそこそと囁き合いながら前を歩くミラベルを見、後に続く。ミラベルの房から建物のほぼ対角線上にある房が、サンドラが囚われている房だった。クローヴィエは部下に鍵を開けさせ、ミラベルを中へと促す。この部屋には、障壁は張られていない。ミラベルは声をかけながら中に入る。

「サンドラ。あたしよ。ミラベルよ。あたしたち釈放ですって」

 広さや家具の配置は、ミラベルがいた房とほぼ同じだった。ただサンドラは部屋の中で後ろ手に縛りあげられたまま、椅子の上でも寝台の上でもなく、石の床の上に壁にもたれて座っていた。髪は乱れている。完璧な無表情で、怒っているのか悲しんでいるのか、まったく分からない。ミラベルは怒り心頭と理解し、深く共感しながら続ける。

「ものすごく腹が立つのはよおく分かるけれど、とりあえずみんなと合流しましょう」

 ミラベルは「仕返しは後で」と付け足したつもりで、言葉にはせずサンドラに目配せする。サンドラは唇の端だけで少し微笑んで返す。ミラベルはサンドラに近づき、彼女を縛めている見慣れない紐を見て舌打ちする。ミラベルは、房の外からいかにも忌々しそうにこちらを見ているクローヴィエにきつい口調で言う。

「縛ったやつを連れて来なさいよ。魔法がこんがらがって、わけ分かんないことになってるわよ。へたくそ。早くしなさい」

 【捕縛の紐】に仕上げをしたのはクローヴィエ自身だった。彼は鼻で笑ってこう言う。

「紐一つ解けないのか」

 ミラベルの苛立ちは頂点に達する。返されたばかりの杖をサンドラへ向けて、鋭く言い放つ。

「黙んなさい」

 言うが早いか、ミラベルの杖の先から激しい火炎の渦が迸り、サンドラの身体を巻く。クローヴィエも部下の魔導士たちも、はっと息をのんで目を見張る。小娘は気でも狂って竜遣いを焼き殺すのだろうかと、寸の間期待する。だが、彼らがしたかったようにはならなかった。激しい炎はすぐにおさまり、サンドラは平然としている。着ているものも燃えていない。『術者以外には解けない』はずの【捕縛の紐】だけが、一瞬のうちに燃え尽きて灰となり、落ちる。唖然としているクローヴィエと囁き合う魔導士たちを尻目に、ミラベルはサンドラを助け起こす。かなりきつく縛られていたらしく、紐の当たっていた箇所が鬱血した跡になっていて、痛々しい。それを見て怒髪天を衝くミラベルは、クローヴィエたちに猛々しく言いつける。

「ぼけっと見てんじゃないわよ、ろくでなし。他の荷物は? 出口まで案内しなさい」

 クローヴィエは心底嫌そうに「荷物は出口で返す。来い」と言うと、先に立って歩き始める。取り巻きたちの群れが分かれ、色とりどりの列になる。ミラベルとサンドラはその間を歩き、監獄の出口へ向かう。ミラベルはふんぞり返り、サンドラは背筋を伸ばして氷のような無表情のままだ。入り口の広間まで来ると、取り上げられていた荷物の類を看守から返される。ミラベルの箒も、サンドラのコートと帽子も戻ってきた。なくなっているものはなさそうだ。耳飾りは没収されたが、金の指輪はなぜか没収されていなかった。そのことに改めて気づいたミラベルは、この指輪はもしかしたら人の目につかないようになっているのかもしれないと思う。ベルナルドがロランたちの指輪に言及したことを、ミラベルたちはまだ知らない。荷物の確認が済み建物の外に出ると、入り口のすぐ前に馬車がとまっていて、さっさと乗るよう促される。馬車の窓には幕が下ろされている。扉が開いたので中に入ると、ミラベルがまだ会ったことのない上品な男がいて、柔らかい声で手短に挨拶をする。

