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43.真っ白な彼女と、疑いの黒い眼差し


「イツキくんっ、おはようございます!」

「え?」

「やだなぁ、朝の挨拶ですよ? 挨拶してくれないんですか?」


 いやいや、朝から上目遣いで迫って来るこの子(リン)もどうなの。

 しかも本名じゃなく、ハンドルネーム呼びに戻しているし。


「名前違わないかな?」

「イツキくんですよね? そうですよね? 違わないですよね……?」


 何か怖いので頷いておいた。

 何もリアルまで狂戦士ばりに来なくてもいいのに。


 白髪な髪をさせたリンの気持ちに何か劇的な変化があったとは考えにくいが、見る目がとにかく怖い。


「その通りです」

「ですよねっ! うん、お利口さんです」


 何事が起きているんだろう。

 彼女は俺に対し、さっきから何かを監視するような鋭すぎる目つきをしている。


 白髪に目が行きがちだが、瞳の色は漆黒で、とにかく見られているだけで石化しそう。

 教室にたどり着く前に、何かが起きそうな気がしないでもない。


「と、ところで、今日はみこさんは一緒じゃないの?」

「敵と慣れ合う必要ってあるんですか?」

「て、敵?」

「敵ですよ。イツキくんへの気持ちが同じって分かったので、敵です」


 とてつもなく目が居座っているが、姉妹に何があったのか記憶が飛んでいて覚えていない。

 確かみこさんとリンの谷間の狭間に――。


 いや、リンの谷間はそんなでも無かった気が。


「そうなんだ……それはなんとまあ」

「は? 今何か、仄かな考えを巡らせませんでしたか?」

「し、してない、してない!」

「――と言いつつ、直視するのってどうかと思いますけど」


 中々に鋭いな。

 現実世界なのに、バーチャル世界とスキルが全く変わらないなんて恐ろしすぎる。


 今日に限って、昨日あれだけデレた一樹が最初から登校しなかった。


 あいつはあれでいて妙に勘が鋭いし、リンがこうして挨拶して来るのも分かっていたかもしれん。


「見ちゃ駄目なのか?」

 ――と、リーダーモードで言ってみた。


「駄目じゃないです! 本気って思ってていいんですね?」

「(よく分からんけど)ああ!」

「……あ、じゃあ、今日は学校休んで、うちに来てもらいますね!」


 あれ、選択肢間違ったか。

 さっきまでこの子しか見えていなかったのに、黒服のお姉さんたちが勢揃いしてるんだが。


「ちょっと待っ――!!」

「駄目ですよ? もう本当に、いい加減に決めてもらいますので! イツキくんは優柔不断が過ぎるので!!」


 ナニコレ、どうなるんだこれ。

 学校にたどり着く前に、狂戦士リンに拉致されるとか強制フラグか。

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