「こんばんは、お嬢さん。私はルパニクルス使節団の身元保証人になりましたガラドニック伯爵アルマンドです」

 味方と思いミラベルも急いで返す。

「こんばんは。ミラベル・ユーフィリア・クレアローゼと申します」

伯爵はサンドラにも黙礼する。扉が閉められ、馬車はガラドニック邸へ向けて動き出す。サンドラは一息ついて伯爵に礼を言う。

「貴方だったのね。助かったわ。ありがとう。エレンはどうしているかしら?」

 伯爵は顔色を曇らせて言う。

「使節団の方々に後ほどご相談したいと考えていたのですが、私の大切な妻のエレノールは、不可解な状況で突如失踪してしまったのです」

 サンドラは絶句する。とり残されたミラベルは二人に問う。

「あの、お二人はお知り合い?」

 サンドラが答える。

「私の古い友達のエレノールが、まあひょんなことでこの人のところにお嫁に行ったの。リノリアの娘が外国に嫁ぐなんて、とっても珍しいことなんだけれどね。まして、エレンは貴族で、アルマンドさんもそうだったから、それはもう色々あったのよ」

 伯爵は情けなさそうに言う。

「さんざん騒ぎを起こして一緒になっておいて、今はこのありさまです。私は妻を守れず、助けることも、どこでどうしているのか突き止めることもできていない。協力していただけませんか」

 サンドラが矢継ぎ早に聞く。

「とにかく事情を教えてほしいわ。不可解な状況で失踪って、いったいどんな状況だったの? いつのこと? 家出ではないの?」

 伯爵は話し始める。

「家出であればよいとむしろ思います。妻がいなくなったのは三か月前、ここデイレンの町屋敷でのことです。誰にも相手にされないような奇妙な話ですが、長い話ではありません。妻は、ある真夜中に急に起きだして、なぜか地階へ向かいました。起きたときの様子がどうもおかしくて、眠ったようにぼんやりとしたまま何かをぼそぼそとつぶやき、私がどうしたのかと声をかけてもまったく聞こえていないような様子なのです。私は心配になって後を追いました。すると、彼女は私の呼びかけには答えず、明かりも持たずに真っ暗な階段を下り、さらに隠し扉を開けて【秘密の部屋】へ降りてゆくのです。【秘密の部屋】は有事の際の隠れ場所として造られた地下室で、堅牢な壁で囲まれた何もない部屋です。燭台を持っていた私は後を追って地階へ下り、隠し扉の先へ下りてゆく彼女を確かに見ました。しかし、私が【秘密の部屋】へ降りると、彼女はその狭い部屋のどこにもいませんでした。外への逃げ道となる通路の扉は、内側から施錠されたままでした。【秘密の部屋】の中で、彼女はふいと消えてしまったのです。後ほど見ていただければ分かることですが、そこは、そんなふうに人を見失うような場所ではありません。朝まで探しましたが見つからず、家の者たちが総出で探しても、今まで見つかっていません。以上が、妻がいなくなったときの状況です」

 サンドラは驚いたという様子で伯爵に聞く。

「それじゃあ、エレンはこの街にあるお屋敷の中でいなくなったのね? 夜中に。どうしてそんな」

 伯爵は「まったくその通り、不可解な話なのです」と言って、さらにサンドラとミラベルに縋るように続ける。

「妻が夢うつつで呟いていた言葉の中に、【守護者】という単語がありました。『地下』や『水』がどうのとも。【守護者】のところへ行くと言っていたように思われてならないのです。みなさんはこれから【守護者】のところへ行かれるのでしょう? 何か手掛かりがあったらどうか、教えていただきたい」

 気味の悪い話に内心圧倒されながら、ミラベルが言う。

「【守護者】ってどこにあるのかしら。【守護者】のところ行くと言って地下へ行ったの? あたしたちこれから王宮のどこへ行って【守護者】を活動化するのかしら」

 伯爵が言う。

「【守護者】の場所はみなさんもご存じないのですか。ひとまず、今日はもうお休みください。他の方々も私の町屋敷に招待しています」

 サンドラは、もしかして久しぶりに美味しいものでも食べられるのかしらと密かに思う。以前伯爵家でごちそうになった、鴨や仔羊は絶品だった。そんな期待を知ってか知らずか、伯爵は自慢げに続ける。

「領地ではありませんから使えるものは限られますが、当家の優秀な料理人は健在です。きっとなんとかしてくれることでしょう」

 ミラベルは一つ気になって伯爵に聞く。

「ルパニクルス使節団が今日来ることは、伯爵様はご存じだったのかしら? 急なことだったのじゃありません?」

 伯爵は頷いて答える。

「もちろん急なことでしたとも。急にあの大きな竜が街に現れ、サンドラさんミラベルさんを見かけ、次はそのあなた方が捕まって【王国の牢獄】に収容されたので王宮へ参上せよという使いが来る。正直な話、何事だかよく分かりませんでしたな。ただし、慌てて家を出る前に、客が来るから用意をしておけとは言いました。おや、そういえば、何時に何人と詳しくは伝えませんでしたな。いやきっと、フォデルとベルナルドがなんとかしていることでしょう」

 あいかわらず周囲の使用人たちは大変だろうなとサンドラは思う。嫁いだエレノールも似たようなとぼけた娘だったので、サンドラが過去訪れたころのガラドニック家は世話の焼ける若主人が二倍になったというありさまだった。それでも、不思議と周囲の人々に好かれ大切にされているのは二人とも同じだったので、お似合いだなと見守っていたつもりだったのだ。エレノールはどこへ行ったのだろうか? サンドラは伯爵に問う。

「エレンに会えないことは残念だけれど、他のみなさんはお元気かしら。息子さんや、エレンについて行った侍女のエミリーは?」

 伯爵は微笑んで答える。

「おかげさまでみんな元気にしています。妻につけた侍女三人のうちエミリー以外の二人は、結婚して職を辞しましたが、エミリーはうちの新しい家令と結婚しましたので、続けて働いてもらっています。今は妻がいないため、エミリーには仕事がありませんが、今ごろはきっと客人のおもてなしを手伝ってくれていることでしょう」

 サンドラはさらに尋ねる。

「あら、新しい侍女を雇わなかったの?」

 エミリーを下がらせてその代わりにという意味だったのだが、伯爵はその他の侍女についても、悲しげに回答をよこす。

「お恥ずかしい話ですが、辞めたものたちの穴を埋める人員を雇う余裕がない状態なのです。私の近侍も今はもう誰もいません。今いるものを辞めさせるようなことはしませんが、仕事を続けるのが難しいほど年を取ったり、結婚したりで辞めていった者たちの後は、もうずいぶんと長いことそのままになっています。残った者たちに無理を言ってなんとかしてもらっている次第です。前回サンドラさんが来られてから、上級使用人の中で新しく雇ったのは、引退した魔導師の後任くらいでしょうか。当時の執事が家令に昇格し、今の執事は家令とともに領地の方に残してきていますから、こちらの町屋敷での使用人のとりまとめは彼にさせています」

 なんだかしみったれた話だとミラベルは思う。前のお抱え魔導師を知っているサンドラが聞く。

「あのおじさん辞めちゃったのね。魔導師の後任なんて、どうやって求人を出すの? 紹介かしら」

 ああそれならと伯爵は笑いながら答える。

「前任のレオナルドの紹介です。彼の甥だそうで。レオナルドのやつ、自分は遠くに行ってもう戻らないつもりだなどと言って、去り際に後任の紹介状の写しと割符だけよこしてきたのです。しばらくして、紹介状の通りの特徴の若者が、紹介状と割符の片割れを持って現れました。仕事にもすぐ慣れまして、あんまり都合がよすぎるので、レオナルド本人が若返って返ってきたのではと屋敷内ではもっぱらの噂でしてな。私もなんだかそんな気がしますが、それならそれで詮索はしますまい」

 サンドラも笑って言う。

「レオナルドさんならそのくらいやりそうだわ。そうね、私も気にしないことにしましょう。私、そんな変わった話が笑い話で受け入れられちゃうお屋敷、大好きよ」

 それからサンドラは真面目な表情に戻って言う。

「でもエレンの件は笑ってて済む話じゃなさそうね。分かった。気をつけて見ておく。私だってあの子に会いたかったもの。そうだ」

 はっと気が付いたようにサンドラは伯爵に尋ねる。

「リノリアは今どうなっている?」

 伯爵は顔を曇らせて言う。

「はっきりとした情報が伝わってきているわけではないのですが、話によると地域一帯が霧に閉ざされたとか。霧の内側がどうなっているのかは曖昧な話ばかりで、嘘か誠か無理に入っていったという者の話によると、霧の中にはこれまで以上に化け物がうろつき、街や村は死に絶え、王都へ辿りついても廃墟で、戦士も町人も貴族もみな屍を晒していたという話です。あれは本当の話なのですか?」

 サンドラは辛そうに答える。

「私はそうなる少し前に、使節団になるためにルパニクルスに呼ばれて、リノリアから消えてしまったみたいなの。そのときに、少しだけ、その話にある廃墟の王都の光景を見せられたわ。ああなるのは、いったいいつのことなのかしら。いつどんなふうにそうなったか、聞いていない?」

 伯爵は難しい顔をして答える。

「遠くの話には時差があるものですから、何とも言えませんが……。私がその話を聞いたのはつい最近、一か月ほど前の話です。いかに距離があり、リノリアが閉ざされた場所だとしても、何年も前ということはないはずです」

 そして伯爵はサンドラに、今日の暦を告げる。リノリアの暦に換算してみるとそれは、サンドラが最後に王都で籠城戦を戦っていた日——女王の代替わりがあった日——の、半年ほど先の日付だった。サンドラはさらに伯爵に聞いてみる。

「リノリアの女王陛下が代替わりした話は、伝わっているかしら?」

 伯爵は首を横に振る。

「いいえ、こちらへは伝わっていません。そんな話があれば、さすがに伝わってくるはずですが」

 サンドラはさらに聞く。

「じゃあ、王都が【影】に囲まれた話は?」

 伯爵は怪訝な顔をして言う。

「リノリアはいつでも【影】に囲まれていたではありませんか。【影】や魔獣は、リノリアを脅かすものであると同時に、外患から守る障壁のようなものでもあると、私はサンドラさんから聞いたように思います」

 サンドラはそれを聞いて、【影】の大規模な侵攻の話は伝わっていないのだなと判断する。そうこうしているうちに、馬車はガラドニック邸の門前に着く。御者が門を入り屋敷の扉の鐘を鳴らすと、従僕が出てきて馬車まで迎えに来る。三人が馬車から降りて屋敷へ入ると、入り口の広間のテーブルでカードゲームをして遊んでいた四人が伯爵に礼をする。ジャン、シルキア、銀髪の侍女のエミリー、エミリーの世話係の女中クロエだ。ベルナルドはこの広間にはいない。伯爵は客人二人に向かって言う。

「おや、エミリーの相手をしていただきましたか。ありがとうございます」

 ジャンは伯爵に「相手をしていただいたのはこちらです」と言ってから、サンドラとミラベルに言う。

「交代しよう。勝負は引き分けたので我々は先に休ませてもらう」

 サンドラがジャンに言う。

「あら、これから晩餐会よ」

 従僕が伯爵に言う。

「あちらのお二人は、お食事のいらないお身体だそうで、晩餐はなしでお休みになりたいそうでございます。ベルナルド様からも、お二人に限りそのようにしていただくよう言いつかっております」

 奇妙な話だが、伯爵は「そうですか」と頷き、ジャンとシルキアにこう言う。

「ごゆっくりお休みください。世話係を二人つけましょう」

 従僕が人を呼びに行く。彼が二人の世話係を連れて戻ってくると、四人は客室のある二階へ消えてゆく。ミラベルはカードが散らかっている机の方へ行き、エミリーとクロエに問う。

「どんなゲームかしら。何を賭けていたの? 私たちあんまりお金は持ってきていないはずなのに」

 エミリーが答える。

「お金を賭けていました。ヴァンサン様が大負けされて、ユークンドル様が大勝ちされたので、差し引きゼロです。面白いですよ。ルールは——」

 ミラベルがヴァンサンとユークンドルって誰と思いながらルールの説明を聞こうとしていると、サンドラが彼女らを制して言う。

「悪いんだけれど、私は先に地下室を見せてもらいたいわ。エミリー、貴女は、エレンがいなくなったときどうしていたの?」

 エレンは途端にしおれた花のようにしょんぼりとして言う。

「私は、奥様が起きられて地下へ行かれたことにも気付かず、自室で惰眠を貪っておりました。お守りとしてリノリアから嫁ぎ先にまでご一緒し、こうして雇っていただいているのに、情けないことでございます。謝ってもすまないことではございますが、本当に本当に申し訳ございません」

 クロエが慰める。伯爵は困っている。サンドラは慌てて言う。

「エミリー、貴女のせいだなんて誰も言っていないのよ。エレンはあなたのことが大好きだったんだから。お守りなんかじゃなく友人のつもりだったと思うわ。私はただ、状況を知りたいだけなの。あなたも一緒に来てくれるかしら?」

 エミリーが泣きそうな顔で頷くと、クロエも彼女の手をとって、「私もご一緒します」と言う。伯爵は、「それではよろしくお願いします」とサンドラに言って、地階への階段へと先立って歩く。ミラベルもサンドラの後ろに続く。階段を下りて暫く歩くと、石の廊下は行き止まりになる。床の一部分を指して、伯爵は声を落として言う。

「ここに【秘密の部屋】への隠し扉があります。大昔は本当に秘密だったようですが、幸い一度も使われることもなく、今はもう公然の秘密となっています。一族の者が合言葉を唱えると開きます」

 伯爵は一歩下がって、奇妙な合言葉を朗々と唱える。

「【افتح يا سمسم】」

床が四角く持ち上がり、なぜか霧が湧いて出たと思うと、サンドラが「下がって!」と叫びながらグレイヴを構えるので何事かとみな驚く。しかし、扉が開いて次の瞬間、床下の階段から這い出してきた化け物を見て、みんなはもっと驚いた。長い髪を振り乱した灰色の女の幽霊が、四つん這いになってこちらへ出てこようとしている。伯爵とエミリーが一瞬「エレノール」と夫人の名を呼ぼうとして固まる。強い違和感に気付いたのだ。これは絶対にエレノールではないし、よく見れば顔立ちも違う。サンドラは言う。

「そうよ、これはエレンじゃなくって、ただのどこかの女の【影】。片付けるから下がっていなさい」

 言いながらサンドラは【影】の首を切り飛ばすように薙ぐ。女の身体は霧散し、首だけが鞠のように床を跳ね始める。長い髪をふわふわと靡かせて弾む首を、サンドラはグレイヴの先に突き刺して止め、ミラベルに聞く。

「おうちを燃やさない程度に灰にしちゃえる?」

 見開いた生首の目に怖気づきながらも、ミラベルは杖を構え、周りには気をつけて、火を放つ。首は爆発的に燃え、塵も残さずなくなった。光の刃には煤一つついていない。サンドラは階段の下を覗きこみながら言う。

「【瘴気】は一旦出きったみたいね。どこかから入り込んでこもっていたのかしら。明かりはある?」

 エミリーの世話係クロエが、火のついた手燭をサンドラに手渡す。サンドラはそれを持って階段を降りてゆく。同じものをクロエから受け取った伯爵が、エミリーとクロエに「おまえたちは上にいなさい」と言ってから後へ続く。ミラベルは来るなと言われなかったので、クロエに「あたしの分は用意しなくて大丈夫」と言って杖先に明かりを灯し、後へ続く。階段を下りた先の部屋は、本当に狭い殺風景な部屋だ。階段ともう一つの出口への扉の他には何もない、数人でただ本当に一時的に隠れるだけにしか使えなさそうな、冷たい石壁の部屋だった。伯爵は言う。

「ここで消えてしまうなんて信じられない話でしょう。あのときの妻は、確かに私の妻でした。先ほどの幽霊のような化け物とは違います」

 サンドラはミラベルが隅々まで明るくしてくれた部屋を見回しながら言う。

「そうね、【影】と入れ替わっていればすぐに分かるはず。確かにこの部屋で消えたなんて信じられないわ。それにしても、さっきの【瘴気】はどこから入ってきたの? こういうことって、昔からあったかしら?」

 伯爵は首を横に振って言う。

「それではあれが、【瘴気】とそれによって出るという【影】なのですね。私は初めて見ました。まさか家の中であんなことが起こるなど。すぐにここは閉鎖させなければ。ここは普段は何にも使わずずっと締め切りにしていた部屋です。だからこそ、妻が真夜中に下りていったことにも驚いたのです。今日から閉じてしまっても何の支障もありません」

 サンドラは言う。

「驚くのは分かるけれど今すぐ閉じなくてもいいわ。扉さえ閉めておけば。一族の者しか開けられないのでしょう? 消えた原因が分からない以上、エレノールがここから帰ってくるかもしれないのだから、塞いだりはしない方がいいわ。それより、もう一つの出口というのはこれかしら。これはどこへ繋がっているの?」

 サンドラは出口の扉を指して聞く。伯爵は、錠前で閉ざされた小さな鉄の扉を見て言う。

「これは裏の庭園へ繋がっています。外から侵入できないよう、こうして内側から鍵をかけているのです。ここの鍵は、私がいつも持っています」

 伯爵は懐から小ぶりな鍵束を出しその中の一つで錠前を開ける。鎖を外して取っ手を引くと、鉄の扉がゆっくりと開き、上から庭土や植物の香りが漂ってくる。狭い石段を登ってゆくと頭上に石の蓋があり、それは合言葉なしで開くらしいが、かなり重いようだ。苦労の末、伯爵はそれを持ち上げて横へずらしてどけ、庭へと出てゆく。サンドラとミラベルも後へ続く。もう外が暗くなっているのが惜しいほど、そこは見事な庭園だった。よい香りのする草花がそこかしこに植えられ、奥には噴水が見える。ミラベルは、領地じゃないって言っていたし、うちの庭より狭そうだけれど、それでもずっと趣味はよさそうねと密かに思う。サンドラが言う。

「このままお庭を散策して表の玄関に戻りたいところだけれど、下の扉の鍵も閉めたいし、こっちの蓋も元に戻しておきたいわね。蓋の方は私がやるから、二人とも先に下りて。あ、ミラはお庭を見て表に回ってもいいわよ。もう危ないことはないと思うから。明かり、ありがとうね。助かったわ」

 ミラベルは少し迷って言われた通りにすることにする。ミラベルは噴水の方へ歩いてゆく。サンドラは、伯爵が下りた後に自分も下りて、石の蓋を戻しにかかりながら思い出す。エレンとは子どものころによく、お姫様と騎士ごっこをして遊んでいた。あんな感じで、色々と都合よく助け出してあげられればいいのにと思ってから、今のエレンの騎士はアルマンドだと気付く。少々頼りない騎士だ。

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